バンクーバー日本語学校で5月28日、学習発表会が行われた。新型コロナウイルス感染拡大で2020年、2021年は中止となったために、3年ぶりの開催。生徒や保護者ら合わせて約300人が集まり、1年間の学習の成果を発表する生徒の姿に、家族らが大きな拍手を送った。
オープニングを飾ったのは、基礎科クラス合同の「よさこい鳴子おどり」。約50人の生徒がそろいの法被(はっぴ)を身に着け、鳴子を鳴らしながら踊った。元気に踊る子どもたちの姿は、見る人を笑顔にした。
続いて低学年から順に舞台に立った。まずはキンダークラスによる「あいうえおの歌」と「ドレミの歌」。「がんばります」と声をそろえてあいさつをしたあと、「あいうえおの歌」を歌った。「ドレミの歌」では歌いながら、太鼓、鈴、タンバリン、カスタネットなど、自分たちが選んだ楽器を演奏した。
基礎科Bクラスは「おおきくなったら」のタイトルで、大きくなったら何になりたいかを一人ずつ発表した。「ユーチューバーになりたいです」や「ゲームをつくりたいです」と、生徒らが語る夢は時代も映し出していた。
オンラインで授業を行なっているクラスは、ビデオで出演した。基礎科Dは「一番のものクイズ」。生徒が出すヒントをビデオで映して、会場の人に回答を考えてもらうという参加型スタイルで、会場は大いに盛り上がった。
第一部の最後は職員と生徒会メンバーによるコーラス。パンデミックが始まって以来、大きな壁を乗り越えて学校を運営する必要があったとして、「ここに来るまでたくさんの人の支えがありました」と感謝した。そして「明るい未来を信じていきたい」という思いを込めて歌った。
会は学年が進むにつれ、より深い内容の発表となっていった。基礎科チャレンジの「ニュース」はあらかじめ準備した映像と、会場でのライブのハイブリッドで行われた。
「世界にほこる和紙」はユネスコの無形文化遺産に登録された和紙について、なぜ無形文化遺産に選ばれたかなどを学んだ上で、牛乳パックで和紙作りをしたという。その様子をスライドを用いて発表した。最後の感想では、水に浸した牛乳パックをちぎったのが楽しかったと語った。
中学2年生の「平和についてわたしたちにできること」は、広島に投下された原子力爆弾についての「たずねびと(朽木祥作)」がテーマ。小学5年生の綾が、自分と同じ名前の「アヤ」という少女が広島の原子爆弾で亡くなったと知り、原爆について調べることで、その恐ろしさや亡くなった人へ思いを寄せるという話。
クラスでも原爆の恐ろしさについて学習して、さらに戦争のない平和な世界にするために自分たちに何ができるかを話し合って発表した。子どもたちの「ほかの人の考えや文化、自分と違う考えや文化を受け入れることが大切」という意見を、会場に集まった人々はうなずきながら聞き入っていた。
日本語だけでなく、日本文化の習得にも力を入れているというバンクーバー日本語学校。3月に百人一首大会を行ったこともあり、小学6年生と高校3年生と2学年が百人一首に関連して発表を行った。
印象深かったのは、キンダーなどの小さい子どもたちはもちろん、ビデオに登場する生徒までもが、「気を付け」「礼」をきちんと行っていたこと。日本人社会のルールや習慣も指導していることがよく分かった。
3歳の頃からバンクーバー日本語学校で学習しているという生徒会長のジワ狩夢(カリム)さんは、「コロナが落ち着いてきて、毎年楽しみだった発表会をやっと開催することができうれしい。これまで以上に思い出深いものになった」と喜んだ。
藤井清子校長は「授業が週1回の日本語学校で、生徒と教師が一丸となって一生懸命練習してきた成果を発揮することができた」と笑顔で語った。
(取材 西川桂子)
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