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「ブタと一緒にヨガを楽しむ」The Happy Herd Farm Sanctuary

 海と山に囲まれ、自然のアクティビティに困らないバンクーバーだが、動物とのふれあいはどうだろうか? ブリティッシュ・コロンビア(BC)州ラングレー市にあるハッピーハード・ファームサンクチュアリーでは、ブタと触れ合いながら一緒にヨガを体験できるイベント「ピッグヨガ」が定期的に開催されている。

 ピッグヨガはこの畜産動物のための保護施設、ハッピーハード・ファームサンクチュアリーの運営者であるダイアンさんの企画で、施設の運営費用を捻出するために始まった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時中止していたが、7月8日に3年ぶりに開催された。ヨガの後にはファーム内を一周するツアーが行われ、参加者らはここで暮らすさまざまな動物たちと触れ合った。

 前編では「ピッグヨガ」を、後編では「ハッピーハード・ファームサンクチュアリー」の取り組みについてを紹介する。

「人と動物、お互いが支えあう関係」

 ファームサンクチュアリーでは、主に虐待されたり捨てられたり危険にさらされていた牛や豚、鶏などの畜産動物が保護され飼育されている。世界最初のファームサンクチュアリーは1986年にアメリカで設立され、以降アメリカを中心に世界中で増えている。多くの施設では畜産業界の実情や動物の権利を訴える運動も行われている。

 今回訪れたハッピーハード・ファームサンクチュアリーはバンクーバーで初めて設立され、寄付とボランティアで運営されている。

ピッグヨガの様子。草を食べ寝ころぶブタを横目にヨガを行う不思議な空間だった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
ピッグヨガの様子。草を食べ寝ころぶブタを横目にヨガを行う不思議な空間だった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

 ピッグヨガはヨガインストラクターのシェルビーさんを招いて行われ、久しぶりの開催にもかかわらず約20人がイベントを聞きつけ参加した。参加者らはファームの芝生の上に持参のヨガマットを敷き、シェルビーさんの指導に従いヨガを進める。

 そばで歩き回ったり草を食べたりするブタたちに始めは戸惑っているようだったが、徐々に距離も近づき、最後はブタと触れ合いながらリラックスしてヨガを。一方ピッグヨガに協力した4匹のブタたちは、ヨガに訪れた参加者らに緊張した様子もなく、人との交流を自由に楽しんでいるように見えた。

ファームツアーの様子。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
ファームツアーの様子。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

 その後のファームツアーでは「コケコッコー!」という鶏たちの元気な鳴き声のなか、運営者ダイアンさんによってそれぞれの動物たちが施設に来た経緯や性格などが紹介された。ここで飼育されている動物たちは、道路で警察に救助されてやってきたり、一般の家から虐待などの通報で保護されてきたりとさまざま。「同じ動物でもシャイな子がいたり一匹一匹性格が違うんです」と母のまなざしで話すダイアンさん。参加者らはリラックスした様子で説明を聞き、紹介された牛や鶏、ヤギや豚など動物たちとの触れ合いを楽しんだ。

 ダイアンさんは、動物たちには人を癒す力があると話す。ピッグヨガの収益は動物たちの生活費に充てられ、参加者は動物たちと触れ合うことで癒しを得ることができ、お互いに支え合う関係が築かれていた。

 また、ピッグヨガ参加者のPattyさんは今回2度目の参加。ファームへの寄付も行っているという。「普段はあまりヨガをしないけれどとても楽しかったです。ここで動物たちのためにどんな活動をしているのか見ることもできてよい機会になりました」と、ヨガを楽しみ、よりいっそう保護活動への意欲が湧いたと笑顔で話した。

後編ではファームの活動内容を「『動物のための聖域』ファームサンクチュアリーとは?」で紹介する。

ハッピーハード・ファームサンクチュアリーWEBサイト: https://www.happyherd.org/

途中から鶏や猫も参加しにぎやかなヨガとなった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito
途中から鶏や猫も参加しにぎやかなヨガとなった。2023年7月8日、BC州ラングレー市、The Happy Herd Farm Sanctuary。Photo by ©Koichi Saito

