多くの人が見守る中で行われたモントリオール植物園日本庭園での平和式典。平和の鐘を突くモントリオール市議会マルティンヌ・ムサウ=ムエレ議長(左)と内川昭彦モントリオール総領事。モントリオール日系コミュニティとMr. Luc Leblanc, a member of the Montréal Japanese Garden and Pavilion Foundationから贈られた各千羽鶴も平和の鐘に飾られた。Photo Crédit : Ville de Montréal / Meve Design
VIFF今年のポスター。Photo by Jenna Park/Japan Canada Today
記者会見の様子。Photo by Jenna Park/Japan Canada Today
見たことのない世界の映画に触れて、自分の中で何かを感じる。そんな価値ある体験が意味ある変化を生み出すと、1982年に発足したThe Greater Vancouver International Film Festival Society。毎年バンクーバー国際映画祭の開催と、選りすぐった映画の上映をVIFF Centreで1年を通して提供している。
今回初の試みSpotlight on Koreaは、パク・チャヌク監督「No Other Choice」、ホン・サンス監督「その自然が君に何と言うの(What Does That Nature Say to You)」をはじめ、7本の韓国映画を一気に上映。新人監督(俳優はまだ未定)の舞台あいさつ付きで上映される。
An Evening with Marc Maronでは、コメディアンでポッドキャストで有名なマーク・マロンの「Are We Good?」を上映後、彼との長いQ&Aが予定されている。カナダのマシュー・ランキン監督は今回ゲストとしてLeading Lightsセクションを担当。日本でも有名なアキ・カウリスマキ監督の映画をはじめ監督が厳選した映画数本が上映される。
期待のプレミア上映はジム・ジャームッシュ監督の「Father Mother Sister Brother」や、パオロ・ソレンティーノ監督の「La Grazia」などに加えて、カンヌ国際映画祭でジャファル・パナヒ監督が最高賞に輝いた「シンプル・アクシデント(It Was Just an Accident)」、さらにヨアキム・トリアー監督の「Sentimental Value」、またベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督の「Young Mothers」も見逃せない。カナダのブリティッシュ・コロンビア部門では日系カナダ人の吉田真由美監督をはじめ地元の監督の新作が続々と登場する。
自身の体験談を語るランメル幸さん。2025年8月15日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito/FRASER MONTHLY
幸さんは8月6日、爆心地から約3.5キロメートル離れた小学校の校庭で遊んでいた時に被爆した。当時8歳。大きな木の陰にいたため奇跡的に助かったが、黒い雨に打たれ、着ていた服に黒いしみがついて取れなかったことを覚えているという。長く原爆体験は話していなかったが、2011年3月11日の東日本大震災時に起きた福島第一原子力発電所事故をきっかけに、「原爆について語らなければ」との思いに駆られた。体験談をつづった日本語版「忘れないでヒロシマ」(南々社)、英語版「Hiroshima-Memories of a Survivor」も執筆し、バンクーバーを中心に語り部として平和活動を続けている。
きっかけはトロント市制150周年を迎えるにあたり「なにか意味のあるものを残したい」という思いがあったマッシー・ロンバルディ神父(当時Director of the Office of Social Action in the Catholic Archdiocese of Toronto)がサーローさんに会いたいと言ってきたという。「被爆者で、色々活動して、がんばっているということを新聞で読んだようです」。話を聞くとトロントに「平和公園を作り、そこに広島からの灯と長崎からの水を持ってくる」という案を市に提出したということだった。「そのために私の仲介が必要だったようです。私を信用できると思って話をされたんだと思います」。ロンバルディ神父は1981年にヨハネ・パウロ2世が訪問した広島平和公園に着想を得てトロント市にも同様の記念公園を建設するという構想を1983年に当時のアート・エグルトン市長に持ちかけていた。