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無料手品ショー

手品を日系社会に広めるため、20分のマジックショーを無料で提供してます。

各日系団体の次のイべントで手品を披露したいと思います。

もし興味がありましたらemailで連絡ください。

webarts3000@yahoo.com

サッカーを通した交流を楽しむ「Soccer Fun Day」開催

 サッカーを通して交流を楽しむイベント「Soccer Fun Day」が3月17日、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)で開催された。主催はジョイアスFC(Joyous FC)、協賛はUBC教育学部幼児教育学科、フェリシアこども短期大学、後援在バンクーバー日本国総領事館。

 初夏を思わせる陽気の中、朝から子どもたちの声が即席サッカーグランドに響いた。この日は約150人が参加。経験者だけでなく、サッカーに興味がある子どもたちも参加して楽しいサッカー教室となった。

 在バンクーバー日本国総領事館・岡垣さとみ首席領事は、「このイベントは、日系を含めすべてのコミュニティにふれあいの場を提供するすばらしいイベントだと思います。このようなイベントを通して多文化社会への理解が深まることを願っております」とあいさつ。始蹴式では小学生の時に授業はもちろん昼休みも放課後もサッカーをやっていたという見事なボールさばきで大役を果たし「気持ちよかったです」と笑顔を見せた。

始蹴式でシュートする岡垣首席領事(左)と朝日のジョン・ウォン会長。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
始蹴式でシュートする岡垣首席領事(左)と朝日のジョン・ウォン会長。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 日系カナダ人野球チームとして始まった朝日チームの朝日ベースボールアソシエーション会長ジョン・ウォンさんは「今回このような形で出席できて光栄です。私は野球を通してコミュニティへの貢献をしているわけですが、スポーツを通した社会貢献という意味では同じような立場にあります。天気に恵まれ、UBCのこの施設でサッカーを楽しんでください」とスポーツを通したコミュニティ交流に目を細めた。

日系カナダ人を中心としたJoyous FC「コミュニティでサッカーを楽しめる環境を整えたい」

Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 日系カナダ人で構成されるサッカーチームJoyous FCを中心に、この日は地元コミュニティとサッカーを通して交流する機会となった。

 UBC教育学部教員の長谷山康一さんは、「私たちのサッカー・コミュニティの活動が文化を超えて、地元の全ての人たちのために学び合える場を提供し、そして楽しさを共有でき、多文化共生のシンボルとなるような機会を作りたいと思っていました」と今回のイベントへの思いを語った。

 自身は当日に体調不良のため参加できなかったが「良い天気の中で、参加者の皆さんには思い切り体を動かし、楽しんでいただけたようです」と喜んだ。

 Joyous FC代表馬目広三さんは、この日のイベントについて「今日はこういう形で皆さんが楽しめる場を作っていただいたUBCの長谷山先生にすごく感謝しています」と語った。日系の子どもたちを中心に、サッカーを楽しむこと、Joyous FCを知ってもらうことを目的に開催したイベント。ボランティアやコーチ陣にも感謝の言葉を述べ、「これを機にこれからも参加者にジョイアスの活動に参加してもらえればうれしいと思います」と語った。

 Joyous FCは2009年に4人から始めた日系人のサッカークラブという。年齢に制限はなく、現在は約120人が参加している。

 チーム構成を日系にこだわった理由は、バンクーバーで毎年行われる大人のアマチュアサッカー大会で16カ国の枠の中に日本がなかったことと説明した。日本チームを作りたいという思いから、ワーキングホリデーや学生で構成したチームを作ったがメンバーの入れ替わりが頻繁になるため、ならばバンクーバーの日系人の子どもたちを育てようと考えたという。「バンクーバーで育った子どもたちが日の丸を背負ってプレーできるような場があるので、そういうシチュエーションをイメージして、子どもから大人までのチームとしてジョイアスを作りました」と話した。

 今後は「強い弱いに関係なく、皆さんがサッカーを楽しめる環境を整えていきたい」と語った。

Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Dayでサッカーを楽しむ子どもたち。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Day、みんなで元気に!2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Soccer Fun Day、みんなで元気に!2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
ダンスを披露後に記念撮影。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
ダンスを披露後に記念撮影。2024年3月17日、UBC。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

(写真・動画 斉藤光一/記事 編集部)

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第11回  終活ノートは書いてなんぼです!~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

​​2017年以来、北米で約7年ぶりの皆既日食が観測されたのはつい先日の4月8日でしたが、残念ながらバンクーバーでは雨で見ることができませんでした。しかし、他の地域では観測できた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

さて前回までに4回にわたり、エンディングノート(終活ノート)の必要性と重要性をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

日本では多くの書店で様々な終活ノートが売られているため、もしかすると既に持っている方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし「そのノートは書いて埋められていますか?」