(取材 池田茜/写真・ビデオ 斉藤光一)

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日系文化センター・博物館より9月のお知らせ

イベント

第11回 日系祭り

9月2日と3日(土・日) 11am-7pm
日本の情緒あふれるお祭りをお楽しみください。

前夜祭ビアガーデン
9月1日(金) 5pm-10pm 
提灯や屋台の周りで夏の雰囲気を味わいつつ、冷たいビールや日本酒などで乾杯、DJの音楽と壁画のライブペイントをお楽しみください。
入場料(各日 / 前夜祭 ・ 日系祭り):大人(18歳-64歳)前売  $8+税 / 当日  $10(税込)
NNMCC会員|0歳から17歳まで|65歳以上の方は無料。

日系ガーデン・ファーマーズ・マーケット

10月まで、毎月第2・第4日曜日
9月10日と24日、午前10時〜午後2時
産地直送の農産物やローカルで手作りされた美味しい食べ物、そして地元の作家による心のこもったハンドメイド品が並びます。ガーデンでのんびりと、マーケットをお楽しみください。9月10日はダブルダッチ縄跳びのパフォーマンスもあります。

日系文化センター・博物館 年次総会

9月16日 11時より
NNMCC会員の皆様へ、ぜひご参加いただき、共に日系文化センター・博物館の将来の方向性を話し合い、定めていければと思います。

お知らせ

日系センター・シニアラウンジは、水曜日の午後12時から3時まで、シニアの方々を対象とした無料プログラムです。シニアの方々が気軽に集まり、くつろぎ、かつ健康増進を促す活動を楽しめる場所を提供します。セミナーが毎月第二水曜13時より行われています。ボランティアがエクササイズの指導やパソコン、スマホ、その他デジタル製品の疑問・質問に答え、年齢に合わせた環境への適応方法や自分らしい人生を過ごすためのサポートもいたします。

プログラム

日系センターでは、日本語でのプログラムも開催しております。柔道や合気道、習字クラブ、歌声喫茶、日本舞踊、囲碁クラブ、そろばん、和太鼓、フラダンス、ラインダンス、バドミントン、ピクルボール、シニアカラオケなど、ぜひご参加いただければ幸いです。

日系ブックストア

毎週 火・木・金・土、午前11時~午後3時、2階
日系ブックストアでは読み終わった古本・文庫本・漫画・絵本の寄付を受け付けております。営業時間内に2階のブックストアまでお持ちください。

展示

常設展:「体験:世代を超えて受け継がれる、困難を乗り越え立ち上がる力」
日系人の歴史を日本語で紹介しています。2階入場無料

特別展示
詩が生まれる場所
宮崎雅子と李淑美
3 月 18 日〜9 月 16 日
入場料 $5。NNMCC 会員・学生は無料。

ミュージアムショップ

日系の歴史の書籍、日本からの輸入品、地元作家によるハンドメイド品を取り揃えております。お気軽にお立ち寄りください。

会員募集

会員になるとミュージアムへの入場が無料になるほか、ミュージアムショップでの割引、特定のイベントやプログラムなどで割引特典があります。会費収入は施設の維持費と展示、イベント、プログラムを充実させるために使用されます。

バンクーバー日系人合同教会から9月のお知らせ

  • 教会日曜日日本語礼拝の案内

毎週日曜日午前11時より教会礼拝堂で行い、礼拝の後、軽食をいただきながら親睦の時を持っています。クリスチャンでない方も留学、ワーキングホリデーで来られた方も大歓迎です。

 Zoom (ID 5662538165、パスコード1225)でオンライン参加もできます。

  • シニア・初心者ラインダンス 毎週土曜午前11時から12時 会費$1、踊った後、マックをいただきながら交流の時を持ちます。
  • Zoomで聖書を読む会(火曜、水曜)があります。
  • ダウンタウンイーストサイドでサンドイッチ手渡し:木曜日午前9時からの準備、10時半から11時の配布のボランティアをしてみませんか?
  • 結婚、葬儀、その他の人生相談をお伺いします。
  • 8月26日(土)午前11時から午後2時 教会ミニバザーを行います。Thrift Saleは行わず、日本食を提供します。

