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Naomi Mishima

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ホワイトキャップスがプレーオフ進出を決める、GK高丘は無失点試合

プレーオフ進出を決めたセントルイス・シティSC戦。2023年10月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito
プレーオフ進出を決めたセントルイス・シティSC戦。2023年10月4日、BCプレース。Photo by Koichi Saito

 バンクーバー・ホワイトキャップスが今季プレーオフ進出を決めた。この日、チームは西カンファレンス首位のセントルイス・シティSCに快勝。GK高丘は無失点に抑えた。

10月4日(BCプレース:13,776)

バンクーバー・ホワイトキャップス 3-0 セントルイス・シティSC

前半を両チーム無得点で迎えた後半。ホワイトキャップスのホワイト(#24)が58分に決めて1点目。キャップスは、82分にほぼダメ押しの2点目を入れると、アディショナルタイムに3点目を入れ、試合を決めた。

圧倒した試合で快勝

 この日のホワイトキャップスは、19本のシュートを放ち、枠内シュートも7本と、怒涛の攻めを見せた。守ってはGK高丘が前半にスーパーセーブで相手の先制を許さず、無失点試合とした。

 プレーオフ進出がかかる一戦。終わってみれば、3-0の快勝だった。試合後、Vanni Sartini監督は、「もちろん気分がいいですよ。いい試合をしたし、良いチームだし。これまでの試合より内容も良く、ゲームプラン通りに試合を運べた」と機嫌よく話した。「これまでは、たくさんチャンスを作っても、ゴールに結び付かなったことも多かったが、今日の大事な試合でうまくいったことはよかった。とてもハッピーだ」と語った。

 この日の勝利でホワイトキャップスは勝ち点を46とし、西カンファレンス5位に。4位ソルトレイクとは勝ち点で並び、3位LAFCとは1点差、2位シアトル・サウンダーズとも3点差と、今後の結果次第では2位も狙える位置にいる。

 しかも残り2試合は、アウェイでシアトルと、ホーム最終戦でLAFCと直接対決。これからホワイトキャップスがどこまで順位を上げられるかに期待がかかる。

10月のホームゲームhttps://www.whitecapsfc.com/

10月21日 6:00 pm LAFC戦

(写真 斉藤光一/記事 編集部)

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「カナダ“乗り鉄”の旅」第5回 美しいハドソン川辺の車窓、実は米国版「新幹線大爆破」に登場 全面再開の国境縦断列車

アムトラックの米加国境縦断列車「アディロンダック」(2023年9月23日、ニューヨーク・ペンシルベニア駅で大塚圭一郎撮影)
アムトラックの米加国境縦断列車「アディロンダック」(2023年9月23日、ニューヨーク・ペンシルベニア駅で大塚圭一郎撮影)

大塚圭一郎

 カナダ第2の都市のモントリオールと米国の主要都市ニューヨークを結ぶ国境縦断列車「アディロンダック」が2023年9月11日、全面再開した。6月24日からの3カ月弱はニューヨーク州内だけを部分運行していたが、再び米加両国を行き来するようになった。見せ場の一つとなっているハドソン川沿いの車窓は、その美しさとは裏腹に米国版「新幹線大爆破」と呼ぶべき血なまぐさい映画に登場した―。

 【アディロンダック】カナダ東部モントリオールの中央駅と米国ニューヨーク中心部マンハッタンのペンシルベニア駅(ペン駅)の間を南北に縦断する国境縦断列車。1日1往復しており、走行距離は約610キロ。全米鉄道旅客公社(アムトラック)が運行し、VIA鉄道カナダが協力している。アディロンダックの営業損益は新型コロナ流行前の2019会計年度(18年10月~19年9月)で80万米ドル(1米ドル=145円で1億1600万円)の赤字で、ニューヨーク州の補助金などで支えている。
 列車名はアディロンダック山地から命名しており、アディロンダックは先住民「モホーク族」の言葉で「アメリカヤマアラシ」を意味する。山地はなだらかな山々が連なり、最高峰のマーシー山の標高は1629メートルと日本の東北地方の栗駒山とほぼ同じ。

長らく「薄暗く風情のない駅」に

米ニューヨーク・マンハッタンのグランドセントラル駅舎内(2023年9月9日、大塚圭一郎撮影)
米ニューヨーク・マンハッタンのグランドセントラル駅舎内(2023年9月9日、大塚圭一郎撮影)

 ニューヨーク・マンハッタンの主要駅は、ニューヨーク州やコネティカット州の閑静な住宅地と結ぶメトロノース鉄道などが発着するグランドセントラル駅と、全米鉄道旅客公社(アムトラック)やニュージャージー州との間を走る列車のNJトランジットなどが乗り入れるペンシルベニア駅(ペン駅)がある。これらの2駅の雰囲気は長らく、光と影のように受け止められてきた。

 グランドセントラル駅は完成から今年で110年を迎える石造り駅舎で知られ、星座が描かれた高いドーム形天井の下で記念撮影する観光客が引きも切らない人気観光スポットだ。丸の内口の赤れんが駅舎を擁する東京駅と姉妹提携を結んでいる。

 対照的に「薄暗く風情のない駅」(ニューヨーク市民)と受け止められていたのがアディロンダックを含めたアムトラックの列車が多く発着するペン駅だ。スポーツ競技やコンサートなどに使う会場「マディソン・スクエア・ガーデン」を建設するために荘厳な旧駅舎は1963年に解体され、それ以来は地下1階にコンコースのある殺風景な駅になっていた。

家系ラーメンも味わえるターミナル

ニューヨーク・ペン駅のライトアップされた外観(2023年9月23日、大塚圭一郎撮影)
ニューヨーク・ペン駅のライトアップされた外観(2023年9月23日、大塚圭一郎撮影)

 転機となったのは2021年に開業した「モイニハン・トレイン・ホール」だ。かつて郵便局だった石造りの建物を駅舎の一部として活用することで風格のあるたたずまいに一変した。列車が発着するプラットホームへ向かうエスカレーターが並ぶコンコースはガラス張りの天井で覆ったことで明るく、開放的な空間になった。

 モイニハンの名前は、郵便局の建物を駅舎として生かすアイデアを提案したニューヨーク州選出の故ダニエル・モイニハン元米国上院議員(民主党)から命名された。

ニューヨーク・ペン駅で味わえる「E・A・K・ラーメン」(2023年9月23日、大塚圭一郎撮影)
ニューヨーク・ペン駅で味わえる「E・A・K・ラーメン」(2023年9月23日、大塚圭一郎撮影)

