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和の学校@東漸寺10月のお知らせ お寺de着付ワークショップ、殺陣教室、日本舞踊ワークショップ 開催!

和の学校@東漸寺10月のお知らせ
お寺de着付ワークショップ、殺陣教室、日本舞踊ワークショップ 開催!

千夏先生による「プロによる他装ワークショップ*振袖版」
10
月6日&20日(日曜日)
午前10時~午後12時、又は午後1時~午後3

呉服屋で長年にわたり着物の販売、レンタル、着付サービスをされて来られた千夏先生による、振袖のワークショップを開きます。プロフェッショナルのコツや工夫を習ってみませんか。
(対象:中級以上の方、着付経験のある方)

<参加費>
❍千夏先生のワークショップ$25/回、$40/2回参加

着付教室、着物ワークショップ、着物クラブ

10月 毎週日曜日 地下道場又は本堂にて

「着物や帯*自装&他装講座」
午前10時~午後3時の間、1時間半~2時間のお稽古

ご自分で着物を着て、お出かけしてみませんか。初心者の方、お気軽にお越しください。
着物及び帯や小物のレンタルもしております。(有料)
*日時について変更もございますので、その都度ご連絡をいただけましたら幸いです。

<参加費>
❍通常教室$20/回(グループのみ)

*別途でプライベートレッスンも承っております

フィルム撮影向/殺陣教室

10月6日、13日、20日、27日(日曜日)
午前10時~午後11時半 「殺陣*レギュラークラス」
午後12時~午後1時半 「殺陣*基礎クラス」

<参加費> 
❍レギュラークラス、基礎クラス
$20/回

お寺de日本舞踊ワークショップ

10月27日(日曜日)

午後1時半~午後2時半
日本舞踊は、日本の伝統芸能の一つで、優雅な踊りやしぐさが魅力です。
日本舞踊の基本や挨拶の仕方、扇子の開き方、歩き方などを体験してみませんか?
ご希望の方には、浴衣レンタルもございます。

<参加費>

❍ワークショップ(子供&大人)
$10/小人(対象年齢:3歳~12歳) 無料/保護者
$20大人(13歳~大人)

❍浴衣レンタル
$10/小人 (対象年齢:3歳~12歳)$20/大人(13歳~大人)

「茶話タイム」
午後12時~1時
茶話タイム内では、各種お教室に参加された方同士の社交の場として、お愉しみください。

着物クラブを同時開催することもございます。

<参加費>

❍お茶代として $5~ドネーション

*教室やワークショップにご参加される方は無料です。

<和の学校@東漸寺イベント及び各種教室のお申し込み*お問い合わせ>

和の学校@東漸寺TOZENJI コナともこ tands410@gmail.com
住所 209 Jackson street Coquitlam, B.C.
和の学校@東漸寺ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/

バンクーバー日系人合同教会から10月のお知らせ

  • 毎週日曜日午前11時から12時から礼拝を行っています。聖書について話し、讃美歌を歌い、礼拝後は軽食を囲み交流の時を持っています。教会が初めての方もお気軽に参加できます。
  • Thanksgiving Sunday 収穫感謝礼拝とターキーランチのお知らせ。
    10月13日(日)午前11時より。教会でターキーを準備します。一品持ち寄ってご参加ください。
  • シニア・初心者ラインダンス 
    毎週土曜午前11時から12時 会費$1
  • Zoomで聖書を読む会(ID 5662538165、パスコード1225)
    火曜日午前11時 英語で聖書を読む会、水曜日午前11時、隔週の午後7時半
    初めて聖書を読みたい方も歓迎します。
  • ボランティアしてみませんか?
    ダウンタウンイーストサイドでホームレスの方々に配るサンドイッチづくり。飲食品手渡し。木曜日午前9時から午前11時の間。お問い合わせください。
  • 結婚、葬儀、その他の人生相談をお伺いします。

お問合せ:604-618-6491(テキスト可)、vjuc4010@gmail.com  牧師 イムまで
住所:4010 Victoria Dr, (Between 23rd and 25th Ave East), Vancouver

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サレーNorthwood 合同教会 日本語会衆 礼拝

10月20日(日)午後2時より。
住所:8855 156 St, Surrey, BC, V3R 4K9
お問い合わせ:604-618-6491(テキスト可)イム、kuniokazaki98@gmail.com 岡崎まで 

「優しく、楽しくをモットーに」矢野アカデミー30周年を迎えて、矢野修三さんインタビュー(後編)

「優しく、楽しく教えるというのが私のモットーです」と笑う矢野修三さん。2024年8月20日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito
「優しく、楽しく教えるというのが私のモットーです」と笑う矢野修三さん。2024年8月20日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito

 矢野アカデミーが2024年9月に開講30周年を迎えた。バンクーバーで日本語を母国語としない大人を対象に日本語を教える先駆者として活躍する矢野アカデミー校長、矢野修三さんに話を聞いた。後編。

「縁」が重なって実現したバンクーバー・矢野アカデミー30周年を迎えて、矢野修三さんインタビュー(前編)

日本語を教えるということは日本文化を教えること

 外国人への日本語教育も変わってきているという。矢野さんが日本で外国人に日本語を教え始めた1988年ごろは、会話だけではなくひらがなを覚えることを基本としていたという。「ひらがなを覚えないことには上級クラスにいけないので、とにかく基本的にはひらがなを覚えてもらう。だから、彼女を口説きたいからちょっと会話だけというのは学校としては歓迎しなかったですね(笑)」。

 しかし、カナダで教える時は違った。「バンクーバーで教えるというのは全然違いましたね。やっぱりコミュニケーションが大事だから、会話から始めます。それで日本語教師としては『いつかひらがなもがんばってよ』と背中を押す感じです」

 そうして30年。バンクーバーで日本語を教え続けてきた。生徒の動機も、「日本企業への就職のため」から「アニメなどの日本文化に興味を持ったから」に変わってきた。

 それでも変わらないのは「言葉と共に文化を教える」こと。日本語と一緒に文化も教えることで、日本語をより理解できるようになる。日本語への関心は減ってないと感じている。