お問合せ:604-618-6491(テキスト可)、vjuc4010@gmail.com  牧師 イムまで

住所:4010 Victoria Dr, (Between 23rd and 25th Ave East), Vancouver

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サレーNorthwood 合同教会 日本語会衆 礼拝

9月17日(日)午後2時より。

住所:8855 156 St, Surrey, BC, V3R 4K9

お問い合わせ:604-618-6491(テキスト可)イム、kuniokazaki98@gmail.com 岡崎まで 

9月の自力整体法教室&ワークショップのご案内

★バンクーバーMain教室 

午前10:30~11:30 

9月4日(月) Labour day

★日系センター教室 

午前10:30~11:30

9月8日(金)
9月22日(金)

「日曜日2時間ワークショップ」 

3年ぶりの再開❢
9月17日(日)  正午~PM2:00

詳細はお気軽に、、

☎ 604‐448-8854

Eメール jirikiseitai.canada@gmail.com
Webサイト https://jirikiseitai-canada.jimdofree.com/ 

「B.C.州かるた」引き続き、日系センターで販売

グラッドストーン日本語学園が制作した「B.C.州かるた」。Photo by Japan Canada Today
グラッドストーン日本語学園が制作した「B.C.州かるた」。Photo by Japan Canada Today

 グラッドストーン日本語学園が2020年の創立50周年を記念して制作した「B.C.州かるた」が、日系文化センター・博物館内のミュージアム・ギフトショップで販売されている。

 「B.C.州かるた」は、同学園村上陽子園長が「友人からいただいた群馬県の『上毛かるた』への、将来を担う子どもたちに郷土群馬県をよく知ってもらいたいからという思いに感動して、いつか学園の生徒たちでブリティッシュ・コロンビア(BC)州を紹介できるかるたを制作できたら」と構想を温めて実現した。

 読み札の表にはBC州にゆかりの深い場所や人を盛り込んだ短い文章が、裏にはそれらの解説文が記載されている。どちらも生徒たちが自分たちで考え、調べて作ったもの。

 絵札ももちろん生徒自身が描いた。どれも特長を捉えていて、中にはパソコンを使って描いたものもあるという。

 文章も絵も、生徒たちのBC州を想う気持ちがあふれた、「作品」のようになっている。

 2021年5月に完成。新型コロナウイルス禍で日本からの輸送に時間がかかったが、同年9月7日より学園で販売を開始した。現在は日系センター内のギフトショップでも購入できる。

 かるたで遊んでいるとBC州にも詳しくなれる、生徒たちの思いが詰まった「B.C.かるた」。友達と、家族と、また学校の教材として、楽しいひとときを演出してくれるにちがいない。

「B.C.かるた」

ミュージアム・ギフトショップ(日系文化センター・博物館内:6688 Southoaks Crescent, Burnaby, BC)
ミュージアム・ギフトショップ・オンラインショップでも購入できる。

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バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ2023・24シーズン開幕コンサート

 バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(VMO)の2023・24年シーズンが9月9日のオープニングコンサートで開幕する。

 第21回を迎える今シーズンはオープニングに、ピアニストDavid Fung氏を迎え、グリーグのピアノ協奏曲イ短調作品16(Grieg’s Piano Concerto in A-minor)を演奏する。Fung氏はこれまで、クリーブランド・オーケストラ、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、シドニー交響楽団(オーストラリア)、ロサンゼルス・フィルハーモニックと協演している。

 後半は、シベリウスの交響曲第2番ニ長調作品43(Sibelius’s Symphony No.2 in D-Major)を演奏。指揮者はKen Hsieh氏。会場はダウンタウンのオーフュームシアター。

 また、8月31日にはガスタウンで無料の屋外コンサートVMO in Gastownが開催される。時間は午後3時から7時まで。

 詳しくはウェブサイトを。

VMO Season Opening Concert

日時:9月9日(土)7:30pm(7:00pm Pre-Concert Talk)
会場:Orpheum Theatre(601 Smithe Street, Vancouver)
ウェブサイト(チケット): https://vmocanada.com/21th-season-opening-concert/

VMO in Gastown

日時:8月31日(木)3:00 – 7:00pm
会場:ガスタウン(屋外ステージ:1 Water Street, Vancouver)
ウェブサイト: https://vmocanada.com/

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8 ☆「ご自愛ください」は、めっちゃムズい!