この質問をすると、ほとんどの方が言葉を濁すか、正直に「実はほとんど書いていない」と答えます。

ノートを持っていなくても、パラパラとページをめくったことがある人ならご存じかもしれませんが、ほとんどの市販されている終活ノートはそれほど厚くはないものの、中を見るとかなりの項目があります。それを見て、「思ったよりも書くことが多くて驚いた」とおっしゃる方が意外と多くいらっしゃいます。

終活ノートは、あなたのこれまでの人生を振り返る履歴書であり、これからの希望や夢を描く未来への羅針盤でもあります。書く内容が難しいわけではありませんが、始めることが難しい、または続けることができないという方が多くいらっしゃるのも事実です。

その主な理由は以下の通りです。

  • 家事、仕事、子育て、介護などに時間を取られ、終活ノートを書くことが後回しになってしまう。
  • 期限が設けられていないため、「いつか」と思いながらも結局は手をつけない。
  • 一人で取り組むことが楽しくなく、やる気が続かない。
  • 書き進める中で疑問が生じ、調べているうちに書くのが億劫になる。
  • 途中でわからないことが出てきた際に、その点でつまずいてしまう。
  • 若さや健康を理由に油断してしまい、必要性を感じない。

このように、人によっては書き終えるまでのハードルが意外と高いんです。

終活ノートを作ることは確かにいくつかの挑戦を伴いますが、それでも自分や家族のためにとても有意義なことです。このプロセスを経ることで、自分の人生を振り返り、これから先、本当にしたいことは何か、どう生きていきたいかをじっくり考える良い機会にもなります。

私が今までに経験してきた中で、終活を行わなかったため、本人や家族が非常に困難な状況に陥ったケースを数多く目の当たりにしてきました。

痴呆症になった後や亡くなった後に、家族間での争いが起こったり、責任を押し付けあったり、途方に暮れるなど、様々な問題が生じています。これらの残念な例は、終活の重要性を物語っています。

ですので、せっかくの終活ノートを宝の持ち腐れにせず、ぜひ活用してくださいね!

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

ブログ: https://globalmesen.com/
Facebook: https://www.facebook.com/noricovancouver
Instagram: https://www.instagram.com/norikocanada/
Line公式: https://line.me/R/ti/p/%40490fuczh
その他SNS: https://lit.link/norikocanada
著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

西川流カナダ彩月会第3回「温習会」開催に向けて

「西川流カナダ彩月会」(旧彩月会)、西川佳洋師範(前列中央)を囲んで。日系文化センター・博物館で。2023年2月。写真提供:西川流カナダ彩月会
「西川流カナダ彩月会」(旧彩月会)、西川佳洋師範(前列中央)を囲んで。日系文化センター・博物館で。2023年2月。写真提供:西川流カナダ彩月会

 西川流カナダ彩月会が第3回「温習会」を4月27日に日系文化センター・博物館で開催する。

 「温習会」とは、前回開催からこれまでに習った成果を発表する会のこと。前回は2017年。通常はもう少し短い間隔で開かれるが、今回は2020年からの新型コロナウイルス感染拡大による影響で7年ぶりの開催、そして特別な温習会となる。

 西川流師範西川佳洋(松野洋子)さんは開催を1カ月後に控え、「温習会は、もちろん会のため、1年以上一生懸命踊りのお稽古に励んできたお弟子さんたちの踊りの発表会ですが、(今回は)西川洋香、西川洋雪の『襲名披露の会』でもあります」と胸の内を明かした。

 2023年は、「彩月会」から2人が「名取式」を経て正式に西川流苗字内に入ることになった。かおりリトンさんが「西川洋香」を、芦田有希子さんが「西川洋雪」を授与された。2人は4月1日にオンラインを通してバンクーバーで名取式を終えた後、5月18日に名古屋市の西川流西川会会館を訪問。師匠の西川流四世西川千雅家元と家元補佐2人の前で踊りの披露を終えると、西川洋香、西川洋雪として稽古に励む日々が始まった。

 「彩月会」は、西川千雅家元の承認を得て2023年6月16日に正式名称を「西川流カナダ彩月会」とした。

 そうして迎える今年の温習会。西川佳洋さんにとって特別な思いがある。「4歳の時から踊りを始めまして、50年以上踊りを教えています。西川洋香、西川洋雪の2人が西川流の苗字内に入れることを許されまして、私はとてもうれしくて、長い間踊りを教えて、踊り一筋に生きてきてよかったと思っています」と語っている。

 こうした特別な思いを胸に開催される第3回温習会。春の訪れとともに華やかで伝統的な舞台が待っている。

日本舞踊西川流カナダ彩月会「第3回温習会」

日時:4月27日(土)午後2時開演(1時30分開場)
会場:日系文化センター・博物館(6688 Southoaks Crescent, Burnaby)
入場料:10ドル(チケット問い合わせ先:604-584-8320)
特別ゲスト:フルート演奏者・小西千恵子さん、ピアノ演奏者・Danielle Leeさん