 1995年には日本語教師養成講座も始めた。バンクーバーに住んでいる日本人から「日本語の教え方」を教えてほしいと言われたのがきっかけだ。日本語教師養成講座も含め矢野アカデミー受講生はこれまでに約3000人。卒業生の中にはバンクーバーで日本語を教えている人も多く、日本やアジア、南米の国々で日本語教師として活躍している人もおり、「教師冥利に尽きますね。日本に帰ったときは同窓会にもきてくれますし」。

なぜ日本人は電話で頭を下げるのか...「お辞儀は見える」という矢野修三さん。2024年8月20日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito
なぜ日本人は電話で頭を下げるのか…「お辞儀は見える」という矢野修三さん。2024年8月20日、バンクーバー市。Photo by Koichi Saito

 そんな卒業生の日本語上級者の中で印象に残っているのは、まさしく日本文化を体得した生徒とのエピソード。

 バンクーバーで日本語教師を始めたばかりの頃。「スリランカ人の生徒だったと思うんですが、英語ももちろん、日本語も上手くなって日系企業に勤めたんです」。その生徒からボーナスをもらったから食事をしたいと連絡が来たという。うれしい再会。会うなり、「生徒の時にはつまらない質問をしてすみませんでした」と言われた。思い出したのは「なぜ日本人は電話で謝るときに頭を下げるんですか?」という質問だった。

 その時は明確な答えなど言えず困ってしまったんです」。でもその生徒は、「いまは日本の人に日本語で電話するときには頭が下がるけど、英語でI‘m sorryと言う時には下がらないんです。どうしてだか自分でも分からないんです」と言い、「だからあんな質問をするほうが間違いでしたね」と続けた。心地よいショックを受けたという矢野さんは「彼は日本語が母語ではないのに、日本語と一緒に文化まで体得したんですね。いやー、うれしくなっちゃって。すっごく印象に残ってますね。説明できないこともあるんだというのを生徒に教えられた感じでね」。

 教室はガスタウンから96年にはメトロタウン(バーナビー市)に、2002年にはバンクーバー・ダウンタウンに移った。現在はオンラインで続けている。

 モットーは?と聞くと「それはもう決まっていて、優しく教えるのが一番大事。でも、その前に楽しくないと。自分が楽しくなければ生徒も楽しくないですよ。優しく、楽しく教えるというのが私のモットーです」と楽しそう。今後は、日本語を再確認するために自分にもとても勉強になるエッセイ(ことばの交差点)を書き続けながら、「のんびりとオンライン講座をやっていければいいかなと思っています」と語った。

(取材 三島直美/写真 斉藤光一)

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バンクーバー朝日元選手、上西ケイさん死去

誕生祝いの大きなケーキの前で微笑む上西ケイさん。2024年1月7日、日系文化センター・博物館。Photo by ©Koichi Saito/Japan Canada Today
誕生祝いの大きなケーキの前で微笑む上西ケイさん。2024年1月7日、日系文化センター・博物館。Photo by ©Koichi Saito/Japan Canada Today

 戦前にバンクーバーで人気を博した日系人野球チーム「朝日」の元選手、上西功一(かみにし・こういち)さんが9月28日に死去した。102歳だった。

 家族によると、ブリティッシュ・コロンビア州カムループス市の自宅で、長男エド・カミニシさん、長女ジョイス・シモクラさんら家族に囲まれて静かに最後を迎えたという。

 ケイ・カミニシとして親しまれた上西さんは、朝日には17歳で入団。「初めてユニフォームをもらった時は寝る時にユニフォームを抱いて、うれしくて眠れなかった」といつも話していた。

 2003年、朝日がカナダ野球殿堂入りをしたことをきっかけに朝日が知られることになり、上西さんも元朝日選手として朝日の顔として活躍した。

 2015年、「新朝日」が誕生すると、子どもたちが再び「Asahi」を付けたユニフォームを着て野球をする姿に「日系人だけでなく、色々な人種の子どもたちが一緒に野球をするのはうれしいですね」と語っていた。

 1922年1月11日、バンクーバー市生まれ。今年1月11日にはバンクーバー市が同日を「The Vancouver Asahi Day」と設定。今年9月2日にAsahi Baseball Associationが主催するレガシーゲームに出席。公の場に姿を見せたのはそれが最後となった。

 家族によると、葬儀は近親者のみで行い、後日カムループス市でお別れ会を行う予定。

(記事 三島直美)

ホワイトキャップス、プレーオフ進出もシアトルに痛い黒星

GK高丘がチームメートに指示を出す。2024年10月2日、BCプレース。Photo by Koichi Saito
GK高丘がチームメートに指示を出す。2024年10月2日、BCプレース。Photo by Koichi Saito

 バンクーバー・ホワイトキャップスは10月2日、BCプレースに宿敵シアトル・サウンダーズFCを迎えた。2年連続のカスケディアカップ優勝もかかる大事な試合。しかし、厳しい戦いを強いられた。

サウンダーズの選手がシュートを止めたGK高丘に迫る。2024年10月2日、BCプレース。Photo by Koichi Saito
サウンダーズの選手がシュートを止めたGK高丘に迫る。2024年10月2日、BCプレース。Photo by Koichi Saito

10月2日(BCプレース:17,362)
バンクーバー・ホワイトキャップス 0-3 シアトル・サウンダーズFC

 試合は序盤、ホワイトキャップスが主導権を握る形で始まった。得点チャンスは作るが、最後の局面で相手に阻まれる場面が続く。そして前半14分、相手のコーナーキックからの攻撃を守り切れず、先制点を許した。
 後半に入ってもホワイトキャップスは積極的な攻撃を見せた。しかしサウンダーズの守備に阻まれ得点につながらない。逆に65分にPKを取られ2点目を、さらにその数分後に3点目を奪われ、試合が決まった。
 GK高丘陽平は試合終了15分前にJordan Morrisのシュートを阻止するセーブを見せたものの、ホワイトキャップスは最後まで反撃の糸口を掴むことができなかった。

