ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバーからアルバータ州のバンフやカルガリーに抜ける際の最短ルートでもあり、年間の1日当たり交通量10,569台と、州で最も重要なハイウェイの一つでもある、コカハラ・ハイウェイ。
かつて「Highway Thru Hell(直訳で地獄を通るハイウェイ)」のドキュメンタリー番組にもなったハイウェイは、ホープから最高地点のコカハラパスまでは急こう配となっているほか、山岳地帯を通り、冬はふぶくことも多い危険な道としても知られている。
11月の豪雨ではこのコカハラ・ハイウェイをはじめ、メトロバンクーバーと州東部を結ぶ幹線道路が甚大な被害を受けたことで、物流に大きな影響が出ている。しかし、急ピッチで復旧が進み、コカハラ・ハイウェイはトラックと長距離バスを対象に12月20日に通行止めを解除した。
コカハラ・ハイウェイをはじめ、BC州のハイウェイの現状をリポートする。
クリスマス休暇に家族や親せきに会いに、メトロバンクーバー~オカナガンを車で移動する場合は、Ebus、Rider Express、Mountain Man Mike Bus Serviceの長距離バスも利用できる。
3号線は復旧するも、
小さな陥没や道路が変状している箇所多数
3号線のホープ~プリンストン間は、一般車の通行が再開しても細心の注意で運転が必要とみられている。
©The Vancouver Shinpo
ハイウェイ3号線を利用して、カムループスからバーナビーの自宅に12月上旬に戻って来たという男性に話を聞くことができた。
男性は豪雨発生時、社有車で州東部のクライアントを訪れていた。コカハラ・ハイウェイや3号線が通行止めになり、復旧がいつになるかも分からなかったため、カムループスの知人のところに車を置かせてもらって、飛行機で一旦帰宅した。
3号線が復旧したことや、仕事に車が必要なことから、12月9日にカムループスまで飛び、車で戻って来た。
コカハラがメリット~ホープ間が通行止めであったことから、カムループスからメリットまでコカハラ・ハイウェイで戻った後、ハイウェイ5Aでプリンストンへ、プリンストンから3号線でホープ、ホープから1号線で帰宅した。いつもならカムループスから自宅まで4時間程度のところ、迂回したことや交通規制があったことで約6時間かかったという。
メリットからホープまではエッセンシャルトラベル(必要不可欠の移動)のみとなっていて、道中、2カ所でチェックを行っていると標識があった。しかし、全ての車両を止めて、エッセンシャルトラベルか確認しているわけではなかった。
「1カ所目はランダムに車を止めて、チェックしているようでしたが、私は止められませんでした。社名が入ったピックアップトラックだったからかもしれません」と語った。「もう1カ所、チェックしていると標識が出ていたところは、誰もいませんでした。結局、止められずに戻ってくることができました」
一部区間は、片側交互通行となっていたため、対向車線の車両を通す間、10分ほど待つ必要があった。また走っているのは大型トラックが中心で、片側1車線で追い越し車線がないところも多く、前後をトラックに囲まれたまま数キロ走ることもあったという。
凍結防止剤を散布していたことや道路の泥汚れで、カムループスを出るときに新たに購入したウィンドウォッシャーのボトル1本をバーナビーに戻るまでに使い切った。「現在、このルートを走る人はウォッシャーを特に多めに用意しておくことを勧めます。足りないとすぐに前方視界不良になるので危険です」とウォッシャーの必要性を強く語った。
「小さな陥没や道路が変状している箇所もあり、いつもより運転に気を遣いました」
現在の道路状況
20日時点の道路状況。常に変わるのでDrive BCのウェブサイト(www.drivebc.ca)やTranBC(https://www.tranbc.ca/current-travel-advisories/)で確認要。通行止めが解除されているハイウェイも引き続き、損傷箇所の修理を行っている。
ハイウェイ 1号線 – アボツフォード~ホープ間
「エッセンシャル・トラベル命令」の対象ではないものの、物資の安全で効率的な動きを確保するためにも、フレイザーバレー地域のハイウェイ1号線を用いての不必要な移動は控える。
ハイウェイ 1 号線– ホープ~スペンシズ・ブリッジ間
ホープ~ブースロイド間(イエール、スパザム、ボストンバー経由)– 通行止め解除
–片側交互通行の箇所があり、通常より時間がかかる。通行止めとなる可能性あり。
ブースロイド~リトン間 – 通行止め
リトン~スペンシズ・ブリッジ間 – 通行止め
ハイウェイ 3号線 – ホープ~プリンストン間
通行止め解除 – 21日に一般車両に対する通行止めも解除された。
1車線の片側交互通行の箇所あり。
ハイウェイ 3号線のホープ~プリンストン間は急こう配、急カーブで 制限速度を落とす必要がある箇所もあるので要注意。
ハイウェイ 5号線 – コカハラ・ハイウェイ
ホープ~メリット間 – 通行止め解除
商用車(トラック)、長距離バスのみ通行可。
ハイウェイ 7号線
ホープからミッションのGlasgow AveとMurray Street の交差点まで。 – 通行止め解除
エッセンシャル・トラベル制限解除。
ハイウェイ 8号線
メリット~スペンシズ・ブリッジ間 – 通行止め
ハイウェイ 11号線
Hazelwood AvenueとClayburn Road の2.9 kmの区間 – 通行止め解除
商用車、乗用車、自治体の車両、緊急車両のみ通行止め解除。
1車線のみ。通常より時間がかかる。
物資の安全で効率的な動きを確保するためにも、ハイウェイ11号線を用いての不必要な移動は控える。
ハイウェイ 99 号線– ペンバートン~リルエット間
– 通行止め解除
ただしエッセンシャル・トラベルのみ。
重量 14,500kgまでのGVWライセンスのある車両が条件。
(取材 西川桂子)