7人制ラグビー・カナダセブンズ女子日本代表ベスト4に食い込む「小さい体でも勝てるラグビーを目指す」

執念の逆転勝ちに喜ぶ日本代表とぼう然とするアメリカ代表。アメリカ戦。2025年2月22日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
執念の逆転勝ちに喜ぶ日本代表とぼう然とするアメリカ代表。アメリカ戦。2025年2月22日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 バンクーバーで開催された7人制ラグビー世界大会カナダセブンズ。2月21日から23日までBCプレースで行われた白熱の戦いは、女子はオーストラリア、男子はアルゼンチンの優勝で幕を閉じた。

 女子日本代表は準々決勝でアメリカを破り準決勝に進出。今シーズンはドバイ大会での7位から、ケープタウンで6位、パースで5位と順調に順位を上げ、バンクーバーで初のベスト4入り。シリーズ総合順位も6位からカナダを抜いて5位に浮上した。

初日から強敵を倒し2連勝、準決勝ではアメリカに逆転勝ちでベスト4をつかみ取る

 初戦のフィジーに逆転勝ちすると、2戦目のイギリス戦では逃げ切って勝利した。2連勝で臨んだ2日目のプール最終戦ではプール最下位に沈んでいたフランスが本来の強さを見せ日本を圧倒。日本は2勝1敗としてプールC組2位で準々決勝に進んだ。

 相手はシーズンここまで4位の強敵アメリカ。前半を終えて7-5とリードしていたが後半立て続けにトライを奪われ逆転を許す。しかし13分、14分と連続トライで同点に追いつき、延長戦へ。17分に谷山がトライを決めて再逆転でアメリカを下し、準決勝への切符をつかんだ。

延長戦でアメリカに勝利する谷山のトライ。アメリカ戦。2025年2月22日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
延長戦でアメリカに勝利する谷山のトライ。アメリカ戦。2025年2月22日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 大会3日目、準決勝は初戦で勝っているフィジーとの対戦だったが、前半から圧倒され、最後まで追いつくことができず大敗。3位決定戦へと回った。相手はシリーズ総合2位のオーストラリア。幸先よく先にトライを奪ったものの前半で逆転を許し、後半に日本もトライを決めたが及ばず、メダルには手が届かなった。

 試合後、兼松由香ヘッドコーチは前大会より順位を上げることを今大会の目標にしていたと語り、「ベスト4に行きましたが、そこで満足せずメダルを取りに行きました」とオーストリア戦に臨んだという。スピードとパワーを持つ相手に対してのディフェンスに課題が残ったとは言え、これまでオーストラリアと対戦した時は全く自分たちのラグビーができなかったが「今回の試合の中では自分たちのスタイルでトライを取りきれたと思います」と収穫を語った。

このままトライを決めた梶木キャプテン。アメリカ戦。2025年2月22日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
このままトライを決めた梶木キャプテン。アメリカ戦。2025年2月22日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 ベスト4は女子日本代表にとって初の快挙。梶木真凜キャプテンは「後半にしっかりと自分たちのアタックを継続して執念を持ってトライまで取り切れた」と今大会を振り返った。

「小さいから強い」小さいことを強みにするラグビーを構築する

 バンクーバーで男女同時開催になったのは2023年。女子日本代表は出場するも2023年は9位、2024年は10位と、ベスト8を目指しながらも一歩届かないシーズンが続いた。

 しかし今シーズンはここまで全て7位以上。兼松HCは日本人選手の体が小さいことは変えられないが「逆に『小さいけど』ではなくて『小さいから』強いんだ、自分たちが小さいことを強みにするラグビーというもの今構築しようとしています」と話す。

オーストラリアとの3位決定戦。2025年2月23日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
オーストラリアとの3位決定戦。2025年2月23日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 スピードとパワーが勝因の大きな要素を占める7人制ラグビーで「小さいから強い」を実現するために、「一大会、一大会でチャレンジをして、通用するところ、まだまだ改善しなくてはいけないところ」を積み重ねているという。そして「新たに自分たちの強みも大会ごとに見つかって、順位も一つずつ上がっています」。

 最終的な目標は2028年ロサンゼルス五輪でのメダル獲得としながらも、今シーズンは「ベスト8に入って(ロサンゼルスでの)グランドファイナルに進出することが当初の目標でしたが、こうして順当に順位を上げられているので次回の大会ではメダルを目指していけると思います」と香港、シンガポール大会を見据える。

 梶木キャプテンも「ベスト3、欲を言えば1位を狙えるよう戦っていきたい」と自信をのぞかせた。

2025年カナダセブンズ女子日本代表結果

プールC
日本 19-14 フィジー
日本 19-14 イギリス
日本 12-31 フランス

準々決勝
日本 22-17 アメリカ

準決勝
日本 7-28 フィジー

3位決定戦
日本 12-26 オーストラリア

準々決勝のフィジー戦。2025年2月23日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
準々決勝のフィジー戦。2025年2月23日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

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