チケットプレゼントのお知らせ

西川流カナダ彩月会「第3回温習会」のチケットを抽選で、2名1組で5組(10名)にプレゼントいたします。ご希望の方は件名に「温習会チケット希望」と明記して、4月15日までにご応募ください。当日会場でチケットをお渡ししますので、メール内容にフルネームをご記載ください。

応募先:promo@japancanadatoday.ca

(記事 編集部)

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ホワイトキャップス快勝、GK高丘は50試合先発出場にクリーンシートで自ら花を添える

 ホーム4連戦の3戦目は快勝だった。GK高丘陽平は随所に好セーブを見せ、今季ホームで初のクリーンシート。この日が自身50試合目の先発出場で、自ら花を添えた。ホワイトキャップスはこの日の勝利で西カンファレンス首位に躍り出た。

4月6日(BCプレース:24,678)
バンクーバー・ホワイトキャップス 4-0 トロントFC
先制は6分。Whiteが相手ディフェンダーがクリアしようとしたボールを奪ってそのままゴール。29分にはFafaが2点目をあげた。後半はイエローカード6枚ともつれた展開となったが、81分にGauldがダメ押しの3点目、さらに89分にもVeselinovićが決めて快勝した。

GK高丘、好セーブ連発で無失点に

試合終了間際、GK高丘は逆方向に反応しながらも左足でシュートを止める。トロントFC戦。2024年4月6日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
試合終了間際、GK高丘は逆方向に反応しながらも左足でシュートを止める。トロントFC戦。2024年4月6日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 チームが4得点で盛り上がる中、GK高丘は冷静にゴールを守った。前半に片手で止めた場面や終盤の逆方向に来たシュートをかろうじて足で止めた場面も、「ある程度自分としては準備していた」と冷静だった。ただキャップスDFがクリアしたボールが際どいところでポールに当たって逸れた場面ではチームメートと苦笑い。「ラッキーだったなという部分もありましたし」と振り返った。

 シーズン2年目が始まったばかりで、すでに50試合先発出場を果たした高丘。昨季はレギュラーシーズンやプレーオフはもちろん、優勝したカナディアン・チャンピオンシップ、北米3カ国のチームが参加する夏に開催のリーグスカップ、北中米カリブ海サッカー連盟が主催するCONCACAFチャンピオンズ・リーグと、フル出場した大会が多かった。

 50試合先発出場は試合前にチームスタッフから知らされたと言う。「自分がこっちに来てからの日々をちょっと振り返りながら、積み重ねてきて50試合目を迎えられたっていうのはひとつ良かったですし、そういったゲームでクリーンシートで終えられたっていうのは、ひとつうれしいですね」と笑顔を見せた。

 試合後のインタビューではいつも反省を口にする高丘だが、この日は「90 分間通してゲームコントロールできたと思います」と語り、90分の中で相手にもチャンスがあるが、「そういったところで自分の仕事できればなと思って(試合に臨んだので)今日は無失点に抑えられてよかったです」と終始笑顔だった。

次戦はギャラクシーと上位対決、そして日本人対決

 ホワイトキャップスはこの日の勝利で前節まで首位だったLAギャラクシーを抜いて西カンファレンス首位となった。次戦ではそのギャラクシーと対戦する。しかも、ギャラクシーには日本人選手2人が所属。日本代表元キャプテン吉田麻也と今季入団した山根視来だ。

 高丘は「吉田選手もいますし、山根選手もいて、日本人対決っていうところでありますけど」と日本人選手との対戦に期待しつつも、「上位対決というものあってチームとしても上位に残り続ける、 1 位に続ける難しさっていうのはこれから出てくると思うので、そういうプレッシャーのかかった試合の中で結果が出せるようにしたい」と気を引き締めていた。

4月、5月のホームゲームhttps://www.whitecapsfc.com/

4月13日(土)7:30pm LAギャラクシー戦
5月4日(土)7:30pm オースティンFC戦
5月25日(土)7:30pm インテルマイアミFC戦

随所に好セーブを見せるGK高丘。トロントFC戦。2024年4月6日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
随所に好セーブを見せるGK高丘。トロントFC戦。2024年4月6日、BCプレース。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

(取材 三島直美/写真・ビデオ 斉藤光一)

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日本酒の美味しさをバンクーバーで発信、酒ワークショップ開催

11社のスタッフが揃って。2024年2月23日、バンクーバー市内。Photo by Japan Canada Today
11社のスタッフが揃って。2024年2月23日、バンクーバー市内。Photo by Japan Canada Today