過密スケジュールで疲労がたまる

 試合後の会見でVanni Sartini監督は珍しく疲れた表情を見せていた。「チームはエネルギーがなかった」と開口一番。試合序盤からうまくいかない状況が続き、何度か得点チャンスはあったが「緊張感を持った密な攻撃ができなかった」と振り返った。小さなミスの積み重ねが多かったが「今後の教訓にしたい」とも語った。

 過密スケジュールが選手のパフォーマンスに影響したとも。この日はシアトルとの大事な一戦にもかかわらずベストメンバーと言える布陣ではなかった。監督は「この2週間でかなり疲れていた選手も中にはいて、そうしたこともこの日のチーム状況に影響した」と語った。

 ホワイトキャップスは、9月に入って6試合を戦い、9月18日以降はこの日を含めてレギュラーシーズン4試合、カナディアンチャンピオンシップ決勝と、2週間で5試合をこなしている。

 この試合でキャプテンを務めたRanko Veselinović(DF)は、試合後の会見で敗因として過密スケジュールによるエネルギー不足ついて聞かれ、「多くの試合が続いていて厳しいスケジュールだが、それ以上に大事なのはメンタルの部分。今夜はパフォーマンスが良くなかったので、チームとして、個人として、何ができるか話し合って、今週土曜のミネソタ戦に向けて改善策を見つけたい。ファンの応援は大きな力になるので、土曜もサポートを期待しています」と述べた。

試合後、Vanni監督に肩を抱かれてピッチを後にするGK高丘。2024年10月2日、BCプレース。Photo by Koichi Saito
試合後、Vanni監督に肩を抱かれてピッチを後にするGK高丘。2024年10月2日、BCプレース。Photo by Koichi Saito

 GK高丘はホワイトキャップスに入団して初めて、この日は試合後インタビューに姿を見せなかった。

プレーオフ進出決定

 この日サウンダーズに敗れはしたものの、ホワイトキャップスは前節9月28日のポートランド・ティンバーズに1-1で引き分けて、今季のプレーオフ進出を決めた。キャップスは前半3分にBrian White(FW)がゴールを決めて先制。前半終了間際に同点に追いつかれたものの、後半は無失点に抑え引き分けた。

 ティンバーズは、サウンダーズと共にカスケディアカップを争うライバル。ホワイトキャップスがサウンダーズに敗れたため、カップの行方はサウンダーズ対ティンバーズの結果に次第となった。

FW・WhiteとグータッチするGK高丘。2024年9月28日、BCプレース。Photo by Koichi Saito
FW・WhiteとグータッチするGK高丘。2024年9月28日、BCプレース。Photo by Koichi Saito

 ただ西カンファレンス4位以内を目指すホワイトキャップスにとって、ここで満足するわけにはいかない。サウンダーズに負け、勝ち点47で順位を7位に落とし、4位とのポイント差は6点となった。

 レギュラーシーズンは残り3試合、そのうち2試合はホームゲーム。ホワイトキャップスは今週土曜に8位ミネソタ・ユナイテッドFCを迎え、ホームで重要な一戦に挑む。

10月のホームゲームhttps://www.whitecapsfc.com/

10月5日(土)4:30pm ミネソタ・ユナイテッドFC戦
10月13日(日)4:30pm LAFC戦

(取材 佐々岡沙樹/写真 斉藤光一)

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13歳女子への暴行事件、10代5人を逮捕

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州ケローナ市で起きた13歳女子への暴行事件で、ケローナRCMP(連邦警察)は10月2日、ユース5人を逮捕したと発表した。

 事件が起きたのは9月27日午後8時30分ごろ。ボイス-ギロ・ビーチ・パークで複数のユースが被害者を地面に押し倒して殴ったり、砂をかけたりといった暴行を加えた。被害者は重症を負い、病院に搬送された。

 現場ではユース約30人が暴行の様子を見物したり撮影していたという。そのうちの1人が警察に通報し、もう1人が暴行を止めようとしたとして、警察はこの2人に謝意を表している。

 逮捕された5人の容疑者は全員18歳以下で、現在は厳しい条件のもとに釈放されている。

 オンラインでは暴行シーンを映したビデオが出回っているという。警察はこのビデオの拡散を止めるよう呼びかけている。またこの事件の情報提供も求めている。

 警察によると、2023年にケローナで起きたユースの暴行事件は41件で、2022年の16件から著しく増加している。2023年に起きた事件のうち、30%以上が熊退治スプレーを含む武器を用いたものだという。

(記事 編集部)

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トロント国際映画祭の話題作が早くも劇場公開に「Megalopolis 」(フランシス・フォード・コッポラ監督)「Wild Robot」(クリス・サンダース監督)

「Wild Robot」より。Photo courtesy of TIFF
「Wild Robot」より。Photo courtesy of TIFF

 10月に入りあっという間に肌寒い日が増えてきたバンクーバー。秋って紅葉を楽しんだり、もう少し穏やかな季節じゃなかったっけ?と思いながらも、芸術の秋を楽しむべく映画館に通っている私です。

 さて、今回ご紹介するのは先月のトロント国際映画祭で観た超大作の中から、早くも劇場公開になった2作品「Megalopolis」と「The Wild Robot」。共に話題作ですが、実は両方とも大好きなスターウォーズ系俳優さんたちが出ているという個人的な理由(笑)からもおすすめする2本です!