 ようやくコロナも明け、青空も広がり、これぞバンクーバーの夏。例年より少し暑い感じもするが、日本と比べると雲泥の差。素敵な盛夏の候、暑中メールを友や生徒などと取り交わしている。格好よく文末に「ご自愛ください」と書いてくれる人も多い。でも時折、「お体ご自愛ください」と記してあるメールも見かける。うーん、気持ちはうれしいが、やはり気になってしまう。

 この「ご自愛ください」はこの表現だけで「お体を大切にしてください」という意味。「自」は「体」を、「愛」は「大切に」を表わしている。よって、「お体」を付けてしまうと、「女の婦人」や「馬から落馬」のような、いわゆる重複表現になってしまう。「お体」など付けず、単に「ご自愛ください」が適切な使い方である。

 この重複表現だが、例えば「後で後悔するぞ~」など会話として使うのであれば、強調やユーモアなども感じられ別に問題なし。しかしメールなどの書き言葉では、文書として残るので要注意。特にこの「お体ご自愛ください」はいろいろ話題になっており、違和感を感じる、ではなく、違和感を覚える人もかなりいるので・・・気をつけなければならない。

 またこの表現、使う相手も結構ややこしい。かなり親しい人に使うと、個人差もあろうが、確かによそよそしさを感じる人も多いのでは。この「ご自愛ください」は公式なビジネス文書などによく使われるので、かしこまった雰囲気を持っている。それゆえ、すごく親しい友達などには使いにくいかも・・・。

 さらに、病気や怪我など患っていることが分っている人にこの「ご自愛ください」は失礼な印象を与えてしまう恐れもある。確かに。

 このように、この「ご自愛ください」の用法はめっちゃムズい。そのあたりを感じてか、最近の若者世代はあまり使わなくなってしまったようである。いとさびし。

 確かに、SNSなどに「ご自愛ください」はそぐわない感じも・・・、でも逆に、親しい卒業生からLINEなどに「まだコロナも完全終息ではないようです。くれぐれもご自愛ください」などと書いてあると、思わず「はい、気をつけますよ」と襟を正したくなる。いとおかし。

 この「ご自愛ください」はなかなか品格漂う、粋な表現である。うまく使いこなして、ぜひ締めの挨拶に使っていただきたい。読者の皆さま、残暑厳しい折、くれぐれもご自愛ください。

矢野修三(やの・しゅうぞう)
1994年 バンクーバーに家族で移住(50歳)
YANO Academy(日本語学校)開校
2020年 教室を閉じる(26年間)
現在はオンライン講座を開講中(日本からも可)
・日本語教師養成講座(卒業生2900名)
・外から見る日本語講座(目からうろこの日本語)    
メール:yano@yanoacademy.ca
ホームページ:https://yanoacademy.ca

「土を喰らう十二ヵ月」の鑑賞チケットを1組2名様にプレゼント!

料理をいただくツトム(沢田研二)と真知子(松たか子)。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners
料理をいただくツトム(沢田研二)と真知子(松たか子)。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners

 バンクーバー市VIFF Centreで9月1日から上映が始まる沢田研二主演「土を喰らう十二ヵ月」の鑑賞チケットをカナダの日本映画配給会社Momo Filmsからプレゼント。

