Vancouver Sake Fest ‘24が10月23日バンクーバー市で開催された。6年ぶり4回目となったカナダ最大級の日本酒イベントには、待ちきれない日本酒ファンが開場前から列をなしていた。
主催したBC州日本酒協会(The Sake Association of British Columbia:SABC)によると、一般の部のチケット300枚は完売。先行して行われたリカーストア(酒店)やレストラン関係者などへのイベントと合わせ、この日は約500人が、日本酒をはじめ、焼酎や梅酒など、約150種類の日本の酒を楽しんだ。
SABC小西隆之代表は、「こうしたイベントを通じて日本のお酒の魅力をカナダで発信していきたい」と話す。難しく考えずに「楽しくお酒を飲んでもらえるいいチャンスかなと思います。それで自分が好きなお酒が見つかったら、家族や友達に伝えてもらえるとうれしいです」。
日本貿易振興機構(ジェトロ)トロント事務所長・幡野裕一氏は「調べによるとBC(ブリティッシュ・コロンビア)州は最近5年間で日本酒などの輸入量が40%くらい伸びています。こういうイベントを通じて日本の食のプレゼンスをさらに高めていければすごくいいことだと思っています」と語る。この日も約300人が集まった会場を見て「(日本酒が)好きな方が多いということが分かりますし、ポテンシャルの高い市場だと思います」と日本の酒蔵にとっても非常に良い傾向だと語った。
翌日にオタワへの転任を控えた在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事も駆け付け、「日本酒は和食とともに広く知られていますが、まだまだ魅力を伝えられることはたくさんあると思います。こういうイベントを通じて日本酒の魅力が広がって、日本酒を通じた文化のつながりが強まるといいと思っています」とメッセージを送った。
広い会場にはさまざまな種類の日本の酒がSABCに加盟する11社の各ブースにずらりと並ぶ。グラスを持った参加者たちは気になったブースで酒蔵の関係者に説明を聞きながら、楽しそうに試飲する。
会場にはつまみとなるフードも用意された。小西代表は「フードとのペアリングも楽しんでもらいたい」と話す。今回はペアリングまではできなかったが「日本のお酒はフードと一緒に味わってもらえるので、季節の料理や毎日の生活の中でフードと一緒に日本のお酒を楽しんでもらうことが紹介できれば、日本のお酒の楽しみ方に幅ができると思います」。
アジア系移民が多いバンクーバーは日本酒や和食に親近感を持っている人も多いと話す。そうした需要を取り込みながら、もっと魅力を発信していきたいという。大盛況だった今年のVancouver Sake Fest。「来年の開催に向けてがんばります」とファンにうれしい言葉が飛び出した。
(取材 三島直美)