 構内のフードコートには代表的な国際都市の一つのニューヨークらしく幅広いジャンルの飲食店が並び、メニューを眺めているだけでも楽しい。東京都町田市に2008年に誕生して以来、規模を急拡大している人気ラーメン店チェーン、町田商店がプロデュースする「E・A・K・ラーメン」も23年に開業した。町田商店が属する「家系ラーメン」をアルファベットで表記したユニークな店名で、私が注文した豚骨しょうゆ味のラーメンは税別で13・80米ドル(1ドル=145円で約2千円)。コクのあるスープが味わい深く、太めのめんと良い具合に絡みつく。

昔と変わらない“恒例行事”

 モイニハン・トレイン・ホールの開業後に様変わりしたペン駅だが、搭乗ゲートが発表されると利用者が一斉に押しかける“恒例行事”は変わらない。列車の出発予定時刻ぎりぎりまで発車ホームが案内されないこともあり、利用者が切歯扼腕(せっしやくわん)する姿をよく見かける。

 アディロンダックは米加国境を越えることから出国・入国審査もある。予約時に必要事項を申請し、当日はパスポート(旅券)の所持が必須だ。乗車時の体験に基づき、どのような行程なのかをご紹介したい。

全米鉄道旅客公社(アムトラック)のかまぼこ形客車をディーゼル機関車が引いた列車(2023年8月、米バージニア州で大塚圭一郎撮影)
全米鉄道旅客公社(アムトラック)のかまぼこ形客車をディーゼル機関車が引いた列車(2023年8月、米バージニア州で大塚圭一郎撮影)

 機関車がけん引する客車は、1975年に登場した「アムフリート」と呼ばれる断面が「かまぼこ形」をしたステンレス製車両だ。かつて存在した米国の金属加工メーカー、バッドが製造し、同社は日本初のオールステンレス車両となった1962年登場の東京急行電鉄(現東急電鉄)初代7000系の製造技術を供与したことで知られる。

 車内の座席は、背もたれが倒れるリクライニング式のクロスシートが中心だ。旅のため軽食や飲料を売っているコーナーを備えた車両「カフェカー」も連結している。

 ニューヨーク発のアディロンダックはペン駅を午前8時40分に出発し、定刻で運行した場合でもモントリオール中央駅に着くのは午後8時16分と半日後になる。モントリオール発の列車は午前11時10分に出て、定刻ならばニューヨークに午後10時15分に到着する。

米国版「新幹線大爆破」の舞台

メトロノース鉄道ハドソン線の列車(2021年6月12日、米ニューヨーク州で大塚圭一郎撮影)
メトロノース鉄道ハドソン線の列車(2021年6月12日、米ニューヨーク州で大塚圭一郎撮影)

 ニューヨークからモントリオールへ向かうアディロンダックはペン駅を出発後、グランドセントラル駅を発着するメトロノース鉄道ハドソン線の線路とニューヨーク市ブロンクス区で合流する。メトロノース鉄道ハドソン線は2018年公開の映画「トレイン・ミッション」(原題は「通勤者」を意味する「The Commuter」)の舞台となり、走る列車内で乗客らの命を守るためにアクションシーンが繰り広げられる様子は日本国有鉄道(現在のJRグループ)の協力を得ないで撮影された1975年公開の映画「新幹線大爆破」をほうふつとさせる。

 トレイン・ミッションの血なまぐさい暴力シーンを和らげる効果を発揮するのが、列車の窓の向こうに時折映し出されるハドソン川の落ち着いた流れだ。ニューヨークから乗車する場合に左手にしばらく続く紺碧色の川面は、国際都市の近郊を走っていることを忘れさせてくれるような安らぎを与えてくれる。

米ニューヨーク州を走行中、車窓に広がるハドソン川のゆったりした眺め(2022年10月20日、メトロノース鉄道ハドソン線から筆者撮影)
米ニューヨーク州を走行中、車窓に広がるハドソン川のゆったりした眺め(2022年10月20日、メトロノース鉄道ハドソン線から筆者撮影)

 出発から約1時間半後の午前10時12分、列車はポキプシー駅(ニューヨーク州ポキプシー市)に着く。かつては地元の名産品だったれんがで造られた立派な駅舎が目を引く。この駅はメトロノース鉄道ハドソン線の終点だ。

 北へ約7キロ離れたニューヨーク州ハイドパーク市には、世界で愛飲されている日本酒「獺祭(だっさい)」を手がける旭酒造(山口県岩国市)の初めての海外生産拠点が2023年9月に開業した。ニューヨーク市に供給される水道水を取水している地域で、清酒の現地生産品「ダッサイブルー」を造っている。

20分停車の理由

れんがで造られたポキプシー駅舎(2022年10月20日、大塚圭一郎撮影)
れんがで造られたポキプシー駅舎(2022年10月20日、大塚圭一郎撮影)

 ポキプシー駅の北を走る旅客列車はアムトラックだけとなる。ニューヨーク州の州都オールバニにあるオールバニ・レンスラー駅に午前11時20分に到着し、20分後の11時40分に出発する。停車時間を長く取っているのは機関車を付け替えるためだ。

 ペン駅を含めたマンハッタンの区間には、規制によってディーゼルエンジンで走る列車は乗り入れることができない。このため、ペン駅とオールバニ・レンスラー駅の間は線路脇の第三軌条から集電して電気でも、ディーゼルエンジンでも運行できる機関車を用いている。

 このような特殊な設計の機関車は「通常のディーゼル機関車よりも車両価格が高い」(鉄道関係者)。そこでペン駅とオールバニ・レンスラー駅の間でフル活用し、オールバニ・レンスラー駅から北の運行では通常のディーゼル機関車に交換するのだ。

国境をどう通り抜ける?

アディロンダックの車窓から眺めたシャンプレーン湖畔の景色(2014年7月、米ニューヨーク州で大塚圭一郎撮影
アディロンダックの車窓から眺めたシャンプレーン湖畔の景色(2014年7月、米ニューヨーク州で大塚圭一郎撮影

 ハドソン川沿いとともにアディロンダックの車窓の山場となっているのが、アディロンダック山地にあるシャンプレーン湖畔の景色だ。森林を切り拓いて敷かれた鉄路は、湖岸を縫うように低速で進む。

 秋になるとこの区間に林立する木々が紅葉し、葉が黄色や赤色に染められた山肌を一望できるようになる。アムトラックは紅葉シーズンになるとガラスのドーム形天井で覆われた客車をアディロンダックに連結していたが、「1955年の製造から老朽化が進んだ」(関係者)ことから2018年秋が最後となった。

 アムトラックはシャンプレーン湖の西側のニューヨーク州を走るアディロンダックに加え、湖の東側にあるバーモント州のセントオールバンズと首都ワシントンを結ぶ列車「バーモンター」を運行している。