 上映時間などの情報は、「『土を喰らう十二ヵ月(The Zen Diary)』中江裕司監督インタビュー」を参照してください。

 応募方法は以下の通り。抽選に関してはMomo Filmsの担当となります。

***

『土を喰らう十二ヵ月』のVIFF Centreでの上映でお使いいただける鑑賞チケットを抽選で1組2名様にプレゼントいたします。

-応募条件-

①Momo FilmsのInstagram(@momofilmsinc)をフォロー。

②Momo FilmsのInstagram投稿の中から『土を喰らう十二ヵ月』関連の投稿にいいねを押す。

以上で応募完了となります。

ぜひお好きな『土を喰らう十二ヵ月』の投稿に、いいねを押してくださいね。

-応募期間-

8月22日〜8月27日

-当選発表方法-

当選者した方のみにMomo FilmsのインスタグラムのDMからお知らせいたします。

-確認事項-

非公開アカウントからのご応募はDMが送れないため対象外となります。ご了承ください。
当選された方には2023年8月28日(月)にDMにてご連絡いたします。
当選連絡から1週間経過しても弊社からのDMにご返信いただけない場合は当選が無効となります。

元朝日軍選手上西ケイ氏に在外公館長表彰

花束を受け取る上西ケイ氏(左)と丸山総領事。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito
花束を受け取る上西ケイ氏(左)と丸山総領事。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito
表彰状を手にする上西氏を囲んで、丸山総領事夫妻、上西ファミリー、朝日チーム選手と家族で記念撮影。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito
表彰状を手にする上西氏を囲んで、丸山総領事夫妻、上西ファミリー、朝日チーム選手と家族で記念撮影。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito

 戦前にバンクーバーで活躍した日系人野球チーム「朝日軍」の元選手上西(功一)ケイ氏に8月14日、在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事より、在外公館長表彰が贈られた。

 バンクーバー市内の会場には、2016年に設立されたAsahiから選手や関係者が祝福に駆け付けた。

「こんなによくしてもらって言葉がありません」

受賞のあいさつをする上西ケイ氏。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito
受賞のあいさつをする上西ケイ氏。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito

 今年1月に101歳となった上西ケイ氏は、照れくさそうな笑顔を見せて「こんなによくしてもらってから言葉がありません」とこの日の表彰について喜びを語った。

 あいさつでは日本語で、「総領事ならびに新朝日のみなさん、わたくしにこんなにしてもらって、心から厚く御礼申し上げる次第でございます。今後ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。

 上西ケイ氏の長男エド・カミニシ氏は、この日は欠席した長女ジョイス・シモクラ氏の両ファミリーよりとして、「みなさんからの父への優しさと気遣いにどのような感謝の言葉を述べていいのか分かりません。本当にありがとうございます」とあいさつした。

「ほんとうにうれしく思っています」丸山総領事

表彰状を受け取る上西氏(左)と丸山総領事。それを見届ける朝日チームの選手たち。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito
表彰状を受け取る上西氏(左)と丸山総領事。それを見届ける朝日チームの選手たち。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito

 丸山総領事はあいさつで、元朝日軍や上西氏についてはすでに多く語られているが、と前置きしながらも、「もう一度ここで改めて紹介させてもらえれば、朝日軍のフェアプレー精神は現在にも通じ、今の若い選手たちにも受け継がれていると思います」と語り、野球を通じた世代を超えた日加交流への貢献に対して「在外公館長表彰を贈ります」と祝福した。

 そして同席した若い朝日選手たちには朝日のレガシーに誇りを持って継続してくれること期待するとメッセージを贈った。

上西氏と丸山総領事夫妻。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito
上西氏と丸山総領事夫妻。2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito

 今年は1月22日に行われたAsahi Baseball Associationの新年会にも出席し、上西氏の101歳の誕生日を共に祝った丸山総領事。「100歳を超えた唯一の(元朝日軍の)選手で、子どもたちにとってもヒーローですし、日系社会にとっても大事な方ですし、お元気でいらっしゃることが我々の力になる、そういう本当に大切な存在だと思うんです」

 その上西氏に「在外公館表彰を受けていただいて、こうやって皆さんに集まっていただいて、本当にうれしく思っています。これからも、子どもたちの心の支えになり、日系社会の象徴的な存在として、お元気でいていただきたい。ほんとうにそう願っています」と上西氏の健康を気遣い、長寿を願った。

