アメリカのドナルド・トランプ大統領は2月10日、アメリカが輸入する全ての鉄鋼とアルミニウムに関税25%を課す大統領令に署名した。大統領はこの措置に例外はないと説明、カナダからの輸入も対象となる。関税は3月12日から実施される予定。
この件についてトランプ大統領はアメリカの鉄鋼とアルミニウム産業を支援するためだとしている。それに関連して大統領は再度「カナダはアメリカの51番目の州になるべきだ」と述べた。
ドイツの調査会社スタティスタのデータによると、カナダはアメリカの鉄鋼・アルミニウムの最大輸入元で、2024年では鉄鋼は23%、アルミニウムは約60%をカナダから輸入している。一方カナダの鉄鋼・アルミニウムの輸出先は2023年で約90%がアメリカだ。
AI国際会議に出席するためパリに滞在中のジャスティン・トルドー首相は11日、記者団に関税は「受け入れられない」と述べ、世界各国と協議して対応を考えると語った。また報道によるとこの日は会議に出席していたアメリカのバンス副大統領と言葉を交わしたという。
報復措置に踏み切るかは不明だが、フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ産業大臣は10日、「カナダ政府はカナダのために立ち上がる。労働者を支援して産業を守る」との声明を発表した。野党も揃って報復措置を取るべきとの考えを表明した。
カナディアンプレスが伝えたところによると、1カ月延長されたカナダへの関税が仮に3月初旬から実施されると、鉄鋼・アルミニウムへの関税25%は追加関税となるという。
カナダ鉄鋼生産者協会キャサリン・コブデン会長はCBC電子版の取材に、関税はエネルギーから建設まで広範な業界に衝撃を与えるだろうと危惧している。
(記事 編集部)
合わせて読みたい関連記事