 バーモンターが1995年に登場する前は、モントリオールとワシントンをつなぐ夜行列車が走っていた。かつてのようにセントオールバンズの北約114キロにあるモントリオール中央駅まで運行区間を延ばすことが検討されている。

 鉄道関係者によると、併せて検討されているのがモントリオール中央駅に米加国境をまたぐ利用者の検問手続きをする施設の整備だ。両方の列車の利用者をモントリオール到着後、または出発時に入国・出国の審査をすることが考えられているのだ。

 現段階ではカナダと米国の国境地点でアディロンダックが停車し、検問に携わる係員が乗り込んで乗客の査証などを確認し、荷物を点検している。不審な点があった利用者にはカフェカーへ移動することを命じ、より詳しく事情を尋ねていた。

 ただ、カナダ国内に途中停車駅はない。よって、モントリオール中央駅に国境横断手続き用施設を造り、一手に入国・出国管理をしたほうが効率的だと想定しているようだ。

 検問が終わったアディロンダックが再び走り出したのは、カナダの大地だ。モントリオールを一路目指すケベック州のゆったりとした平原を窓外に眺めていると、「真の北国は力強く自由だ!」という国歌「オー・カナダ」の歌詞の一節が口をついて出た。

全米鉄道旅客公社(アムトラック)のガラス張りのドーム形天井になった客車(手前、2014年7月16日、米ニューヨーク州で大塚圭一郎撮影)
全米鉄道旅客公社(アムトラック)のガラス張りのドーム形天井になった客車(手前、2014年7月16日、米ニューヨーク州で大塚圭一郎撮影)

共同通信社ワシントン支局次長で「VIAクラブ日本支部」会員の大塚圭一郎氏が贈る、カナダにまつわる鉄道の魅力を紹介するコラム「カナダ “乗り鉄” の旅」。第1回からすべてのコラムは以下よりご覧いただけます。
カナダ “乗り鉄” の旅

大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社ワシントン支局次長・「VIAクラブ日本支部」会員

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科を卒業し、社団法人(現一般社団法人)共同通信社に入社。大阪支社経済部、本社(東京)の編集局経済部、3年余りのニューヨーク特派員、経済部次長などを経て2020年12月から現職。運輸・旅行・観光や国際経済の分野を長く取材、執筆しており、VIA鉄道カナダの公式愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員として鉄道も積極的に利用しながらカナダ10州を全て訪れた。

優れた鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅(てつたび)オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を13年度から務めている。共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)などがあり、CROSS FM(福岡県)の番組「Urban Dusk」に出演も。他にニュースサイト「Yahoo!ニュース」や「47NEWS」などに掲載されているコラム「鉄道なにコレ!?」、旅行サイト「Risvel」(https://www.risvel.com/)のコラム「“鉄分”サプリの旅」も連載中。

ホワイトキャップス、1カ月ぶりのホームは引き分け

ホワイトキャップス対DCユナイテッド。2023年9月30日、BCプレース。Photo by Koichi Saito
ホワイトキャップス対DCユナイテッド。2023年9月30日、BCプレース。Photo by Koichi Saito

 バンクーバー・ホワイトキャップスが約1カ月ぶりにバンクーバーに帰ってきた。長いアウェイでの連続7試合を3勝2敗2分けで終え、9月30日、ホームにDCユナイテッドを迎えた。

9月30日(BCプレース:19,422)

バンクーバー・ホワイトキャップス 2-2 DCユナイテッド

先制はホワイトキャップス。試合早々の2分にホワイト(#24)が決め、1-0。しかしユナイテッドも11分に同点に。後半、ホワイトキャップスはPKのチャンスにガウルド(#25)が決め、再び突き放すも、62分に同点に追いつかれる。結局、試合はそのまま引き分けた。

プレーオフ進出に向け「ファイティングモードが必要」

 「全体的に内容は良かった」とVanni Sartini監督は記者会見で語った。最初の失点は「(相手への)ギフトだった」と、キャップスのディフェンダーが足を滑らせたためGK高丘からのボールを受け取れず相手に得点を許したシーンを振り返った。「ディフェンダーがソフトだと相手のオフェンスが強く出てくる」と繰り返す。

 アウェイが続いて選手たちが疲れているのではないかとの質問には、「この時点で100%の選手はいない。疲れているのは相手も同じこと」と、同点だったことに疲れは言い訳にできないと厳しい表情で語った。

 次戦10月4日BCプレースでのセントルイス・シティSC戦でキャップスが勝利し、ミネソタ、もしくはダラスが敗れるとプレーオフが決まる。

 「良いプレーをしているが結果がついてこない。今は結果が全て。チームには、メンタル的にも、テクニカル的にも、ファイティングモードが必要」と次を見据えた。

9月30日はNational Day for Truth and Reconciliation

 この日は、カナダの祝日 “National Day for Truth and Reconciliation”。試合前練習では選手たちは全員オレンジのシャツを着用。

 試合前には先週民族の人たちによるブレッシングも行われた。

オレンジシャツを着て試合前の練習に参加するGK高丘。DCユナイテッド戦。2023年9月30日、BCプレース。Photo by Koichi Saito
オレンジシャツを着て試合前の練習に参加するGK高丘。DCユナイテッド戦。2023年9月30日、BCプレース。Photo by Koichi Saito

(写真 斉藤光一/記事 編集部)

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誰もが安心して参加できる研修で繋がることでパワーが生まれる:日本各地でインクルーシブ教育導入活動『All Means All 』を目指す

研修後東京都内の私立高にレインボーフラッグスティッカーが登場した!(写真:Ak Jump Educational Consulting Inc.)
研修後東京都内の私立高にレインボーフラッグスティッカーが登場した!(写真:Ak Jump Educational Consulting Inc.)

2023年3月にバンクーバーで開催された、カナダインクルーシブ教育研修は人を繋いだ。日本ではまったく他人だった人たちが研修を通して出会い、日本の既存の分離教育システムという大きな壁を排除していく一歩に繋がっていった。

日本でのインクルーシブ教育導入がなかなか実現できずいる、施策が思いつかないと重い口調であった研修参加者達が多かったなか、研修中盤から、その参加者の顔が断然明るくなり、研修後には『やはり何か行動を起こしたい』『一人ではないんだ』と励まされたと、感想を述べてくれた。帰国後には、即ゴールに向かって行動を開始されたという報告がたくさんあり、嬉しい悲鳴をあげた。