朝日の今シーズンが開幕

 朝日チームのシーズンは8月中旬に始まる。Asahi Baseball Associationジョン・ウォン会長によると今シーズンはちょうどこの式典の前日8月13日にサマーセッション初日を迎えたという。今季は登録希望者が多く、ウェイティングリストになっていると説明した。メンバーは約200人。これから春にかけてトレーニングを積む。

 朝日は、今年3月に4年ぶりのジャパンツアーを実施。選手たちは日本で野球を通じた交流を楽しんだと話した。次のツアーは2025年春。今季は選手たちにとって2025年ツアーチーム選抜がかかる大事なシーズンとなる。

朝日ベースボールアソシエーション

 2016年に発足。当時の名称はカナディアン日系ユースベースボールクラブ。2015年に最初のジャパンツアーを実施し、これを機に2016年に創設した。

上西ケイ氏(中央)を囲んで乾杯!2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito
上西ケイ氏(中央)を囲んで乾杯!2023年8月14日、バンクーバー市内。Photo by Koichi Saito

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

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ホワイトキャップス1点遠く…試合内容は今季ベストでアウェイに期待

アースクエイクスがカウンターであっという間にゴールを決める。2023年8月20日、BCプレース。Photo by Koichi Saito
アースクエイクスがカウンターであっという間にゴールを決める。2023年8月20日、BCプレース。Photo by Koichi Saito

 勝利の女神に見放された一戦だった。圧倒的な攻撃も1点が取れず惜敗。それでも、試合内容は今季ベストと前を向いてホワイトキャップスはアウェイ7連戦に臨む。

8月20日(BCプレース:16,765)

バンクーバー・ホワイトキャップスFC 0-1 サンノゼ・アースクエイクス

前半終了間際、カウンターが機能したアースクエイクスが43分に先制。0-1で迎えた後半は両チームとも得点できず、アースクエイスの唯一の枠内シュートでホワイトキャップスは敗れた。

試合内容は今季ベスト、運がなかったとしか言いようがない

 試合終了後Vanni Sartini監督は「今日勝てなかったのは運がなかったとしか言いようがない」と苦笑しながら語った。今日のチームは今季ベストの内容だったとも。アースクエイクスのシュート数はわずか3、得点はこの試合唯一の枠内シュートだった。一方ホワイトキャップスはシュート数19、枠内シュート8と猛攻した。

 それでも1点も取れなかった。「今日のMVPは(アースクエイクスの)ゴールキーパーだった」とSartini監督。前半の猛攻を止められた。また後半にはAdekugbe(#3)のフリーキックがポールに当たるなど、ゴールが遠い試合となった。

 GK高丘も「チャンスもいっぱいありましたけど決めきれずに、逆に相手の一発のチャンスを決められてしまって」と振り返った。「悔しい負け方ですけど…」と前置きして、「サッカーではよく起こりがちな展開というか、試合は支配してても一発でやられてしまうということがあるんで。そうならないように自分としては準備していたつもりですけど」と反省が口をつく。

 それでも「試合内容的にも悲観する必要はないと思うんで、チャンスもたくさん作れていましたし、あとは最後決めるところ、失点したところのカウンターの対応というところだけだと思うんで」と前を向き、「切り替えて次がんばりたいなと思います」と次の試合に向けて切り替えた。

8月26日からアウェイ7連戦

試合終了後ピッチで円陣を組むホワイトキャップス。中心ではSartini監督が選手を激励する。2023年8月20日、BCプレース。Photo by Koichi Saito
試合終了後ピッチで円陣を組むホワイトキャップス。中心ではSartini監督が選手を激励する。2023年8月20日、BCプレース。Photo by Koichi Saito

 ホワイトキャップスが次にホームで試合をするのは9月30日。それまでの7試合は全てアウェイとなる。理由はBCプレースが他のイベントで使用できないためで、ここまでアウェイ1勝のホワイトキャップスとしてはプレーオフに向けて正念場のアウェイ7連戦となる。

