犬を飼っている人の多くは、チョコレートは犬に危険と認識している。それでもチョコエッグなどが多数出回るイースターの時期になると、愛犬が誤食してしまうこともある。
イギリスの獣医の団体「The Voice of the Veterinary Profession」が850人の獣医にアンケートを取ったところ、6割以上がイースターの期間にチョコレート中毒を起こした犬を治療したと回答したという。
動物保護機関、BC SPCA*がイースターを前に犬のチョコレート中毒についてまとめた記事を発表しているので、その内容を紹介する。そのほか、アメリカン・ケンネル・クラブの情報も参考にした。
チョコレートによる中毒の症状
・興奮状態
・嘔吐
・下痢
・発熱
・筋肉の震え
・パンティング(息が荒くなる)
・低血圧
・けいれん
などがある。
ペットがチョコレートを食べたあと、このような症状を見せたときには、直ちに獣医の診察を受けるようにとBC SPCAではアドバイスしている。
また、チョコレートには、レーズン、クルミ、マカダミアナッツ、カフェインなどの犬にとっての有毒物質が含まれている可能性もある。
ペットの救急サービスを提供するVetsnowによると、症状が出るのは、誤食後4時間から24時間の間とのこと。ただし、症状が出ていなくても、直ちに治療が必要な場合もあるので注意が必要。
アメリカン・ケンネル・クラブは症状が出るまで72時間かかることもあるとしている。
タイプ別、チョコレートの危険度
犬にチョコレートが危険なのは、チョコレートに含まれるテオブロミンにより中毒を起こすため。埼玉県獣医師会は「犬はテオブロミンを排泄する能力が人に比べて弱いため、一度体の中にはいると排泄が遅く、高濃度が体内に残って中毒を起こしてしまいます」と説明する。
テオブロミンの量は、チョコレートに含まれるカカオの量によって異なる。
1オンスあたりに含まれるテオブロミン量(mg)は次のとおり。
- カカオ豆:300~1500 mg/oz.
- ココアパウダー:400~737 mg/oz.
- 無糖チョコレートチップ(製菓用): 390~450 mg/oz.
- ダークチョコレート(ビターチョコレート): 135~450 mg/oz.
- ミルクチョコレート:44~60 mg/oz.
- ホワイトチョコレート:0.25 mg/oz.
ダークチョコレートのように「苦い」もののほうが危険。
同じ量を食べても大型犬より小型犬のほうがリスク高
チョコレートは犬に危険だが、どれだけ食べると中毒を起こすかは、体重などにより異なる。たとえば体重10パウンド(4.54kg)の小型犬と50パウンド(22.68kg)の大型犬だと、同量を誤食しても小型犬のほうが重篤な症状が現れる。
Vetsnowのウェブサイトで犬の体重と食べたチョコレート製品とその分量により、危険度を調べることができる。
https://www.vets-now.com/dog-chocolate-toxicity-calculator/
アメリカン・ケンネル・クラブは「どれだけの量のチョコレートを食べたかを把握していることが、治療の際に重要」という。
チョコレートは犬だけでなく、猫にも危険。
参考
*BC SPCA The British Columbia Society for the Prevention of Cruelty to Animals (ブリティッシュ・コロンビア州動物虐待防止協会)
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