カナダde着物
第15話 季節*桜始開(さくらはじめてひらく)
春分が過ぎ、益々春めいて来ますと、美しい桜と共にやってくるのが季節性アレルギーでしょうか。季語にもなってしまいそうな季節の風物詩ですね。マスクが常識になった昨今、以前より堂々とマスクで花粉症対策ができるのが嬉しいです。
前回の色の話から続きまして、今回もデザインについて綴っております。
「日本文化と西洋文化の融合」
日本では、明治維新の頃から生活の中に西洋文化が取り込まれ、一般的に北米やUKの芸能や芸術を追いかけるように私たちは過ごしてまいりました。それらの文化の融合がうまくいく時もあれば、そうでない時もあったようです。
私事ですが、日本で顧客の室内デザインをしていた頃の話しです。
お客様の希望する某イギリスメーカーのファブリックや家具を取り揃えました。納品して1週間後に訪問した時には、すでにリビングの真ん中にはコタツがあり、家族皆が床に座り、ソファーは背もたれとなりテーブルのように物が置かれていました。
顧客が憧れたイギリス様式のリビングを維持することは、他の家族にとって1週間が限度であり、提案する側が「顧客の暮らし方」までリノベーションすることは難しいと感じた、ひとつの例でした。
また、輸入されたファブリックを日本の窓枠、壁紙や装飾品と合わせることも悩みの種でした。どこか「借りてきた感じ」になってしまうのです。
私は趣味で住宅のオープンハウスへよく出かけますが、同じ家でも誰が住むのかで、だいぶ家の表情が変わると思いませんか。
玄関に一歩入った時に、その家の生き様?のようなものを感じます。
日本やカナダで見かけます、和洋文化がうまく融合できたお宅やお店の例を上げますと、「自然や鳥をモチーフにした柄と民芸家具」、「北欧の家具と和紙」、「洋花と京焼や伊万里の磁器」などがあります。
自然は普遍的な美であり、人間は美を求め続け、地球の裏側から来たものと融合されたとき、私たちは新しいものを発見できるようです。
https://twitter.com/yu199676hon/status/1025629600095686658/photo/1
「世界は普遍的なモダン&シンプルへ」
「国により色の基準が違うのは、色がその地での風土や宗教や文化から生まれるからだ。」と前回のコラムで記しました。現代は流通の発展により、世界中どこにいてもあらゆるものが出に入るようになりました。豊かに物が溢れる一方で、色や柄が氾濫してしまったのかも知れません。
近年はその反省もあってか、普遍的で多様性の高いものが多く見られ、モダンでシンプルなデザインがどこの国でも見られます。
ユニクロやMUJIが世界展開されていることが、それを証明していますね。
「世界へ羽ばたく日本文化」
その他にもカリフォルニアロールの寿司のように、世界に出て行った文化が変貌を遂げ、また日本へ戻ってくることもありますね。
今、バンクーバーで流行っている、居酒屋やラーメン屋も北米風に変化しています。
世界を旅した息子や娘が地元に帰り、大きく成長したわが子に驚く、といった親の心境でしょうか。
「和洋折衷を生活の中で愉しむ」
私も以前から、北米の生活様式に日本の伝統を組み合わせる試みをしております。お勧めしますのは、「テーブルde茶道」です。季節を感じながら、ハイティーのようにテーブルの上で愉しめます。
コロナが終息しましたら、お友達を招いていかがでしょうか。
「カジュアル着物がこれからの期待の星?」
和洋折衷の挑戦をし続けている私たちですが、着物の世界でも同じようです。実用的な洋服や靴を着物に合わせ、上手に着こなす人たちが増えてきています。
特にぞうりや下駄は、慣れていないと歩くのが大変です。足を痛めないように開発されたものもありますが、和装でもブーツやヒールの靴を合わすなど、新しい装いが普通になっていくかも知れません。
あと、新しいものを取り入れる際に気をつけたいのが、「品を残すこと」ではないでしょうか。形式な着方から崩すことは簡単ですが、いい感じの清潔感と品を出すのにはテクニックが必要となります。
上級者のおしゃれさんたちに期待しております!
「カジュアル着物ブック 和洋ミックスコーデで楽しもう 単行本」
廣済堂出版、編集山口 さくら、イラスト 善養寺 ススム、ISBN: 4331517551
***引用***
暮らしの歳時記 http://www.i-nekko.jp/
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。通常でしたらお寺で学ぶ和の学校ですが、今年はオンラインで初めて試みることにしました。お家から是非ご参加下さい。
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持に為に使われている。
カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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