 Sartini監督は「今日のような試合をしていれば必ず勝てる」と自信を見せた。試合後にピッチで円陣を組むという珍しい光景があったが、その円の中心で「今日の負けを引きずる必要はないと声を掛けた」と語った。

 高丘は「アウェイのゲームは、移動だったり、いろんな面を含めてタフになると思いますけど、それぞれがしっかりベストを尽くして試合に臨むということが、大事だと思います。練習でやれていることを試合で出せていることが多いので、そういうことを引き続きやっていくだけかなぁと思います」とこれまで通り練習での成果が結果につながると気を引き締めた。

 この試合から新たに2選手が加わった。DFのSam AdekugbeとRichie Laryea。2人ともヨーロッパのチームで活躍し、カナダ代表として2022年カタールで開催されたW杯にも出場している。

 高丘はDF2人の加入について、「カナダ代表で、ヨーロッパの経験もありますし、そういったものをチームに還元してくれると思いますし、すごいポジティブなエネルギーを持った2人なのでチームにいい影響も出してくれるかなと思います」と語った。チームの雰囲気は相変わらずいいという。

 残り11試合。うちホーム3試合で8試合はアウェイというタフな後半戦が続くが、チーム力でプレーオフ進出を狙う。

 チームはこの日の負けで一つ順位を落として西カンファレンス8位となった。プレーオフ進出は9位まで。9位とはポイントで同じ、10位とは1ポイント差と負けられない状況となっている。ただ、6位とも1ポイント差で、勝てばすぐに上がれる混戦状態。これから一戦一戦の勝ち点が重要になってくる。

今季のホームゲームhttps://www.whitecapsfc.com/

9月30日(土)7:30pm DCユナイテッド
10月4日(水)7:30pm セントルイス・シティFC
10月21日(土)6:00pm ロサンゼルスFC

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

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「土を喰らう十二ヵ月(The Zen Diary)」中江裕司監督インタビュー

料理を教えるツトム(沢田研二)。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners
料理を教えるツトム(沢田研二)。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners

 映画「ナビィの恋」「ホテル・ハイビスカス」で日本国内はもちろん、ベルリン国際映画祭をはじめとする海外でも活躍している中江裕司監督。今年9月に監督の最新作「土を喰らう十二ヵ月」(英題「The Zen Diary」)が、バンクーバーで上映されることになった。今回沖縄から中江監督が日加トゥディのインタビューに応じてくれた。

土を喰らった長い撮影

中江裕司監督。2023年7月、オンラインでインタビューに応じてくれた。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners
中江裕司監督。2023年7月、オンラインでインタビューに応じてくれた。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners

 軽快なジャズの音色をバックに、ロードトリップのような東京の風景から始まる映画。どこへ行くのか何が見られるのか、カメラがたどり着くのは信州白馬の山。映画の原作は水上勉によるエッセイ「土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―」(新潮文庫)。原作にストーリーがないため、中江監督は自分でドラマを構成して脚本を書き、映画をスタートさせた。

 「映画はうその世界だけど、お客さんに信じてもらえるように小さなうそはつかない」と話す監督は、映画撮影にかなりの時間を注いだ。まずロケ地を自足で歩いて民家を見つけ、犬も現地でスカウト。主人公の住む場所と働く場所は一緒と決めて、土地を切り開いて畑まで設計・作製。本物の四季を確実に撮るために、およそ1年半、大自然の中に身を置いた。監督にとって沖縄の気温25度から急にマイナス10度になる長野への移動は大変で、自宅と撮影場所の間を何度も行ったり来たりしたそうだ。

シンプルで美味しそうな料理が並ぶ。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners
シンプルで美味しそうな料理が並ぶ。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners

 主人公の作家ツトムは、人里離れた山荘で自分の育てた野菜で精進料理を作るのだが、映画に登場する旬な料理は全て料理研究家の土井善晴さんの献立。梅、しそ、たけのこ、わらび、なす、きゅうり、生姜、大根など日本でお馴染みの野菜を使ったシンプルな一品が勢揃い。一見素朴に見えても、材料の一つ一つに目を通した厳しいプロの目が存在していると感じさせる。さらに土の香りが漂うようなカメラ映像、趣のあるカメラアングルもこの映画を盛り立てている。

