「学校の垣根を越え、日本語のアウトプットの場として」JALTA第24回お話発表会が開催される

発表会終了後、全員で記念撮影。Photo by Japan Canada Today
発表会終了後、全員で記念撮影。Photo by Japan Canada Today

 JALTA日本語教育振興会による第24回お話発表会が2月11日、バンクーバー日本語学校並びに日系人会館ホールで行われた。

 「この発表会は、学校の垣根を越え、生徒たちが日本語を学ぶ仲間として、ともにアウトプットを行う場です」とJALTA会長ベイリー智子さん。そのため、順位もつけないし、生徒たちの所属する学校も明記しないという。

あいさつする在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事。Photo by Japan Canada Today
あいさつする在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事。Photo by Japan Canada Today

 在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事は、「皆さんは今日のために、本当にたくさん準備や練習をしてきたと思います。すばらしいと思います。今日は落ち着いて、立派な発表をなさってください」と、あいさつで生徒たちに語りかけた。

 発表は、小学科、基礎科、中高等科のカテゴリーに分かれて行われた。

 小学科でペットをテーマに話したのは、アトキンソン萌葦さんとスコットモンクリーフ敬美さん。それぞれ、飼っている犬、猫について、ペットの可愛らしさ、飼うことの大変さなどをいきいきと話した。

猫のベイリーについて話したスコットモンクリーフ敬美さん。Photo by Japan Canada Today
猫のベイリーについて話したスコットモンクリーフ敬美さん。Photo by Japan Canada Today

 家族のふるさとである海辺の村について話したのは小川真理枝さん。浜辺で見つけた貝や石、ガラスなどの描写に繊細な感性を見せた。

 生まれつき難聴である有賀夏織さんは、「音のない世界と、ある世界を行き来できる」ため、たくさんの友達を得たことなどポジティブな面をユーモアを交えて語り、世界にひとつだけの自分の耳を誇りに思っているという言葉で締めくくった。

 基礎科では日本や日本語をテーマにした発表が目立った。メーガン・ハインズさんは、アニメや漫画が好きで日本語を学んでいると言い、いつか家族で日本に行き、家族のために通訳をしたいという夢を披露した。

ピアノへの情熱を話すシェン・ブランドンさん。Photo by Japan Canada Today
ピアノへの情熱を話すシェン・ブランドンさん。Photo by Japan Canada Today

 「ピアノに触れた瞬間、僕は絶対に弾けるようになりたいと思いました」という出だしが印象的だったのはシェン・ブランドンさん。ピアノから学んだことや両親のサポートについて、なめらかな日本語で話した。

 中高等科の発表は、内容のレベルの高さはもちろん、話し方も落ち着いて堂々としたもの。斉藤慎さんのテーマは「私と演劇」。演劇部の活動について、「演技で大切なのは恥を捨てること」と会場の笑いを誘いつつ、その楽しさや、やりがいについて語った。

 昨年、今年と出席した丸山総領事は「子どもたちが普段の生活や取り組んでいることについて日本語で一生懸命話す、そのひたむきな姿に心を打たれました。私たちの仕事にも非常に重要な『言葉』、その大切さに思いを馳せる貴重な機会になったと思います」と述べた。

 閉会に際してベイリー会長は、「きれいな花を支えるのは根。皆さんも日本語学校で少しずつがんばって花を支える丈夫な根っこを広げてください」とあいさつした。

 日加トゥデイのインタビューには「このお話発表会では、生徒たちに普段の授業とは違うかたちで日本語を学んでもらいたいと思っています。開催にあたっては各学校の先生はボランティアで準備にも時間がかかるのですが、その甲斐あって今年も個性あふれる発表を見ることができました」と笑顔で話した。

参加生徒と「お話」タイトル

小学科

  • 「わたしのペット」アトキンソン萌葦(Mei Atkinson)
  • 「大好きな妹たち」五来穂香(Honoka Gorai)
  • 「ぼくのゆめ」グリーンフィールド・アストン(Aston Greenfield)
  • 「ぼくのすきなスポーツ」高橋春樹(Haruki Takahashi)
  • 「わたしのねこ」スコットモンクリーフ敬美(Kiyomi Scott-Moncrieff)
  • 「サッカー」山田真(Ataru Yamada)
  • 「日本の海辺で」小川真理枝(Marie Ogawa)
  • 「私と耳」有賀夏織(Kaori Ariga)
  • 「平和な日本」森永和馬(Kazuma Morinaga)

基礎科

  • 「日本旅行」ブラックモア・ヘンリー(Henry Blackmore)
  • 「日本語との出会い」グエン・マーカス(Marcus Nguyen)
  • 「きょうえいについて」藤本エミリー梅子(Emily Umeko Fujimoto)
  • 「きょねんのなつ」ヒックス義文(Yoshifumi Hicks)
  • 「ピアノ」シェン・ブランドン(Brandon Shen)
  • 「日本語の勉強」チュン・エルフィー(Alfie Chun)
  • 「私が日本語を勉強する理由」メーガン・ハインズ(Meaghan Hines)

中高等科

  • 「おせちのひみつ」星聖楽(Kiyora Hoshi)
  • 「私と演劇」斉藤慎(Makoto Saito)
発表の後に行われた、劇団「座・だいこん」の舞台。演目「かんがえること」は、詩人、工藤直子さんの作品から。Photo by Japan Canada Today
発表の後に行われた、劇団「座・だいこん」の舞台。演目「かんがえること」は、詩人、工藤直子さんの作品から。Photo by Japan Canada Today

(取材 宗圓由佳)

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