カナダde着物
第10話 季節*新春
皆さま、新しい年はどのようにお迎えになられたでしょうか。いつもよりご自宅にいる時間が増えたことで、色々な思いを馳せることが認識できた方も多かったのではないでしょうか。このプライオリティ、「優先順位」「優先すること」「重要度の高いこと」は、毎日のやることリストに追われていますと見逃してしまい、必要でないことに時間を割き過ぎてしまうことがあります。
限られた私たちの時間を大事に使いたいものです。
いつもなら新年の抱負を考えますが、今年は自身の幸せの責任を持つために“人生の年頭所感”を意識してみたいと思います。
「厳かな大晦日、元旦の大正月」
カナダのホリデーシーズン中で一番の盛り上がりはクリスマスです。年明け早々に仕事始めや学校再開があるため、お正月気分を十分に味わえないというのは、海外在住あるある話ではないでしょうか。
お節料理の材料はかなり現地で調達できるようになりました。しかしクリスマスが終わった後に本格的なお節料理を作ることは大変です。家族も普段食べなれていないこともあり、そう多くは必要がなかったりします。
そこで私はお節料理の品数を減らし、テーブルデコレーションやお部屋のしつらえ(*1)に時間を割くようにしています。テーマはもちろんお正月で、ハレの雰囲気を出すようにします。あくまでも手抜きではなく、現代社会に合わせたアレンジです。笑
そして着物は雰囲気づくりには欠かせないものです。料理を作る31日はとても忙しいので、料理がほぼ出来上がった後にサササっと小紋やカジュアルな着物に着替え、帯は半幅帯に帯締めをします。これだけでも厳かな大晦日の雰囲気を出すことができます。
翌日の元旦はほとんど料理はしませんので、訪問着に名古屋帯や袋帯をします。この日は晴れの日として、明るい色や金や銀の小物を使うと華やかです。
遅めの朝食は家族揃ってお雑煮をいただきます。いつもでしたら、その後にお寺へ初詣となりますが、今年は残念ながら自宅でZoom やLineを使い、親戚や友人と新年の挨拶をしました。
「1月15日の小正月、別名は女性の正月」
日本では、昔から元旦からの大正月は年神様や先祖を迎える行事となりますので、忙しいのが常です。ですのでお正月の片付けが終わった頃の小正月に女性たちが改めて正月を愉しむという習慣があるそうです。今で言う“女子会”でしょうか。
私は何年か前から、この日に女性の友人たちを招き、お節料理を一品づつ持ち寄るパーティーをしています。メンバーは日本人ですので、料理は各地元のお節料理を作ってきてくださいます。南北に長い日本列島はこんなにも食文化がバラエティに富んでいるのかと再発見します。
こちらも今年はできませんが、このような昔からの習慣を今の時代に合わせて愉しめたらいいですね。
「お正月のしつらえ(*1)」
大正月には門松を飾りますが、小正月には餅花(もちばな)をなどを飾ります。
「華やかな睦月の着物」
1年で一番、華やかな着物が映える睦月。1月のことですが、家族、親戚、友達と互いに親しみ合うという語源だそうです。この月は大正月の挨拶回り、小正月、茶道の初釜や初寄せ、などなど人が集まる機会が多いですね。
年末から年始にこのような着物で過ごせたら気分も上がるでしょうね。
美しいキモノより
着物で皆さんと睦み合う時がまた来ることを願いながら、今年も着物コラムを綴っていきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
コナともこ
(*1)設え しつらえ
用意する、準備する、という意味で、茶道では「もてなしの心」同様に四季を大切に、相手のことを考える大事な要素となります。昨今では空間の演出などの意味に使われます。
おまけ
お正月あれこれ 日本の行事・暦より http://koyomigyouji.com/shougatsu.html
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。
カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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