 日本酒類輸出コーディネーターのアクシスプランニング主催Sake Workshopが2月23日、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市で開催された。会場にはカナダで販売・輸入を手掛ける11社が自慢の日本酒を紹介。販売店関係者や日本酒愛好家などに勧めていた。

 この日会場に訪れたリッチモンド市でプライベート・リカーストア(個人酒店)Lennox Liquorを経営するHenry Leungさんは30~40種類の日本酒を扱っているという。「日本酒はとても人気です。日本には酒蔵がたくさんあると思うので、日本からもっと輸入されることを期待しています」と語った。

カナダでもっと日本酒の魅力を広めたい

 BC州日本酒協会小西隆之会長は、今回は協会に所属している会員だけでなく新しい輸入業者やカナダの酒造会社などにも参加・協力を呼びかけ、「できるだけ一緒にこういうイベントをして普及していきましょう」とカナダの日本酒関連業者が協力して発信していくことになったと話した。

 小西さんによると、カナダには各州に酒類を管轄するLiquor Boardという州立公社がありアルコール類の独占流通をしているため、カナダで酒類を製造・輸入販売する場合には高い税金や輸入・流通コストがかかるという。

 そのため日本酒販売だけではビジネスが成り立たないことも多い。イベントを開催してもプロモーションする自社販売商品ですら小売価格で購入しなければならないと説明する。

 そこで、今回は今年初めて国税庁認定コーディネーターによるイベントとして開催。このようなイベントを開催することで「費用を抑えながら日本酒を紹介できる機会を増やして、業界を盛り上げていこうと企画しています」。日本政府としても日本酒の海外展開に力を入れていく方向だという。

 日本酒販売にコストがかかるカナダだが、日本酒人気はかなり高いという。日本酒の輸出先として、アメリカや中国が多いが、東南アジアに続いてカナダとオーストラリアが7位、8位に来ると話す。欧米ではアメリカに次いで人気があるということで「ポテンシャルは高いと見ています」。高い税率や運送保管費用、州営公社店での少ない取扱量など、現在は高い壁が立ちはだかる状況だが、「業界が一緒になって盛り上げていければと思っています」。

 バンクーバーでは新型コロナウイルス感染規制が解除されて以降、日本酒の販売数は落ちているという。小西さんは「新型コロナが明け、旅行や帰国などでカナダを出るため、それまでお酒にお金を使っていた人が海外で使うようになっているようです」と分析する。2023年後半からそれが顕著に表れたと話す。

 それでも2024年は正常に戻りつつあると感じている。加えて円安の影響もあり海外への輸出を希望する日本の酒蔵も増えてきたという。日本政府も日本酒の輸出促進には積極的で「こういう機会はチャンスだと思って、一般の消費者にも日本酒の良さを知ってもらえるこうしたワークショップを続けていきたい」と語った。

 ワークショップでは日本酒の紹介のほか、料理に合う日本酒の選び方などもセミナー開催し、さまざまな楽しみ方を紹介している。

(取材 三島直美)

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「先祖への敬意を現在につなぐ『チーナ』に込めた想い」Cheena代表ショーン・リトンさんインタビュー(後編)

Cheena代表ショーン・リトンさん。Cheena事務所で。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
Cheena代表ショーン・リトンさん。Cheena事務所で。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 両親が立ち上げたビジネスを引き継ぎ、「クオリティに妥協せず、多くの人に喜んでもらえる商品を変わらず届けたい」と話すショーン・リトンさん。ビジネスとして商品開発への意欲を語る一方、「チーナ」がつなげている、先祖、祖母、そして両親への敬意が言葉の端々にあふれていた。

「極上のカナダグルメを楽しんでもらいたい」Cheena代表ショーン・リトンさんインタビュー(前編)

先祖はスコットランドからやってきた冒険家、祖母は著名なアーティスト

 会社名「チーナ(Cheena)」も、そのロゴも、食品を扱う小売店としてはかなり個性的だ。名前やロゴからはすぐにビジネスを想像できない。しかし、そこには先祖への敬意が込められている。

 「チーナ」は1978年にウェイン&かおり・リトンさんが創業した。ショーンさんの両親だ。

 先祖は冒険家として知られたAdam Grant Horneさん。1851年にスコットランドから移住しハドソン・ベイ・カンパニー(HBC)と契約、バンクーバー島ナナイモでの経営を任されていたという。その当時に地元の先住民族と信頼関係を築き、彼らの案内でバンクーバー島を探検したとされている。

 Adam Grant Horneさんのひ孫でショーンさんの祖母Georgina Abrams-Lyttonさんは著名なアーティストで、代表作には先住民族を描いた作品が多い。現在オタワのNational Gallery of Canada(カナダ国立美術館)にも所蔵されている。

