高丘陽平さんは2025年、MLS(メジャーリーグサッカー)バンクーバー・ホワイトキャップスFCで3年目を迎える。
昨季のチームはプレーオフに進出したものの、1回戦で敗退。前シーズンと同じ成績だった。
ただ高丘さん自身は充実した2年目を送ったと振り返る。2025年もホワイトキャップスでプレーすることが決まった高丘さんに話を聞いた。
2024年シーズンを振り返って
‐2024年シーズンで、自身でよくできたところ、課題が残ったところを振り返ってください。
よくできたところで言えば、去年よりはチームのやり方だったり、キーパーコーチが求めてるものが理解できて、パフォーマンスも出せたと思います。今年(2024年)2年目なので慣れてきて、考えなくても自然に出てくるようなシチュエーションがいくつかあったので、そういった意味で変なストレスというのは去年よりもなくなってきました。チーム中でもきちんとリーダーシップを取ってプレーでチームを引っ張れるようにというのは思っていたので、そういう部分は多少ですけども良くなってるのかなと思います。
課題的なところで言うと、課題は職業柄尽きないっていうか。相手がいるスポーツですし、点を防ぐのが最大の目的ですけど、相手はそれを決めようとしてくるわけで、色々なシチュエーションが毎回同じではないので、それを毎回瞬時に対応しないといけないので、そこの難しさはあります。その難しさが逆にゴールキーパーのおもしろさっていうか、そういったところを最善の準備をしながら、試合では想定していたこと以外のことが起こるので、そういうところのリアクションが非常に大事なのかなぁっていうのは、今年1年間やりながら感じてました。
‐北米リーグ2年目で成長したところは感じますか?
相手の特徴だったり、自分のチームの他の選手の特徴っていうのが去年よりも分かってきた中で、語学の問題もありますけど、去年(2023年)よりも自分が伝えたいことをもうちょっとより細かく、意見交換が去年よりもスムーズになったと思います。
(チームの)ディフェンダーの選手がどうしたかったのかとか聞きながら、相手に絶対こうしろよって押し付けることはしないので、選手のプレーを尊重しながら一緒に守ってくのが大事かなと思ってます。
そこは去年よりもコミュニケーションの部分で成長した部分でもあると思いますし、2年目ということで、別のチームに移った環境に馴染むっていうのは日本の中でも移籍すると難しいものはありますけど、そういった中でチームメートも自分のキャラクターは分かってくれて、色々なことが去年よりもスムーズだったかなと思います。
MLSで吉田選手、山根選手と対戦
‐LAギャラクシーに吉田麻也選手、山根視来選手が加入し、日本人対決として注目されました。MLSの良さを日本のファンにも伝えたいと言っていた高丘さんにとって日本人対決でおもしろさを伝えられたと思いますか?
そうですね。伝わってくれてればいいんですけど。アップルが独占配信ということで、日本のテレビから認知してもらうのは難しいので、ソーシャルメディアで発信していくしかないなと思っています。日本のファンはヨーロッパを見ると思いますけど、アメリカ(MLS)もエンターテインメントの一つとしておもしろいと思いますし、自分たちが活躍することで、日本の皆さんにもより知ってもらえると思っています。
そういう意味では自分たちのパフォーマンスが大事だと思いますし、(吉田)麻也さんだったり、(山根)視来くんがMLSに入ってきてくれて、日本人対決でも注目してもらえるポイントが増えたので、いいなと思います。バンクーバーもLAも日本人のコミュニティが大きいので、そういったところでお互いに切磋琢磨していけたらなと思ってます。
‐海外で日本人と対戦するということに何か特別な思いはありますか。
特別な思いというより、同じ日本人として上を目指している選手というか同士っていうか、相手に(日本人選手が)いるっていうのはそれだけでも刺激ですし。試合中は正直そんなことあんまり考えていなくて、自分がどうやってチームに貢献するかとか、いいプレーするかとか、そっちを考えています。でもファンの方がそういう目線で見てくれてるっていうのは分かりますし、そういった意味でお互いにいいプレーを見せられたらいいかなと思います。
2025年シーズンについて
-来年は3年目ですが、自分にゴールキーパーとしてどういうことを期待していますか。
チームがうまくいかない時こそ、チームを助けられるようにというか。良い時にはみんな良いので、チームがちょっと苦しい時とかにきちんと止めきるところもそうですし、味方を安心させたり、数字に出づらいところも大事にしたいと思っています。1つのセーブで勝ち点が0になるか1になるか3になるか変わるので、そこをシーズン通して見た中で1つでも多くするっていうのが大事だと思います。
それ以外のプレーでも当たり前のプレーは当たり前にすることもそうですし、難しいプレーを簡単にしているように見せるっていうのも良いゴールキーパーの大事な要素だと思うので本当に一つ一つのプレーを丁寧にやっていくことでしか、自分が求めてるものは達成できないし、そこは変わらず丁寧にやっていきたいなと思います。
-チームについて、来年は3年目ですが、入団1日目から良い雰囲気と言われてましたが、それは変わらないですか?
そうですね。そこの印象は特に変わらないですね。ただ、もっと自分たちが強くなるためには言い合っていかなくてはいけない部分はあると思います。それが今年は去年よりも見えたので、良いサインだと思いますけど、まだまだもうちょっとお互いに求め合ってもいいのかなと思います。
‐バンクーバー2年目、日系コミュニティとの関りはどうでしたか?
スタジアムにも日本人の方がたくさん来てくれて声をかけてくれるので、それはうれしいですし、子どもたちが、将来に、ホワイトキャップスでも、Jリーグでも、少しでも僕の姿を見て刺激をもらってくれればうれしいかなと思います。
-ファンに向けてひと言お願いします。
レギュラーシーズンを一つでも上の順位で終わるというのは大事ですし、そこから進んでより上まで行くって考えた時にレギュラーシーズンを何位で終わるかっていうのは非常に大事なところだと感じました。そこは、去年、今年よりも来年は求めていきたいです。あとはスタジアムに来てもらって、なにか感じるものを僕たちは届けないといけないと思うので、いいものを届けれるように、チームとしても良いものを見せれるように、僕自身もやれることは全部やっていきたいと思います。
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バンクーバー・ホワイトキャップスFCは2024年シーズン終了後、バンニ・サーティニ監督を解任。2025年シーズンは新監督の下でスタートする。
2025レギュラーシーズンの開幕戦はポートランドで2月23日、ポートランド・ティンバーズと対戦する。ホームでの開幕は3月2日、吉田麻也選手率いる2024年MLSカップ優勝チームのLAギャラクシーをBCプレースに迎える。
(記事 三島直美)
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