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Naomi Mishima

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「日本の留学生に『等身大のカナダ』を知ってほしい」通訳者・山之内悦子さんが語る

山之内悦子さん(撮影:田代陽子さん)
山之内悦子さん(撮影:田代陽子さん)

多文化共生の国が抱える差別と虐待の歴史

山之内悦子さん(撮影:田代陽子さん)
山之内悦子さん(撮影:田代陽子さん)

 カナダは、人口の約4分の1が移民であり、多文化主義・多民族国家として世界的に認知されている。しかし、「人種差別とは無縁」というイメージとは真逆の先住民族迫害の歴史を抱えている。カナダの先住民族は、何千年にもわたり豊かな文化や伝統を築いてきたが、ヨーロッパ人による植民地化は16世紀以降に始まり、特に1867年のカナダ建国以降は急速に進行した。この過程で、先住民族は土地や文化、言語、信仰を奪われ、カナダ政府は先住民族を白人化することを目的とした「同化政策」を1880年代から強化した。この政策の一環として、15万人以上の先住民族の子どもたちが親元から強制的に引き離され、レジデンシャル・スクール(寄宿学校)に送り込まれた。

 先住民族の子どもたちを対象にした寄宿学校は、17世紀のフランス植民地時代から始まっており、19世紀から20世紀にかけて、正式な制度としてカナダ全土に確立・拡大し、130以上の学校が存在した。寄宿学校制度は、カナダ政府とキリスト教会(主にカトリック教会)によって運営され、サスカチュワン州にあった最後の寄宿学校が1996年に閉鎖されるまで続いた。この制度の下、子どもたちは自分たちの文化や言語を話すことを禁じられ、さらに聖職者による日常的な虐待や性的暴行、栄養失調などに苦しみ、約6千人が亡くなったとされている(実際の数字はもっと多いともいわれる)。

 長年にわたり、カナダの先住民族問題に真摯に向き合い、「この問題は過去のものではなく、現代にも根深い影響を及ぼしている」と語るバンクーバー在住の通訳者・山之内悦子さんに話を聞いた。

—通訳者・山之内悦子さんが感じる今も続く先住民族の苦難

 「日本の人たちにもこの問題をもっと知ってほしい」と話す山之内さんは、カナダの先住民族とアイヌ民族との協働や日本からの取材の通訳も積極的に担い、人生をかけてこの問題と向き合っている。

 初回から通訳者として参加している山形国際ドキュメンタリー映画祭での経験を記した著書「あきらめない映画 山形国際ドキュメンタリー映画祭の日々」(大月書店)の中でも、カナダの先住民族問題を深く掘り下げている。特に、カナダの過酷な同化政策に耐えて成長した先住民族女性教育者の人生を追ったドキュメンタリー映画「学びの道」(ロレッタ・トッド監督)との出合いは大きかったと振り返る。先住民族としてカナダで生まれ育ったトッド監督と映画祭以降も交流を続けた山之内さんは、先住民族の問題は現代に続く問題だと語る。

 「寄宿学校が廃止されて久しい今でも、その爪痕が深く先住民族社会に残っています。家族から学んできた言葉や世界観をまるごと否定され、体罰や、ひどい場合には性的虐待まで受けた結果、自尊心を失ってしまう。そんな人生の痛みをいっとき忘れるために麻薬やアルコールに頼るようになり、仕事も子育ても放棄せざるを得なかった人たちの多い世代があります。バンクーバーのホームレス人口の多さは、日本から訪れる人々を驚かせます。先住民族は、カナダの総人口のわずか5%にしか過ぎないのに、ホームレスである比率が飛び抜けて高い。この現象のみを目にして、その根深い歴史的背景を理解しないままカナダを後にする留学生や観光客のなんと多いことでしょうか。寄宿学校に端を発した暴力や絶望の、世代を超えた連鎖を断ち切るには、並々ならぬ努力が必要だと感じます」

—日本の留学生に知ってほしい「人権大国」ではない「等身大」のカナダ

 通訳の仕事と並行して、バンクーバーの大学やカレッジで翻訳・通訳コースの教員を20年以上続けてきた山之内さんは、日本からの留学生に本当のカナダ史を知ってほしいという。「私が大学4年でカナダに初めて留学した時のカナダについての知識は『赤毛のアン』と、フランス語と英語が公用語だということぐらいでした。現在の留学生はそれほどの無知ではないにしても、『人権大国カナダ』というイメージ以上のことは知らない人が多いのではないか」と感じた山之内さんは、トッド監督の承諾を得て映画「学びの道」を通訳授業の教材として長年使用し、カナダの先住民族の迫害の歴史、現代にまで続く社会問題について生徒たちに熱心に語りかけてきた。

 「日本からの留学生たちに、先住民族がこの国でどんな受難を乗り越えてきたかを学んでもらうことには大きな意味があると思います。ここで学んだことは、帰国後、アイヌ民族や沖縄、被差別部落、在日韓国・朝鮮人の苦難の歴史など、日本社会の少数者へのまなざしにつながるのではないかと思うからです」

 また、カナダの先住民族の問題について学ぶことは、言語的少数者の一員である留学生たちが自身の置かれた立場と折り合いをつける助けにもなるのではないかという。「言葉の習得には、計り知れない時間がかかります。その間、ずっと慣れない環境で、完璧ではない外国語を使い、対等な扱いを受けにくいという暮らしをしていると、無意識のうちに劣等感が芽生えることがあります。そんな事態を避けるためにも、『等身大のカナダ』を知ってほしいのです」と話す。

