カナダde着物
第29話 季節*大寒~冬至
大雨や災害から始まりました今年の冬ですが、皆さまお元気にお過ごしでしょうか。
住みやすい環境を望んでいても、いつ降りかかるのか分からない自然災害や環境破壊に対して、私達はどう向き合えばよいでしょうか。年の終わりに出された宿題のように考えております。
仏教の教えの中に、「縁起」という相互依存の考え方があるそうです。
私達の環境は「いのち」であり、それを壊された時には、まず一番苦しんでいる人と原因を探し、数字や理論を持ってそれを取り除く。そして事業を起こす為の優先順位を決める。どこでも仲良く、平和に暮らすことを本質的に持ち、正しい知識と判断をし、行うことができる能力があるのが人間だと信じること。それが仏教的なアプローチなのだそうです。
私達が持っているはずの能力で、きっと良い環境を後世に残せるのだと信じたいものです。
「師走に見た祖母の着物姿」
私が子どもの頃、年の暮れの餅つきは、「ファミリー餅つきパーティー」とでも言いましょうか、コナ家の大イベントでありました。
親戚一同が集まり、大人たちは餅をつき、子どもたちは、じっと次の餅がつき上がるのを待ち構え、できたての餅を今度は醤油で食べようか、きな粉にまぶそうかとワクワクしたものです。
玄関の外まで香るもち米を蒸す匂いや餅をつく音は、今でもとても懐かしいです。
同時に記憶に残っているのが、臼の周りで腰を低くして動き回る割烹着姿の祖母です。昭和を生き抜いた女性は誰でもそうでしょうが、とても粘り強く逞しかった印象があります。
静岡空襲で家が焼かれた後に終戦となりましたが、静岡市街が焼け野原で何もなくなった時に、「は~、ごせっぽい」と言っていたそうです。これだけ焼いたら、もう爆弾を落とさないだろうから安心だと思ったでしょうか。
「ごせっぽい」とは、静岡弁で「せいせいする」という意味ですが、この一言に色々な想いが詰まっていたと想像できます。昭和の時代、戦争をまたぎ5人の子供たちを育てた上げた静岡の祖母は、生前、毎日着物姿でした。いつもテレビを観ながら笑っていましたが、和裁が得意で手元は常に動かしていました。
カナダには祖母の着物はありませんが、着物の袖を触った時の感触やお醤油のまじったような匂いが微かに記憶に残っています。着物は普段着の木綿の絣やウールだったでしょう。
この時期になると思い出す祖母の着物姿です。
皆さまにも思い出される年の暮れがありますか。
今年最後の「着物語り」となりました。お読みいただきまして、ありがとうございました。12か月間、季節折々の自然と着物について綴ってまいりました。
つたない文章で恐縮ですが、愉しんでいただけましたら幸いです。
来年2022年は、「壬寅(みずのえとら)」だそうで、その意味の由来は、厳しい冬を越えて、芽吹き始め、新しい成長の礎となるとあります。
コロナ禍が収束すれば、私達に新しい世界が開けることを願います。
皆さまにとりまして、新年が最高の年になりますようお祈り申し上げます。
よいお年をお迎えくださいませ。
コナともこ
*** 引用 ***
日本の行事・暦 http://koyomigyouji.com/index.html
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。和の学校オンラインサロン*無料*は、対面式が始まりましたので、不定期で開催することになりました。次回の開催日と内容につきましては、後日お知らせいたします。
その折には、是非ご参加くださいますよう宜しくお願い申し上げます。また皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。
カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。
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