朝日レガシーゲーム、今年も開催

朝日レガシーゲーム参加選手全員で。2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。撮影:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association
朝日レガシーゲーム参加選手全員で。2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association

 朝日ベースボールアソシエーション主催の「朝日レガシーゲーム」が9月5日、バンクーバー市ナナイモパークで開催された。

 前日の雨もすっかり上がり、爽やかな青空が広がったレイバーデー。この日は、Asahi Bantam、Asahi PeeWee、Asahi Mosquitoと年齢別に試合が行われ、Asahiのユニフォームに身を包んだ子どもたちが白球を追いかけた。

 その最後に行われるのが「朝日レガシーゲーム」。戦前にバンクーバーで人気を博した日系人野球チーム「バンクーバー朝日」に敬意を表して毎年9月に開催されている現代版バンクーバー朝日選手による親善試合。

 今年も赤と黒のユニフォームに分かれ、真剣勝負が行われた。レガシーゲームに出場する選手たちは2023年3月に予定されている「ジャパンツアー」に参加する選手たち。来年のツアーに向けた本格的な野球シーズンがここから始まる。

2023年ジャパンツアーに向けて

Sota Nagatomo選手、この後ヘッドから塁へ!! 2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association
Sota Nagatomo選手、この後ヘッドスライディング!! 2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association

 アソシエーションのジョン・ウォン会長は、「来年こそジャパンツアーを実現したい」と語った。新型コロナウイルス感染拡大で2021年ツアーは中止。2022年に繰り越す形で予定していたが、今年もオミクロン株大流行の影響を受け中止せざるを得なかった。

 ジャパンツアーは2年に一度実施。2021年が中止になったことを踏まえ、23年はいつもより多い21選手でツアーを予定している。その中には2021年に行けなかった選手も含まれる。ウォン会長によると2チームを編成する予定という。全員ではないが「21年に行けなかった選手も23年ツアーに参加できるようにした」と語る。

 ジャパンツアーは選手たちにとって野球だけでなく日本文化や習慣に触れる貴重な機会。そんな機会を新型コロナという災害で完全に失ってしまうのは残念。「今回いつもよりチームが少し大きくなるのはそのため」と説明した。

 チーム編成はまだ決まっていない。「年齢に関係なくチームを作るか、少し年齢が上の選手でチームを作って対戦相手を少し上のチームにするかなど検討中です」

 日程もまだ調整中だが、来年こそはと期待している。現在は、練習するかたわら、機会があればファンドレイジングなどしてツアー資金を集めている。

 10月11日から日本の水際対策が大幅に緩和された。このままなら来年のツアーは実現する可能性が高い。これまでは新型コロナや水際対策が不確定な状況もあり、ファンドレイジングも思いっきりできなかったという。ようやく来年を見据えた準備ができるようになる。

 ウォン会長は「できれば広島まで足を延ばせれば」と話すが、日程的にも、予算的にも厳しいのが現状。それでも、いつか朝日の野球を楽しみしているバンクーバー朝日元選手上西ケイさんの地元まで選手と一緒に行きたいと願っている。

戦前の朝日を知るトムソンさんも観戦

 毎年、家族やファンが楽しみにしているレガシーゲーム。今年はグレース・英子・トムソンさんが朝日の野球を観戦していた。

 選手たちが白球を追いかける姿を見ながら「当時は朝日のことは知らなかったけど、お父さんに連れられて朝日の野球を見に行っていたんです」と懐かしそうに話す。

 現在の日系文化センター・博物館のキュレーターだった時代にバンクーバー朝日の展示会を開いた実績を持つトムソンさんは、野球だけでなく日系の歴史の一ページとして朝日は重要な役割を持つという。

 差別と闘いながら野球での戦いではフェアプレーでバンクーバー社会に受け入れられた功績は野球以上のものを日系社会に残したと語った。

 そしてフェアプレーの意思を引き継ぐ現在の朝日の野球に目を細めていた。

朝日ベースボールアソシエーション

 2016年に発足。当時の名称はカナディアン日系ユースベースボールクラブ。2015年に最初のジャパンツアーを実施し、これを機に2016年に創設した。現在は196人が選手として登録している。

朝日チーム・ジャパンツアー

 2015年を第1回として、2年に一度、同アソシエーションでプレーする選手から選抜チームを結成し日本に野球遠征している。2021年は新型コロナ感染拡大の影響で中止に。2023年に第4回遠征が実施される予定。2017、2019年には、横浜、静岡、滋賀、奈良などで親善試合を行なっている。

朝日ベースボールアソシエーションウェブサイト: https://www.asahibaseball.com/

黒ユニフォームチームのMarkus Fong投手。¥2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association
黒ユニフォームチームのMarkus Fong投手。2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association
今年も多くのファンが観戦。2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association
今年も多くのファンが観戦。2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association
始球式は在バンクーバー日本国総領事館の今村香代領事。2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association
始球式は在バンクーバー日本国総領事館の今村香代領事。2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association
国会斉唱はTamika Robertsさん(左)。隣りはJohn Wong会長。2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association
国会斉唱はTamika Robertsさん(左)。隣りはJohn Wong会長。2022年9月5日、バンクーバー市ナナイモパーク。写真:Noriko Tsuchiya/The Asahi Baseball Association

(取材 三島直美)

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