—先住民族問題から見える「母語」のかけがえのなさ

 日本の留学生たちの多くは、英語を勉強しにカナダに来ている。しかし、山之内さんはこのカナダの先住民族問題を通して留学生たちに「母語」のかけがえのなさを伝え、生徒たちと一緒に考えることを続けてきた。「日本では、日本語が禁止されたり、失われたりする可能性について考える人は少ないと思いますが、カナダの先住民族は、突然母語を使うことを禁止され、自分たちの文化を否定され、アイデンティティを奪われそうになりました。しかし、こうした歴史はカナダだけの問題ではありません。アイヌ民族から文化や言語を奪おうとしたのみならず、沖縄においても、方言を禁止し、標準語を押し付けるために子どもたちは『方言札』(主に小学校において方言を話した児童に与えられた罰則札)をかけさせられたことがありました。英語に苦戦する留学生が、そうした彼らの思いに触れることで、母語である日本語と自分たちのアイデンティティについて考えることは重要なこと」だと語る。

—旧寄宿学校跡地から215人の子どもの遺骨 9月30日を「真実と和解の日」に

 2021年、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州カムループスにある旧寄宿学校跡地で、215人の先住民族の子どもの遺骨が発見され、カナダを震撼させた。その後も、サスカチュワン州にあった寄宿学校の跡地で墓標のない751基の墓が発見されるなど、各地で多数の遺骨や墓が相次いで見つかっている。

 こうした悲劇的な発見は、先住民族に対する虐待と人権侵害に対する国民的な議論を巻き起こした。抗議する人々により、7月1日のカナダデー(カナダ建国記念日)には、植民地時代を象徴するビクトリア女王の銅像が破壊され、カナダ各地でカトリック教会を狙った襲撃事件などが発生した。BC州の先住民族の村ギトワンガクでは、108年の歴史があるカトリック教会が全焼。また、バンクーバー市ガスタウンでは、植民地主義や12歳の若い先住民族女性との結婚などが非難されていたギャシー・ジャック(バンクーバー発祥の地とされるガスタウンの名称の由来)の像が、先住民族女性への暴力に抗議する参加者によって引き倒された。倒れた銅像は真っ赤に塗られ、長きにわたる先住民族への差別と虐待に対する怒りが噴出した。

 旧寄宿学校跡地での大量の遺骨発見を契機に、カナダ全国で先住民族コミュニティとの真の和解を求める動きが加速し、2021年、カナダ政府は、毎年9月30日を「真実と和解の日」(National Day for Truth and Reconciliation)という法定休日として制定し、先住民族迫害の歴史を忘れず、先住民族に対する理解を深める日としている。この日は、「オレンジシャツ・デー」(※)とも呼ばれ、シンボルのオレンジ色を身に着け、全国各地でイベントが開催されている。

 この日をより意義深いものにするために、山之内さんにはカナダにいる移住者たちに伝えたいことがある。「9月30日だけオレンジ色のシャツを着て終わりではなく、移住者も自分たちがどんな大地の上に立っているのかを常に考える必要があると思います。私たち移住者は、先住民族に対する迫害はヨーロッパからの入植者が行ったことであり、自分たちには関係ないと思っているかもしれません。しかし、私たちはその入植者が築いたカナダのシステムを好んで移住し、その恩恵を受けています。先住民族に起こったこと、そして彼ら一人一人が連鎖する暴力のサバイバーであるということを、カナダにいる全ての人たちが当事者意識を持って理解する日が来ることを願っています」と思いを語った。

※オレンジシャツは寄宿学校の経験者であるPhyllis Webstadさんが6歳のときに寄宿学校に連れて行かれた際、祖母から贈られた大切なオレンジ色のシャツを剥ぎ取られた経験に由来している。このオレンジシャツは、長い年月にわたって先住民族の子どもたちが経験した文化、自由、そして自尊心の剥奪を象徴している。

山之内悦子(やまのうち・えつこ)
慶應大学文学部在学中のカナダ留学が縁でバンクーバーに35年以上暮らすなかブリティッシュコロンビア大学で先住民問題などを中心に教育社会学を学ぶ。
修士課程修了。日本では山形国際ドキュメンタリー映画祭や東京国際映画祭で長年通訳を務めている。

(記事 佐々岡沙樹)

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東漸寺:年末年始行事のご案内

除夜の鐘

日時:12月31日(火)

法要:午後11時30分
終了後、鐘楼で除夜の鐘をつきます

初詣

日時:1月1日(水)~1月5日(日)

拝観時間:午前10時から午後5時

修正会(新年初法要)
日時:1月1日(水) 午前10時

本堂ではお守り($10)、おみくじ($3)、宝くじ(50/50 draw)をご用意しております。

また、別回向、家内安全、厄除けなどの個人祈祷も承っております。

お支払いは現金のみとなりますので、ご了承ください。

ご来堂の注意点

本堂内の人数には制限がございます。混雑時には外でお待ちいただく場合がございますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

お問い合わせ先
電話:(604) 939-7749
メール:tozenji.bc@gmail.com

東漸寺住所

209 Jackson Street, Coquitlam

スカイトレイン Braid Station から徒歩15分
駐車場は敷地内にございますが、スペースが限られております。

ぜひ新年のご挨拶にお参りください。心よりお待ちしております。

—–

Tozenji: Year-End and New Year Event Information

New Year’s Eve Bell Ringing (Joya no Kane)

Date: December 31 (Tue)

Service: 11:30 PM
Following the service, everyone can ring the bell at the bell tower.

New Year’s Visit (Hatsumode)

Dates: January 1 (Wed) – January 5 (Sun)

Visiting Hours: 10:00 AM – 5:00 PM

First Service of the New Year (Shusho-e)
Date and Time: January 1 (Wed) 10:00 AM

The Main Hall will have Omamori (Good luck charms $10), Omikuji (Fortune slips $3) and Takarakuji (50/50 raffle draw) for sale.

