カナダde着物
第36話 *夏に最適なしじら織*
今月の着物コラムは、帰省しております静岡からお届けいたします。
6月末に成田空港に着くや否や、日本列島は梅雨明けになりまして、蒸し暑い毎日を過ごしております。
昨年はカナダでも猛暑がありましたので、地球上のどこにいてもこの異常な暑さと共に生活をしなくてはならないようです。
連日の天気予報と同時に伝えられるニュースは、ロシアのウクライナ侵攻のこと、そして突然の元首相の訃報が一日中どこかで流れています。
仏教に「無常」という言葉があります。
「私たちのいる世界は常では無く、自分の心の中も常では無い。そんな私たちだけれども、どうにかして今ここに愛が燈るようにしたい。」と私は解釈しています。
娘の名前には「Light up in the world 世界中に燈火を」(*1)という意味が含まれています。この世界が「無情」でないことを切に願います。
「月がとっても青いから...」と口ずさみながら七夕まつりの準備をする母は、以前より着物を着ることが少なくなりました。夏は特にそうですが、この猛暑の中での着物は高齢の体にはきついようです。
私の里帰りの楽しみの中に「着物でお出掛け」があるのですが、夏日の昼間を避け、気温が下がる夕方から夜に日本料理店(*2)へ行くことにしました。
静岡市の繁華街の隅にある小さいお店です。雰囲気があり、京都のたん熊で修行した店主の料理は手を掛けた素晴らしい品々でした。
「着物で来てくださる方は少ないので嬉しいです。」と言ってくださり、同席した着物姿の姪っ子は「インスタ映えする!」と喜んでくれました。
カナダ在住の写真家Norikoさんから七夕の写真が送られてきました。
「夏の着物、しじら織」
姪っ子に着せた今流行りのターコイズブルーの浴衣ですが、手触りがゴワっとしたしじら織(*3)で、単衣の着物としても使えます。
麻なので、座った後のシワを誤魔化せますし、綿のようにべたっと生地が貼りつく感触も少ないですね。
夏の着物に加えてみてはいかがですか。
世界に燈火を(*1)
仏教やキリスト教の他に様々な宗教の経典にも出てくる言葉である。他にも「燈明」、「一隅を照らす人」などもある。
静岡の日本料理店 くりた(*2)
店主は静岡県掛川市出身で、京都の老舗たん熊で京料理の真髄を学んだ。
地元に戻り店を構えるなら静岡市でと2011年出店。静岡市街地のオアシス、常盤公園脇のマンション1Fにひっそりと佇む、正に大人の隠れ家的名店。 暖簾をくぐり、趣深い石畳みを進むと、6名迄対応可能な個室を横目に、白木のカウンターが美しい店内へ。店主がもてなせる範疇に留められる様、カウンターは6席のみ。完全予約制となっている。
しじら織(*3)
シボという独特の凹凸で、縦糸と横糸の本数と組み合わせによる張力差により生み出されています。 張力差を計算して柄や模様を整えることから、卓越した技術と経験を要しますが、シボがあることで、肌触りがよく、軽くて着やすくなり、汗をかいても肌に張りつかないため、特に夏のクールビズ衣料として重宝されています。
引用
日本の行事・暦:koyomigyouji.com/index.html
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。和の学校オンラインサロン*無料*は、対面式が始まりましたので、不定期で開催することになりました。次回の開催日と内容につきましては、後日お知らせいたします。
その折には、是非ご参加くださいますよう宜しくお願い申し上げます。また皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。
カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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