バンクーバー春の恒例行事「さくらデイズ・ジャパンフェア2025」が4月13日・14日にブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市のバンデューセン植物園で開催された。天候にも恵まれ、美しい桜とともに園内に咲き誇る色とりどりの春の草花が来場者を迎え、日本文化に触れるひとときとなった。
2009年に始まったこのフェアは、2度の中止と1度のオンライン開催を経て、今年で15回目。バンクーバー桜まつり(VCBF)の一環として行われ、春の訪れを祝うイベントとして、多くの人々に親しまれている。
和文化の多彩なブースが来場者を楽しませる
会場には、日本の食文化や伝統工芸、雑貨、体験型ワークショップなど、さまざまなブースが立ち並び、参加者は1日で回りきれないほどのブースを楽しんでいた。
浴衣の試着体験では、家族連れや若者たちが列をつくり、写真を撮ったりスタッフと会話を交わしたりする姿が多く見られ、終日にぎわった。

飲食・物販ブースでは、塩麹をはじめとする麹を使った調味料を紹介する出展も見られた。VANKOJI FOODSの都奈美さんによると、味噌はすでに一定の認知がある一方で塩麹や醤油麹はまだ知られていない食材だという。だからこそ「こういう対面式の機会をいただければ(直接)説明して、買っていただいて、それからまたリピーターとして使っていただける」と、フェアの意義を話した。

また日本文化に強い関心を持つ来場者が多いこのフェアは「日本のものを望んで求めて来られる方が多いので、また違った雰囲気」とも述べ、ファーマーズマーケットとの違いを実感するという。「リピーターができるきっかけにもなるので毎年しっかり準備して臨んでいる」と話した。
地域の輪が詰まった「風車ブース」子どもたちに大人気

毎年建友会が主催する子どもたちに人気の「風車づくり体験」ブース。今年は初日には用意された200個分の材料が午後早々に完売するほどの盛況ぶりを見せた。
完成した風車を手に走り回る子どもたちの姿が会場のあちこちで見られ、体験に参加した親子からは「初めてだったけど丁寧に教えてもらえて作れた。楽しかった」という声が聞かれた。

建友会の松原昌輝会長はさくらデイズ・ジャパンフェアの初期から参加してきた一人。「昔に比べて来場者が増え、ベンダーも多様になった」とイベントの成長を実感する。「以前は人を集めるのが大変だったが今は人が集まってくれるイベントになった」と笑顔を見せた。
このブースの収益はBCチルドレンズホスピタルに寄付される。松原さんは「本業とは違う活動だが、地域とのつながりが生まれるのがうれしい」と話し、「こういう細かい作業は日本の人の得意技なので、そういうところをうまく伝えられればいい」とも語った。
未来へつながるフェアに
第1回からジャパンフェア実行委員会委員長を務める塚本隆志さんは「昨年は皆さん知らなかったから人が少なかったけど、今年は結構みんなこっち(新設エリア)に流れてきてもらってる」と新設エリアへの来場者の増加を喜んだ。初期は人集めにも苦労したというが、現在は人が自然と集まるイベントに成長し、ベンダーの応募を断るほどの人気ぶりだ。

イベントの成長については「今年で15回目ですかね。最初は本当にここだけ(小さなエリア)でやってたんです。そこからこれだけの規模になってすごいです。まあ、自分でもびっくりしますね」と振り返る言葉には、長年フェアを支えてきた主催者としての思いがにじむ。
最後に「皆さんが日本というものをよく知っていただくということで、このバンクーバーの中で他の日本の人が大手を振って胸張って歩けるようになれればいいなと思います」とフェアを通じた願いを語った。
桜の下に集った多くの来場者が笑顔で日本文化に触れた2日間。さくらデイズ・ジャパンフェアは、異文化が交わるこの街で、日本文化が深く根を張り、次世代へと受け継がれていく確かな場となっている。


(取材 田上麻里亜)
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