カナダde着物
第12話 季節*春節
移民の国、カナダに住んでおりますと1年を通じて多くの行事やイベントを体験することができます。その中でも春節の旧正月は、日本人にとりましてどこか親しみがあるものではないでしょうか。それは、明治維新の頃まで日本人も太陰太陽暦のカレンダーを使っており、年中行事も旧暦(*1)に沿って行われていたからでしょう。二十四節気や七十二候(*2)などは、今でも私たちが日々生活する中で季節の言葉や時候の挨拶などで使われております。
現在まで引き継がれた日本の着物や文化は、旧暦と一緒に歩んできたと思われます。旧暦の特徴は正確な時間を刻むというよりも、自然界と人とのリズムを合わせ、特に月と共存することで生きる本質を見いだしたところでしょう。
春節に満月のエネルギーをいっぱい浴びて、元気に1年を過ごしたいですね。
「お出かけ用ワンピースのような小紋の着物」
前回、色無地着物の万能性をお伝えしましたが、今回は小紋(*3)の着物について紹介いたします。こちらも色無地着物同様に色々なシーンで大活躍する着物です。
イメージとしては、少しお洒落してお出かけする時のワンピースのようです。小紋とはひとつひとつの模様から由来してますが、柄が繰り返し染められていて、お気に入りの文様などで個性を出しやすい装いでもあります。帯との組み合わせ次第で用途が幅広くなるでしょう。
「小紋の優等生/江戸小紋」
色無地着物に家紋が付いたり、地紋の有無で格が上がるように、小紋着物でぐっと格を上げたい時にぴったりなのが、江戸小紋(*4)です。
小紋との違いは、同じ染でも型染めであるということです。これに家紋が付きますと準礼装になります。
その型の種類の豊富さと技術力の高さ、江戸時代に武士が裃(かみしも)として着用していた格の高い模様は、優等生でありながら、何と控えめでお育ちが良いのでしょう。笑
ご年配の方がさらっと江戸小紋を着こなす姿は、凛として品がありとても素敵です。訪問着のように華やかさはなくとも、芯の美しさを表現できる着物です。
春節におしゃれ紋をいれて色無地の振袖も可愛いですね。
旧暦(きゅうれき)(*1)現在でいう旧暦とは、ひとつ前に使われていた暦である。太陽暦と太陰暦を組み合わせた太陰太陽暦のことを指す。
二十四節気と七十二候(*2)二十四節気(にじゅうしせっき)は半月毎の季節の変化を示し、これをさらに約5日おきに分けて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候(しちじゅうにこう)。
*尚、もともと二十四節気は中国の気候を元に名づけられたもので、日本の気候と合わない名称や時期もある。その為、それらを補足するために二百十日などの「雑節」や和風月名(わふうつきめい)を使用している。
小紋(こもん)(*3)着物全体に同じ模様が繰り返し描かれている着物。紅型(びんがた)小紋や紬地に柄を小紋染めにしたものなど、個性派小紋は独特な色使いや柄行がおもしろい。更紗、縞模様の着物などは、通好み、粋な印象。
江戸小紋(えどこもん)(*4)色無地の感覚に近く、極めて細かい模様を型染したもの。柄が非常に細かいため、遠目には無地に見える。江戸小紋三役と呼ばれるものは、極型の鮫小紋、行儀小紋、角通し小紋。柄が細かいほど良いとされている。
***引用***
暮らしの歳時記 http://www.i-nekko.jp/
日本の暦 https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/index.html
きものまめちしきこうざ https://www.kanaiya.co.jp/mame/index.htm
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。通常でしたらお寺で学ぶ和の学校ですが、今年はオンラインで初めて試みることにしました。お家から是非ご参加下さい。
カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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