カナダの予防接種に関する諮問委員会(National Advisory Committee on Immunization:NACI)は6月1日に、2回目の接種で1回目の接種と異なるワクチンを打っても問題がないとの見解を示した。イギリス、スペイン、ドイツで行われた混合接種のデータを詳しく調べたという。
アストラゼネカ製ワクチンを1回目に接種した人は、2回目はアストラゼネカ製でもファイザー製やモデルナ製のmRNAワクチンでも構わないというものだったが、17日になって2回目はmRNAのファイザー製かモデルナ製ワクチンの接種の方が好ましいとの新たな勧告を出した。
極めてまれであるものの、接種後に血栓を発症するリスクがあるためと、アストラゼネカ製ワクチンの供給が安定していないためという。
欧州の一部の国では以前からアストラゼネカワクチンを1回目に接種した特定年齢層に対して、2回目をアストラゼネカ以外にするよう勧めていた。
スペインでは血栓症への懸念から60歳未満の人に対するアストラゼネカワクチンの接種を停止。それ以前に1回目として同ワクチン接種を受けていた60歳未満の人に対して、2回目にはファイザー製ワクチンの接種とすることを5月18日に承認した。
スペインの承認以前にも、同様の理由でドイツでは60歳、フランスでは55歳未満に2回目をアストラゼネカワクチン以外とすることをそれぞれ勧告している。
さらに1回目と2回目で異なるワクチンを接種することについて、同じワクチンを打った人よりも免疫効果が優れていたというスペインでの調査結果もある。
一方、ワクチンの混合接種については6月15日時点でアメリカの疾病対策予防センター(CDC)は反対の姿勢を示している。
アストラゼネカより軽かったファイザー副反応
フランスで1回目にアストラゼネカ製ワクチン、2回目にファイザー製ワクチンの接種を受けた女性に話を聞いた。
***
私は免疫性疾患があったので優先枠だったのですが、1回目を受けるとき、とても予約が混乱していてなかなか予約ができませんでした。
特にファイザーは医療関係者や高齢者に優先配布されていて、私のようにまだ50代前半は一般では受けられる状態ではなかったんですよ。なのでアストラゼネカしか予約がとれなかったんです。
最初に接種を受けたのが3月でした。副反応は倦怠感と頭痛、あと悪寒ですね。熱は出ませんでしたが微熱はあったかもしれません。翌日から具合が悪くなり、4日ほど仕事を休みました。
アストラゼネカは、ほかと違って2回目の接種までの期間を最低でも*14週間あけなくてはなりません。約3カ月です。ですので1回目が3月で2回目が6月になりました。
(*編集部注:カナダでは現在アストラゼネカワクチンの間隔は8週間)
一方、夫も早めに受けたいと希望していて、また睡眠時無呼吸症があるので、早めに接種を受けるようにする処方箋を医師からもらえました。彼は4月初めに1回目のファイザーをオンライン予約ですぐにとることができました。
さらに1回目を受けて3週間後にすぐに2回目も打つことができて、私よりも1回目は遅く打ったのに2回目は私よりも早かったです。夫にはほとんど副反応はありませんでした。
私の2回目接種ですが、前日は緊張からか夜眠れなくて数時間しか眠れませんでした。睡眠不足のせいか、前回、副反応があったので怖さもあってか、打ってから疲れて数時間寝てしまいました。でも起きたら元気でした。
さらにアストラゼネカのときは頭痛がひどかったのに、今回は頭痛なしです。食欲もあります。1回目はご飯も食べずに寝ました。
2回目を接種した日は疲れたので早めに休みました。バレエをしているのですが、2回目接種当日も、翌日もバレエに行きました。前回よりもずっと楽でした。
フランス政府の場合は、たしか私が1回目打ってからすぐにEU全体でアストラゼネカの血栓の問題が浮上して、EUでアストラゼネカを継続するかどうかが審議されました。その結果は継続になりました。
それでアストラゼネカ自体はまだ接種を行なっているのですが、血栓が若い人に多く発生していることから、若い人にはアストラゼネカを打たない方針となりました。
政府の方針が変わってからワクチンセンターから私にわざわざ電話があり、2回目の接種の延期と種類の変更を向こうから伝えられました。選択は特に与えられませんでしたが、もともとファイザーを希望していたのでファイザーと聞いてうれしかったです。
***
ブリティッシュ・コロンビア州で2回とも薬局でアストラゼネカワクチンの接種を受けた男性は「早く接種を受けられるワクチンがよかった」とバンクーバー新報の取材に語った。フレイザーヘルスの前に薬局から接種できると連絡があったという。
「私の場合は1回目のときも接種した部位が痛いぐらいで、特に副反応はなく、2回目についても発熱や頭痛はありませんでした。接種後1週間たっていますし、血栓の心配は消えたと思っています。1回目にアストラゼネカを受けた妻は、接種後、熱を出して寝込んだので、2回目はどちらを受けるか考えていたので、今回の勧告で決心がついたということです」
(取材 西川桂子)
合わせて読みたい