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Keiko Nishikawa

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「着物でお出かけ2」

カナダde着物 

第5話 季節*錦秋 

 どの季節も好きですが、木々の彩りが日ごとに変化を見せるこの時期は私達の目を楽しませてくれます。

 さて、今年のハロウィーンは土曜日です。子供たちにとっては嬉しいですね。そして、満月になるようです。大人たちは月見酒でしょうか。

 例年より静かなハロウィーンとなりそうですが、楽しい時間をお過し下さい。

バーナビーの公園にて*紅葉 Photo © コナともこさん
バーナビーの公園にて*紅葉 Photo © コナともこさん

~前回のコラムから続きます~

 SNS上で目にしました、海外在住者の着物事情を考えます。

「目的にあった礼装と正装着物は、会場で華やか過ぎるということはありません」

 日本人以外の家族からの誤解があり、着物へ持つイメージが適切ではない場合が多々あるようです。所謂、着物へのステレオタイプです。

 例えば、着物は結婚式に着ていくと新郎新婦より目立ってしまう。着物は芸者が着るものだ。(この芸者の意味も現代の認識ではない)、性差別の衣装ではないか…などなど、世界は広く誤解も多種多様だと実感しております。笑

 殆どの場合、思い込みや勘違いでしょう。本来、相応の礼装や正装着物(*1)は、自分が一番に目立つ為に着るものではないのです。

「着物に歴史あり敬意あり」

 長い歴史の中で変化してきた日本の民族衣装の着物は、全てに意味が含まれております。礼装や正装にルールがあるのは、その意味から由来するものでしょう。まず「新郎新婦より目立ってしまう」と誤解されている方に伝えたいのは、冠婚葬祭で着物を装うことは“お相手への敬意”であり、尊敬を示している表れだということです。

 例外として、新郎新婦からのドレスコードがあり、民族衣装や高価な衣装でのパーティーの参加を控えて欲しいとの要望があった場合でしょうか。

 それ以外でしたら、パーティーの大きさや様子を確認して、それ相応の着物で参加することに問題はないでしょう。(ご招待された方に事前に確認されてもいいですね)

今年のサンクスギビングディナーは家族だけで。着物は白地に黄色で銀杏の葉と七宝柄、半幅帯は黒と金色の冠柄 Photo © コナともこさん
今年のサンクスギビングディナーは家族だけで。着物は白地に黄色で銀杏の葉と七宝柄、半幅帯は黒と金色の冠柄 Photo © コナともこさん

「着物ステレオタイプとの日々」

 海外で着物と関るようになってから、様々な日本文化、着物、日本人に対してのステレオタイプと遭遇してまいりました。

 実は、それは日本人同士でもしかりです。以前のコラムで伝統は幻かもしれない、と申しましたが、ひとくくりにできないということが、色んな解釈を生み、海外の映画やドラマの中の日本人の振る舞いや服装が、現実とかけ離れてしまったという現実があります。

 私ができることは、着物で出掛けた先で着物姿を見ていただき、もし極端な誤解や感想を持っている方がいらしたら、今現在の着物文化をご紹介することかなと思います。

「着物で出掛けて、着物と日本の親善大使に」

 昨年の里帰りで京都や浅草を訪れました。日本の観光地には、着物姿の若い方や家族連れが溢れていました。話している言葉を聞かなければ、どこの国の方なのか見た目だけでは分かりません。皆さん、それはそれは嬉しそうでした。

 着物姿が素敵だなと思うと、ついつい声をかけてしまう私です。京都の伏見稲荷大社では、山頂までお参りしていた振袖姿のマレーシア人の女性たちがいました。(根性ある~!)「日本人は着物でお参りしますか?」と聞かれまして、「晴れ着でお参りは行きますが、ここの頂上まで行く方は少ないと思いますよ。」と答えました。

 東京浅草でも、お子さん連れの家族やカップルの皆さんが、浴衣風着物、着物、袴、などで境内や街を散策されてました。大きなサイズの中古着物を探してましたので、レンタル着物のお店に尋ねましたら、Lサイズの使わなくなったものがいくつかありましたので譲って頂き、色々と着物レンタル事情のお話も聞きました。

 以前はヨーロッパのお客さんが多かったのですが、最近は断然、南アジア系の方々が多いそうで、大きいサイズをたくさん用意しなくても問題がない、とのことです。

 観光の中のアクティビティーではありますが、着物姿の多くが外国からの方々だとしたら、わざわざ飛行機代と滞在費と着物をレンタルして、着物をアピールして下さる海外の皆さまに感謝したい気持ちになります。

