第43回Vancouver International Film Festival(VIFF)が9月26日から10月6日まで開催される。1982年に発足した映画祭は今年1月からメイン会場VIFF Centreを改装。8月28日には改装オープンする内見と映画祭の見どころが、VIFFエクゼキュティブ・ディレクターKyle Fostner氏より発表された。
映画館に入るとまずシートが大幅に改善されたのが目に入る。さらに約10メートルのスクリーンに新4Kレーザーのプロジェクター、53体のスピーカーによるドルビーアトモスのサウンドシステムが加わり、画質はもちろん360°の音響に安定感を感じる。今年は4800本の応募作品の中から選ばれたプレミア70本を含む長編作150本と、ショート作品81本が、新しい映画館を含む7カ所で上映される。
2024年VIFFハイライト
オープニングはカナダのJeff Lee PetryとNathan Drillot両監督による「Ari’s Theme」。ブリティッシュ・コロンビア州に住む脊髄筋萎縮症を背負った1人の作曲家が、自分の存在を残そうと音楽を作る姿を映すドキュメンタリー。バンクーバー・シンフォニー・オーケストラ(VSO)から8人が生演奏する中で鑑賞できる。
クロージングは、今年カンヌ国際映画祭で観客賞と女優賞のダブル受賞で話題のミュージカル映画、Jacques Audiard監督の「Emilia Pérez」。メキシコを舞台にしたドラッグ犯罪スリラーで、アイドル歌手Selena Gomezと、2人のトップ女優Karla Sofia Gascón、Zoe Saldanaが共演する。
映画の他にも、「VIFFでは誰でも何かを見つけられる」というFostner氏の言葉通り、多くのスペシャルイベントも用意されている。観客とのコミュニケーションを図る舞台あいさつとQ&A、製作側の生の声が聞けるTalks、音楽のAmp、製作会社によるVIFF Industry、テクノロジーのSignalsなど、盛りだくさん。また今年のVIFF Liveでは日本からシンガーソングライターの石橋英子さんが来加。音楽イベントとしてはスペシャルイベントとしてアカデミーやグラミーなど多数受賞歴のある作品「スラムドッグ$ミリオネア」のインド人歌手A.R. Rahman(ラフマーン)さんがVSOとコラボする。
気になる日本映画
VIFFプログラムディレクターCurtis Woloschuk氏が「これは近い将来への風刺」と今回太鼓判を押したのは「Happyend」。元YMOメンバーで世界的に有名な坂本龍一さんの息子でもある空音央監督作品。昨年父の最後のコンサートをドキュメンタリー映画にして話題になり、今回初めてドラマを手がける。
「すばらしいコラボ」と紹介されたのは濱口竜介監督のサイレント映画「Gift」。プレミア作品で日本からシンガーソングライターの石橋英子さんが来加し、Liveに出演。監督の制作した映像に自身のソロライブを披露してくれる。
五十嵐耕平監督の「Super Happy Forever」は、最愛の妻を亡くした男性が親友と一緒に彼女との思い出の場所に旅する映画。Woloschuk氏は「3人の違う視点から感情的になり、見たあとに良い作品だと感じた」と話した。さらに「Be true to you、どこにでもありそうな題材でも、人と違う、自分にしか作れない映画を作ってほしい」とこれから映画を作る未来の監督にもアドバイスした。
他にも日加トゥデイがメディアパートナーの「Living in Two Worlds」(「ぼくが生きてる、ふたつの世界」呉美保監督)、ショートフィルムでは、バンクーバー市にあるレストランTojoを舞台にした「The Chef & the Daruma」(Mads K. Baekkevold監督)など日本がテーマの作品も数本上映される。
Vancouver International Film Festival 2024
期間:2024年9月26日~10月6日
チケット:一般19ドル、シニア17ドル、学生14ドル。6枚、10枚のチケットパックもあり
ウェブサイト:https://viff.org/festival/viff-2024/
(取材 ジェナ・パーク)
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