日系女性企業家協会25周年を迎えて

JWBA懇親会、2022年7月。写真提供:日系女性企業家協会(JWBA)
JWBA懇親会、2022年7月。写真提供:日系女性企業家協会(JWBA)

 日系女性企業家協会(Japanese Women’s Business Association: JWBA)が設立されたのは1997年。当初は、起業した女性が助け合うための団体として活動していたが、時と共にビジネスが変わり、現在では「起業」という枠にとらわれず、バンクーバーでビジネスを展開する女性が集い、協力する「企業家」団体として活動している。

 同協会初代会長高木月子氏は、「日系女性企業の会は、一企業家として、苦難の時は相互の助けあいで乗り越え、成功の時は喜びを分かち合い、励まし合う、大切な存在意義のある楽しい会です」と紹介する。

 バンクーバーには現在「ビジネス」でつながっている団体が10ある。そのうち会員が女性だけの団体はJWBAのみ。

 発足に尽力した元会長津田佐江子氏は当時のことをこう振り返る。きっかけは、1996年秋、当時の在バンクーバー日本国総領事館 野坂康夫総領事の千代美夫人に公邸に呼ばれた時のこと。「女性企業家の会創設の必要性について、『当地には沢山の女性企業家がいるのに協会がないのですね。同じ境遇の人たちとの交流を通じて、生じる問題の解決などお互いを高め合う意味においても会を創ったら』と提案頂きました」

 津田氏は、かねてから同じ企画を持っており、すでに2人ほどに声をかけていたこともあり、「直ちに賛同して、夫人からメンバーの人選の全てを任され行動を開始し名簿の作成にとりかかりました」と振り返った。1997年1月、千代美夫人がメンバー全員を公邸に招待し日系女性企業家協会の実質的な発足となった。

 以来25年、日系社会を取り巻く状況も、女性の社会進出も、大きく変化した。それでも、女性だけのビジネス団体が存在する意義は大きいと自負する。

 高木氏は「直接または間接的に自分たちの経験をもとに、企業を立ち上げたい人たち、自分の将来の夢、課題に挑戦している方々の参考にさせていただいていると自負しております」と語る。

 黒住由紀会長は、「JWBA設立当初と違って、今ではカナダで女性が事業を立ち上げ、継続するにあたり、ハンディキャップは感じられません。とは言え、経営者は成功していても、経済、環境、競争、人事、といった挑戦に常に立ち向かっています」と言う。そんなとき、お互いの経験、知識をシェアしながら、オープンに相談できるのはJWBAならではと語る。

 「誰もが過去に厳しい時期を経ていて、でも、美味しいものを食べて、大笑いするうち、どうにかなるわ、と明るくチャレンジに立ち向かうエネルギーをもらえるのです。全員が心を開いて会話ができ、暖かい雰囲気を継続できるのは、やはり女性だから」と、女性ならではの楽しい雰囲気がビジネスにもいい影響を与えている。

 そんなJWBAが25周年を迎えた今年、新たに「名誉会員」を設けた。「正規の会員ではないが、当会の目的に沿って、日系女性企業家のビジネスの発展、親睦に対して寄与し、かつ、地元の社会へ貢献のある方」が定義。初代名誉会員は、在バンクーバー日本国総領事館の多田雅代首席領事。日系コミュニティの枠を超えた幅広いネットワークを構築し、多面的に団体・人の交流を援助し、常に前向きにプロジェクトに取り組む姿に、「多くを学びました」という。「交流させていただくうちに、真摯なお人柄にも触れさせていただき」、全会一致で決まった。

 黒住会長は、「これからはさらに多くの事を学ぶため、幅広い分野からゲストの方に来ていただき、学ぶ機会を共有し、会員間の世代・業種の違いを上手く利用して、ビジネスのアイデアに繋げられれば素晴らしいと考えています」。

 10月13日には25周年を記念して講演会も予定している。高木初代会長も、黒住会長も、「地元コミュニティへの貢献もこれまで通り継続していきたい」と初心を忘れず、次の25年に続くよう努力していくと会の未来に目を向けた。

日系女性企業家協会(Japanese Women’s Business Association)

1997年設立、会員数・現在22名
会長・黒住由紀
ウェブサイト:http://jwba.ca/

日系女性企業家協会(JWBA)秋の講演会

日時:10月13日(木)、6:00pm開場、6:30pm開演
会場:リステルホテル(1300 Robson Street, Vancouver)
参加費:無料
申し込み:メール ikigaivancouver@gmail.com
イベントブライト www.eventbrite.ca/e/jwba-tickets-401057843807

合わせて読みたい関連記事