 さて、日本人の私たちはどうでしょうか。最後に着物を着られたのはいつですか。

 以前、日本文化に造詣のある海外の方に「今の日本人は素晴らしい伝統の上にあぐらをかいているようだ」と言われたことがありました。

 確かに、身近には海外の方々が憧れる伝統文化があるにも関らず、気付いていない人々が多いのかも知れません。

 “道”がつくお稽古事は、敷居が高く独特な世界観があり入りにくいのかも知れませんが、着物は普段着から正装まで多種ありますので、とても気軽に一歩が踏み出せるのではと思います。

 是非、皆さまに“民間の日本親善大使”になっていただき(大げさかしら?)、勘違いステレオタイプが減少するように伝道しませんか。私たちが海外でも堂々と民族衣装が装えますよう切に願います。私も着物の活動を通じて、お手伝いができたら本望です。

(*1)礼装と正装 礼装は儀礼の中で着られる着物で、正装は一般的なフォーマルな装いです。
   例:新郎新婦は礼装、参列者が正装となります。

「ハロウィーンの衣装*着物編」

 昔から仮装して非現実を楽しむ行事は、北米だけでなく日本でもあります。節分の日だけ行なわれる「お化け」というもので、芸鼓さん達が笑いを取るような髭オジサンやバカ殿などになる京都花街の仮装大会です。そのハンパない本気度は、さすがプロです。

 いつもは楚々とした芸鼓さんたちが、この日はお茶目で可愛いですね。

 世界での着物仮装の事情はどうでしょうか。実は近年、稚拙なステレオタイプや人種差別を招くということで、日本人以外の人達が着物の仮装をすることを躊躇するようになってきております。

 他の例ですが、ハリウッド女優やモデルがファーストネイションのファッションをすると批判が出ます。その人種と民族以外の人達が伝統的な衣装をまとう時、その背後にある歴史や政治などが絡んできて、人々の心は複雑に反応するようです。

 10年以上前は、よくハロウィーンで着たいと着物のレンタルを受けることがありました。小学校の先生にも貸した覚えがあります。

 この10年で社会は変わり、多くの人々が性や人種差別に対して意識を向け、慎重に考えるようになってきているのが分かります。

 「日本人以外の方々に、もっと着物を着て愉しんで欲しいな」と思いますが、こういった一面を持つ民族衣装は、現代社会を映す鏡のようですね。

「コナのお勧め着物仮装はコスプレ」

 このようにセンスティブな問題をクリアしながらの着物仮装ですが、カナダの皆さんや日本の方にもお勧めしますのは、キャラクターとして仮装することです。 

 「雪女」「鬼太郎」ジプリ作品でお馴染みの「千尋とハク」などなど、キャラクターを真似たらいかがでしょうか?

 私の友人で着物仲間のF子さんは、どんな衣装も手作りしてしまう“スーパー和裁ウーマン”です。ご興味がある方はコナまでご連絡を。ご紹介いたします。

ハロウィーンコスチューム「雪女」より Photo © コナともこさん
ハロウィーンコスチューム「雪女」より Photo © コナともこさん
カナダで楽しむ着物の世界のkona tomoko コナともこさん

コナともこ
 アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
 10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。
 カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。 

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
Facebook https://www.facebook.com/tomoko.kona.98
Instagram https://www.instagram.com/konatomoko/?hl

日加商工会議所 年次総会で羽鳥総領事講演『日本のとるべき道とカナダの我々』

日本カナダ商工会イベントポスター
10月13日に開催された日本カナダ商工会主催の「ハープ演奏と講演の夕べ」ポスター。提供:日本カナダ商工会議所

 日本カナダ商工会議所は10月13日、年次総会および『ハープ演奏と講演の夕べ』と題したイベント(協賛:懇話会、企友会)を開催した。

 ハープ演奏は、現在カリフォルニア州で自給自足の生活を営む世界的ジャズハーピスト、古佐小基史(こさこもとし)氏。「心に染み渡るような素晴らしい演奏」と参加者が称賛した。

 続いて、在バンクーバー日本国総領事館総領事羽鳥隆氏が講演を行った。タイトルは『日本のとるべき道とカナダの我々』。

 ここでは羽鳥総領事の講演内容を要約して紹介する。

待たれる日本での隔離措置の緩和

 今、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大で、経済、社会活動、人の移動が制限されていて、日々の活動に大きな制約を受けている。