「Megalopolis」(フランシス・フォード・コッポラ監督)

「Megalopolis」より。提供TIFF
「Megalopolis」より。提供TIFF

 近未来のニューヨークを思わせる都市が舞台。時と空間をコントロールする不思議な力を持つ理想主義者の建築家シーザー(アダム・ドライバー)が主人公。災害で荒廃した街にユートピアを作り再建しようとするシーザーと市長(ジャンカルロ・エスポジート)との権力攻防や彼の周囲の女性たち、メディアとのかけひきなどを描く。コッポラ監督が構想40年を経て巨額の私財を投入したことでも話題に。

「Megalopolis」のレッドカーペット。ナタリー・エマニュエルはすごく笑顔で可愛かったです。Photo by Michiru Miyai
「Megalopolis」のレッドカーペット。ナタリー・エマニュエルはすごく笑顔で可愛かったです。Photo by Michiru Miyai

 まず俳優さんは皆役柄にぴったりで、さすがコッポラ作品。ストーリーはシンプルなんだけど、あまりに細かい要素が盛りだくさんで何が起こっているか追いつくのに少し苦労しました。幸運にも観た後にコッポラ監督のQ&Aを聞く事が出来たのと、周囲の人との答え合わせでやっと理解できた感じです。要約すると、未来の都市を舞台にしたSF要素の入ったローマ叙事詩に、愛、政治批判、過去の映画へのオマージュ、監督の哲学、文学的知識などを詰め込んだ作品…かな。巨匠コッポラ監督が自費で自分が作りたい映画を作りたいように作ったある意味すごく贅沢な作品。終わった後にいろいろ考えたり誰かと話したり、そしてもう一度観てみたくなる映画であることは間違いないです。監督が「どの様な未来を子ども達に残すことが出来るのか、それを問いかけるためにこの映画を作った」と言うのを聞いて宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を思い出したりもしました。

「The Wild Robot(邦題:野生の島のロズ)」(クリス・サンダース監督)

「Wild Robot」より。Photo courtesy of TIFF
「Wild Robot」より。Photo courtesy of TIFF

 同名の児童書(ピーター・ブラウン著)が原作でドリームワークス・アニメーションによる作品。人間をサポートするプログラムがインストールされたロボット、ロズ。貨物船の事故で流れ着いた島でスイッチが入り起動したロズは出会う動物たちに用件を聞いて回るが怪物扱いされるだけ。そんな中、ガンのヒナとの出会いをきっかけに他の動物たちとの交流が広がり、次第に仲間として受け入れられてゆく。ところが、ある日島に不気味な飛行船がやって来て・・・。

 感想は一言、最高でした!感情も無く無機質なはずのロボットのロズが、周囲から学び少しずつ成長してゆき最後は強く優しいお母さんに。親子の愛情(泣けます!)、仲間との絆、動物たちの厳しい世界などにロボットの戦いというハラハラする要素も合わさって始まりから終わりまでずっと楽しめました。そして忘れてならないのが声優陣。ルピタ・ニョンゴ、ペドロ・パスカル、キャサリン・オハラ、マーク・ハミルらがそれぞれのキャラクターを魅力たっぷりに演じています。アニーションは色味が絵本のようで美しいし登場する動物たちも皆可愛いし、音楽も良かったし、子どもだけでなく大人にもおすすめできる映画です。

トロント国際映画祭でWild Robot の上映後のQ&A。映画祭ならではの楽しみです。Photo by Michiru Miyai
トロント国際映画祭でWild Robot の上映後のQ&A。映画祭ならではの楽しみです。Photo by Michiru Miyai

 両作品ともCineplex系映画館で上映中。

Lalaのシネマワールド
映画に魅せられて

バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
旬の映画や話題のドラマだけでなく、さまざまな作品を紹介します。第1回からはこちら

Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
良いストーリーには世界を豊にるす力があると信じてます
みなさん一緒に映画観ませんか!?

「いい旅 バンクーバー島 2」~投稿千景~

エドサトウ

 博物館の一角に、ネイティブ(先住民)の人々が、かつて(4000年前)に使っていたという石器が小さく展示されてあった。今から4000年前ということは、縄文時代の晩期である。司馬さんの話に縄文人は北海道から、海岸線をつたいアメリカ大陸に渡ったという話がある。一万年前にアメリカ大陸に人類が来たらしい。一万年前は、まだ海面が低かったから、アジア大陸とアメリカ大陸はベーリング海峡でつながっていたのかもしれない。春の大潮で、海水が遠くまで引いた時には、歩いて渡れたのかもしれない。

 アメリカ西海岸のネイティブの遺伝子を大学の先生が調べたところ、縄文人と同じ遺伝子があるらしいから、縄文人はずいぶんと昔から、カナダの西海岸で生活をしていたように想像できる。東部カナダでは、アメリカに英国からピューリタンが来る前から、北欧のバイキングのグループが船でカナダにたどり着いたという話もある。

 パークスビルに僕が来たのは50年以上も前のことである。僕が結婚する前のことである。当時、同じ会社で働いていた友が、新聞広告で見つけた土地を買いたいと言う。それで、彼が「サトー君、バンクーバー島へ行かへんか?」と言う。話を聞くと、将来、リタイヤ(退職)したら、バンクーバー島にアトリエを作って住み、絵を描きたいという。そのための土地を買うために、現地で不動産屋さんと会うという話である。仕事を二つ持ち、とにかくよく働く人であった。それでお金を蓄えたのか、当時、一万ドルもしない物件を見に行くのである。その一つが、このパークスビルの海岸線に近い宅地用の土地であった。

 もう一つの物件は、そこから、さらに山奥に入った山林のままの土地であった。彼は、こちらの方が広く大きな土地であったので気に入っていたようであった。

 彼が「サトー君、どっちが良いかな?」大阪弁のアクセントで聞いた。僕が「海岸線近くの土地は、もう、下水道や水道が準備されるというから、将来性があると思うけどーーー」と答えた。結局、彼は迷った末にパークスビルの海に近い土地を買った。

 今頃、パークスビルは多くの家や店が立ち並び、大きな町に変貌していた。彼は、その数年後に彼の区画整理のついた土地を買いたい人が現れて売却をして、いいお金を儲けたらしい。

