吉田麻也選手と山根視来選手が所属するLAギャラクシーと高丘陽平選手が活躍するバンクーバー・ホワイトキャップスとの一戦が3月2日、バンクーバーのBCプレースで今季も実現した。
山根選手はけがのためいなかったが、吉田選手、高丘選手の日本人対決に、会場には日の丸もはためいた。
MLSで活躍する日本人選手としてはFCシンシナティに久保裕也選手が所属する。
吉田選手は日本にいるMLSでプレーしたいと思っている選手のために自分たちが扉を開いていきたいと話す。
MLSでは「自分たちの評価イコール日本人の評価」
MLSに入団して3シーズン目となる吉田選手。昨季はギャラクシーのキャプテンとしてチームをMLS優勝に導いた。ホワイトキャップスのホーム開幕戦となった一戦では、ピリピリする展開で熱くなるチームメートを何度も落ち着かせる場面があった。今季も日本、ヨーロッパで活躍した元日本代表のベテランがギャラクシーを導いていく。
そこには日本人選手として次の世代にMLSへの扉を開きたいとの思いがある。「僕やその前の世代の選手たちが初めてヨーロッパに行った時に扉を開いたのと同じように、僕とか高丘、視来、久保も、僕らがMLSへの扉を開いていかなければいけないと思う」と話す。
日本ではまだまだ関心が低いMLS。それでもMLSを目指す次の世代の日本人選手はいるという。そんな後輩のために自分たちがいまMLSで結果を出すことが重要だと認識している。「自分たちの評価イコール日本人の評価、アジアのマーケットの評価につながるので、そこはピッチ内外で意識はしてます」
高丘選手も「ゴールキーパーとして僕は日本人で(MLS)初めての選手なので、僕への評価が日本人ゴールキーパーの評価になると思うので、そういった意味で責任感を持って良いプレーをして、次の選手、次の世代の人たちが来やすいような道を作ってあげたいなと思います」と同じ思いを語る。
吉田選手は自分より先にMLSでプレーしている高丘選手について「初めての海外移籍だと思いますけどがんばっていると思います。試合もコンスタントに出ているし、環境が変わってもしっかりポジションを確保していて。あとはチャンスがあれば、(MLSから)代表に絡んでいってくれたらおもしろいなと思います」とエールを送った。
「カナダもアメリカも政治が自分たちの生活に直結するっていう意識が強い」
ホワイトキャップスのホーム開幕戦はアメリカのLAギャラクシーとの対戦となった。今年1月にトランプ大統領が就任して以降、カナダとアメリカは政治的に緊張関係にある。それが最も顕著になるのがスポーツの試合での国会斉唱。この日も御多分にもれず、アメリカ国歌斉唱時にファンからブーイングが起きた。決して選手たちに向けられたものではないが、カナダ国民の感情が爆発した。
吉田選手はこの現象についてリーグ内にアメリカとカナダのチームが混在するという状況では「政治的な問題も絡んでくるだろうし、ウクライナの旗とかも見ましたけど、そうなるよな」と理解を示した。トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談が物別れに終わったのは試合の前日だった。
自分ももう 36歳 のいい大人なのでと笑って、サッカー以外のこともしっかり理解するように一般常識のニュースはフォローしているという。それにアメリカで生活する中でトランプ政権下でのアメリカがどうなっていくのかは直接自分にも関係すると話す。「カナダもアメリカも政治が自分たちの生活に直結するっていう意識が強いなって。それもここにいないと経験できないことなので、なるほどなって興味深く思いました」と語った。

(取材 三島直美)
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