 例えば、現在、日本に行くと14日間の自己隔離があり、日本滞在後カナダに戻ると今度はカナダでさらに14日間の隔離が必要だ。

 この状況について羽鳥総領事は「多くの方が不便に感じていて、在バンクーバー総領事館に声が寄せられています。カナダにある他の総領事館も同様で、カナダからの声としてまとめて東京の外務省を通じて、日本の14日間の隔離措置を何とかできないかという要望を伝えてきました」と報告した。

 さらに数日前、政府の中で出張や一時帰国など、日本に在留資格のある外国人については、自己隔離について一定の条件を満たすことを前提に条件を緩和することを検討しているというNHKの報道があったことに触れ「早目に緩和が進められたら良いと思っています」と語った。

新型コロナ感染拡大で変化する世界

 3月から続いている活動制限により仕事や生活、人生観に変化が起きている。雇用の形態が変わり、デジタル化がさらに進み、新型コロナ後を見据えた新しいビジネスを探すという動きなどもある。

 これらは新型コロナが収束しても不可逆な面が多いと考える。それだけではない。国と国の関係も新型コロナで大きな変化が起こっているという。

日本が必要とするのは安定した世界情勢

 海外からの資源調達や輸出などを行う日本にとっては外国との関係が大きな意味を持つ。よって、予見性のある、すなわち今後どうなるのかが分かりやすい国際環境が維持されることが重要だ。

その他には、
・自由・人権の尊重、民主主義、法の支配を基礎とする紛争のない国際環境
・経済的には、開放的でルールに基づいた安定した国際経済の維持と発展
が必要との考えを示した。

米中対立、強硬な姿勢の中国など、気になる現在の国際情勢

 次に現在の国際情勢についても触れた。

 今、最も注目されているのは大統領選挙を迎えるアメリカ、そして新型コロナウイルスの発生源であり、最近対外的に強硬な姿勢を取っている中国だと考える。

 アメリカについては、非常に大きな国であり、経済的にも軍事的にも影響力があるので、安定した国際環境や市場原理、自由貿易が維持されるかどうかはその出方に左右される。

 トランプ大統領は前の選挙の時からアメリカ第一を掲げていて、貿易についても中国との対立を深めている。

 「国際的な役割を果たす人が大統領になり、米国内の状況が安定してほしいと思います。トランプ大統領が再選された場合には、次の選挙のことを意識しなくてもよいことから、余裕を持って国際社会の問題にも取り組んでほしいと考えています」と、大統領選挙への期待を語った。

 中国は、アメリカと対立を深めている中、強硬な姿勢を強めている。香港の治安に関する法整備強行、また東シナ海、南シナ海などでは海上に施設を造り既成事実を積み上げようとしている。

 「中国はこれまでは経済発展を第一として、安定した国際関係が必要だという基本的な立場をとってきました。最近になって、その流れから少し外れてきているのかもしれないとも思っています。国が大きくなることで、国際問題の扱い方が、言葉は悪いのですが『雑』になっているのではないか、リスクについての計算が細やかにされていないかもしれないと感じています」と懸念を述べた。

 その他の国際的課題については、世界各地で行われている内戦、国と国の間で領域をめぐる紛争、治安の問題や紛争による難民発生、北朝鮮の核をはじめとする大量破壊兵器などを挙げた。

アメリカと中国への日本の対応

 続いては日本の国としての対応について。

 アメリカとの関係は、大統領選挙の結果に関わらず、地域の平和とグローバルな課題について、引き続き緊密に協力していくことを外交の基本とする。

 特に日本周辺の最大の不安定要因である朝鮮半島の安全保障面での協力は、日本の存在に関わる不可欠なことで、これを強化して発展させていくことが重要と語った。

 中国にも責任ある大国として、地域や国際社会の課題に取り組んでもらう必要がある。地球規模の環境、グローバル経済も中国の対応次第で世界に混乱が生じる可能性がある。サプライチェーンの見直しについても同様だとして、外交努力を続けていく。

米中対立に対する日本の立場と対応

 米中の対立については、自由貿易を危機にさらし、世界に大きな不安を投げかけているという。

 国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長も、去年9月の国連総会での演説で「グレート・フラクチュア=大分断」という言葉を使って、「大きな衝突を懸念している」と危機感を示した。