 僕がカナダに来る頃に、父が将来の農地用に購入した山林の土地が、のちに工業団地に指定されて、高く売れたということもあり、当時から、カナダの不動産に興味があり、当時としては、早くに家を買ったほうである。古い我が家は都心に近く、今はビックリするような値段である。あの頃に、もう少し宅地を買っておけば、今頃は百万長者になっていたかもしれない。若い頃は、それなりに大変であったが、いい時代であったと思い返すこの頃である。その友も数年前にがんで亡くなられた。

 翌日、パークスビルのモーテルを朝の6時に出発。今日は天気も良く、海の向こうから美しい朝日が昇り始める中、国道を海岸線に沿って次の街コモックスをめざす。息子に「パークスビルの街の中心から、新しいハイウェイに出れば、早くに着けるから、ハイウェイに出たら?」と言うと、息子は「こちらでいいよ」と言う。まだ新しいハイウェイがなかったころ、なき妻や子供たちとこの旧道を走った記憶があるのか、懐かしそうに息子が「母さんと一緒に来た時、この辺を通ったよなあ」と言う。遠い過去の日が脳裏をかすめ、少々悲しかった。

 美しい海岸線に赤い夏の太陽が昇る中、車は北の街コモックスを目指して、快調に走り続ける。

 途中の海岸線の駐車場には車中泊をしているかと思われる車を多く見かけた。僕たちもキャンプの用意をしてきたが、パークスビルの街の入り口付近にある州立公園のキャンプ場はいっぱいで泊まることできず、心配であったが、幸い街のモーテルに泊まることができて良かった。けれども、この海岸線車中泊も面白そうである。

投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
これまでの当サイトでの「投稿千景」はこちらからご覧いただけます。
https://www.japancanadatoday.ca/category/column/post-ed-sato/

「カナダ“乗り鉄”の旅」第17回 地下鉄の赤い扉で、「福岡生活」に戻ったような錯覚に カナダ最大都市・トロント編

トロント交通局(TTC)地下鉄2号線の駅に停車中のT―1(2024年2月20日、トロントで大塚圭一郎撮影)
トロント交通局(TTC)地下鉄2号線の駅に停車中のT―1(2024年2月20日、トロントで大塚圭一郎撮影)

大塚圭一郎

 今年3月に開業70年を迎えたカナダのトロント交通局(TTC)地下鉄で、「T―1」と呼ばれる旧型電車が唯一走っているのが東西に結ぶ2号線(ブロア―ダンフォース線)だ。3路線あるTTC地下鉄の路線図に描かれる2号線のラインカラー(路線色)は「緑」だが、T―1に乗り込むと客室側の扉は真っ赤に塗られていた。帰宅ラッシュで車内が混雑していたため真っ赤な扉の隣に立っていると、赴任していた九州の最大都市の福岡県での生活に戻ったような錯覚に陥った―。

T―1の車内に貼られたTTC地下鉄2号線の路線図(2024年2月20日、トロントで大塚圭一郎撮影)
T―1の車内に貼られたTTC地下鉄2号線の路線図(2024年2月20日、トロントで大塚圭一郎撮影)

【T―1】カナダで最大都市のオンタリオ州トロントの都市圏を走るトロント交通局(TTC)地下鉄で1995年に導入が始まった電車。カナダの輸送機器メーカー、ボンバルディアの傘下だった旧ボンバルディア・トランスポーテーション(現在のフランスのアルストム)が製造した。車体はアルミ合金製で、全長約23メートルの車両の側面に4カ所の両開き扉を備えている。

 線路に沿った第三軌条から直流の電圧600ボルトの電気を取り込んで走っているのは東京メトロ丸ノ内線(本連載第16回参照)や銀座線と同じ。ただし、TTC地下鉄の左右レール間の幅である線路幅は1495ミリと広軌で、標準軌(1435ミリ)の丸ノ内線や銀座線より60ミリ広い。

航空機の窓から眺めたトロント市街地(2024年2月20日、大塚圭一郎撮影)
航空機の窓から眺めたトロント市街地(2024年2月20日、大塚圭一郎撮影)

ひと目で「浦島太郎」気分

 TTC地下鉄の1号線と4号線に乗り込んだ車両は、いずれも「トロントロケット」(本連載第14回参照)と呼ばれる2011年登場のステンレス製車両だった。

 トロント中心部の1号線のプラットホームに滑り込んだスマートな外観のトロントロケットをひと目見ると、まるで玉手箱を開けた浦島太郎になったような気分に襲われた。そして「これは私の記憶にあるTTC地下鉄の車両ではない!」という強烈な違和感を覚えた。

 というのも、私がTTC地下鉄に前回乗ったのは2014年のことで、当時はT―1が3路線全てで現役だったのだ。

 今回は1号線を北上してシェパードヤング駅へ向かい、乗り換えた4号線のホームで待ち受けていたのもトロントロケットだった。「またか…」と肩を落としたことを認めなければならない。

 ただし、4号線は乗ったことがなかった。このため〝完全乗車〟したいと考え、4駅先の終点ドンミルズへ向かった。

 「1号線と4号線にT―1が走っていないのならば、2号線が最後の牙城になっているのではないか」とにらんだのだ。

 そこで2号線の駅に向かおうとしたところ、誤算が生じた―。

次第に住宅もまばらに…

 ドンミルズで4号線を下車後、地上のバスターミナルの路線図を頼りにTTC地下鉄2号線の駅に向かう路線バスを探した。

 2号線の駅と結ぶ目当ての路線番号を表示したバスが来たため、一目散に乗り込んだ。しかし、やがて異変に気づいた。

 乗客が途中の停留所で次々と降りていき、乗り込む利用者は見当たらない。次第に住宅もまばらになっていき、暗闇に包まれた停留所に止まると運転手にこう通告された。

 「ここが終点だよ」

 何と路線番号だけを確認して乗り込んだため、反対方向のバスに乗り込んでしまったのだ。仕方なく「ドンミルズ駅に戻るバスはありますか?」と質問すると、運転手は先の停留所を指さして「しばらくすればあそこから出発するから」と教えてくれた。