例えば、東京都内私立高校生物学教師は、生徒とできる簡単な意識向上活動(レインボーカラースティッカーを制作し学校の廊下に貼る等)を実行。また、政策関係の仕事に従事している参加者は、よりインクルーシブな教育政策方針改定提案をと政策見直し活動にも活発に取り組む姿勢で、報告会を日本でしている。NPO法人ワンステップかたつむり国立からや、自立ステーションつばさなどからも参加者さんが来てくれた。そして研修後の今年2023年5月にかたつむり国立さん主催で『インクルーシブ教育ってなあに?』という劇をして、インクルーシブ教育の基本概念を理解してもらう活動を起こした。この劇では、カナダ研修で強調した、近隣の学校で望んだ学校に行ける権利、障がいがあるからと特別に選ばなくていい権利について主張されていた。一参加者の広島にある日本インクルーシブ研究所代表者はインクルーシブ教育セミナー、発達支援員養成講座開催を今まで以上に精力的に実行してくれている。障害児を普通学校へ・全国連絡会の一員として活躍するという方は大変積極的に研修事後報告会企画を主導し運営委員会を、難民支援団体職員の方や学校教師と一緒に結束して実施まで持っていってくれた。また数々の研究者や福祉関係者の参加者さんが、大学や自治体などでインクルーシブ教育セミナーや講演を開いてくれているという。このような参加者さんからの活発な活動報告を聞いて、当研修で行動を起こすパワーの種まきができたことを大変嬉しく思っている。

日本は実現に向けて、まずは法律でインクルーシブ教育の保障をする、それに付随して政府からの教育予算増加、通常クラスの担任の負担を減らす為のEducational Assistant(教育アシスタント=教員補助)などの専門家チームで普通学級担任を助けていくシステム構築、そして人権と人権擁護の理解とその普及活動を積極的に実施していかなければならない。

それには、考えているだけで終わらずに、実際に行動に移す!この実行力が重要な鍵となる。行動に移す際には、仲間が要る。その仲間を作るには、横繋がりになり、お互いにできるところを助け合い、学びあい、進むというインクルーシブさが決めてになる。

当研修チームにも多様なスキルや才能を持った運営スタッフや地元BC州の専門家が集まった。特に筆者のビジネスパートナーで運営の要になってくれた Yasuko Donily氏 (In8 Consulting Inc. 代表、Whistler Adaptive Sports Program 理事)には、感謝をしきれない。彼女はユニバーサルデザインに力をいれていて、インクルージョンの概念を真剣に世の中に浸透させる活動をしている。そして、誰もが参加できるイベントやカンファレンスの企画から運営までを務めてくれた。

彼女のおかげで介助士さんと一緒に発語が無い参加者さんや車椅子の参加者さんも安心して参加できていた。四歳の幼児も移民難民の支援員の母親と参加。LGBTQの当事者の参加者もいてバンクーバーの街のEVERYONE IS WELCOMEの雰囲気に感動してくれた。これから特別支援学級の教師を目指すという大学生も分離ではない教育方法を学びに来てくれた。研修の雰囲気は、いろんな具の出しが凝縮した味のある温かい豚汁みたいにごちゃ混ぜ状態であった。

そして日本からの研修参加者とカナダ側の研修企画関係者の間に、海を超えた仲間意識がたった一週間で芽生え、団結心が湧き上がった。繋がったことでエンパワーされ、行動を即座に起こす勇気が起こった瞬間には皆からまぶしいくらいに輝く笑みがこぼれ、ポジティブなバイブを感じたのは私だけでなかったはずだ。

何度も繰り返すが、この研修を通して、日本に必要なのは、『行動に移すぞ』という、自信とパワー源だったと実感。実現に向けて、必要性や可能性の明瞭でない目的を掲げているだけでは、行動を起こすパワーは湧き上がらないし岩も動かない。

カナダのインクルーシブ教育実現に向けての移り変わり

(Transformation)にも触れ、真のインクルーシブ教育現場を目の当たりにできる研修で、カナダも色々な壁がありそれを乗り越えてきた様を見るのも大事だ。決してカナダのいままでの道のりも平坦なJourneyではなかったからだ。

『ALL MEANS ALL:全ては全てを意味する』という、全ての子供が一緒に学べる場を作る事ができるという信条を持って進めてきている、カナダのインクルーシブ教育関係者達の強い信念にオンラインではなく、現地の様子を視察し、五感で感じ、目の当たりに触れることでもう一歩前進する勇気をもってもらえたと、一般公開された研修後報告会(東京世田谷で8月にハイブリッドで参加者有志による主催で開催)からも伺えた。

追記:これからの活動について

ネットワークをもっと広げたい、カナダのインクルーシブ教育の良さをもっと肌で感じてもらいたい、もっと詳しく伝えたいと痛切に望みながら、来年度の二回目の実施に向けて準備を進めている。研修第一弾での多々ある反省点を踏まえ、次回はインクルーシブ教育システムについての研修と、さらにはユニバーサルデザインのある学びの場や社会や生活環境にも焦点を置く予定である。ユニバーサルデザインの概念なくしては、既存の排他的な環境を変えてはいけないからインクルーシブ教育実現に向けての大切なポイントである。

インクルーシブ教育推進と実現に向けて世界規模で行動を起こしている多様な実行者の人達の声が日本中に響きますように、そして、これからも日本全国でのインクルーシブ教育実施に向けて、カナダと日本を繋ぐ架け橋になって応援できますようにと願いながら寄稿文を〆に思いを託しました。読んでくださった皆様どうも有難うございます。

寄稿者:高林美樹

高林美樹

プログラムプロデューサー、AK Jump Educational Consulting Inc. Founder
ウィスラーマルチカルチュラルソサエティ理事
Japanese New Immigrant Committee(JNIC:新移住者委員会)委員
West Vancouver School District Parent Committee, Equity Diversity Inclusion, メンバー

NY、ロンドンなど合計28年の海外生活で大学院修了、出産、子育てを異文化で経験し、人権を重んじた海外の共生社会、“誰もが取り残されない環境“に助けらてきた。2022年に留学・教育コンサルティング会社起業。グローバルリーダー養成、地域とつながるボランティア、文化継承企画をオンラインで多創出。National Association of Japanese Canadians(NAJC)/JNIC委員、共生社会推進団体理事を務め、日加交流活動を通し、インクルーシブで多様な人とひとを繋ぎ社会課題解決策を生み出し、コミュニティ繁栄を目指す取り組みに全力投球中。カナダと母国日本を結び、両国の人々の信頼関係を強め、ともに公正な社会で幸せに暮らせるように貢献することを常に目標としている。
*NAJCは1947年に設立された、日系コミュニティを代表するカナダで唯一全国組織で人権擁護と多様性あるコミュニティ作りを推進。傘下に戦後の移民中心に日本語で活動する新移住者委員会(JNIC)が昨年発足。

