カナダde着物
第18話 季節*小満しょうまん
「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」から由来する小満の意味は、「この時期、全ての生きるものが成長し、草木が生い茂る。天地が満ちるのだ。」といった訳になるでしょうか。
また、「田んぼに水が張り、そこに映る月が満ちている。」とも捉えられますね。
日本の原風景が思い出されます。
「お蚕さまに感謝して、着物への敬意と愛おしさを想う」
着物のほとんどは、絹糸からできています。絹はご存じの通り、蚕が吐く糸から繭になり、繭から白いキラキラした一本の糸が取れます。その過程で、生きたまま繭を茹でなければならず、着物を一枚作るのに、2600個の繭が必要です。それは2600頭の命の糸なのです。
5月、孵化(ふか)した蚕が桑の葉を沢山食べて成長し、蚕がたてる食音は小雨のようだといわれます。
昔、養蚕(*1)は大きな収入源で、日本の経済の支えでした。年配の方が、蚕を「お蚕さま」と呼ぶのを聞いたことがありませんか。蚕は神様のように敬われてきたのでしょう。
繭から着物ができる過程を知りますと、一層、その命と恩恵に感謝をしたくなりますね。
美しい着物が誕生するまで|養蚕農家
養蚕(*1)着物好きの皆さまには是非知っていただきたい養蚕について。
http://www.i-nekko.jp/kurashi/2016-051810.html
「茶の湯の世界では風炉の時期となりました。」
緑が鮮やかな5月は、お茶室のしつらえがガラっと変わります。
初風炉です。(*2)
炉を囲んでいた冬から、火をお客様から遠ざけ風炉釜を置くようになります。お香も清々しい香木を使い、さわやかさを演出します。
先日、オンラインではありますが、茶道を修養する皆さまと一緒に「初風炉茶会」に参加いたしました。
季節が変わることで道具が変わり、そして私たちの心も切り替えられ、心地よいものだと感じます。
初風炉(*2)寒い冬には、お客様に近い炉(ろ)を使って暖をとり 大きな釜で湯を沸かしました。 5月に入り暖かい季節になると、なるべく火の気をお客様から 遠ざけるため冬の間使用した炉に蓋をして 風炉を壁付きの方へ置きます。この風炉の中にも小さな宇宙が広がります。 初夏・盛夏・晩秋にそれぞれ真・行・草と呼ばれる灰型に 形を変えて5月から10月に渡る季節の移り変わりを表現します。
***引用***
暮らしの歳時記 http://www.i-nekko.jp/
風炉について https://www.enshuryu.com
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。通常でしたらお寺で学ぶ和の学校ですが、今年はオンラインで初めて試みることにしました。お家から是非ご参加下さい。
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持に為に使われている。
カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
Facebook https://www.facebook.com/tomoko.kona.98
Instagram https://www.instagram.com/konatomoko/?hl