 やって来た別のバスの運転手に「ドンミルズ駅を通りますか?」と確認し、うなずいたのでIC乗車券「プレスト」を読み取り端末にかざして乗車した。このバスの行き先は2号線の駅ではなかったため、ドンミルズ駅に照準を合わせたのだ。

 今度は途中の停留所で降りる利用者はおらず、代わりに次々と乗り込んできた。

 ドンミルズでバスを降りると、シェパードヤング行きの4号線の電車を目指した。シェパードヤングから今度は1号線を南下し、2号線と接続するトロント中心部のブロア―ヤング駅へ向かおうと考えたのだ。

念願のT―1に

 複線の線路を挟んでホームが向かい合った対面式ホームのブロア―ヤングで1号線を降り、階段で1階下がると2号線のホームがあった。2号線は両方向の線路に挟まれた真ん中にホームがある島式ホームとなっている。

 できれば2号線も〝完全乗車〟をしたかった。しかしながら、ドンミルズ駅で反対方向のバスに乗ってしまう失敗でタイムロスが生じたため、その日じゅうには無理だ。そこで、東方面のケネディ行き電車に乗ることにした。

2014年7月の訪問時に撮影したTTC地下鉄2号線のT―1(トロントで大塚圭一郎撮影)
2014年7月の訪問時に撮影したTTC地下鉄2号線のT―1(トロントで大塚圭一郎撮影)

 ホームに入る前から重厚なモーター音が響き渡り、「トロントロケットとは別物だ」と確信した次の瞬間に念願のT―1が滑り込んできた。

 帰宅客らで車内は混雑していたため、入り口の脇に立っていると両開き扉が閉まった。扉の外観は車体と同じシルバー色だったが、内側は真っ赤に塗られているではないか。その扉が視界に入るやいなや、2018~20年に住んだ福岡県で乗った電車を思い出した。

1年先輩の電車

 赤い両開き扉を採用しているのが、JR九州が福岡都市圏の鹿児島線などで走らせているステンレス製の電車「813系」と同じだったのだ。813系は1994年に登場しており、TTC地下鉄のT―1より1年先輩だ。

扉が赤いJR九州の鹿児島線で使われている813系(2019年5月30日、佐賀県鳥栖市で大塚圭一郎撮影)
扉が赤いJR九州の鹿児島線で使われている813系(2019年5月30日、佐賀県鳥栖市で大塚圭一郎撮影)

 JR九州は赤をコーポレートカラーとして採用していることから、鹿児島線などで使っている813系は扉の内側と外側の両方とも赤色に塗っている。

客室側が赤く塗られたT―1の扉(2024年2月20日、トロントで大塚圭一郎撮影)
客室側が赤く塗られたT―1の扉(2024年2月20日、トロントで大塚圭一郎撮影)

 これに対してT―1の扉の外側は車体色と同じシルバー色で、客室側だけが813系と同じような赤色だ。それでも私の中ではT―1と813系の姿が重なり合い、まるで813系に乗り込んだかのような懐かしさにとらわれた。

 「博多駅(福岡市)から小倉(北九州市)へ向かうのに山陽新幹線を使えば約15分で着くのに、電車代をけちって1時間超もかかる鹿児島線の813系で運転する快速電車に乗ったな」と思い返した。

 T―1がドン川に架かった橋を通った時には「まるで813系で遠賀川(おんががわ)の橋を渡っているようだ」と懐かしんだ。

どうなる?次世代車両

 このように郷愁をかき立ててくれたのが、T―1の乗車体験だった。今から10年前に初めてTTC地下鉄に乗り込んだ日にタイムスリップさせてくれるだけではなく、赤い扉という共通点で地球の反対側にある福岡県を走る電車まで思い起こさせてくれた。

 かつてはTTC地下鉄の主力として活躍していたT―1にこれからも走り続けてほしいが、黄信号がともっている。1号線と4号線の全車両がトロントロケットに一本化されたのに続き、2号線のT―1を置き換えるための次世代車両導入が検討されているのだ。

 次世代車両55両を新造するには約23億カナダドル(1カナダドル=105円で約2415億円)がかかると見込まれており、費用の一部を拠出するトロント市とオンタリオ州はカナダ連邦政府も負担するように働きかけている。

 TTCの理事会メンバーでもあるトロント市議会議員のジョシュ・マトロウ氏はカナダ放送協会(CBC)に対し、T―1を使い続ければ「完全な運行停止に追い込まれる恐れがある」と警告。新造車両を導入する必要性を「連邦政府が理解していると確信している」とした上で、「連邦政府に対して彼らの協力なくして実現できないことをはっきりと伝えており、うまくいくと非常に楽観している」と訴えた。

 2号線は東端のケネディ駅から北東へ7・8キロ延伸する工事が2023年1月に始まっており、完成後は終点となるシェパード駅まで計3駅を新設する。TTCは2041年までに2号線の平日1日当たりの利用者数が66万1千人となり、現在より約18%増えると予想している。

 路線の重要性が一段と高まる中で信頼性のある次世代車両を導入し、登場から30年弱が経過したT―1は置き換えた方が良いという主張には一定の理解ができる。

 その一方で、TTC地下鉄を次回利用する時にも思い出深いT―1が出迎えてほしいという願望を抱いているのも確かだ。これは鉄道好きの旅行者のエゴに過ぎないのだろうか?