We also accept requests for individual prayers, including memorial services, household safety, and protection against misfortune.

We kindly ask that payments be made in cash.

Important Notes for Visitors

The number of visitors allowed in the Main Hall is limited. During busy times, you may be asked to wait outside. We appreciate your understanding and cooperation.

Contact Information

Phone: (604) 939-7749
Email: tozenji.bc@gmail.com

Tozenji Address

209 Jackson Street, Coquitlam

A 15-minute walk from Braid Skytrain Station
Limited parking is available on-site.

We warmly invite you to join us in welcoming the New Year. We look forward to your visit!

お正月イベント

2025年1月4日(土)

10:00-15:00

日系文化センター・博物館 6688 Southoaks Crescent, Burnaby(Edmonds Skytrainより徒歩あるいはバス)

入場無料

日本のお正月をお祝いしましょう! 書初めをはじめとする楽しいアクティビティを体験してください。 新年の抱負や願い事を書き初めしてみませんか。将棋、囲碁、かるた、花札などのゲームや、お茶やフラダンスのワークショップに参加できます。また、美味しい食べ物や飲み物も販売します。家族や友達と一緒に、楽しい新年の思い出を作りましょう。

ウェブサイト centre.nikkeiplace.org/events/oshogatsu2025/

お問い合わせ 604.777.7000 info@nikkeiplace.org 

「The Return」夫婦で一緒に忘れたい過去

©2024 Bleecker Street/Mongrel Media/StarPR
©2024 Bleecker Street/Mongrel Media/StarPR

 アカデミー賞受賞作『イングリッシュ・ペイシェント』で共演したイギリス出身のレイフ・ファインズとフランス出身のジュリエット・ビノシュが、『The Full Monty』などで知られるイタリアのウベルト・パゾリーニ監督のドラマ映画『The Return』で再共演。今年のトロント国際映画祭で世界プレミアとして大きなスタンディングオベーションを受けた。

 『The Return』は、ホメーロスの『オデュッセイア』をリメイクしたもの。トロイ戦争に出征して帰って来ないオデュッセウス王(ファインズ)は、過去の家臣達から新しい王を選ぶように迫られている妻ペネロペ(ビノシュ)と、命を狙われている息子テーレマコス(チャーリー・プラマー)を救おうと自ら乞食となって王国に戻る。妻子を捨てた過去の自分と向き合い、欲に溺れた昔の家臣達を相手に命がけの戦いを繰り広げる。

 主人公のレイフ・ファインズは5カ月間のダイエットと運動で全裸のシーンにも挑戦。撮影はほとんどギリシャで行われ、美しい水面やサーファーが喜ぶような波のシーンなど、全て自然の光で撮影された。パゾリーニ監督の静かな皮肉やユーモアは映画ファンの期待を裏切らない。演技派俳優揃いで最後まで楽しめる作品。

 12月6日よりFifth Avenueやシネプレックスで公開。

(記事 Jenna Park)

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「フランス料理を食す 2」~投稿千景~

エドサトウ

 最近、ヴァンクーバーにあるVCC(カレッジ)にフランス料理のコースがあり、その生徒さんが、そのフランス料理のコースで作る料理の試食会、とはいっても有料で本格的なフランス料理である。その作品を食する機会に恵まれた。生徒さんの作品なので、店で食べるよりは安く、フルコースでいただけるので、期待と楽しみで参加した。以前にも参加したことがあるので、料理の味については知っているのでついつい期待が高まる。

 当日は、晩秋の冷たい小雨が降る日であった。学校の正面玄関から4階までエレベーターで上がると一般用の食堂がある。夕方なので、一般の生徒はなくがらんとした食堂を通り過ぎたところに特別のダイニングルームと厨房があり、白いレストランのユニホームを着た生徒さんが出迎えてくれた。

 今回のゲストは僕たちを入れて10名ぐらいの参加者であった。

 最初の一皿はシーフードで、エビ、ハマチなどが盛り付けられあって、ソースは酢の味で、これが絶妙なテーストで、酢の味が好きな小生にとっては最高の味の感じがして、思わず、「すごい!」と言ってしまった。二番目は杏子などのフルーツの料理に、パンが一切れ、このパンの優しい甘味とフルーツの食べ合わせが、これまた最高!

 その次に、オイスター(かき)のポタージュ風の一皿。オイスターも僕の好きな一品なので、これが今回、僕の一番のお気に入りでした。その後にラムミートのメインディッシュが出てくるのであるが、このころになると僕たちのグループも皆、おなかが一杯になってきた感じであった。ワインもローカルのものがいくつも試飲用に出てきたが、僕はジャーマン風のあっさりとした白ワインが良かった。この後もデザートもあるのであるが最後のメインディッシュはラムミートに独特のソースが用意されていて美味しい最高の一品でした。

 今宵は、まるでミシュランの五つ星レストランでディナーを楽しんでいるかのようなひと時でしたが、外に出れば秋の嵐か、強い雨と風が吹いていた。もうすぐクリスマスである。

Vancouver Community College
250 West Pender, Vancouver
Chef’s Table VCC

投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
これまでの当サイトでの「投稿千景」はこちらからご覧いただけます。
https://www.japancanadatoday.ca/category/column/post-ed-sato/

第19回 人生は「生き様」だけではない~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

12月のバンクーバーは、街中がクリスマスの雰囲気に包まれています。イルミネーションが美しく輝き、温かな空気が漂う中、多くの人々が贈り物を探しに街へと繰り出しています。私がこの原稿を書いている今、人気歌手のテイラー・スウィフトが3日連続でコンサートを開催しており、街はその熱気に満ちています。ラジオで彼女の音楽が流れる中、心躍る季節がやってきたことを実感しています。

