エドサトウ
まだ、学生時代であったころに、NHKのテレビで「愛知の広報」と言う番組に出たことがある。30分ぐらいの番組で、お昼の時間帯に放映された。タイトルは、たしか「農業を目指す若者たち」であったと思うが、撮影が終了してお昼になり、NHKの方から近くの名古屋テレビ塔の西側にある西洋レストランでグラタンというフランス料理をご馳走になった。いわば、昼食が出演料のようなものである。そのほかにNHKのマークの入ったパーカーペンを記念に頂いた。
この時、テレビ塔近くのレストランで、出演した4名がグラタンをいただいたが、今思えば、最初のフランス料理であった。50年以上も前の昭和の時代で、まだ、洋食が珍しく、まして、フランス料理など食する機会はほとんどなかった時代であったから、グラタンの味など、まったく分からず、ただただ「味の薄い料理だなあ!」思ったぐらいである。
もう、あれから半世紀の時が流れた過日のハロウィンの日に近くのホームセンターで買い求めたオレンジ色のカボチャをハロウィンのランタンにするべく目や鼻をくりぬいていると、このカボチャは最後まで展示用で残っていたもので、皮が厚くて硬い、「これは、ひょっとしたら、日本の冬至カボチャのようにホカホカのおいしカボチャかもしれない」と思い、ハロウィンが終わると硬いカボチャの皮の一部を細かく切って、薄い醤油とだしで煮てみたが、ほっくりともせず、水っぽく煮あがった。表面の皮も固く、夕食のおかずには無理だと分かった。「それならば、これをミキサーにかけてポタージュスープにしてみよう」と思い立ち、さっそく煮たカボチャにミルク混ぜてミキサーにかけてみる。味見をすればまずまずである。さらに小麦粉をフライパンで炒めて、それをカボチャのジュースになるものと一緒にコトコトと煮てみると凄く美味しカボチャのポタージュが出来上がり、我ながら大成功であった。「いや、フランス料理のポタージュスープもなかなか美味しものである」。
投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
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