連邦下院総選挙の期日前投票を前に4月17日、英語での党首討論会が行われた。前日にはフランス語での討論会も実施された。イースター連休前に各党首が英仏両語で激論を交わした。
参加したのは、自由党マーク・カーニー党首、保守党ピエール・ポワリエブル党首、NDP(新民主党)ジャグミート・シング党首、ケベック連合党イヴ=フランソワ・ブランシェ党首。グリーン党は16日に参加資格がないと選挙管理委員会から告げられ参加できなかった。
17日、司会のスティーブ・ペイキン氏が最初に取り上げたのは「トランプ大統領と関税」。各党首とも同大統領によるカナダ併合に関する発言や経済的脅威に対し報復関税をもって対抗するべきとした。
カーニー党首はトランプ大統領が貿易システムの再構築を目指すなか、カナダが自国の経済を自らコントロールすることが重要とした。問題をカナダ・アメリカ関係として捉えようとするカーニー党首に対し、ポワリエブル党首は減税や規制緩和などの必要性についても述べた。
自由党が支持率でリードする中でカーニー党首が他の党首から集中砲火を浴びた。
ポワリエブル党首はカーニー党首をジャスティン・トルドー前首相と結びつける戦略を繰り返した。ここ数年のインフレを引き起こしたのは自由党政権であり、カーニー氏はトルドー前首相に助言していたと非難。これに対しカーニー党首はインフレに関する助言はしていないこと、またカナダ銀行総裁として低いインフレ率を実現したことを主張した。
一方シング党首はカーニー党首に「選挙前に雇用保険改革をするべきだった」と批判。ブランシェ党首は「アメリカの関税で打撃を受けたケベックの産業に対し、十分な支援をしていない」と指摘した。
シング党首は、ポワリエブル党首に対しても「富裕層や企業を対象に減税をしようとしている」と非難。住宅問題については保守党政権で住宅担当大臣を務めたポワリエブル党首の実績に疑問符をつけた。
中盤にはペイキン氏が各党首に「安全保障上の最大の脅威はなにか」について質問。ポワリエブル党首は「犯罪の激増」を挙げて強硬な治安対策を主張、カーニー党首は「中国」と答えた。シング党首は「違法な銃の密輸入」、ブランシェ党首は「アメリカへの軍事的依存」と述べた。
(記事 編集部)
合わせて読みたい関連記事