新型コロナウイルス感染拡大で日本政府、カナダ政府は2020年3月以降、入国者、渡航者に対して、さまざまな規制を行ってきた。しかし、ワクチン接種が進み、感染者数が減少するにしたがい、その規制が緩和されている。
カナダについては、空路、陸路、海路で、4月1日以降に入国する新型コロナワクチン接種完了者は、現地出国前新型コロナウイルス検査の陰性証明書の提示は不要となった。
一方、カナダから日本への帰国、入国の際は、新型コロナウイルス検査の陰性証明書が必要となっている。ただし、検体採取方法として鼻腔ぬぐい液を用いた検査が追加された。これまで認められていた鼻咽頭ぬぐい液を用いたものより通常、費用が安い。
日本とカナダの4月1日時点での入国や渡航ルールをまとめた。
「カナダから日本に」帰国・入国
- 「出国前72時間以内の検査証明書」の提出。
- 入国時に検査を実施。入国拒否対象国・地域からの渡航か否かを問わず、日本人を含む、すべての入国者が対象。
- カナダから日本への帰国・入国の際、ワクチン3回接種者は「自宅等待機なし」。
- 3回接種していない人は、原則7日間の自宅等待機が必要。
- 検疫所が確保する宿泊施設での待機の誓約書、質問票の提出(全員)。
- スマホ、アプリの準備。
帰国・入国前の準備
カナダから日本への帰国・入国の際、ワクチンを3回接種しているかで、自宅等待機の期間が異なる。
検査証明書
入国時に検疫所に「出国前72時間以内の検査証明書」を提出する必要がある。提出できない場合、日本への上陸が認められず、出発国で航空機への搭乗を拒否される。
・検査証明書の様式は所定のフォーマットを使用。
(日本語・英語、フランス語)
・所定のフォーマットを使用することが困難な場合には、任意のフォーマットでもいいが、「検査証明書へ記載すべき内容」が満たされている必要がある。
検査証明書へ記載すべき内容
1. 氏名、パスポート番号、国籍、生年月日、性別
2. 検査法、採取検体
3. 結果、検体採取日時、結果判明日、検査証明書交付年月日
4. 医療機関名、住所、医師名、医療機関印影
・有効な検体、検査方法などが記載された検査証明書のみ有効。
・所定のフォーマットを使わず、任意様式の証明書を提出する場合には、検体、検査方法などの必要事項該当箇所にマーカーをするなど、検疫時での協力も求められている。
有効な検査方法
次のいずれかの検査で陰性証明を受ける。
A. 核酸増幅検査
・real time RT-PCR法
・LAMP法
・TMA法
・TRC法
・Smart Amp法
・NEAR法
B. その他
・次世代シーケンス法
・抗原定量検査
有効な検体採取方法
・鼻咽頭ぬぐい液
・鼻腔ぬぐい液*
・唾液
・鼻咽頭ぬぐい液と咽頭ぬぐい液の混合
* 鼻腔ぬぐい液検体は核酸増幅検査のみ有効。
* 厚生労働省によると、「『Throat (swab/smear)(咽頭ぬぐい)』の検体名や、『Rapid antigen (test/kit)(迅速抗原検査)』の検査方法などが記載されていたため、証明書が無効とみなされることがあるという。受け取った検査証明書の記載内容も注意が必要。
入国後の自宅などでの待機の期間
カナダから日本への帰国・入国の際、3月3日から有効なワクチン接種証明を提示するワクチン3回接種者については、帰国・入国後の「自宅等待機なし」となった。
ワクチンを3回接種していない人は、原則7日間の「自宅等待機」が必要。ただし、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省(入国者健康確認センター)に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅などでの待機の継続は求めない。
・「自宅等待機」が必要でも、入国後、自宅などへの移動に限り、公共交通機関の使用が可能になっている。
・3日目以降に受けた検査の結果が出るまでに、数日を要する検査機関もある。
・ワクチンを3回接種していても、陽性者、濃厚接触者となった場合は、自宅などでの待機期間の短縮の対象にはならない。
日本入国時の検疫手続きで必要な証明書
国籍を問わず、日本入国時には次の書類が必要。
1. 検査証明書
2. 誓約書の提出
・日本入国前に滞在した国・地域に応じて、検疫所が確保する宿泊施設で待機し、検査を受けることについての誓約。
・待機期間中における公共交通機関の不使用、自宅などでの待機、位置情報の保存・提示、接触確認アプリの導入などについて誓約。
3. 位置情報を設定、保存するスマートフォンの携行。MySOS、接触確認アプリ(COCOA)の登録
スマートフォンの携行、必要なアプリの登録・利用について。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00250.html
検疫手続きの際に、必要なアプリを利用できるスマートフォンの所持を確認できない場合、入国前に、空港内でスマートフォンを渡航者の負担でレンタルする。
4. 質問票の提出
待機期間中の健康フォローアップのため、検疫時にメールアドレス、電話番号などの連絡先を確認するもの。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00251.html
