カナダ連邦下院選挙の投開票が3日後に迫った。今年1月にジャスティン・トルドー首相が辞任を発表すると、それまで低迷していた自由党への支持率が急上昇。3月9日に自由党の党首にマーク・カーニー氏が就任するとさらに支持率は上がり、一時は保守党に24%も支持率でリードされていたが、3月19日にはついに逆転した。その後も自由党の支持率は上がり続け、保守党との差を広げてきた。
しかし選挙戦後半に入ると保守党がジリジリと差を詰めている。4月24日の各世論調査会社の発表によると、Nanosでは自由党が4%リード、メインストリートとリエゾンストラテジーは3%リード、そしてイノベイティブは38%で自由党と保守党が並んでいる。
首相にふさわしい党首では、自由党カーニー党首が約10%、保守党ポワリエブル党首をリードしている。
一方、自由党と保守党の一騎打ちで厳しい選挙戦を強いられているのが新民主党(NDP)。すでに支持率は10%を下回り、現時点での予想議席獲得数は5。ジャグミード・シング党首(ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー-サウス選挙区)ですら落選するのではと予想されている。現在NDPが最も議席を持っているのがBC州。ここで党首すら当選しないのではという予想がその厳しさを物語っている。
なぜこれほど自由党が復活したのか?やはりアメリカ・トランプ大統領の影響が大きいようだ。関税や「アメリカ51番目の州」発言などカナダを攻撃するトランプ大統領に「どう対応するのか」が有権者の最大の関心事となっていることが自由党の支持を復活させたと見られている。
カーニー党首がカナダとイギリスの中央銀行総裁を務めた経験を持っていることも有利に働いている。ただカーニー党首は政治家としての経験はない。その辺りを有権者がどう判断するのかが注目だ。
すでに期日前投票は締め切られている。カナダ選挙管理委員会によると、期日前投票で約730万人が投票したという。これは記録的な数字で、通常、期日前投票は投票日の締め切り時間の1時間前から開票が始まるが、今回は2時間前から開票作業に入るという。
多くの有権者が関心を示す今年の総選挙。投開票は4月28日。
(記事 三島直美)
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