「成功者たちの華やかな生き様」― 私たちはその言葉に憧れを抱きます。

起業して大成功を収めた人、世界中に邸宅を持つ人、子供たちを一流大学に送り出した人、若くしてFIRE(早期リタイアや経済的な独立)を達成した人たち。

SNSには華やかな日常が溢れ、講演会では「輝かしい成功体験」、時には「苦労話」や「失敗談」が語られます。しかし、その成功者たちの「死に様」はどうでしょうか?残念ながら、明るい話は少ないのが現実です。

* 資産を巡って家族間の確執が深まる
* 重要なデジタル資産のパスワードが不明で、遺族が途方に暮れる
* 生前整理が不十分で、残された家族が何年もかけて整理や処分に追われる

「うちにはたいした資産がないから、関係ないわ!」と笑い飛ばす人もいますが、日本では家庭裁判所に申し立てられた遺産分割調停の約75%が遺産総額5,000万円以下のケースです。

強調しますが、5,000万円以上ではなく5,000万円以下です。多くの方が予想される、何億もある莫大な遺産で争うというイメージとはかけ離れているため、驚かれる方もいるのではないでしょうか?

華やかな生前とは裏腹に、その最期は混乱と後悔に包まれていることが少なくありません。そして、それらの問題は身内の恥とされ、他人には言いたがらないため、多くの人は成功者とは思えない最期を迎えていることを知らないのです。

人生は「生き様」と「死に様」の両方で成り立っています。

経済的な成功や社会的地位も大切ですが、自分の死後に残される人々への思いやりも忘れてはいけません。あなたは今、デジタル遺品や財産目録をきちんと整理していますか?パスワードリストは誰かに共有していますか?大切な人にあなたの最期の希望や葬儀・供養について伝えていますか?介護が必要になった時のプランはありますか?

これらは決して「縁起でもない」ことではありません。むしろ、愛する家族への最後で最大の贈り物と言えるでしょう。受け取る側も、せっかくの愛情を「縁起の悪いことを言わないで!!」と拒否しないでください。

終活とは言うなれば、「究極の愛情表現」なのです。

華やかな生き様だけでなく、温かな余韻を残せる死に様まで考えられる人こそ、本当の意味で「素晴らしい人生」を全うできるのではないでしょうか。

あなたの人生の最終章は、今どれだけ周りの人を想い、配慮できるかにかかっているのです。

*このコラムは終活に関する一般的な知識や情報提供を目的とするものです。内容の正確さには努めておりますが、必要に応じてご自身で確認、または専門家へご相談ください。このコラムを元にして起きた不利益は免責とさせていただきます。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

グローバルライフデザイナー
2015年、友人の孤独死と相続問題をきっかけに、カナダのバンクーバーで遺言・相続専門の弁護士アシスタントとしてキャリアをスタート。2020年には終活アドバイザー資格を取得し、終活の視点を取り入れた知識と実務経験を活かしたノート術とコンサルティングを提供しています。
「終活せずに困った!」という後悔の声を「やってて良かった」「ありがとう」と笑顔で未来を彩ることをライフワークとしており、これまで300名以上に国境を越えた安心感を届けています。国内外問わず、すべての人が大切な未来をデザインできるようサポートしています。 家族はカナダ人の夫、2人の息子、愛猫1匹。日々の活動や最新情報は、メルマガ、ブログ、SNSで発信中。

メルマガ:https://www.shukatsu.ca/mailmagazine
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著書「海外在住日本人のための50代からの終活」:​​https://a.co/d/ad4OeLw

「フランス料理を食す 1」~投稿千景~

エドサトウ

 まだ、学生時代であったころに、NHKのテレビで「愛知の広報」と言う番組に出たことがある。30分ぐらいの番組で、お昼の時間帯に放映された。タイトルは、たしか「農業を目指す若者たち」であったと思うが、撮影が終了してお昼になり、NHKの方から近くの名古屋テレビ塔の西側にある西洋レストランでグラタンというフランス料理をご馳走になった。いわば、昼食が出演料のようなものである。そのほかにNHKのマークの入ったパーカーペンを記念に頂いた。

 この時、テレビ塔近くのレストランで、出演した4名がグラタンをいただいたが、今思えば、最初のフランス料理であった。50年以上も前の昭和の時代で、まだ、洋食が珍しく、まして、フランス料理など食する機会はほとんどなかった時代であったから、グラタンの味など、まったく分からず、ただただ「味の薄い料理だなあ!」思ったぐらいである。

 もう、あれから半世紀の時が流れた過日のハロウィンの日に近くのホームセンターで買い求めたオレンジ色のカボチャをハロウィンのランタンにするべく目や鼻をくりぬいていると、このカボチャは最後まで展示用で残っていたもので、皮が厚くて硬い、「これは、ひょっとしたら、日本の冬至カボチャのようにホカホカのおいしカボチャかもしれない」と思い、ハロウィンが終わると硬いカボチャの皮の一部を細かく切って、薄い醤油とだしで煮てみたが、ほっくりともせず、水っぽく煮あがった。表面の皮も固く、夕食のおかずには無理だと分かった。「それならば、これをミキサーにかけてポタージュスープにしてみよう」と思い立ち、さっそく煮たカボチャにミルク混ぜてミキサーにかけてみる。味見をすればまずまずである。さらに小麦粉をフライパンで炒めて、それをカボチャのジュースになるものと一緒にコトコトと煮てみると凄く美味しカボチャのポタージュが出来上がり、我ながら大成功であった。「いや、フランス料理のポタージュスープもなかなか美味しものである」。

投稿千景
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「カナダ“乗り鉄”の旅」第19回 見た目が似ていても首都オタワは「LRT」、トロントは「路面電車」、一体何が違う? カナダ最大都市・トロント編【完】

走行中のトロント交通局(TTC)の路面電車(2018年5月、カナダ東部オンタリオ州トロントで大塚圭一郎撮影)
走行中のトロント交通局(TTC)の路面電車(2018年5月、カナダ東部オンタリオ州トロントで大塚圭一郎撮影)

大塚圭一郎

 カナダの最大都市トロントで「街の顔」にもなっているのが、トロント交通局(TTC)が運行する路面電車だ。マイカー利用に比べて二酸化炭素(CO2)排出量を低減できるため、脱炭素化に役立っている。カナダ国旗をイメージさせる白と赤で装飾した低床式車両が行き来する様子は首都オタワをほうふつとさせるが、オタワでは次世代型路面電車(LRT)と呼ばれている。見た目が似ていても、これらはなぜ呼び方が異なるのだろうか?

