第43回バンクーバー国際映画祭(VIFF)が北米プレミア上映となる「ぼくが生きてる、ふたつの世界(英題:Living in Two Worlds)」(日加トゥデイ・メディアパートナー作品)。原作は、作家・エッセイストの五十嵐大による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」で、本作では、コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子どもという意味)の主人公・五十嵐大(吉沢亮)の「きこえる世界」と「きこえない世界」での葛藤と成長の姿を描く。
独特の明るい雰囲気で日本から9月10日、日加トゥディのインタビューに応えてくれた音楽家の石橋英子さん。10月1日にバンクーバー国際映画祭(VIFF)の今年の目玉であるライブ演奏「GIFT」で来加が予定されている。石橋さんといえば2021年の濱口竜介監督「Drive My Car」を思い出す人が多いだろう。国内だけでなくカンヌ映画祭やアカデミー賞など世界で大絶賛を受けた監督のベスト作品。石橋さんが担当した良質なオリジナルサウンドトラックが背中を押したと言っても過言ではない。
映画音楽は映像より目立ってはいけないから、どこか地味な印象がある。だが石橋さんはリスボンの国際フィルム・アワーズで最優秀音楽賞を受賞したほどのミュージシャン。2018年のアルバム「The Dream My Bones Dream」は国外の音楽誌でベストアルバムとして選出された。ある日、地元で道に捨てられていた電化製品を見た石橋さん。寂れて取り残された物が海に流れていくようなインスピレーションを受け、「そのイメージを意識して(2014年のアルバム『Car and freezer』の)曲を作りました」と話した。その後2019年のアニメ「無限の住人-IMMORTAL -」でも音楽を担当した。
そんな石橋さんがカナダで初めて披露する「GIFT」では、サイレント映画に合わせてライブ演奏を行う。これは濱口監督の2023年作品「Evil Does Not Exist」からスピンオフした新たなコラボ企画で、ニューヨークでは「言葉で表せない」、ロンドンでも「他には類がない」とすでに海外で注目を浴びている。カナダではバンクーバーで1日限りの貴重なライブとなる。