共同通信社元ワシントン支局次長で「VIAクラブ日本支部」会員の大塚圭一郎氏が贈る、カナダにまつわる鉄道の魅力を紹介するコラム「カナダ “乗り鉄” の旅」。第1回からすべてのコラムは以下よりご覧いただけます。
カナダ “乗り鉄” の旅

大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社経済部次長・「VIAクラブ日本支部」会員

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科を卒業し、社団法人(現一般社団法人)共同通信社に入社。2013~16年にニューヨーク支局特派員、20~24年にワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。24年9月から現職。国内外の運輸・旅行・観光分野や国際経済などの記事を多く執筆しており、VIA鉄道カナダの公式愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員として鉄道も積極的に利用しながらカナダ10州を全て訪れた。

 優れた鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅(てつたび)オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を2013年度から務めている。共同通信と全国の新聞でつくるニュースサイト「47NEWS(よんななニュース)」や「Yahoo!ニュース」などに掲載されている連載『鉄道なにコレ!?』と鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」(https://www.47news.jp/column/railroad_club)を執筆し、「共同通信ポッドキャスト」(https://digital.kyodonews.jp/kyodopodcast/railway.html)に出演。
 本コラム「カナダ“乗り鉄”の旅」や、旅行サイト「Risvel(リスヴェル)」のコラム「“鉄分”サプリの旅」(https://www.risvel.com/column_list.php?cnid=22)も連載中。
 共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)、『平成をあるく』(柘植書房新社)などがある。東京外大の同窓会、一般社団法人東京外語会(https://www.gaigokai.or.jp/)の広報委員で元理事。

「嫌いなものがあるから、新しいものが生まれる」海外に寿司の世界への扉を開いた東條さんドキュメンタリー バンクーバー国際映画祭で上映

映画にちなんだ東條さん特製「アップルだるまサラダ」を手に。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
映画にちなんだ東條さん特製「アップルだるまサラダ」を手に。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 第43回バンクーバー国際映画祭(VIFF)で上映中の「The Chef & the Daruma」(Mads K. Baekkevold監督)は、バンクーバーの日本食レストラン「Tojo’s」のオーナーシェフ・東條英員(ひでかず)さんのこれまでの人生を描いたドキュメンタリー。

 映画祭開催前にチケットが完売し、2回の上映追加が決定した。本作にスクリーンライターとして参加し、「この作品が日本で上映されることが夢」だという村尾幸子ナタリーさんにはEメールで、カリフォルニアロールの原型「東條巻き」を生み出したシェフの東條さんには9月27日にレストランTojo’sで話を聞いた。

—このドキュメンタリー制作のきっかけは?

東條さん:監督からは「いろんなお店を回ったが、東條さんの料理はオリジナリティがあり、魂、パッションがある。そして、こんなにも地元の食材を生かした料理を今まで見たことない」と言って、この映画のオファーがありました。監督も「お金ではないもの」を重視する人で、そういう考え方が僕と似ていると感じました。監督、村尾さん含め本作のスタッフはみんな才能と情熱のある人ばかりでした。

ドキュメンタリー映画「The Chef & the Daruma」主人公、シェフの東條英員さん。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
ドキュメンタリー映画「The Chef & the Daruma」主人公、シェフの東條英員さん。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

村尾さん:元々は、監督のMads K. Baekkevoldがミシュランガイド関連の仕事で東條さんに出会ったことがきっかけです。その際に、レストランに置かれていた大きなだるまを見つけた監督は、東條さんとだるまや人生について長時間話し、お互いの人生観や目標に共通するものが多いと感じ、東條さんの人生をだるまの儀式と並行して描くアイデアを思いつきました。

「The Chef & the Daruma」より。Photo courtesy of VIFF
「The Chef & the Daruma」より。Photo courtesy of VIFF

 また、監督からこの企画を聞いたとき、この作品は、単純にシェフの料理や成功を紹介するものではなく、日系カナダ人独自のストーリーになる可能性があると思いました。私自身も日系四世として、このドキュメンタリーを作ることで、日系カナダ人の歴史やコミュニティについて学び、その知識を観客と共有する機会が得られると感じ、本作への参加を決めました。

—本作でも触れられていますが、日系カナダ人の歴史について思うことは?

東條さん:僕が1972年にカナダに来た頃は、日系一世、二世の時代でしたが、当時彼らは生魚を公には食べていませんでした。白人からばかにされるからです。僕は「人間の差別がどこから生まれるのか?」ということにものすごく興味があったし、そうした差別意識を変えたいと思っていました。そこを打ち破るのが食べ物なんです。

映画にちなんだ東條さん特製「アップルだるまサラダ」。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
映画にちなんだ東條さん特製「アップルだるまサラダ」。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 食べ物というのは、他の国の人たちに自分たちのアイデンティティを表明するのに、ものすごく大事なツールなんですよね。ばかにされないためには、食べ物に関してこっちの人との共通点を探す必要がある。そのために、僕はバンクーバーの一流レストランに月給のほとんどをつぎ込んで何度も通って勉強をしました。

村尾さん:映画制作者としての私の目標の一つは、戦中および戦後に日系カナダ人コミュニティが経験した多くの苦難に光を当てることです。私の両親の家族も強制収容所に送られ、その影響は今なお続いています。本作では、既存の日系カナダ人コミュニティが、戦後カナダへ移住した日本人(新移住者)から日本の文化、芸術、料理を学び、それを再び活性化させた様子を描いています。

 また、新移住者たちも、カナダで生活する中で日系カナダ人が過去に直面した苦難を学んできました。新移住者から四世、五世に至るまで、さまざまな世代によって、その豊かな歴史と文化が形成されています。本作でそうした日系カナダ人コミュニティの多様な側面とその複雑さを描けて自分自身も良かったと思っています。

—現地の人たちの好みを知ることでカリフォルニアロールを思いついたのですか?