【TTC路面電車】カナダ東部オンタリオ州トロントの中心部などに11路線あり、延べ約83キロと北米の路面電車として屈指の長さ。線路の幅が1495ミリと独特で、日本の新幹線が採用している標準軌(1435ミリ)より60ミリ広い。前身は1861年に一部区間で開業した馬車鉄道で、その後電車が走るようになった。アメリカ公共交通協会(APTA)によると、2024年7~9月期の平日の平均利用者数は約22万3300人。

走行中のトロント交通局(TTC)の路面電車(赤い細線)と地下鉄(太線)の路線図(TTCのホームページから)
走行中のトロント交通局(TTC)の路面電車(赤い細線)と地下鉄(太線)の路線図(TTCのホームページから)

 1938~95年には自動車と同じように足元のアクセルペダルとブレーキペダルで速度を調整する電車「PCCカー」が定期運転していた。詳しくは本連載第3回参照「カナダ“乗り鉄”の旅」第3回 トロントの往年の路面電車、米首都圏で今も健在!」

低床式車両が「トロントの顔」に

現在走っているTTCの路面電車の車両。オタワの次世代型路面電車(LRT)車両とよく似ている(2018年5月、カナダ東部オンタリオ州トロントで大塚圭一郎撮影)
現在走っているTTCの路面電車の車両。オタワの次世代型路面電車(LRT)車両とよく似ている(2018年5月、カナダ東部オンタリオ州トロントで大塚圭一郎撮影)

 トロント中心部の目抜き通りを歩いていると、5つの車体が連なったTTCの路面電車の超低床式車両が走ってくる。カナダの輸送機器メーカー、ボンバルディアの鉄道車両部門だった旧ボンバルディア・トランスポーテーション=現アルストム(フランス)=が製造した電車だ。2014年に営業運転が始まり、19年には全ての車両が置き換えられて「トロントの顔」として定着した。

2019年までにTTCから全て引退した路面電車の旧型車両(2014年7月、カナダ東部オンタリオ州トロントで大塚圭一郎撮影)
2019年までにTTCから全て引退した路面電車の旧型車両(2014年7月、カナダ東部オンタリオ州トロントで大塚圭一郎撮影)

 超低床式のためお年寄りや車いす利用者でも乗降しやすい上、全長28メートルあるため朝と夕方の通勤時間帯の混雑緩和にも役立つ。立った利用者を含めた定員が130人となり、それまでの1両の旧型電車(定員74人)、2つの車体を連結した電車(定員108人)と比べて輸送力が向上した。

 同じように車体をつなげた超低床式車両が行き来しているのが、同じオンタリオ州のオタワを走る電車「O―トレイン」の東西に結ぶ路線「1号線」(トリリウム線、全長12・5キロ)だ。ボンバルディア・トランスポーテーションを引き継いだアルストムが造ったこともあり、車両の設計がよく似ている。

 しかしながら、TTCが「ストリートカー(路面電車)」だと明言しているのに対し、O―トレインを運行するオタワ・カールトン地域交通公社(OCトランスポ)は1号線を「ライトレール」すなわち次世代型路面電車(LRT)だと定義している。

 なぜこれらの呼び方が異なるのかを見ていきたい。

北米最初のLRTはカナダで誕生

 TTCの路面電車は、自動車と道路を共用する併用軌道を通っている。多くの停留所は道路に沿って設けられているため、電車が到着すると利用者は車などに気をつけながら乗り降りする。

 これに対し、利用者が乗り降りしやすくて建設費も比較的抑えられる路面電車の長所と、近郊まで迅速に結ぶ郊外鉄道の特色を併せ持った「いいところ取り」の公共交通機関がLRTだ。都市の中心部では路面電車と同じように併用軌道を走るものの、線路を敷設する用地を確保しやすい近郊区間ではLRT車両だけが走る専用軌道を設けることが多い。このため併用軌道では比較的低速で走るものの、専用軌道ではスピードアップして郊外鉄道と遜色ないほどの走りを見せる。

 北米で最初にLRTが誕生したのは、1978年に営業運転が始まった西部アルバータ州エドモントンだ。運行するエドモントン市の運輸当局「エドモントン・トランジット・サービス」(ETS)が路線網を順次拡大し、現在は3路線の計37・4キロになっている。

カナダ西部アルバータ州カルガリーを走る次世代型路面電車(LRT)(2018年10月、大塚圭一郎撮影)
カナダ西部アルバータ州カルガリーを走る次世代型路面電車(LRT)(2018年10月、大塚圭一郎撮影)

 LRTは同じアルバータ州のカルガリー都市圏でも整備され、隣国のアメリカでも急速に広がってきた。自動車社会のアメリカにあって西部オレゴン州ポートランド都市圏はLRTだけで移動できるコンパクトシティーを形成し、環境負荷低減につなげたことで「街づくりの成功例」として脚光を浴びた。