連絡先: Miki@akjump.ca
HPリンク: https://akjump.ca

「和の学校@東漸寺*10月のお知らせ」

和の学校@東漸寺*ワークショップ&教室情報*

「着付教室」

10月1日、15日(日曜日)
午前10時~午後2時の間 (教室は1時間半) 地下道場又は本堂にて
*日時について変更もございますので、その都度ご連絡をいただけましたら幸いです。
参加費 $20/回
茶話タイム 午後12時~1時

「殺陣教室」

10月8日、22日、29日(日曜日)
午前10時~午後2時 地下道場にて
参加費 $20/回
通常は2つのクラスがございます。
「殺陣*お稽古&俳優コース」「殺陣*初回&基礎コース」

「お寺deダンスワークショップ開催!」

10月15日(日)午後1時&午後2時半
子供から大人まで、楽しくダンスやエクササイズをしませんか。

 テーマ「ハロウィーンパーティー2023」

●午後1時〜2時 (親子でダンス!対象年齢 3歳~7歳) 
参加費:$12/お子様おひとり 保護者:無料)

●午後2時半〜3時半(大人と子供一緒にダンス! 対象年齢8歳以上) 
参加費:$12/お子様おひとり(8歳~12歳)$14/大人(13歳以上)

●同時開催のお知らせ:七田キッズアカデミーご紹介ワークショップhttps://shichidacanada.com 午後1時~2時半 お寺玄関ホールにて

詳しくは和の学校@東漸寺ページからご覧ください。 https://wanogakkou.jimdofree.com/

お問い合わせ、お申し込み

コナともこ

和の学校@東漸寺 tands410@gmail.com
東漸寺TOZENJIホームページ https://tozenjibc.ca/
住所 209 Jackson st. Coquitlam

「お寺deダンス*ワークショップ開催!」

10月15日(日)午後1時&午後2時半

子供から大人まで、楽しくダンスやエクササイズをしませんか。

 テーマ「ハロウィーンパーティー2023」

●午後1時〜2時 (親子でダンス!対象年齢 3歳~7歳) 参加費:$12/お子様おひとり 保護者:無料)

●午後2時半〜3時半(大人と子供一緒にダンス! 対象年齢8歳以上) 参加費:$12/お子様おひとり(8歳~12歳)$14/大人(13歳以上)

●同時開催のお知らせ:七田キッズアカデミーご紹介ワークショップhttps://shichidacanada.com 午後1時~2時半 お寺玄関ホールにて

*お好きなコスチュームでお越しください。

お申し込み、お問い合わせは、和の学校@東漸寺ともこまで。tands410@gmail.com

「七五三祝い@東漸寺2023のお知らせ」

七五三は、その名の通り、
三歳・五歳・七歳に成長の節目として、無事に成長したことを感謝し、これから先の幸福と健康長寿を御祈りする儀式です。
そして、お寺でも参拝ができることをご存知ですか?

お寺で活動している和の学校@東漸寺では、お参り、着物レンタル、着付サービス及び写真撮影(有料、予約制)を承っております。

料金や詳細は、ホームページ「お寺で七五三お祝いプラン」からご覧いただけます。

お席に限りがございますので、お早目のお申し込みをお勧めいたします。

どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
コナともこ tands410@gmail.com

ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/

今年の合同法要は通常通りに行われる予定です。

ご家族お揃いでお越しください。
日時 2023年11月12日(日)合同法要は午前11時(どなたでもご参加できます)
会場 東漸寺TOZENJI 館内
住所 209 Jackson street Coquitlam,B.C.

皆さまのお越しをお待ちしております。

コナともこ

和の学校@東漸寺

<Kona Kimono Service>着物関係リンク 

コナ着物サービス
*着付教室*着物レンタル*着付け&和装ヘアーメイク*
<2023七五三のお祝い*着物レンタル、写真撮影、先行ご予約が始まりました!>

Facebook https://www.facebook.com/tomoko.kona.98
Instagram https://www.instagram.com/konatomoko/?hl
Kimono column (日加テゥデイにて「着物コラム」を掲載中ですSorry only Japanese language)
https://www.japancanadatoday.ca/category/column/kona-kimono-story/

<Tozenji Temple>東漸寺関係リンク
Japanese culutre school 和の学校@東漸寺Homepage
https://wanogakkou.jimdofree.com/
Japanese culutre school  和の学校@東漸寺Instagram
https://www.instagram.com/wa_no_gakkou_tozenji/
Japanese culutre school  和の学校@東漸寺Facebook
https://www.facebook.com/profile.php?id=100069272582016
Tozenji東漸寺Homepage
https://tozenjibc.ca/

日系文化センター・博物館から10月のイベントのお知らせ

日系文化センター・博物館
Nikkei National Museum & Cultural Centre
6688 Southoaks Crescent, Burnaby BC V5E 4M7
TEL 604.777.7000 
info@nikkeiplace.org   www.nikkeiplace.org
受付・ミュージアム営業時間:火~土 午前10時~午後5時 休館日:日月祝

イベント

日系ガーデン・ファーマーズ・マーケット

10月8日と22日(最終日)午前10時〜午後2時

産地直送の農産物やローカルで手作りされた美味しい食べ物、そして地元の作家による心のこもったハンドメイド品が並びます。ガーデンでのんびりと、マーケットをお楽しみください。ハロウィンにちなんだアクティビティや新書紹介イベントなどを企画しております。

秋の古本市・クリアランスセール

10月3日(火)よりスタート

毎週火曜日から土曜日、午前11時から午後3時

10月8日(日)と22日(日)はファーマーズマーケットに合わせて10時から2時まで営業。

マンガ・絵本・文庫本・単行本・DVDなど全部1ドル!お得なセットまとめ売りもあります。読書の秋を楽しみましょう。

只今、古本の受付を停止しておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 「超絶技巧の日本」展プレビューパーティー

11月4日(土)

午後1時から午後4時まで

$30(税金と手数料別途)

抹茶のサービス、軽食、ノーホストバーあり。

「超絶技巧の日本」展のオープニングを祝して、優雅な午後のひと時を過ごしませんか。

三堀栄純「菓道一菓流」

11月4日(土) 午後7時~8時半

開場: 午後6時

チケット: $40(税と手数料別途)、NNMCCメンバーは20%割引

銀髪と全身黒の着物で知られる、先駆的なアーティスト、三堀栄純氏とともに、和菓子の魅力に触れてみませんか?伝統的な和菓子が、三堀氏の手によって劇的なスペクタクルへと変身します。また、マスタークラスを11月5日、6日、7日に開催します。詳細はウェブサイトをご確認いただくか、お電話でお問い合わせください。centre.nikkeiplace.org | 604.777.7000

プログラム

日系センターでは、日本語でのプログラムも開催しております。柔道や合気道、習字クラブ、歌声喫茶、日本舞踊、囲碁クラブ、そろばん、和太鼓、フラダンス、ラインダンス、バドミントン、ピクルボール、シニアカラオケなど、ぜひご参加いただければ幸いです。

