アレキサンダー・ストリートにある、バンクーバー日本語学校(以下、「VJLS」)。1906年に開校と、カナダの日本語学校では最も古い歴史を誇る。そのVJLSの校長、藤井清子さんに話を聞いた。2回に分けて紹介する。前編は教育目標やプログラム、行事などについて。
– まず、簡単に自己紹介をお願いします。
バンクーバー日本語学校(VJLS)の校長、藤井清子(ふじいきよこ)です。私が日本語教師になったのは、ずいぶん前のことなのですが、これまで日本、アメリカ、フランス、カナダといろいろな国で日本語を教えてきました。細く長く続けられたのは、この仕事が楽しいからだと思います。数年前に一人娘が巣立ち、現在バンクーバー市内に主人と二人で暮らしています。VJLSは、まだ2年目なのです。校長になる前は、本校の基礎科の教師でした。
– VJLSの教育目標、どのような生徒を育てたいかなど、教えてください。
日本とカナダとの懸け橋となる人材を育成することを目指しています。具体的には、カナダのことをきちんと説明できる日本語力を身に着けさせることが目標です。VJLSでは日本語だけでなく日本文化の習得についても力を入れています。日本人社会の中で、ルールを知らずに失礼なことをしてしまったり、恥をかいたりすることのないように、細かく意味を説明しながら文化や習慣がたくさん学べる場を提供しています。
– バンクーバー日本語学校のプログラムについても教えてください。どういったクラスがありますか?
K-G12のプログラムには、継承語として日本語を学ぶ普通科と、外国語として日本語を学ぶ基礎科の2種類があります。また高校生や大人になって初めて日本語を勉強する方のニーズに応え、土曜日昼間と平日夕方にクラスを開催しています。
– 教員について教えてください。どのような方が教えていらっしゃるのでしょう。トレーニングなどは行っていますか?
日本の教員免許の保持者か、日本語教師の資格のある方です。面接のときに、必ずデモレッスンをしていただいています。
トレーニングについては、専門家を招いてワークショップなども行っているのですが、私が一番効果的だと思っているのは、先生どうしのクラスの見学です。私のデモレッスンを先生方に見ていただくこともあります。そこでお互いにアイデアを出し合ったりもします。
– 新型コロナウイルス禍で日本語学校の運営も大変だと思います。現在の授業は対面でしょうか、それともオンラインですか?
K-G12(継承語としての普通科と外国語としての基礎科のクラス)は基本的には対面授業です。でも、遠くにお住まいで通学できない方のためにオンラインクラスや、教室からライブで授業を配信するハイブリッドクラスもあります。
コロナでオンライン授業に移行したことで、教師一同オンライン授業のやり方をマスターしました。コロナが収束しても、引き続き遠隔地の方に対応していきたいと考えています。大人向けクラスは対面授業に戻らず、オンライン授業を続行しています。カナダのほかの州や、アメリカから受講している生徒さんもいます。
– 学校行事についても教えてください。
たくさんあります。入学式、避難訓練、ハロウィン、お正月は餅つきと書初め、節分、ひな祭り、百人一首大会、運動会、学習発表会、卒業式…とさまざまな恒例行事があります。また、文集づくりや、お琴、日本舞踊、剣道の体験会も今年度実施しました。
– クラブ活動もあると聞きました。
中学、高校生の授業は2時間で、3時間目が選択で課外活動に参加できるようになっています。今年は書道とジブリのアニメから日本文化と歴史を学ぶ課外クラスがあります。どちらも人気があります。また、大人や低学年の生徒の書道クラブもあります。
後編へ続く。
(取材 西川桂子)
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