 そのような中で、トランプ大統領は今年6月にTwitterで米中経済関係の完全分離を選択肢に入れていると投稿した。また、9月の記者会見でも、”decoupling” すなわち分離という言葉を使って、分離の検討を始めると述べている。

 米中対立により世界が二つに分散され、米ソ冷戦時代のような状況に戻る可能性もあるため、日本もしっかりとした対応が求められる。 

 グテーレス事務総長の「大きい国は賢くならなければならない、特に2つの大国の知恵が不可欠だ。誰も望まない分断の源になるのではなく、結束した世界の柱となってほしい」という見方に、羽鳥総領事も同意。「米中2つの経済大国、軍事大国には対立ではなく、結束してもらいたいと思います。日本も規模の大きな国ですので責任ある国際社会の一員として、米中のどちらかにつくのではなく、両国を結束させるために力を注ぐべきだと考えています」

 さらに「幸いなことに日本は両国と一定の良い関係を維持していることから、その役割を果たせるのではないかと思います。カナダを含む自由と民主主義を共有する国々と、Multi(他国間)またBi(2国間)で連携していく必要があります」と日本の取るべき役割についての考えを語った。

カナダにいる我々に何ができるか

 最後に「カナダにいる我々に何ができるのか」だが、羽鳥総領事が3つ挙げた。

 まず、セミナー参加者には移民も多いだろうという前提で「移民としてカナダに貢献する」。

 次に、「外国人受け入れの経験から学ぶ」。

 少子化の日本は、労働力を支えるために外国人の受け入れを増やすという大きな転換を行った。日本人は親切だが、異なる文化をベースとする外国の人と共存していくことには、経験が少ない人が多いと思う。カナダの経験から学ぶことができると語った。

 3つ目は、「世界の不安定要因となっている諸問題、および自由貿易体制の維持のために努力する」。

 自由、民主主義、自由貿易が大切だという共通の価値観を持つ国と協力していくこと、まさにカナダもそういう国なので、カナダと連携していくことが重要と言う。

 バンクーバーでのファーウェイCFO拘束などの問題があるものの、カナダは長年、中国と友好な関係を保ってきた。カナダと協力して米中の対立のない世界を作っていくことも大切との考えだ。

 最後に「総領事館としては皆さんの助言をいただきながら、微力ながら日本とカナダの関係発展のための役割を果たしていきたい」と締めくくった。

(取材 西川桂子)

日本カナダ商工会イベントポスター
10月13日に開催された日本カナダ商工会主催の「ハープ演奏と講演の夕べ」ポスター。提供:日本カナダ商工会議所

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20周年を迎えた日系文化センター・博物館 支援呼びかけと最新展示

ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市にある日系文化センター・博物館。
ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市にある日系文化センター・博物館。File photo

レジリエンス(困難に負けない)基金

 日系文化センター・博物館が2020年9月22日に20周年を迎えた。オープン以来、日系祭りやクラフト&ベイクフェア、植木市など、様々なイベントが開催され、日系コミュニティを中心に多くの人が集まる場所となっている。

 また博物館では日系人の歴史や日本の文化、現代アートなどを展示しているほか、カナダ全土におよび日系人の歴史に関する実物資料の収集や管理も行っている。『バンクーバー新報』の41年分の新聞も博物館への寄贈が決まっている。

 その日系文化センター・博物館は、今、困難の中にある。新型コロナウイルス感染の拡大で、多くのプログラムやイベントは中止になったり、人数を制限して行うなどで、収益が大幅に減少しているという。

 今後も引き続き、コミュニティの人たちが集まる場所としての機能を果たし、日系人の歴史を保全していくためにも、コミュニティからの支援を呼びかけている。

 日系文化センター・博物館では、公共料金、庭園維持、建物管理など一日当たり350ドルの維持費が必要だという。さらに、世界中から博物館のデータベースへのアクセスできるようにすることを目指していて、その費用に1カ月分150ドルを要する。

 現在、博物館は
・4万1000枚を超える写真
・650件のオーラルヒストリーの音声資料
・38メートル相当の紙や文字の記録資料
・156本の映像
・2600点を超える美術品など
を収蔵しているほか、寄贈品も毎年寄せられている。

寄付のウェブページhttps://centre.nikkeiplace.org/support-us/resilience-fundraiser/
小切手郵送ほか、オンライン、電話での寄付も可。
問い合わせkgoshinmon@nikkeiplace.org TEL: 604-777-7000(内線110)