アメリカ西部オレゴン州ポートランドの中心部を走る次世代型路面電車(LRT)(2024年10月、大塚圭一郎撮影)
アメリカ西部オレゴン州ポートランドの中心部を走る次世代型路面電車(LRT)(2024年10月、大塚圭一郎撮影)

 LRTが発達しているワシントン州シアトルとカリフォルニア州ロサンゼルス、南部テキサス州ダラス、東部マサチューセッツ州ボストンの各都市圏では日本の鉄道車両メーカー、近畿車両(大阪府東大阪市)が製造した電車が活躍している。

アメリカ西部ワシントン州シアトルの近郊を走行中の近畿車両製の次世代型路面電車(LRT)車両(2024年8月、大塚圭一郎撮影)
アメリカ西部ワシントン州シアトルの近郊を走行中の近畿車両製の次世代型路面電車(LRT)車両(2024年8月、大塚圭一郎撮影)
アメリカ南部テキサス州ダラスの市街地を走る近畿車両製の次世代型路面電車(LRT)車両(2014年7月、大塚圭一郎撮影)
アメリカ南部テキサス州ダラスの市街地を走る近畿車両製の次世代型路面電車(LRT)車両(2014年7月、大塚圭一郎撮影)
アメリカ東部マサチューセッツ州ボストンの停留場に止まった近畿車両製の次世代型路面電車(LRT)車両(2024年4月、大塚圭一郎撮影)
アメリカ東部マサチューセッツ州ボストンの停留場に止まった近畿車両製の次世代型路面電車(LRT)車両(2024年4月、大塚圭一郎撮影)

世界遺産の影響で「地下鉄化」

 一方、2019年に開業したオタワのO―トレイン1号線は、オタワ中心部で路面電車のような車両が地下に乗り入れて「地下鉄化」しているのがユニークだ。地下を走っているのは、オタワの代表的な観光スポットとなっている国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産「リドー運河」の影響だ。

カナダの首都オタワの「O―トレイン」の東西に結ぶ次世代型路面電車(LRT)「1号線」は、中心部では地下を走る(2024年2月、大塚圭一郎撮影)
カナダの首都オタワの「O―トレイン」の東西に結ぶ次世代型路面電車(LRT)「1号線」は、中心部では地下を走る(2024年2月、大塚圭一郎撮影)

 オタワとオンタリオ湖畔の古都キングストンの202キロを結ぶリドー運河は1832年に完成した。米英戦争の舞台となったカナダにアメリカが侵略することを警戒し、わずか約6年間の突貫工事で造り上げられた。

 「オタワ中心部で建設される輸送インフラの規模としてはリドー運河以来の大きさ」(オタワ市)となった1号線の敷設で、大きな難問として立ちはだかったのがリドー運河を越える方法だった。

 オタワ中心部のリドー運河に架かる橋は自動車の通行量が多い。それだけに1号線の複線の線路を設け、車線を減らすことになれば渋滞が慢性化しかねないリスクが生じる。

 一方、地上には道路に沿って専用軌道を設けられる空間はない。リドー運河の周辺には、連邦議会議事堂の改修に伴って議会上院の議事堂として暫定的に使われている旧オタワ中央駅舎、まるで城のような風格あふれるたたずまいの名門ホテル「フェアモント・シャトー・ローリエ」といった歴史的建造物がひしめいているからだ。

 そこで、中心部では1号線の線路が地下に敷かれ、リドー運河の下をくぐる構造となった。

日本では…法律上同じ

 このように見た目が似た電車が走っていても、道路上を走っているトロントでは路面電車なのに対し、オタワではLRTと別物のように扱われている。ところがややこしいことに、日本ではこれらが法律上は実は同じ扱いなのだ。

 日本には鉄道や索道(ケーブルカー)の運営に関して基本的な事項を定めた1986年制定の法律「鉄道事業法」とは別に、公共の運輸事業を目的とする路面電車(軌道)を監督する1912年制定の法律「軌道法」がある。

 線路を敷設する場所について鉄道事業法は「道路上に敷設してはならない」と規定する一方で、軌道法は「線路は道路に敷設すべし」としており、性格の違いを明確に定めている。ところがLRTのための法律はないため、路面電車向けの法律である軌道法が適用されている。

 2023年8月に開業した宇都宮駅東口(宇都宮市)と芳賀・高根沢工業団地(栃木県芳賀町)の14・6キロを結ぶ宇都宮ライトレールは、日本で初めて全線を新設したLRTとなった。

 だが、同じ軌道法が適用されているため、路面電車と区別するのが難しい点も少なくない。例えば電車が全長約29・5メートルなのは、全長30メートル以内と定めた軌道法に従ったためだ。最高時速が40キロなのも軌道法に基づいている。

トロントにも正真正銘のLRT誕生へ

 このように路面電車とLRTは日本の法律に基づくと一緒くたにされ、北米でも一緒にくくられることがしばしばある。

 ただ、厳密には異なることを踏まえると最大都市のトロントはTTCの路面電車も、地下鉄も、郊外鉄道「GOトランジット」も、トロント国際空港と結ぶ列車「UPエクスプレス」も、そしてVIA鉄道カナダの都市間鉄道も走っているにもかかわらず、LRTは存在していない。「公共交通機関が発達していて移動しやすい」(地元住民)と定評があるトロントだけに、LRTがないのは画竜点睛を欠く感もある。

 そんなトロントでも、正真正銘のLRTが開業を控えている。トロントを東西に結ぶ路線「5号線」(エグリントン線)だ。オンタリオ州の運輸公社、メトロリンクスによると、当初開業するのはマウンデニス停留場とケネディ停留場の約19キロで、うち10キロ超の区間は地下を通る。TTC地下鉄の1号線と2号線、GOトランジット、UPエクスプレスと乗り換えられるため、メトロリンクスは「所要時間が約60%短縮される区間もある」とアピールしている。

トロントで開業予定の次世代型路面電車(LRT)「5号線」の路線図(メトロリンクスのホームページから)
トロントで開業予定の次世代型路面電車(LRT)「5号線」の路線図(メトロリンクスのホームページから)

 2011年に始まった5号線の建設工事は難航し、開業は当初予定していた20年から先送りを繰り返してきた。試運転が始まり、24年の開業目標は実現できるとの見方も出ていたものの越年が決まった。

 新年こそ、トロント初の本格的なLRTとなる5号線が営業運転を始めることを夢見て…。読者の皆様におかれましては、どうぞ良いお年をお迎えください!