将棋プログラムが再開

日本将棋連盟・カナダ将棋支部による将棋プログラムが再開されます。初心者の方歓迎、一緒に将棋を指しませんか。指導は英語と日本語の両方で受けられます。予約不要。開催日時 : 10月から12月の第一土曜日 (10月7日、11月4日、12月2日)、10am-12pm。参加費 : 一般 $5 。メンバー 無料。

KIZUNA(絆): 繕い物 、初心者

10月7日、14日、21日、28日

午前9時20分から午前10時20分

ドロップイン料金:$5

古着を修繕し、リフォームして新しい命を吹き込みましょう。

日系センター・シニアラウンジは、毎週水曜日の午後12時から3時まで、シニアの方々を対象とした無料プログラムです。シニアの皆様が気軽に集まり、リラックスし、かつ健康増進を促進する活動を楽しむ場所を提供します。ボランティアがエクササイズの指導やパソコン、スマートフォン、その他デジタル製品に関する質問に答えたり、年齢に合った環境への適応方法や、自分らしい人生を送るためのサポートも行います。セミナーは毎月第二水曜日に行われ、10月11日(水)は「住宅とケアの選択肢」について行われます。ぜひご参加ください。

展示 

常設展:「体験:世代を超えて受け継がれる、困難を乗り越え立ち上がる力」

日系人の歴史を日本語で紹介しています。2階入場無料 。特別展示ギャラリーは10月は展示替えのためお休みです。11月7日より『超絶技巧の日本』展が無料公開されます。

日系ブックストア

10月は週5日間、火曜日から金曜日の午前11時から3時まで営業しています。只今、古本の受付を停止しておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

ミュージアムショップ

日系の歴史の書籍、日本からの輸入品、地元作家によるハンドメイド品を取り揃えております。お気軽にお立ち寄りください。

会員募集
日本文化と日系人の歴史をサポートしましょう。会費収入は施設の維持費、展示、イベント、プログラムの充実に活用されます。会員の皆様には割引特典があります。

S.U.C.C.E.S.S.リッチモンドからオンラインワークショップのお知らせ

テーマは「薬物使用とメンタルヘルス」

日時:2023年10月14日(土)午後1時~2時半

申し込みリンク: https://success.jotform.com/232631714266858

お申し込みの締め切り:10月13日( 金 )午前9時

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夏が終わり、また寒い季節がやってきますね。曇りや雨が続いて気持ちも落ち込みがちな時期です。

今回はソーシャルワーカーの徳元カイルさんをお招きして、サブスタンスとメンタルヘルスの関係から私たちのこころの健康について考えましょうというワークショップを企画しました。

そもそもSubstance useとは?薬物使用と聞くと“違法ドラッグ“のことが思い浮かびますが、処方薬やアルコールも含むの?そしてメンタルヘルスに大きな影響力があることは想像できます。私たちは日々の生活の中で不安やストレスに常にさらされています、それらと上手に付き合い、心身共に健康であり続けたいと誰でも願うことでありましょう。

この機会が皆さんの一助となりますように。

<内容>

· 薬物使用とメンタルヘルスの関連を理解する

· 一般的な兆候と症状

· ストレスと不安軽減のための効果的な対処法

· 地域のリソースやサポート情報

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お申込み・問い合わせ:kozue.ito@success.bc.ca / 236-880-3392 こずえまで

ハロウィンイベント満載の10月までのイベント

Farmers Market down town Vancouver, B.C. Photo by Pacific Walkers
バンクーバーダウンタウンのファーマーズマーケット。Photo by Pacific Walkers
宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」より。Photo courtesy of VIFF
宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか(英題:The Boy and the Heron)」より。Photo courtesy of VIFF

 ハロウィンの季節がやってきた。メトロバンクーバーでもハロウィンイベント満載。また、バンクーバーでは9月28日から映画祭が開催され、華やかな10日間となる。10月末までのイベントをまとめました。

9月~10月のイベント

9月28日~10月8日 バンクーバー国際映画祭-バンクーバー最大の国際映画祭。例年、俳優たちがレッドカーペットを歩く町が華やぐ10日間。

9月29日・30日 Mid-Autum Moon Festival-バンクーバー・チャイナタウンにある中山公園で開催される中秋の名月を楽しむフェスティバル。今年で37回を数える。https://vancouverchinesegarden.com/

9月29日・30日 Harvest Haus 2023-バンクーバーのオクトーバーフェスト。PNEで開催。19歳以上限定。https://harvesthaus.com/

9月30日 Canada’s National Day for Truth and Reconciliation-カナダの祝日。先住民族の人々への理解と調和を目指すために設定された。全国各地でさまざまなイベントが行われる。

9月30日 スコーミッシュ・ハーベストムーン・フェスティバル-スコーミッシュで開催されるフェスティバル。https://constellationfest.ca/

9月30日 バンクーバー・ホワイトキャップス対DCユナイテッドhttps://www.whitecapsfc.com/

10月4日 バンクーバー・ホワイトキャップス対セントルイス・シティSChttps://www.whitecapsfc.com/

10月21日 バンクーバー・ホワイトキャップス対LAFChttps://www.whitecapsfc.com/

秋まで開催されている長期イベント

Farmers Market down town Vancouver, B.C. Photo by Pacific Walkers
バンクーバーダウンタウンのファーマーズマーケット。Photo by Pacific Walkers

3月18日~9月16日「詩が生まれる場所」展-日系文化センター・博物館。https://centre.nikkeiplace.org/

4月28日~10月9日 Richmond Night Market – 毎年夏に開催されるナイトマーケット。開催日は金・土・日と祝日。バンクーバー国際空港のすぐ南、スカイトレインで行くのが便利。http://richmondnightmarket.com/

5月12日~9月15日 Shipyards Night Market – ライブ音楽やフードトラックが並ぶノースバンクーバーのナイトマーケット。対岸にダウンタウンを見ながら楽しめる。毎週金曜日開催。https://shipyardsnightmarket.com/

5月6日~ Artisan Farmers Markets 2023 – ロンズデール(ノースバンクーバー)、アンブルサイド(ウエストバンクーバー)、バーナビーで、毎週土曜日に開催。10月まで。https://www.artisanmarkets.ca/

5月7日~ Vancouver Farmers Markets 2023 – キツラノ(毎週日曜日)、ウエストエンド(毎週土曜日)、マウントプリザント(毎週日曜日)、ダウンタウン(毎週水曜日)で開催。詳しくはウェブサイトをチェック。https://eatlocal.org/

