カナダに対するアメリカ・トランプ大統領の関税措置が3月4日に発令された。トルドー首相は報復措置として同日から300億ドル相当のアメリカ製品に25%の関税を課すと発表。カナダ政府が発表した関税対象製品は、オレンジジュースや精肉などの食料品から衣料品、化粧品、電気製品まで多岐に渡る。
連邦政府に呼応するように全国の州首相も続々と報復措置を発表した。最も厳しい措置を発表したのはオンタリオ州。ダグ・フォード州首相はトランプ大統領が関税措置を強化した場合、オンタリオ州からアメリカの3州、ミネソタ州、ミシガン州、ニューヨーク州に送っている電力を止める用意があると5日に発言した。オンタリオ州は北米自由貿易協定(USMCAもしくはCUSMA)によるアメリカと一体となった自動車産業を構築してきた。しかし関税が自動車産業も含まれることでオンタリオ州経済に大きな影響が出ることが予想されている。
フォード州首相は「これまでずっと同盟国であり、隣国であり、友人だったアメリカにこういう対応はしたくないが」とことわったうえで「トランプ大統領の関税措置に対抗するには他の選択肢はない」と語気を強めた。6日には3月10日からアメリカ3州への電力供給に25%課税すると断言。5日にはトランプ大統領が自動車産業への関税措置を1カ月延長すると発表したが、フォード州首相は6日「関税が完全に撤廃されるまで報復措置は撤廃するつもりはない」と強調した。オンタリオ州から3州へは年間7億ドル相当、150万世帯に送電している。
ケベック州フランソワ・レゴルト州首相は4日、ケベック州民と経済を守るためにあらゆる手段を取ると明言。現時点では実施しないが送電停止やアルミニウムへの関税措置も将来的にはあり得ると語った。アメリカで使用されるアルミニウムの60%がケベック産だという。ケベック州もオンタリオ同様にアメリカに電力を送っている。レゴルト州首相はまずは州内のリカーストアからアメリカ産酒類を撤収し、購入も停止すると発表した。
アメリカ産酒類については他州も同様の対応を発表。オンタリオ州、マニトバ州、サスカチュワン州、アルバータ州が全アメリカ産酒類を店舗から撤収し、ブリティッシュ・コロンビア州はレッド州(共和党州)から輸入している酒類の撤収を発表した。
トルドー首相と各州首相らは、国民・州民にカナダ産を購入するよう呼び掛け、カナダ国民が一体となってこの危機的状況を乗り切りたいと語った。
(記事 編集部)
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