(カナダ最大都市・トロント編【完】。次回からはVIA鉄道カナダの冒険が始まります!)

共同通信社元ワシントン支局次長で「VIAクラブ日本支部」会員の大塚圭一郎氏が贈る、カナダにまつわる鉄道の魅力を紹介するコラム「カナダ “乗り鉄” の旅」。第1回からすべてのコラムは以下よりご覧いただけます。
カナダ “乗り鉄” の旅

大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社経済部次長・「VIAクラブ日本支部」会員

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科を卒業し、社団法人(現一般社団法人)共同通信社に入社。2013~16年にニューヨーク支局特派員、20~24年にワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。24年9月から現職。国内外の運輸・旅行・観光分野や国際経済などの記事を多く執筆しており、VIA鉄道カナダの公式愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員として鉄道も積極的に利用しながらカナダ10州を全て訪れた。

 優れた鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅(てつたび)オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を2013年度から務めている。共同通信と全国の新聞でつくるニュースサイト「47NEWS(よんななニュース)」や「Yahoo!ニュース」などに掲載されている連載『鉄道なにコレ!?』と鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」(https://www.47news.jp/column/railroad_club)を執筆し、「共同通信ポッドキャスト」(https://digital.kyodonews.jp/kyodopodcast/railway.html)に出演。
 本コラム「カナダ“乗り鉄”の旅」や、旅行サイト「Risvel(リスヴェル)」のコラム「“鉄分”サプリの旅」(https://www.risvel.com/column_list.php?cnid=22)も連載中。
 共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)、『平成をあるく』(柘植書房新社)などがある。東京外大の同窓会、一般社団法人東京外語会(https://www.gaigokai.or.jp/)の広報委員で元理事。

書道教室  並びに  書道ワークショップのお知らせ

★書道教室:月2回 漢字・かな・ペン字

*日系センター 第①、②水 曜日 11時~

*リッチモンド 第①、②火曜日      〃

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★書道ワークショップ:「万葉集 を書く会」

*日系センター 月1回 土曜日 11時―12時半 

万葉歌で仮名をお稽古し仮名作品を制作します。

清書用和紙受講料に込み  初心者用の手本有  準備上事前予約要

予定日 2025年2月8日 3月15日 4月19日
(2024年12月、2025年1月はお休み)

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★シニア(55才以上)の書道ワークショップ  -シニア料金-

(シニアのワークショップのみ お道具のレンタル有り)

Minoru Senior Centre Richmond (7191 Granville Ave. Richmond) 

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●各クラス、初心者歓迎、見学できます。ご希望の方は事前連絡を。

お申し込み・詳細は下記までお気軽にお問い合わせ下さい。

書道研究 一成会
TEL(604)273-1621
E-mail rvan2@hotmail.com

日系餅つき

2024年12月29日(日)

11:00 – 15:00

日系文化センター・博物館 6688 Southoaks Crescent, Burnaby(Edmonds Skytrainより徒歩あるいはバス)

入場無料

年末恒例の餅つき大会に、ぜひご家族やお友達とご一緒にご参加ください。つきたてのお餅を味わえるほか、お持ち帰り用の冷凍餅も販売いたします。バンクーバー日系ガーデナーズ協会による、臼と杵を使った本格的な餅つきのデモンストレーション。大人から子供まで楽しめる餅つき体験。ステージでは、華やかな踊りや力強い太鼓のパフォーマンス。その他、美味しい食べ物を提供するベンダーも出店。

主催:バンクーバー日系ガーデナーズ協会、NNMCC活動補助グループ

ウェブサイト https://centre.nikkeiplace.org/events/mochitsuki-2024/

お問い合わせ 604.777.7000 info@nikkeiplace.org 

髙橋良明総領事インタビュー「日系コミュニティと一緒に盛り上げていきたい」

在バンクーバー日本国総領事館髙橋良明総領事。2024年11月21日、バンクーバー総領事館で。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
在バンクーバー日本国総領事館髙橋良明総領事。2024年11月21日、バンクーバー総領事館で。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 在バンクーバー日本国総領事館・総領事に髙橋良明氏が10月30日に着任した。着任早々に、日系コミュニティの団体を訪問したり、日系リメンバランスデーに参加したりと、活動している。

 着任してまだ3週間と日が浅い11月中旬に、話を聞いた。

バンクーバーの印象

 バンクーバーへの訪問歴については、「10年前にナナイモで会議があって、その際に立ち寄ったことがある」とのことだが、「実際に当地に来てみると、やはり自然と文化の力に圧倒される」とのこと。特に「バンクーバーは自然を『味わえる』場所であることがすばらしい」と語る。

 「当地の自然はあまりに広大で、人間にとっては、恵みであると同時に脅威でもあるように思えます。そういった自然を楽しんだり、味わったりすることは簡単なことではなく、例えば、山に行くにしても、途中までは車を使い、防寒具を着て、食料を持ち、身の安全を確保して初めて、自然の美しさを『味わう』とことができます。人間は自然を『味わう』ためには、自然との間にインターフェースを必要とし、そういったインターフェースを持ち合わせている点で、このバンクーバーはすばらしいと思います」。