ハロウィンイベント

Fall at the Farm-Maan Farms
9月21日からハロウィンアトラクションを開催。https://maanfarms.com/pages/fall-at-the-farm
9月29日からは「カナダで最も怖いコーンメイズ」を誇るHauntedも始まる。https://www.scariestcornmaze.com/

Harrison Pumpkin Festival
9月29日~10月29日まで開催。https://harrisonsunflowerfest.com/pumpkin-fest/

フライト・ナイツ(Fright Nights)
ハロウィンと言えば定番のプレイランド・アミューズメント・パーク(PNE内)で開催されるフライト・ナイツ。
10月31日まで開催。https://frightnights.ca/

バンクーバー・ホラー・ナイツ(Vancouver Horror Nights)
コキットラム・センターがハロウィンになるとその一部がお化け屋敷へと姿を変えるイベント。10月31日まで。https://vancouverhorrornights.com/

パンプキン・アフター・ダーク(Pumpkins After Dark)
6000個以上のライトアップされた手作りパンプキンデコレーションを音楽ともに楽しめる。10月6日~31日。https://pumpkinsafterdark.com/burnaby/

セレブレート・ザ・ナイト(Celebrate the Night)
ハロウィンを祝うだけでなく、多種多様な文化を持つ人々が共に集まり秋を楽しむ。10月20日。https://www.mapleridge.ca/1758/Celebrate-the-Night

キャニオン・フライツ(Canyon Frights)
キャピラノ・サスペンションブリッジ・パークで開催されるハロウィンイベント。10月13日~31日。https://www.capbridge.com/events/canyon-frights/

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Anatomy of a Fall(ジュスティーヌ・トリエ監督)犯罪ミステリーの影にある国際結婚夫婦の確執の物語

「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF
「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF
「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF
「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF

 バンクーバーでも国際映画祭(VIFF)がいよいよ始まりましたね!映画好きの皆さんならカンヌ、ベルリン、ニューヨークと世界各地で開催されている映画祭のニュースを追いながら、気になっている作品がバンクーバーでも観られる日を心待ちにされていたのではないでしょうか。

 今回ご紹介する作品「Anatomy of a Fall」は、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した注目作。嬉しいことにVIFFでも2回の上映が予定されているのでよければご覧になってみてください。

 あらすじ-フランスの山間の家で暮らすフランス人の夫サミュエルとドイツ人の妻サンドラ、そして盲目の息子ダニエル。ある日サミュエルが屋根裏の窓から転落死、事故か他殺か分からないまま妻に殺人の嫌疑がかけられ裁判が始まる。現場にいたのはサンドラと第一発見者のダニエルのみ。裁判を通して次々と明るみにされる夫婦間の軋轢。妻は夫を殺したのか?それとも・・・?

 法廷で夫婦の確執や親としての葛藤などプライベートな問題を次々と検察に明かされ激しい追及を受けるサンドラ。夫より成功している妻、夫以外と性交渉を持ったことがある妻、そして仕事がうまくいかず悩んでいた夫の姿などがどんどん浮き彫りに。その裁判の過程を見てタイトルにある「転落の解剖」が実は夫婦関係の「転落」も意味していたのか、と気づかされます。これは犯罪ミステリーでありながら、夫婦の物語でもあったんだ、と。

 印象的だったのは、サミュエルが2人の共通言語である英語での生活をストレスに思っていると怒り、対するサンドラも母国を離れてフランス人に囲まれて暮らすことを我慢していると訴えるシーン。そしてフランス語中心の裁判中にサンドラが「英語でよいですか」と頼むシーンもあったり、国際結婚と海外暮らしのリアルな描写がふたりのストレスをよく表しているなと思いました。

 主演のサンドラ・フラーの演技はとても説得力があり、ある瞬間は実は彼女が犯人かもと思わせ、次の瞬間はいや無実だろうと応援したくなったりと圧倒されっぱなしでした。すごい女優さんだなと思ったら、なんと彼女は同じくカンヌで次点にあたる審査員特別賞(グランプリ)を受賞した「The Zone of Interest 」(ジョナサン・グレイザー監督)にも出ており、人間の底知れぬ恐ろしさを見せてくれています。こちらもVIFF で上映されるのでよければご覧になってみてください。

 「Anatomy of a fall 」は9月30日と10月3日に上映。VIFFは10月8日まで開催です。上映スケジュールはhttps://viff.org/でご確認を。

「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF
「Anatomy of a fall 」より。Courtesy of VIFF

Lalaのシネマワールド
映画に魅せられて

バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
旬の映画や話題のドラマだけでなく、さまざまな作品を紹介します。第1回からはこちら

Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
良いストーリーには世界を豊にるす力があると信じてます
みなさん一緒に映画観ませんか!?

薬のバックオーダー???

 9月も下旬に差し掛かり、バンクーバー近郊はだいぶ秋らしい日が増えてきましたね。日本ではいまだに気温の高い日が続いているようですが、この異常気象は果たしてニューノーマルなのか。

 実は薬の世界でも、「えー、そんなの困ります!」と思うようなことが日常的に起こっており、それが薬の供給不足の問題です。英語ではより具体的に「manufacturer short」や「manufacturer back order」(以下、バックオーダー)と呼ばれ、薬の製造段階で問題が生じて、薬局がどんなにオーダーしても、薬を入荷することが出来ないのがバックオーダーという現象です。

 ここで、薬の流通システムを簡単に説明すると、薬局で販売されている薬は、製薬会社(Manufacturer)→卸売会社(Wholesaler)→薬局(Pharmacy)という流れで入荷されます。しかし、各国の製薬会社が原薬、すなわち有効成分を一からすべて作るとは限りません。

 最近では、原薬の製造、特にジェネリック医薬品の原薬製造は、コスト面での効率化を図るために、インドと中国にほぼ一極化し、世界の他の国々はこの原薬を輸入して、薬として販売できる形にします。逆に言うと、原薬の製造過程で問題が発生してしまうと、世界中至る所で薬がないという事態となるわけです。

 カナダでは、私が仕事を始めた頃から慢性的なバックオーダーの問題を抱えていましたが、それはジェネリック医薬品の使用率が既に非常に高かったからです。しかし、最近になってその状況は特に悪化、特にコロナ禍における国際的な輸出規制は、カナダのサプライチェーンに大きな影響を与えました。

 参考までに、日本では、この10年間でジェネリック薬の使用率は大きく上昇しました。しかし、日本国内の製薬会社の不祥事により、薬の供給不足が顕在化し、原薬不足がそれに追い打ちをかけ、今では大きな社会問題となっています。少し前の話になりますが、とある自治体の薬剤師会長が、卸売会社に強いプレッシャーをかけて薬の調達を求めたという話もありますし、大きなフラストレーションを抱えた医師も多いと聞きます。でも、もっとも一番不安なのは患者さんですよね。