 ショーンさんは「祖母はハイダ族ととても親しかったそうです」と話す。そしてその親密な関係を通してハイダ族をテーマにした作品をいくつも描いたと説明した。「その代表作の一つがカヌー(を描いた)作品です」

 1800年代半ばにカナダにやってきて先住民族との信頼関係を大切にしてバンクーバー島を探検した先祖の精神と、ハイダ族と良好な関係を築き、彼らの生活を絵画として残した祖母の思い。ショーンさんは「リトン家の歴史と現在を何らかの形で結びたいと思っていました」と話す。

ハイダ語で「最高のサーモン」を意味する「Cheena」

 ショーンさんによると、チーナのビジネスの始まりはウェインさんの経験とアイデアからだったという。日本からビジネスで来加した水産関係者をブリティッシュ・コロンビア州北部に案内した時、漁をしていた漁師が昆布を捨てていることに気づいた水産関係者が「これは日本では高級食材だよ」と言ったという。

 漁師が捨てていたのは数の子昆布。その言葉からヒントを得て、ウェインさんが数の子昆布を販売することを思いついた。しかもただ販売するだけではなく、きれいに切って化粧箱に入れた。日本へのお土産にサーモンも同様に用意した。当時スライスしたサーモンはなかったと話す。ここからお土産用のスライスしたスモークサーモン販売を思いついた。化粧箱に入れ高級感を出す。「地元産の原材料にこだわりクオリティの高い商品に付加価値を付けて日本向けに販売する」。それにふさわしい会社名は何かと考えたという。

 クオリティの高いカナディアンフードを通して、カナダと日本の架け橋となれる会社にふさわしい名前…。

 その時に先住民族との関係を大事にしているウェインさんの母Georginaさんに思い至った。「そこで祖母を通してハイダ族の首長に話して、自分たちの思いを伝えて父に渡されたのが『チーナ』でした」

 先住民族の首長から名前を与えられるのは稀なことだという。それから「いまでは著名となったアーティストのDonald Yeomanさんと両親とでチーナのロゴを完成させました」

 「Cheena」はハイダ語で「輝くサーモン」や「最高のサーモン」という意味だという。「この名前とロゴが示すものは、最高のカナディアンフード、カナダ産商品だと思っています」とショーンさん。Georginaさんが描いたハイダ族のカヌーの絵とAdam Grant Horneさんファミリーの写真は、チーナの名前とロゴと一緒にカナダ建国150周年を記念する限定ギフトボックスのデザインとなった。

 先祖と祖母がカナダで果たしてきた努力への敬意と両親への思いが一つになった。

日本の顧客に喜んでもらえる商品を

 カナダと日本をカナディアンフードでつなげたいという思いは今も変わらない。「台湾や韓国、中国にも輸出していますけど、最大のマーケットは日本です」と語る。

 常に日本の顧客に喜んでもらえる商品をという思いで商品開発している。「例えば、スモークサーモンジャーキーはビールだけでなく日本酒にも合う『おつまみ』として人気があります」と説明する。

 またメープルシロップは、本来は色が濃いほど濃厚な味わいが楽しめるが日本では淡い色のメープルシロップが好まれるという。そこで、日本向けに「メープルヌーボー(Maple Nouveau)」を用意した。「メープルシロップの収穫シーズンの最初の日に1回だけ採れる貴重なメープルシロップです」。全てのメープルヌーボーには限定番号が付けられ「特別な商品となっています」。

 アジア市場への進出が続くが「日本は私たちにとって最も大切で特別な市場です」とショーンさん。

 日本へのお土産商品から始まった「チーナ」。世代が交代し、事業が拡大しても、1978年にバンクーバーダウンタウン1号店を始めた創業時から、引き継いだフィロソフィーは変わらない。「クオリティに妥協せず、多くの人に喜んでもらえる商品を届けたい」。両親の思いを受け継いで、ショーン・リトンさんの挑戦はこれからも続いていく。

Cheenaカナダ社
1978年ウェイン&かおり・リトンさんがブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市に設立。スモークサーモン商品、メープルシロップ商品を主力として販売。日本や韓国などアジアを中心に展開している。
カナダから日本へ届ける専用サイト(日本語):https://cheenashop.com/
日本国内専用サイト(日本語):https://cheena.co.jp/
北米顧客用シーフード商品サイト(英語):https://cheena.com/
北米顧客用メープル商品サイト(英語):https://mapleterroir.com/

(記事 三島直美/動画 斉藤光一)

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新聞「日加トゥデイ」2024年春号

新聞「日加トゥデイ」2024年春号。Photo by Japan Canada Today
新聞「日加トゥデイ」2024年春号。Photo by Japan Canada Today
Japan-Canada-Today-2024-Spring-edition