 大自然に引かれるのも、以前の任地での経験が関係しているかもしれないという。「世界には、人類が自然を破壊し、戻らなかった国もあれば、そもそも大自然が身近にない国もあります」。

 また、普段の生活の中においても特に木のある暮らしが気に入っている。「この国は木材が豊富で、日本では見たことのないサイズの材木が家具などに使用されています。その重量感が与える安定感が居心地がよく、リラックスできます」。

日系カナダ人コミュニティについて

 「ここに着任して、最も新鮮だったのは日系コミュニティの存在です」。これまで赴任した中で、これだけ大きな日系社会があった国はなかったと振り返る。日系コミュニティの存在は総領事館にとって「とても心強い」。すでに日系の数団体を訪問したと話し、「皆さんカナダ人でありながら、日本文化に最も近いところにいる。カナダにおける最大の日本文化の理解者が身近にいることは大変貴重です」。

バンクーバーの日系コミュニティの存在が新鮮だったという髙橋総領事。2024年11月21日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
バンクーバーの日系コミュニティの存在が新鮮だったという髙橋総領事。2024年11月21日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 また「日系人の皆さんがとても自信に満ち溢れてることに驚きました。皆さんの内側から、自分たちがこの地でがんばってきたんだという気概が伝わってきます」と言う。「それこそが日系社会の原動力なんだと感じますね」。

 そういった日系カナダ人と是非一緒に日本との関係を盛り上げていきたいと語る。「日加両国はその間には太平洋しかないわけで日本とバンクーバー、ブリティッシュ・コロンビアとの関係は近いと思います。今後、多くの日系人と在留邦人の方と一緒にさまざまな分野での日本との関わりを深めていきたいと思っています」。

日本の文化を違う方面から紹介していきたい

 カナダからの訪日客も増えている中、初めての訪日旅行からもっとマニアックなものまで楽しめるように「日本のトレンド」を積極的にリアルタイムに発信していけたら、と抱負を語る。

 「日本のトレンドは目まぐるしく変化します。これらをリアルタイムに発信すると、日本好きのカナダの人たちにとっても新鮮味を感じられるのではないかと思います」。さらに「また日本を訪れたくなるようなインセンティブをSNSなどで発信することができたら」という。

 トレンドという観点では、日本食もまだまだ紹介しきれていないと感じている。「前任地のシンガポールでもあったのですが、日本の食のトレンドを把握して、例えば、バンクーバーの食材を使いながら日本酒や日本産ワインとのペアリングなども結構受けるかもしれません」。

 2025年はバンクーバー市と横浜市、バーナビー市と釧路市の姉妹都市提携60周年、2026年にはFIFAワールドカップがバンクーバーで開催されるなど、ビッグイベントが続く。「そういう交流の機会は貴重です。お互いの都市協力などにつながる将来性のある話ですから。そのような機会を利用して、食を含めた日本文化を紹介できればありがたいですね」。シンガポールでは、日本の地方の知事のトップセールスで地元の食材を持ってきてシンガポール人に振舞うなどのプロモーションもあったという。

 また、バンクーバーは日系航空会社の直行便が最も多く就航している都市としての強みもあると話す。「日本人にも、もっとバンクーバーも知ってもらって、日本・バンクーバーの往来を活発にしていくために、できる限りのことをしたいと思います」。

2025年にアルバータ州で開催されるG7について

 2025年6月にはアルバータ州カナナスキスでG7サミット(先進国首脳会議)が開催される。「昨年のG7広島サミットでは、気候変動やエネルギー、持続可能な発展、などの従来の議題に加え、『広島AIプロセス』なども開始され、AI にも力を入れていくことが合意されました。気候変動やエネルギーは当地にとっても、非常に重要なトピックスであると考えているので、お互いに共通の分野についてよりその関係を深めていくことは重要であると思います」。その後は、「来年のG7サミットでの結果も踏まえながら、新しい協力関係が構築できればと思っています」。

バンクーバーでの楽しみ発見

「歩くことが好き」という髙橋総領事。バンクーバーでの街歩きも楽しみと話す。2024年11月21日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
「歩くことが好き」という髙橋総領事。バンクーバーでの街歩きも楽しみと話す。2024年11月21日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 「歩くことが好きなので、いろいろなところを訪れてみたいと思っています。人生の中で、これだけ好条件が揃っている場所に何年間か住むことができるということは、とてもラッキーなことだと思うので、そのアドバンテージを活かしたいと考えています」。

 冬の悪天候もそれほど気にならないと笑ったが、夏になって夜も明るい時期が来れば、もっと楽しみたいと語った。

日系コミュニティへ、総領事館から

 これまでは海外での勤務は大使館勤務のみで、「総領事館で働くのは実は初めてです」という。「総領事館の役割としては、日系社会や在留邦人の皆さんにより使ってもらう組織だと思っています。より近いところで関係性を築けるという意味では我々も館を挙げて、文化面、経済面も含めて、できるだけ皆さんに近い場所にいたいと思っています。改善すべき点など皆さんの要望も聞いていきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます」。

髙橋良明(たかはし・よしあき)
東京工業大学大学院修士(数理計算科学)、米スタンフォード大学院修士(国際開発政策)
1991年外務省入省、広報文化交流部文化交流課首席事務官、軍縮不拡散科学部国際科学協力室長、領事局外国人課長、大臣官房情報通信課長などを歴任
在オランダ日本国大使館参事官(2007-9)、在アフガニスタン日本国大使館次席公使(2019-21)、在シンガポール日本国大使館次席公使(2021-24)
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(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

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