注目のカナダ自由党・党首選、トルドー首相の後任は誰に?

 年明け早々にジャスティン・トルドー首相が辞任表明し、カナダ政治2025年の幕が開けた。今年はカナダ政府にとって重要な案件が続く。議長国としての主要7カ国(G7)首脳会議開催、連邦総選挙、そしてなにより1月20日に誕生したアメリカのトランプ政権対応だ。

 これらを乗り切るために自由党を率いる次期党首選びがいよいよ始まった。

党首選の候補者は6人に

 1月6日にトルドー首相が辞任を表明して以降、党首選に立候補する可能性があるさまざまな名前が挙がった。ルブラン財務大臣、ジョリー外務大臣、アナンド運輸大臣、フレーザー元住宅大臣、シャンパーニュ産業大臣などなど。中には、ブリティッシュ・コロンビア州元州首相クラーク氏の名前もあった。フランス語を猛特訓中とかで、本人も昨年のテレビインタビューで出馬についてまんざらでもなさそうだった。しかし結局はこうした主力閣僚は早くに立候補しないことを表明。中には次期選挙にすら出馬しない意向を表明する閣僚もいた。

 そんな中、党首選に名乗りを上げたのは、元財務大臣兼副首相のクリスティア・フリーランド議員、元下院政府総務カリーナ・グールド議員、ジェイミー・バティステ議員、元国会議員のルビー・ダーラ氏とフランク・ベイリス氏。そして、元カナダ中央銀行総裁のマーク・カーネイ氏だ。議員のチャンドラ・アリア氏も手を挙げたが党から出馬することを許可されなかった。最終的には6人で党首の座を争うことになった。

 現時点で有力視されているのはカーネイ氏とフリーランド元財務大臣。そんな中で注目は自由党議員の支持。CBCによるとカーネイ氏が74、フリーランド元財相は26。内訳はさらに興味深く、元閣僚のほとんどがカーネイ氏を支持している。

 カーネイ氏は元カナダ中銀総裁だが議員の経験はない。全く議員経験のない人を党首に選ぶことはできるが、現在与党の自由党は党首に選ばれた人がそのまま首相になる。その後には、今年はG7もあり、連邦選挙もあり、トランプ大統領とも対峙しなければならないという厳しい状況が待っている。それ以上に、野党が国会が再開する3月にも不信任動議を提出し自由党政権を倒すと意気込むという状況で、外相、財相、副首相を経験し、トランプ第1次政権も乗り切ったフリーランド議員ではなく、議員未経験のカーネイ氏を元閣僚のほとんどが支持しているのは興味深い。

 世論調査では、アンガスリードも、アバカスデータも、カーネイ氏が党首になった方が自由党を支持する人が増えるという結果を発表している。ただし、保守党支持を超えるほどではない。どちらが党首になっても厳しい状況には間違いない。

 さらに2月3日にはトルドー首相とトランプ大統領の電話会談の結果、ひとまずアメリカからの関税25%課税が30日間延長となったが、その後の対応は新首相が継続する。

 投票日は3月9日。10年ぶりに新しい首相が誕生する。

(記事 編集部)

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