日系センター・春のバザー

日系文化センター・博物館

Nikkei National Museum & Cultural Centre
6688 Southoaks Crescent, Burnaby BC V5E 4M7
TEL 604.777.7000 
info@nikkeiplace.org   centre.nikkeiplace.org

受付・ミュージアム営業時間:火~土 午前10時~午後5時 休館日:日月祝

日系センター・春のバザー
NNMCC & NNMCC Auxiliary主催
5月11日(土)
11:00 am – 4:00 pm 

フリマ、プラントセール、お食事とおやつ、いろいろ選べるバザーへぜひお越しください。林ホール内のフリーマーケットでは、日本の食器や小物、日本人形、着物や浴衣など、状態のよい日本の中古品が並びます。日系ガーデンでは、紫蘇をはじめとする日本の植物や春の植物が揃います。行列ができるほど人気のまんじゅうや屋台もお見逃しなく。このイベントで得られる収益は、日本文化の普及および日系カナダ人の歴史の保存と共有に努める日系センターの運営に活用されます。ボランティア、ドナー、ベンダー、そしてご来場いただく皆様に感謝いたします。会員様特別入場:会員証をご提示していただくと、10:30amよりご入場いただけます。入場無料。

寄付のお願い

春のバザーは、ボランティアと皆様からのご寄付に支えられています。イベントで得られる収益は、日本文化の普及および日系カナダ人の歴史の保存と共有に努める日系センターの運営に活用されます。状態のよい日本のアイテムを寄付していただけるようお願い申し上げます。人形の寄付についてですが、こけしのドネーションは歓迎しますが、日本人形は受け付けていませんのでご了承ください。寄付をしていただける方は、火曜日から土曜日の10時から5時の間に受付にお持ちいただくようお願いします。植物の寄付は5月から受け付けます。

「カナダ“乗り鉄”の旅」第11回 優れた加速のスカイトレイン車両、NYにも「そっくりさん」~世界で5番目に住みやすい都市・バンクーバー編

スカイトレインのミレニアムラインの車両「マーク2」(2018年5月26日、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)
スカイトレインのミレニアムラインの車両「マーク2」(2018年5月26日、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)

大塚圭一郎

 カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)バンクーバーの都市圏の公共交通機関「トランスリンク」の無人運転電車「スカイトレイン」の持ち味は、走り出した時の加速感だ。路線「ミレニアムライン」は起伏があり、駅間距離が長い区間も多いだけに先頭部の座席に陣取ればジェットコースターのような迫力を味わえる。使われている主力車両は、アメリカ(米国)の最大都市ニューヨークの“空の玄関口”で活躍している鉄道と「そっくりさん」だ。その理由とは―。

【ボンバルディア】カナダのビジネスジェット機メーカー。本社を東部ケベック州に置いている。2023年の1年間の業績である23年12月期決算の売上高は前期比16%増の80億4600万米ドル(約1兆2100億円)、最終的なもうけを示す純損益は4億4500万米ドルの黒字(前年同期は1億4800万米ドルの赤字)だった。

エア・カナダのエアバスA220の復刻塗装機(23年9月28日、カナダ東部オンタリオ州で大塚圭一郎撮影)
エア・カナダのエアバスA220の復刻塗装機(23年9月28日、カナダ東部オンタリオ州で大塚圭一郎撮影)

 かつては旅客機や鉄道車両などを幅広く製造する世界大手の輸送機器メーカーだったが、小型ジェット旅客機の旧Cシリーズ(現在のエアバスA220)の開発費がかさんで経営危機に陥った。生き残りのために事業売却を進め、プロペラ機「Qシリーズ」の事業を航空産業に投資するカナダ企業に、小型ジェット旅客機「CRJ」の事業を三菱重工業に、鉄道車両事業をフランスのアルストムにそれぞれ売却した。現在は事業領域をビジネスジェット機の製造と販売、アフターサービスに絞り込んでいる。

エア・カナダの旧ボンバルディアCRJ。離陸中なのはポーター航空の旧ボンバルディアQシリーズのプロペラ機(23年10月3日、オンタリオ州で大塚圭一郎撮影)
エア・カナダの旧ボンバルディアCRJ。離陸中なのはポーター航空の旧ボンバルディアQシリーズのプロペラ機(23年10月3日、オンタリオ州で大塚圭一郎撮影)

反対方向の電車に乗り込んだ理由

 2023年12月、バンクーバー近郊のコキットラム市にあるスカイトレインのコキットラム・セントラル駅からミレニアムラインを利用した。私はバンクーバー中心部の宿泊先に戻る途中だったが、乗り込んだのは反対方向のラファージュ・レイク・ダグラス行きの電車だった。乗り間違えでは決してなく、明確な理由があった。

小田急電鉄のロマンスカーGSE70000形(19年5月25日、神奈川県海老名市で大塚圭一郎撮影)
小田急電鉄のロマンスカーGSE70000形(19年5月25日、神奈川県海老名市で大塚圭一郎撮影)