5. ワクチン接種証明書の提出(該当者のみ)
検疫ファストトラック
日本政府指定のアプリMySOSを通じて、事前に検疫手続きを済ませることができ、チェックインや入国時の検疫書面確認が不要となるファストトラックの運用が開始された。ただし、日本到着予定時刻の16時間前までの申請が必要。
成田国際空港、羽田空港、中部国際空港、関西国際空港、福岡空港から入国する場合に利用できる。
検疫の入国前WEB手続「ファストトラック」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24332.html
乗り継ぎ便などの予約は到着時間の5時間後以降が目安
現在、入国者の増加により、到着した時間帯によっては到着空港において検疫などの手続きに時間を要している。中でも成田空港は夕方に到着する便が集中していて、さらに週末など搭乗者数が多い日は通常以上に時間がかかることから、検疫手続きが公共交通機関の運行時間内に終了しないこともあるという。
フライト到着後の検疫手続きの遅延などで、手配していた公共交通機関を利用できなかった場合に発生する諸費用については入国者の負担となる。
厚生労働省では、「自宅などに移動するための公共交通機関(乗継ぎ便など)の予約はフライト到着時刻の5時間後以降を目安に行っていただくことや、夕方以降に到着される方については空港近隣で一泊するなど、余裕を持った計画を心がけていただくようお願いします」と注意を呼び掛けている。
カナダに帰国・入国
- ワクチン接種完了者は検査証明書不要。
- ワクチン接種完了者は入国時の検査は無作為、自宅等待機なし。
- ワクチン接種を終えていない人は検査証明書提出と、14日間の自宅等待機が必要。
- ArriveCANの準備。
- カナダの空港および国内線でのマスク着用義務。
- 観光ビザであっても、ワクチン接種を完了している場合は入国可能。
- カナダの空港から出発する航空機の乗客は、搭乗のためにワクチン接種完了が必要。
帰国・入国前の準備
ワクチン接種を終えている人
2022年4月1日以降、空路、陸路、海路でカナダに入国する新型コロナワクチン接種完了者は、出発前新型コロナウイルス検査の陰性証明書の提示は不要となった。英語またはフランス語のワクチン接種証明書を準備する。
ArriveCAN
ワクチン接種を完了しているかどうかにかかわらず、ArriveCANは必要。カナダ到着の72時間前に行う。
・ArriveCAN アカウント作成
https://www.canada.ca/en/public-health/services/diseases/coronavirus-disease-covid-19/arrivecan/help.html#a2
・ワクチン接種を完了している場合はワクチン接種証明書をArriveCANにアップロードする。
・隔離計画の提出(ワクチン接種済みかどうかにかかわらず全員)
カナダ入国時コロナ検査
航空機で入国する場合、入国時コロナ検査対象に無作為で選ばれることがある。選ばれても、検査結果を待つ間の自宅隔離などは不要。
到着時コロナ検査の登録
入国時テスト対象に選ばれた場合、登録していると早く手続きが終わる。
・バンクーバー空港
https://www.lifelabs.com/flyclear/onarrival/
・トロント空港
https://portal.switchhealth.ca/
・その他
https://travel.gc.ca/travel-covid/travel-restrictions/covid-vaccinated-travellers-entering-canada
ワクチン接種を終えていない人
新型コロナウイルス検査の結果証明書
カナダへの渡航が許されているもののワクチン未接種である人、または2回接種が必要なワクチンで1回しか受けていない5歳以上のすべての渡航者は、入国前の新型コロナウイルス検査を受ける必要がある。
検査結果の証明書は次のいずれかが必要。
・有効な抗原検査の陰性証明
カナダ国外の認定を受けた検査機関や、検査を行う医療機関などで抗原検査(迅速検査)を、航空機の場合は予定されている出国時間の1日前、陸路や海路での入国では入国の1日前に受ける。キットで自分で検査を受けても陰性証明が出ないので要注意。
・有効な分子検査(PCR検査)の陰性証明
カナダ国外の認定を受けた検査機関や検査を行う医療機関などで検査を受ける。検査は航空機の場合は予定されている出国時間の72時間前、陸路や海路での入国では入国の72時間前に受ける。
・過去の分子検査の陽性証明
航空機の場合は予定されている出国時間、陸路や海路での入国では入国日の、10日前から180日までの間に分子検査を受けて陽性となった証明。抗原検査の結果は受け付けない。
自宅などでの隔離
ワクチン接種を終えていない人は、引き続き到着時、8日目に検査を受け、14日間隔離を行う必要がある。
ArriveCANや到着時テストの登録の手順はワクチン接種完了者と同じ。
(取材 西川桂子)
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