終活は新しい大人のマナー
叶多範子
こんにちは!この原稿は日本で一時帰国中(もうすぐカナダに帰ります)に書いています(このコラムが出る頃には、時差ぼけで苦しんでいる頃でしょう)。
今回はなんと6週間も滞在したので、私の「死ぬまでにやりたい100のリスト」に書いた夢や希望を、おかげさまで沢山叶えることができました。健康と家族や職場を始めとする周囲の理解と協力があって初めて実現できたことです。本当にありがたいことだと感じています。
春と言えば、桜。今年は日本では開花が遅く、私は満開の桜を旅の後半の長崎で見ることができました。バンクーバーの桜も日本の桜に負けないぐらい素晴らしいですよね。みなさんも今年の桜を楽しまれましたか?
実は「死ぬまでにやりたいこと」を一つずつ叶えていく行為は、終活の重要な一部なのです。終活というと、遺言書の作成や財産整理など、人生の終わりに向けた準備と思われがちですが、1度きりの人生を悔いのないように楽しむことも大切。
長年抱いてきた夢を叶え、やり残したことや、やりたかったことに挑戦し、心の充足感を得ることは、人生を豊かに締めくくるための大切な過程です。私自身、日本滞在中に叶えた小さな夢の数々が、確かな充実感と共に心に刻まれています。
でも、「死ぬまでにやりたいこと」は、一体どうやって実現すればいいのでしょうか?私が実践している小さな一歩をご紹介します。
まず大切なのは、具体的に書き出すこと。「いつか行きたい」ではなく「来年の春に行く」など期限を決めるだけで、夢は現実に近づきます。今回、実現できた長崎への旅も、1年前に書いたリストの中の一つでした。
次に、身近なところから始めること。行きたいところがあれば、まずは身近な近郊から始めて、徐々に遠くの夢へと歩みを進めるのもよいでしょう。
そして何より大切なのは、周囲に夢を語ること。「こんなことをしたい!」と周りに話すと、思いがけない協力や情報が集まってきます。私の今回の長めの日本滞在も、私の旅行プランに配偶者が難色を示すことなく、2つ返事で「行ってこい」と背中を押してくれたこと、そして職場の上司が快くお休みを許可してくれたからこそ実現したのです。
高校生になったとはいえ、食べ盛りの息子2人を長い間ほったらかしにすることには周囲の人が驚いたり、心配されたりもし、正直、私自身も罪悪感がなくはなかったのですが、母親だからと我慢したくないっ!やりたいことができるうちにやる!そしてその姿を見せることはプラスになれどマイナスにはならない!と信じ実行に移しました。
海外に暮らす私たちだからこそ、二つの文化の狭間で育んだ独自の「死ぬまでにやりたいリスト」がある気がします。それを一つずつ叶えていくことは、わくわくして、とーっても楽しい。そんな終活の形もあることを是非、覚えていてくださいね。
カナダに住む私たちには、日本の故郷を訪ねる旅や、昔からの友人との再会、懐かしい味を味わうなど、日本にルーツを持つからこその願いや希望があります。同時に、カナダの壮大な自然を満喫したり、多文化社会ならではの体験を深めたりする夢もあるでしょう。二つの国に心を寄せる私たちだからこそできる「やりたいこと」は無限大です。
実は、リストを書き出してみると、案外と手が届く距離に夢があることに気づくものです。「いつか」と思っていた場所が、実は週末のドライブ圏内だったり。昔から食べてみたかった料理が、実は家の近くのレストランで提供されていたり。書き出すことで、身近な幸せが見えてくるのも不思議です。
こんな小さな一歩の積み重ねが、やがて人生を振り返ったときの大きな満足感になります。今日から、あなたも「死ぬまでにやりたいこと」を一つずつ実現するために、「やりたいことリスト」を作ってみてはいかがでしょうか?
リストを作り始めるなら、まずは10個から。難しく考えず、心が躍ることを書き出してみてください。そして、一番実現しやすそうなものから、小さな一歩を踏み出してください。その先に広がる喜びの世界が、あなたの人生をさらに輝かせてくれるはずです。
*このコラムへの皆様からのご質問やご感想もお待ちしております。このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。
叶多範子(かなだ・のりこ)
グローバルライフデザイナー
2015年、友人の孤独死と相続問題をきっかけに、カナダのバンクーバーで遺言・相続専門の弁護士アシスタントとしてキャリアをスタート。2020年には終活アドバイザー資格を取得し、終活の視点を取り入れた知識と実務経験を活かしたノート術とコンサルティングを提供しています。
「終活せずに困った!」という後悔の声を「やってて良かった」「ありがとう」と笑顔で未来を彩ることをライフワークとしており、これまで300名以上に国境を越えた安心感を届けています。国内外問わず、すべての人が大切な未来をデザインできるようサポートしています。 家族はカナダ人の夫、2人の息子、愛猫1匹。日々の活動や最新情報は、メルマガ、ブログ、SNSで発信中。
メルマガ:https://www.shukatsu.ca/mailmagazine
ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:https://a.co/d/ad4OeLw