 首都圏の大手私鉄、小田急電鉄の運転席を2階に設けた特急用車両「ロマンスカーGSE」70000形のように、先頭部のフロントガラスに面した最前列の座席からの景色を楽しもうと思ったのだ。ただ、カナダのボンバルディアの鉄道車両事業だった旧ボンバルディア・トランスポーテーション(現在のフランスのアルストム)が製造したミレニアムラインの主力車両「マーク2」で進行方向の最前列の座席は「先着お1人様限り」で、この“特等席”は早々と埋まることが多い。

スカイトレインの車両マーク2の先頭部には1つの座席が設けられている(23年12月22日、ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)
スカイトレインの車両マーク2の先頭部には1つの座席が設けられている(23年12月22日、ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)

 そこでコキットラム・セントラル駅から2駅離れた終点のラファージュ・レイク・ダグラス駅へ向かった後、折り返すVCC―クラーク行きの電車に乗れば最前列の座席を確保できると考えたのだ。この時は通勤客が多い平日の夕方だったため4分おきに電車が走っており、あっさりと“特等席”をゲットできた。

優れた加速力の秘訣

 発車したマーク2はたじろぐほどの急ピッチで加速した。加速力が優れ、空転が起こらないことの秘訣は、磁石の引き寄せ合う力と反発し合う力を利用したリニアモーター駆動にある。スカイトレインでは3路線のうちミレニアムラインとエキスポラインで採用している。

 使われている車両はリニアモーターカーの一種だが、東京・品川―名古屋間で建設が進められているJR東海のリニア中央新幹線のような磁気浮上式ではない。一般的な電車と同じように2本のレール上を車輪で走る鉄輪式ではあるものの、推進力としてリニアモーターを使っているのだ。

スカイトレインのミレニアムラインの線路。2本のレールに挟まれて延びているのがリアクションプレート(23年12月22日、ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)
スカイトレインのミレニアムラインの線路。2本のレールに挟まれて延びているのがリアクションプレート(23年12月22日、ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)

 リニアモーター駆動の車両は床下に磁石のコイルを配置しており、2本のレールの間に敷いた「リアクションプレート」と呼ばれる板との間で発生する電磁力を使って進む。加速の良さだけではなく、パワフルなため急勾配にも強いのも利点で、アップダウンが多いミレニアムラインとエキスポラインの線形にはうってつけだ。

NYの「アレ」と似た乗り心地

 マーク2の乗り心地は、勤務先のニューヨーク支局特派員だった2013~16年に「空の玄関口」の一つのジョン・F・ケネディ国際空港(JFK空港)を利用した際にたびたび乗り込んだ「アレ」とよく似ていた。JFK空港の旅客ターミナルを巡り、近辺にあるニューヨーク地下鉄、ロングアイランド鉄道の駅を結ぶ鉄道「エアトレインJFK」の車両だ。

米国ニューヨークのエアトレインJFK(21年5月18日、Aaron J. Heiner氏提供)
米国ニューヨークのエアトレインJFK(21年5月18日、Aaron J. Heiner氏提供)

 エアトレインJFKに使っている車両を製造したのも旧ボンバルディア・トランスポーテーションで、スカイトレインのマーク2と類似した設計なのだ。エアトレインJFKが開業したのは2003年と、スカイトレインのミレニアムラインの先行区間が営業運転を始めた02年の翌年のため造られた時期も近い。

スカイトレインの車両マーク2の車内(23年12月22日、ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)
スカイトレインの車両マーク2の車内(23年12月22日、ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)

 もっとも、エアトレインJFKには先頭部のフロントガラスを向いて座ることができる“特等席”はない。座席が壁沿いに続いているロングシートで、スカイトレインのマーク2は進行方向または後方を向いたクロスシートが並んでいるのとは異なる。側面にある両開き扉もエアトレインJFKは片側2カ所と、マーク2より1カ所少ない。

まるで近未来都市

スカイトレインの車両マーク2の外観(23年12月22日、ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)
スカイトレインの車両マーク2の外観(23年12月22日、ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)

 先頭部の前照灯もエアトレインJFKは円形なのに対し、四角形のマーク2は近未来的な印象を与える。四角いヘッドライトが照らす前方を眺めると窓明かりがきらびやかに輝く超高層マンションが林立しており、まるで近未来都市のような風景が広がっている。

 米国の有力旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」の「世界で最も住みやすい都市」の調査で2023年に5位となったバンクーバーは、大都市ながらもカナディアンロッキーといった大自然に近い魅力もあって世界から憧れを持たれている。25年に年間50万人の移民受け入れを目指すカナダの移民政策も背景に、カナダ統計局の21年調査で約264万3千人だったバンクーバー都市圏の人口は増加傾向をたどっている。

