在外選挙制度とは、日本国外に在住している日本国籍者が外国にいながら国政選挙・国民投票・国民審査に参加できる制度。この制度のもとで投票するには、在外選挙人名簿に登録して在外選挙人証を手に入れる必要がある。
国民審査(最高裁判官国民審査)は衆議院議員総選挙と同時に行われる制度。最高裁判所の裁判官の適格性を国民が審査する。令和5(2023)年2月17日から最高裁判官国民審査法の一部を改正する法律が施行され、日本国外に居住している国民も最高裁判官国民審査の在外投票ができるようになった。
在外選挙人名簿への登録について、バンクーバー在住者を例にまとめた。その他の在外公館でも同様。問い合わせは最寄りの在外公館へ。
バンクーバー総領事館で在外選挙人名簿に登録できる人の条件
- 満18歳以上で日本国籍を有している人
- 在バンクーバー日本国総領事館在外選挙管轄地域(ブリティッシュ・コロンビア州・ユーコン準州)に3カ月以上居住している人
- 在外選挙人名簿に未登録の人
注)
- BC州での在住期間が3カ月未満でも申請可能。ただし、在住3カ月経過後に住所の再確認を行ったのち、登録申請先の国内選挙管理委員会あてに送付される。
- 在外選挙人登録をするには日本で転出届を行う必要がある。例えば学生ビザでカナダに滞在中で日本での転出届未提出の場合は、国内の選挙人名簿に登録されたままとなるため在外選挙人名簿への登録はできない。
- 日本で転出届を行う時に在外選挙人登録も可能となった。詳しくは転出届出先の市区町村へ問い合わせを。
- 登録申請先は基本的に日本国内の最終住所地。ただし、1994年4月30日以前に日本を出国した人でその後日本国内で転入届出をしたことがない人、外国で生まれ一度も日本国内で転入届出をしたことがない人は、本籍地の選挙管理委員会への登録となる。
- 在留届を未提出の場合も登録時に在留届の提出をすることで登録申請は可能。在留届は在外公館窓口、もしくはインターネットでも登録可能。https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
申請手続きの際に必要な書類
登録申請者本人による申請の場合:
- 日本国パスポート
- 在外選挙人名簿登録申請書(総領事館に備え付け用紙あり)
- 総領事館に在留届提出後3カ月未満の場合は、バンクーバー総領事館の選挙管轄区域内に居住していることを確認できる書類(運転免許証、賃貸契約書、公共料金の請求書など)。在留届提出後3カ月が経過している場合は不要。
- PRカードやその他のカナダ滞在許可証
在留届に登録のある同居家族による代理申請の場合:
- 登録申請者本人の日本国パスポート
- 登録申請者本人のPRカードやその他のカナダ滞在許可証
- 登録申請者本人に代わって登録申請をおこなう人自身の日本国パスポート
- 在外選挙人名簿登録申請書(事前に本人の申請者署名が必要)
- 同居家族による申請申出書
- 総領事館の選挙管轄区域内に居住していることを確認できる書類。ただし、総領事館に在留届を提出後3カ月が経過している場合は不要。
在外選挙人名簿登録申請書・同居家族による申請申出書の入手は、総領事館のウェブサイトからダウンロード、または返信用封筒と切手を同封の上、郵送でも請求可。これらの書類には登録申請者本人の署名が必要となるため、総領事館窓口で記入して提出することはできないので注意が必要。
手続きの流れ
登録後、各市区町村選挙管理委員会(最終住所地または本籍地の選挙管理委員会)より在外選挙人証が届く。受け取りはバンクーバー総領事館窓口か、登録申請時に手続をすると領事館から自宅の住所または緊急連絡先(在留届に記載されている緊急連絡先の住所)あてへの郵送を選択できる。
在外選挙人証登録の際の注意点
- 郵送やインターネットでの在外選挙人登録申請はできない。総領事館の窓口での申請または、領事出張サービスでの申請のみ。
- 通常、選挙人証は約2カ月で届く。そのため選挙の直前に申請しても間に合わないので、国外で日本の選挙に参加したい場合は事前に申請を済ませ在外選挙人証の交付を受けておく。
在外選挙人証の住所変更・氏名変更について
- 在外選挙人証に記載されている住所や住所以外の送付先を変更した場合は、できるだけ早い機会に在外選挙人証記載事項の変更手続を行う。
- 婚姻などにより氏名を変更した場合もできるだけ早い機会に在外選挙人証記載事項の変更手続を行う。この場合、あらかじめ管轄の在外公館に婚姻届を提出しておくとともに、投票時の本人確認に備えて新規発給の手続を行っておく。
在外選挙人証の記載事項(住所・氏名)変更に必要な書類
- 在外選挙人証(原本)
- 在外選挙人証記載事項変更届出書
変更届は、在外公館に郵送するか、直接窓口に提出する。書類はウェブサイトからダウンロードするか、在外公館でも入手できる。
衆議院小選挙区の区割り改定に伴う、在外選挙人証再交付申請について
衆議院小選挙区間の格差を2倍未満に是正する関連法令の改正により、衆議院小選挙区の区割りが改定された。
新しい小選挙区の区割りは、2022(令和4)年12月28日以降に実施される衆議院総選挙から適用される。対象となっているのは東京を含む25都道府県。そのため、住所によっては、在外選挙人名簿に登録している選挙区が変更になる可能性がある。今回、区割りの変更が実施される都道府県で在外選挙人登録している人は、在外選挙人証に記載されている日本の住所が対象となっているか要確認。
もし、選挙区が変わる場合は、在外選挙人証の再交付申請をすることを総務省は勧めている。 詳しくは「衆議院小選挙区の区割り改定に伴う、在外選挙人証再交付申請について」を参照。
申請・変更届書類のダウンロード先以下の外務省ページから書類はダウンロードできる。https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/shinseisyo.html
在外選挙に関する詳細は外務省:在外選挙を参照。https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/index.html
(取材 編集部)
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