
JALTA日本語教育振興会主催「第25回お話発表会」が2月9日、バンクーバー日本語学校並びに日系人会館で行われた。これは同会加盟の日本語学校で学ぶ生徒たちが「お話」を披露する毎年恒例のイベント。学校間の垣根を超えて学習成果を発表する。
当日は在バンクーバー日本国総領事館・髙橋良明総領事も出席。開会にあたり「カナダの学校に通いながら日本語の勉強を続けるのは、決して簡単なことではないと思います」と語り、「日本語を学べばアニメや小説を深く味わったり、日本での楽しみも増えるでしょう。今日の発表は大切な一歩だと思います。ぜひがんばってください」とエールを送った。

「お話」は最初に小学科の生徒たちが発表。アルデザ瑳蘭(さら)さんは、お母さんが通った日本の小学校での体験入学について話した。一番びっくりしたのは学校にプールがあったこと。ほかにも毎日温かいご飯が食べられる給食がうれしかったなど、カナダで育った子どもならではのいきいきとした視点が盛り込まれていた。

「ぼくのすきなもの」で、大好きな日本のアニメについて話したのは増永太陽君。特に「ワンピース」がお気に入りで、その魅力について話した。どんな困難にも仲間と一緒に力を合わせて前に進む主人公たちの姿を見て、自分も「諦めずにがんばる人になりたい」という太陽君に、会場から大きな拍手が送られた。

サッカーの日本代表になるのが夢だという佐藤かいと君は、「ファイト!」というテーマでサッカーから学んだことを発表した。あるトーナメントで敗北寸前で意気消沈しているチームに「まだ終わりじゃないぞ!」と声をかけたというかいと君。その言葉でチームメートは元気を取り戻し、逆転勝ちを果たしたという。このトーナメントで、ファイトという言葉には「最後まで諦めないことや全力を出す」という意味も含まれていることを学んだと話した。

基礎科では5人が発表した。赤い野球のユニフォームで登場した永井フィオ君は、戦前にバンクーバーで活躍した日系カナダ人野球チーム「バンクーバー朝日」について話した。2014年に誕生した「新朝日」メンバーのフィオ君は「日系カナダ人として誇りを持って練習や試合をがんばっています」と胸を張った。

最後の中高等科の発表は、身近な題材ながら深く掘り下げた内容だった。チューひびきさんは宮崎駿監督の映画「君たちはどう生きるか」を取り上げ、コミュニケーションや現実の世界に向き合うことの大切さを話した。
発表後のあいさつでJALTAのベイリー智子会長は「みなさんが強く強く日本に繋がっていることが伝わって、先生の心に響いてきました」と生徒たちに語りかけた。日加トゥデイの取材には「トピックがバラエティに富んでいて、さらに私たちが気づかないような分析もあったりと、とても楽しかったです。生徒たちは、ほかの人の発表も素晴らしい態度で聴いていましたね」と笑顔を見せ、発表会の成功には保護者や先生たちのサポートが欠かせなかったと感謝した。
参加生徒と「お話」タイトル
小学科
- 「たいようけいの ほし」コスコありさ(Arisa Cosoco)
- 「ピアノ」古市泰(Ty Furuichi)
- 「中新井田小学校でたいけんしたこと」アルデザ瑳蘭(Sara Aldeza)
- 「ぼくのすきなもの」増永太陽(Taiyo Masunaga)
- 「フランスのおもい出」渡部乃仁香(Nonika Hall)
- 「カナダにあったらいいなと思う日本のもの」山本依真(Emma Yamamoto)
- 「ファイト!」佐藤かいと(Kaito Sato)
- 「47都道府県」木川恵莉花(Erika Kikawa)
- 「ホッケー」松尾恵実(Emi Matsuo)
- 「カナダと日本の小学校のちがい」堀谷翼(Tsubasa Horiya)
基礎科
- 「バンクーバーあさひ」永井フィオ(Fio Nagai)
- 「いぬとねこ」グエン・ハアン(Ha-An Nguyen)
- 「バンクーバーで一番好きな場所」ブラックモア・マーカス(Marcus Blackmore)
- 「日本の思い出」セン・ステファニー(Stephanie Cen)
- 「日本とカナダの文化の違い」カプール・ケシャブ(Keshav Kapoor)
中高等科
- 「日本語の鉄道について」高岡健太(Kenta Takaoka)
- 「私たちはどう生きるか」チューひびき(Hibiki Chu)

(取材 宗圓由佳)
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