カーニー首相誕生、新内閣は少数で「行動第一」

 オンタリオ州オタワ市のリドーホールで3月14日に就任式が行われ、自由党マーク・カーニー党首が第24代カナダ首相に就任した。

 就任式直後の記者会見では、トランプ政権による「貿易戦争」のさなかカナダは今「危機の瞬間」にあるとし、行動第一の小規模な内閣でこの事態に対応すると述べた。政治家としての経験はないが、カナダ銀行、イングランド銀行総裁を歴任してきたカーニー氏の手腕に注目が集まっている。

 同日には新内閣も発表された。閣僚は首相含め24人でトルドー内閣(首相を含め39人)よりも少ない。

 内訳は、男性13人、女性11人。デイビッド・マクギンティ公安大臣、メラニー・ジョリー外務大臣など、アメリカとの関係を主に担当する一部の閣僚は留任。元財務大臣ドミニク・ルブラン氏は政府間関係大臣として留任し国際貿易大臣を兼任する。新たな財務大臣には前国際貿易大臣のフランソワ=フィリップ・シャンパーニュ氏が就任した。

 注目された党首選を戦って3位に終わったカリナ・グルド議員は入閣しなかったが、2位だった元財務大臣兼副首相のクリスティア・フリーランド議員は運輸大臣兼国内貿易大臣に就任した。

 カーニー首相は、現在国会議員(MP)ではなく、「貿易戦争」対応で自由党の支持率が上昇しているタイミングで、早急に解散総選挙を行うのではという見方が広まっている。

 現時点で首相がアメリカを訪れる予定はないが、適切な次期にトランプ大統領と話すのを楽しみにしていると語った。さらに長年の経験から互いの国に利益をもたらす解決策を見つけられると思うと自信をのぞかせた。

 トルドー政権が実施した報復関税措置については、アメリカがカナダに敬意を表し、自由貿易への信頼できる対応をするまで維持すると強調した。

カーニー内閣閣僚名簿

首相 マーク・カーニー

国際貿易・政府間関係大臣兼枢密院委員長 ドミニク・ルブラン

外務大臣兼国際開発大臣 メラニー・ジョリー

財務大臣 フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ

革新・科学・産業大臣 アニータ・アナンド

国防大臣 ビル・ブレア

先住民サービス大臣 パティ・ハイドゥ

エネルギー・天然資源大臣 ジョナサン・ウィルキンソン

予算庁長官 ジネット・プティパス=テイラー

カナダ文化とアイデンティティ・カナダ公園庁・ケベック州担当大臣 スティーブン・ギルボー

運輸大臣兼国内貿易大臣 クリスティア・フリーランド

保健大臣 カマル・ケラ

法務大臣兼司法長官兼先住民関係・北方問題大臣 ゲーリー・アナンダサンガリー

政府院内幹事 レチー・バルデス

雇用・家族担当大臣 スティーブン・マッキノン

公共安全・非常時対応準備大臣 デイビッド・マクギンティ

環境・気候変動大臣 テリー・デュギッド

住宅問題・インフラ・コミュニティ大臣 ナサニエル・アースキン=スミス

移民・難民・市民権大臣 レイチェル・ベンダヤン

退役軍人問題大臣兼カナダ歳入庁担当大臣 エリザベス・ブリエール

漁業・海洋・沿岸警備大臣 ジョアンヌ・トンプソン

与党下院院内総務兼民主主義制度大臣 アリエル・カヤバガ

農業・農産食料大臣兼地方経済開発担当大臣 コディ・ブロワ

政府改革・公共事業調達大臣 アリ・エサシ

(記事 編集部)

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