スカイトレインのミレニアムラインから見た超高層マンション群(23年12月22日、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)
スカイトレインのミレニアムラインから見た超高層マンション群(23年12月22日、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州で大塚圭一郎撮影)

 そんな中で「特に好立地にありながら海を見渡せる超高層マンションは中国人や中国系カナダ人らが『爆買い』し、住宅価格も跳ね上がった」(地元の女性会社員)とされる。グレーターバンクーバー不動産協会によるとバンクーバー都市圏の今年2月の住宅基準価格は118万3300カナダドル(約1億3千万円)と、前年同月より4・5%も上昇した。

「最高の場所」の標語

 住宅の引き合いが旺盛な中で超高層マンションは増加の一途をたどっており、ミレニアムラインからもタワークレーンを載せた建設中の物件がいくつも視界に入った。だが、新たな物件が次々と分譲されても「高くてとても手が届かない価格ばかりだ」と嘆く声を複数の地元住民から聞いた。

 ふと前方を眺めると、反対へ向かうラファージュ・レイク・ダグラス行きのマーク2の電車とすれ違うところだ。白い車体の側面にはBC州のロゴの下に「地球上で最高の場所」という標語が記されていた。

 BC州が自賛しても不思議ではない「地球上で屈指の魅力的な場所」であることに同意する一方で、このようにも考えた。BC州を代表する都市のバンクーバーでも一人一人の住民が「最高の場所」と胸を張れるようにするには、より手頃な価格で住宅が手に入るようにする環境整備が不可欠ではないだろうか。

 バンクーバーが世界有数の住みやすい都市という“金看板”を維持するためにも、BC州などの当局には重い課題が突きつけられている。

共同通信社ワシントン支局次長で「VIAクラブ日本支部」会員の大塚圭一郎氏が贈る、カナダにまつわる鉄道の魅力を紹介するコラム「カナダ “乗り鉄” の旅」。第1回からすべてのコラムは以下よりご覧いただけます。
カナダ “乗り鉄” の旅

大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社ワシントン支局次長・「VIAクラブ日本支部」会員

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科を卒業し、社団法人(現一般社団法人)共同通信社に入社。大阪支社経済部、本社(東京)の編集局経済部、3年余りのニューヨーク特派員、経済部次長などを経て2020年12月から現職。運輸・旅行・観光や国際経済の分野を長く取材、執筆しており、VIA鉄道カナダの公式愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員として鉄道も積極的に利用しながらカナダ10州を全て訪れた。

優れた鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅(てつたび)オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を13年度から務めている。共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)などがあり、CROSS FM(福岡県)の番組「Urban Dusk」に出演も。他にニュースサイト「Yahoo!ニュース」や「47NEWS」などに掲載されているコラム「鉄道なにコレ!?」、旅行サイト「Risvel」(https://www.risvel.com/)のコラム「“鉄分”サプリの旅」も連載中。

Vancouver Cherry Blossom Festival2024開幕!サクラデイズ・ジャパンフェアは13、14日

 バンクーバーに春の訪れを告げるVancouver Cherry Blossom Festival。今年は3月29日からさまざまなイベントが開催されている。発起人のリンダ・ポールさんの提案で2005年に始まった「バンクーバー桜まつり」は、今やバンクーバーの春の風物詩。

 30日にはバンクーバー市イエールタウンで「ビックピクニック」が開催された。鏡割りも行われ、桜まつりの幕開けに花を添えた。

 人気イベントのSakura Days Japan Fairは今年もバンデューセン植物園で開催。日本の伝統や文化を体験することができるのが魅力で、毎年大人気。茶道や華道、書道などのワークショップや、和太鼓や三味線などのパフォーマンスがあり、日本のフードや日本酒などのグルメも満喫できる。今年は4月13日、14日に開催。入場は有料で、チケットはオンラインで購入。

 他にも、桜の種類や歴史について学ぶTree Talks and Walksや、桜にインスピレーションを受けて英語俳句を作るHaiku Invitational(3月1日からオンラインで受け付け開始、6月1日締め切り)、メトロバンクーバー各地でのポップアップイベント、桜のトンネルを自転車で楽しむBike the Blossomsなど、イベント満載。

 春の訪れとともに、桜の美しさと日本文化、そしてバンクーバーの多様性を祝うVancouver Cherry Blossom Festivalは4月25日まで。

Vancouver Cherry Blossom Festivalウェブサイト: https://vcbf.ca/
Sakura Days Japan Fairウェブサイト: https://vcbf.ca/event/sakura-days-japan-fair-2024/

David Lam Park in Vancouver, BC; Photo by Koichi Saito
David Lam Park in Vancouver, BC; Photo by Koichi Saito

(記事 編集部)

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