バンクーバー交響楽団元音楽監督・秋山和慶さん死去

 バンクーバー交響楽団(VSO)で音楽監督を務めた秋山和慶さんが1月26日午後10時57分、肺炎のため死去した。84歳。東京都出身。

 今年1月1日に自宅で転倒して頸髄を損傷、治療に専念するため1月23日に音楽活動からの引退を表明していた。

 斎藤秀雄のもとで指揮法を学び、1963年に桐朋学園大学音楽学部を卒業、1964年2月には東京交響楽団を指揮してデビューした。バンクーバーでは1972年から85年までVSOで音楽監督を務め、のちに桂冠(けいかん)指揮者に就任。以前の地元紙のインタビューでは「バンクーバーは第二の故郷」と語っていた。

 東京交響楽団をはじめ国内外のオーケストラの音楽監督や首席指揮者など要職を歴任。トロント交響楽団の副指揮者(1968〜69年)も務めた。東京交響楽団などの桂冠指揮者、広島交響楽団の終身名誉指揮者。2001年に紫綬褒章、2011年に旭日小綬章。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学より名誉博士号授与。

 VSO終身名誉コンサートマスターの長井明さんは「秋山さんの元日の転倒・入院の速報から引退声明、訃報!VSO のステージにもう一度と期待していたのに・・・!」と悲報に落胆を隠せず、「1975年に秋山さんから『VSOの発展に助けてよ』と言われ、1976年にモントリオール響からVSOに移籍。私の人生の3分の2の“道しるべの線路”を敷いてくれた恩人でした。口数少ないマエストロでしたが彼の行動・言動から学んだことは多大で、今となっては私の最高の賜物の一つです。小澤征爾さんを亡くした日本の指揮者界を引っ張っていく先導者・秋山和義に最善の期待をしていた矢先の悲劇的な他界に言葉を失ってしまいました」と悼んだ。

(記事 編集部)

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