 ただ、これは誰かに怒ってどうにかなるレベルの問題ではありません。全ての医療関係者と患者さんの全てが非常に難しい国際問題に直面していることを理解し、その代替策を模索する、すなわちニューノーマルに順応していくのが、私たちの新しい薬との付き合い方であると考えます。では、薬局がどのようにバックオーダーを乗り切っているか、以下に紹介します。

1.バルサルタンの場合
 バルサルタンは高血圧や心不全の治療に使用される薬で、血圧を上昇させる一因となるアンジオテンシンIIという物質の受容体に結合することで、その作用をブロックします。2018年、バルサルタンの原薬製造の際に発がん性物質であるニトロソアミン類が混入していたことが判明し、同一工場から原薬を輸入していた製薬会社(カナダでは全社)は軒並み大規模な回収(リコール)を行いました。これによりバルサルタンは長期のバックオーダーとなりましたから、この薬を飲んでいた患者さんは、バルサルタンと同じ作用を持つ別の薬(ロサルタンやテルミサルタンなど語尾に「サルタン」のつく薬)を飲むことになりました。しかし、この薬剤変更のために血圧が不安定になったということはありません。このように、同じ作用機序と薬効を持つ薬がある場合には、その中で変更することが出来ます。

2.アモキシシリンの場合
 今年の話になりますが、アモキシシリンという抗菌剤の小児用液剤がバックオーダーとなりました。私の会社では、アメリカからこの薬を輸入して使用していた時期もありましたが、それでも薬の在庫がなくなった時には、原因菌を殺菌する作用が一番近い薬を選び、処方の変更をしました。アモキシシリンはペニシリン系の薬ですが、患者さんにペニシリンアレルギーがある場合には、アモキシシリン以外の薬を使うのが普通です。このように、同じ薬効を持つ薬で代替することは、頻繁にあるのです。

3.Ozempic®(化学名semaglutide)の場合
 週1回皮下注射を行うことで、主に膵臓にはたらきかけ、血糖値が高くなるとインスリンの分泌を促すことで血糖値を下げる効果があり、2型糖尿病の治療に用いられます。さらには、胃内容物の排出を大幅に遅延させることで、エネルギー摂取量減少および食欲減退により、体重を減少させる効果もあります。この減量効果を目的にOzempic®を使用する人が世界中で激増し、Ozempic diet(オゼンピックダイエット)という名前のついた社会現象にまでなりました。しかし、このような急激な需要の増加もまた、薬のバックオーダーの原因となります。
 製薬会社なんだから、需要を見越して薬を製造して欲しい!と思う方も多いかもしれませんが、それがなかなか簡単にはいきません。オゼンピックが皮下注射を行わなければいけないのに対し、リベルサス®という同成分を用いた飲み薬が登場。また、Ozempic®と同成分で週1回皮下注射するWegovy®は、Ozempic®よりも高用量を投与できる肥満症の治療薬として各国で承認されており、カナダでも近いうちに発売予定です。このような競合製品の登場により、製造量の見通しや、販売量のバランスを取るのが難しいのではないかと考えます。
 では、薬局はどのようにOzempic®バックオーダーに対処しているかというと、異なる規格のペンに変更しています。Ozempic®には2mgペン(0.5mgで4週間分)と4mg(1mgで4週間分)のペンがありますが、現在バックオーダーとなっているのは4mgのペンです。4mgのペンを使用していた方には、2mgのペンをお渡しすることで、用量を合わせて頂いています。不思議なことにOzempic®の2mgペンと4mgペンのコストは同額のため、4mgから2mgのペンに変更するとコストが2倍になってしまいますが、少なくとも治療中止という事態は避けられます。

4.ニトログリセリンスプレーの場合
 ニトログリセリンは狭心症の発作時に使用するお薬です。狭心症とは、心臓を囲む冠動脈が詰まって狭くなることで十分な酸素や栄養分が届かなくなり、胸に痛みや圧迫感を起こします。この時、血管を広げて胸痛を和らげる薬がニトログリセリンです。多くの患者さんが、舌の下に向けて噴射するスプレー剤を使用していますが、これがバックオーダーとなりました。しかし、幸いなことに、スプレー剤が発売される以前に主流であった舌下錠(sublingual tablet、口腔粘膜から吸収される錠剤)が今でも製造されていましたから、この薬をスプレーの代わりに使用して頂いています。

5.葉酸(Folic acid)の場合
 葉酸はビタミンB群の1つで、サプリメントとして1mg錠が、処方せん薬として5mg錠が販売されています。関節リウマチの治療に用いられるメトトレキサートという薬を服用する場合、体内の葉酸レベルが低下するため、これを補うために5mg錠の葉酸が同時に処方されます。しかし、この5mg錠がバックオーダーとなりました。不思議なことに聞こえるかもしれませんが、1mgの錠剤の入荷が途切れることはありませんでした。そこで、葉酸の必要な患者さんは1個の5mg錠を飲む代わりに、5個の1mg錠を飲んで頂くことになりましたが、これが患者さんには非常に不評でした。バックオーダーが続いていた期間、入荷状況の問い合わせが多かったのを覚えています。

 これらの実例を見て頂けると分かるように、無差別的に発生する薬のバックオーダーは非常に厄介ですが、いつも何かしらの代替手段が存在します。しかも、完全に供給不足になる前に、薬局には「この薬はもうすぐバックオーダーになりそうです」という旨のお知らせが届きますから、代替薬の候補を多めに発注して、本格的なバックオーダーに備えます。

 バックオーダーが始まってから解消までの期間は、数週間のこともあれば、何ヶ月にも及ぶこともあります。この間、薬局はバックオーダーとなっている薬の発注を毎日繰り返します。すると、ある日突然薬が現れ、その後は継続的に納品されて、通常に戻るというパターンを繰り返します。

 残念なことに、ワールドワイドな薬のバックオーダーはこれからもしばらく続きそうです。もしも服用中の薬がバックオーダーとなり困った場合には、気兼ねなく薬剤師にお尋ねください。

*薬や薬局に関する質問・疑問等があれば、いつでも編集部にご連絡ください。編集部連絡先: contact@japancanadatoday.ca

佐藤厚(さとう・あつし)
新潟県出身。薬剤師(日本・カナダ)。 2008年よりLondon Drugsで薬局薬剤師。国際渡航医学会の医療職認定を取得し、トラベルクリニック担当。 糖尿病指導士。禁煙指導士。現在、UBCのFlex PharmDプログラムの学生として、学位取得に励む日々を送っている。 趣味はテニスとスキー(腰痛と要相談)

全ての「また お薬の時間ですよ」はこちらからご覧いただけます。前身の「お薬の時間ですよ」はこちらから。

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