いまでもTojo'sで提供されている考案当時の「東條巻き」、この日は東條さん自身が目の前で。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
いまでもTojo’sで提供されている考案当時の「東條巻き」、この日は東條さん自身が目の前で。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

東條さん:僕はカリフォルニアロールとは言っていなくて、「東條巻き」と言っています。当時「こっちの人たちは生魚を食べないし、海苔に抵抗感がある」と言われていたので、そういう人たちがアプローチしやすくするにはどうしたらよいか考えました。僕は大阪で料理人の修業をしたので、生魚を使用しない大阪の太巻きの材料(玉子、しいたけ、かんぴょう、ほうれん草)をインサイドアウト(裏巻き)にして出来たのが「東條巻き」です。

 後から聞いたのですが、海苔は英語で「seaweed」と言うので、こっちの人はそれが「雑草」のような感じで嫌みたいで、今では「sea vegetable」という言い方に変えています。時代によって食べ物の名前も変わりますしね。また、海苔を内側に入れても苦手な人には、海苔の代わりに薄焼き卵を使って作りました。「嫌いなもの」があるから、「新しいもの」が生まれるんですよね。

「海苔に抵抗感がある」と言われていたため海苔を内側に入れたのが「東條巻き」。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
「海苔に抵抗感がある」と言われていたため海苔を内側に入れたのが「東條巻き」。2024年9月27日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 当時日本では、東條巻きを「こんなのは邪道だ」と認めてくれなかったけど、その後「東條巻きは世界の日本食への意識を変えた」と言われるようになり、世界中からお客さんが来てくれるようになりました。僕のお店の名前を「東條ジャパニーズレストラン」のような名前にしていないのは、料理の壁を作らないようにするためです。それは、どんなテクニックを使ってもいいということ。「これは日本食ではない」と言われてもいい。僕が作るものは「東條フード」なんです。

—映画では目標達成の祈願としてだるまのシーンがありますが、今後の東條さんの目標は?

東條さん:目標というか、生き方やね。一生働きたいけど、今74歳なので、次の世代にバトンタッチして、今後は彼らを表に出して、僕は後ろからサポートしていきたいですね。

—バンクーバー国際映画祭の観客に伝えたいことは?

村尾さん:本作での私の役割は「東條さんのストーリーとは何か?」という問いに対する答えを見つけることでした。東條さんの過去から70代の現在までの旅路は、取り上げるべき内容が山ほどあり、90分にまとめることに非常に苦労をしました。しかし、観客の皆さんには、東條さんの人生がスクリーンに映っている90分以上に広がると信じています。

「The Chef & the Daruma」上映後のQ&Aで答える東條さん(右から3番目)ら関係者。2024年9月30日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
「The Chef & the Daruma」上映後のQ&Aで答える東條さん(右から3番目)ら関係者。2024年9月30日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

 また、本作では「とりあえずやってみよう」という言葉に焦点が当てられています。新しい食べ物、新しい経験、何でもやってみることが大切です!

「The Chef & the Daruma」上映日時・会場

9月30日(月)6:00 pm @SFU Woodwards(東條さん他関係者のQ&Aあり)
10月3日(木)7:00 pm @VIFF Centre – Lochmaddy Studio Theatre
10月5日(土)1:15 pm @Fifth Avenue Aud 3(東條さん他関係者のQ&Aあり)
10月6日(日)8:45 pm @SFU Woodwards
https://viff.org/whats-on/viff24-the-chef-the-daruma

東條さん「The Chef & the Daruma」上映会のレッドカーペットで。2024年9月30日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ
東條さん「The Chef & the Daruma」上映会のレッドカーペットで。2024年9月30日、バンクーバー市。撮影 斉藤光一/日加トゥデイ

(取材 佐々岡沙樹/写真 斉藤光一)

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おれんじカフェ de 看取りーと「いつか来る『死』を見つめて~誰にでも訪れるその瞬間~」

恒例になっております、高山宙丸さんをゲストにお迎えして開催している「おれんじカフェ de 看取りーと」は、今年、5年振りに対面で行います。しかし、Zoomでのご参加も可能な ハイブリッド形式で行います。

毎回、違った趣向を取り入れた彼の作品を楽しみにしていらっしゃる方も多いので、少し作品情報をネタバレにならない程度に記載いたします。

今回は、リアルな作品をご披露くださるようです。作品の骨子は、「大病を患った男が見つめる自分自身の『死』を、一人語りとモジュラーシンセの音を通して表現した作品」となるようです。

「おれんじカフェ de 看取りーと」は、やさしく、ゆる~く、皆さんと『死』を語る場です。一年に一度は、何時か必ず訪れる『死』と向き合ってみませんか?

皆様のご参加、お待ちしております。

日本語認知症サポート協会

「おれんじカフェ de 看取りーと」詳細

イベント名:おれんじカフェ de 看取りーと
タイトル:いつか来る「死」を見つめて~誰にでも訪れるその瞬間~

要約:大切な人の「死」。大病を患って考えた自分の「死」。生きているものは、いつか死ぬ。頭で理解していても、「死」に対して漠然と不安や恐れを抱く瞬間はありませんか? 今年の「看取りーと」では、「死」について、参加者の皆さんと優しく、ゆる~く、触れてみたいと思います。

特別ゲスト:高山宙丸

プロフィール:詩人、ビートメーカー(モジュラーシンセ)。法政大学哲学科卒。2007年より4 年半、世界を放浪。無印良品、バンクーバー日本語学校、日系プレースなどに依頼を受けて詩や動画作品を提供。「Labyrinth of Messages」など、パブリックアートイベントを企画・主催している。

開催日時: 10月27日(日) 午後2時から午後4時
会場: スティーブストン仏教会、またはZoom
参加費:$20

チケット購入リンク:https://linktr.ee/Orange_Cafe_Mitori ←こちらは、クレジットカードでのお支払いとなります。

) 他のお支払い方法 (E-Transfer、小切手)をご希望の方は、下記のお申し込みリンクからお申し込みください。追って、参加費お支払い方法の詳細をメールさせていただきます。

参加申込リンク: https://forms.gle/Khgc8MiYspBU9iNNA

申込締切:10月25日(金)

連絡先:orangecafevancouver@gmail.com

主催:日本語認知症サポート協会

後援:スティーブストン仏教会、一般社団法人日本看取り士会

メディアスポンサー:ふれいざー、日加トゥデイ

「おれんじカフェ de 看取りーと」特別ゲスト高山宙丸氏イベントのチケットプレゼント

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