往年のファンが喜ぶ俳優陣と製作スタッフ

最後まで素敵な女優だったチエ役の奈良岡朋子(右)。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners
最後まで素敵な女優だったチエ役の奈良岡朋子(右)。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners

 そして監督が選んだ豪華な俳優陣。主人公は元タイガースのジュリーこと沢田研二、友人役にプレイボーイ俳優として知られた火野正平、また清純派女優の檀ふみなど、どこか懐かしい名俳優が揃う。ジュリーのファンだったというベテラン女優の奈良岡朋子は、変わり者だが優しいところもある、どこかで見たことのあるようなおばあさんそのもの。準主役の松たか子も明るくて上品な恋人役を演じている。

 またカメラワークをポエム的にスパイスするのが時折流れるジャズ音楽。「音楽は普通映画を編集している時にイメージが浮かんでくるのに、今回は浮かんでこなかった」と言う監督は、ジャズのオーネット・コールマンを聞いて、音楽担当の大友良英さんに相談。自身のライブでコールマンを演奏する大友さんの「少し過激だけど、本当にいいんですか」という言葉に、「違和感があっても、画面にぶつけに行ってください」と監督が即答したそうだ。

食べること、生きること

料理をいただくツトム(沢田研二)と真知子(松たか子)。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners
料理をいただくツトム(沢田研二)と真知子(松たか子)。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners

 植物と動物、土と自然、そしてその果てにあるのが健康と命の大切さ。一日の感謝の気持ちを忘れずに、毎日悔いのないように生きる、何事にもこだわらないという原作にある仏教禅宗の教えについても映画は触れる。生きることは体を動かすこと、体を動かすとお腹が空くのでご飯がおいしい、昔の人はおいしいものを食べていたのだろう、というさりげない言葉にうなずける。

 最後のシーンについて聞くと、「彼の人生はまだ続いている。一つで終わりではなく、まだこれからも生きていかなくてはならない」という哲学的な答えが返ってきた。そして監督は「日本人が根底に持っている美意識と生き方をこの映画で感じていただければすごくうれしい」と続けた。

 映画監督をしながら、地元沖縄の那覇市で桜坂劇場を経営している中江監督。「みなさん、沖縄にもぜひ遊びに来てください」とさわやかに締めくくった。皮肉とユーモアがあって、少し出遅れた主人公「ジュリー」を最後まで見届けたくなるような映画。9月のバンクーバー上映が待ち遠しい。

「土を喰らう十二ヵ月(The Zen Diary)」上映

バンクーバー
期間:9月1日~7日・10日
会場:VIFF Centre-Vancity Theatre(1181 Seymour Street, Vancouver)
チケット情報&ウェブサイト: https://viff.org/whats-on/the-zen-diary/

上映時間
会場は全てVIFF Centre – Vancity Theatre(ただし、9月10日のみVIFF Centre – Studio Theatreで上映)

9月1日(金)2:30pm、7:00pm
2日(土)4:55pm
3日(日)4:00pm、8:15pm
4日(月)8:10pm
5日(火)5:35pm
6日(水)7:55pm
7日(木)1:30pm
10日(日)7:20pm(Studio Theatre)

サスカトゥーン(サスカチュワン州)
期間:9月8日~14日
会場:The Broadway Theatre(715 Broadway Avenue, Saskatoon)
ウェブサイト: https://broadwaytheatre.ca/

モントリオール(ケベック州)
期間:9月22日~28日
会場:Cinémathèque québécoise(335 De Maisonneuve Blvd. East Montreal)
ウェブサイト: https://www.cinematheque.qc.ca/en/

信州の風景をバックに感動のシーン。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners
信州の風景をバックに感動のシーン。©2022「土を喰らう十二ヵ月」製作委員会/©“The Zen Diary” Film Partners

(取材 ジェナ・パーク)

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