ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー市の日系文化センター・博物館で3月11日、ジャパンボウル・メトロバンクーバー大会が開催された。ジャパンボウルは日本語を学ぶ高校生たちが日本語や日本文化についての知識を競いあうクイズ大会で、今年で6回目。
日本式のオープニングからはじまった予選ラウンド
開会式はシンガーソングライターPico Masakiさんの琴演奏によるオープニングセレモニーとラジオ体操で幕を開けた。
今回のジャパンボウルには14校から、2~3人で構成された27チームが参加。約80人の高校生が会場に集まった。予選ラウンドでは全40問の出題があり、決勝戦に上がる3チームの選考が行われた。休憩時間には出題された問題や今後の問題についてにぎやかに議論し合う生徒たちの様子に、参加者の真剣度が垣間見られた。
出題は例年の地理、環境、文化や礼儀作法、時事問題に加え、毎年異なるスペシャルトピックが事前に知らされる。今年のスペシャルトピックは500年~1600年の歴史、環境問題やグリーンテクノロジー、現代文学、日本の漫画など。漫画についての問題は、世界的に知られているものからマニアックなものまでさまざま。幅広い知識問題に対し、生徒たちは一喜一憂しながら日本語(ひらがな、カタカナ、漢字)、英語と指定される言語を使って集中した様子で回答していた。
午前の問題が終了するとホッと一息。JETプログラムで日本での滞在経験があるというStephanie Mathuraさんによる弓道のパフォーマンスが披露された。日本の伝統的なスポーツである剣道や柔道に比べてあまり知られていない弓道を、実際に学生たちに素引きを体験してもらいながらその魅力を紹介した。
参加者全員でよさこいにチャレンジ
ランチ休憩をはさんだ午後からは、「APPARE Yosakoi Vancouver」がよさこいの演舞を披露したのち、よさこいの講習会が開かれ、全員でチャレンジ。生徒や教師、実行委員も参加して、会場が一体となってよさこいの踊りを楽しんだ。
決勝ラウンド
3チームが進出した決勝戦では会場の前方に回答者席が設けられ、全20問の決勝戦が行われた。早押しで回答権を獲得する問題では、日本の最新の時事問題や流行を含む難易度の高い出題にもかかわらず、次々にボタンを押して発言し、接戦となった。
見事優勝したチーム「Katsudon」のメンバーの中には、2年連続でジャパンボウルに参加した生徒も。昨年の大会について、「もっと挑戦的な問題が多かったと思うし、決勝ラウンドの問題の中には誰も正解できないようなものもあった。だから、今年はより多くの問題に正解できるようになったと思う。それでも大変だった」と語った。大会に向けてチームで半月ほど勉強したという。また、「まさか上位に食い込めるとは思っていなかった」と口々に話し、笑顔を見せた。
続いてあいさつした在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事は、ジャパンボウルを運営しているJETプログラム同窓会BC・ユーコン支部に感謝の言葉を述べた。参加者のクイズに対する情熱や日本への愛にも敬意を表し、日本とカナダの関係を強化し、すばらしい未来に導く若い力へ期待した。
JETプログラム同窓会BC・ユーコン支部でボランティアとしてジャパンボウルの運営に参加したBronwyn Oshustさんは技術チームとしてコンピューターのセットアップや音源を担当したという。今回のジャパンボウルについて、「たくさんの人や学生が来てくれてうれしかった。彼らが楽しんでいるのを見て私も楽しむことができた」と話し、また「JETのメンバーにも会えるし、コミュニティに恩返しができるいい機会でもある」とにこやかに語った。
最後に2023年度のジャパンボウルは日本の伝統的な慣習「一本締め」で幕を閉じた。
2023年ジャパンボウル・メトロバンクーバー大会結果
優勝 「Katsudon」Centennial Secondary school(コキットラム市)
準優勝 「4-ever」Richmond Secondary school(リッチモンド市)
3位 「大吉」R.A. McMath Secondary school(リッチモンド市)
ジャパンボウル
初めて開催されたのはアメリカ・ワシントンDC。高校生を対象としたローカル大会として1992年に始まった。その後世界各地に広がり、現在はカナダをはじめ、ブルガリア、デンマーク、フランス、イタリアなど10カ国以上で開催されている。出題範囲は言語にとどまらず、日本の文化、社会、歴史、日常生活、時事問題など。高校生たちのより高いレベルでの学業達成と、実社会でのコミュニケーション力や文化的な知識を身につけることを目的としている。BC州での大会は毎年、JETプログラム同窓会BC・ユーコン支部(JETAABC)によって運営されている。
JETプログラム同窓会
JETプログラム(日本との交流・教育プログラム)の参加者が帰国後に各国で発足させた同窓会組織(JETAA)。現在は世界17カ国、52の支部があり会員は6万人以上。JETAABCは、JETAAのブリティッシュ・コロンビア(BC)・ユーコン支部。JETAABC – JET Alumni Association of British Columbia (JETAABC)
(取材・写真 池田茜音)
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