⽇系⽂化センター・博物館のレジリエンス(困難に負けない力)基金に寄付をした彩月会のみなさん(右から3人めが西川流師範 西川佳洋先生)、日系センター事務局長ケーラ後新門フォスターさん(右から4人め)と同理事のルイーズ阿久沢さん(右から5人め)Photo © the Vancouver Shinpo
⽇系⽂化センター・博物館のレジリエンス(困難に負けない力)基金に寄付をした彩月会のみなさん(右から3人めが西川流師範 西川佳洋先生)、日系センター事務局長ケーラ後新門フォスターさん(右から4人め)と同理事のルイーズ阿久沢さん(右から5人め)Photo © the Vancouver Shinpo

最新展示、破られた約束 

 日系文化センター・博物館で、9月に最新展示『Broken Promises (破られた約束)』が始まった。カナダ政府の援助を得て実現したもので、オープニング式典の様子をYouTubeビデオで公開している。

 カタログもデジタル化されている。英語とフランス語のみで日本語はないが、写真も豊富に掲載されている。副題”The Dispossession of Japanese Canadians(日系カナダ人の財産没収)”とあるとおり、太平洋戦争で強制収容所に送られた日系カナダ人が家や船舶などの財産を奪われた歴史、カナダ西海岸からどこに移動したか知ることができる。

英語カタログhttps://centre.nikkeiplace.org/wp-content/uploads/2020/09/2020-09-23-LOI-e-catalogue_En.pdf

開館時間: 火曜~土曜、10時~5時

入場料: 大人 5ドル、日系文化センター・博物館会員および学生 無料

(取材 西川桂子)

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ハロウィンを安全に楽しもう

ジャックオーランタン。トリック・オア・トリートに来てほしくない場合は火をつけない Photo © the Vancouver Shinpo
ジャックオーランタン。トリック・オア・トリートに来てほしくない場合は火をつけない Photo © the Vancouver Shinpo

 ハロウィンが近付いてきた。今年はトリック・オア・トリートに出かけるべきか、あるいは訪れる子どもたちのために、チョコレートなどお菓子を準備するべきか、ハロウィンをどう楽しむか、悩んでいる読者もいるのではないだろうか。

 カナダ国内でも既にトリック・オア・トリートは行わないよう勧告が出ている地域もある。たとえば感染拡大が進んでいるオタワでは、10月14日に、続いて19日にはオンタリオ州の公衆衛生局もオタワ、ピール、トロント、ヨークの地域ではトリック・オア・トリートは勧めないとの発表を行った。


 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州では安全対策を実施して楽しんでほしいとのこと。

 そこで今回はBC疾病予防センター(BCCDC)が発表したハロウィンでの注意事項を中心に、安全にハロウィンを過ごすヒントをまとめた。

今年は小規模なハロウィンを、そしてトリックオアトリートは近所で!

 BCCDCが一番に呼び掛けているのが、

  • 今年のハロウィンパーティはなし
  • トリック・オア・トリートは少人数のグループで安全に楽しく
  • お菓子を配るときは、例えばプールヌードルを使うなどして、クリエイティブにフィジカルディタンス確保

の3点。そして重要な注意事項として、

  • 体調が悪い、あるいは自己隔離中の人は外灯を消して、自宅で過ごす
  • マスクやフェイスカバーをコスチュームの一部にする*   
  • こまめに手を洗うか、除菌ジェルやスプレーを使う

 そのほか、マスクに関する注意事項としてCDC(アメリカ疾病予防センター)は次の注意を行っている。

*呼吸がしづらくなるので、マスクをした上からコスチュームのマスクを着けたりはしない。
*コスチュームのマスクで「メディカルマスク」代わりになると考えるかもしれないがコスチュームのマスクでは代わりにはならない。

 また、バンクーバーではマスクで仮装を楽しむキャンペーンも。

*バンクーバー観光局では「マスクをコスチュームの一部にしよう」というキャンペーンを行っている。撮った写真を#VanMaskeradeのハッシュタグをつけてインスタグラムに投稿、あるいはキャンペーンのウェブページに投稿すると抽選で賞品が当たる。

 期間は10月15日から31日まで。詳細はウェブサイトhttps://www.tourismvancouver.com/maskerade/で。

トリック・オア・トリートのヒント

  • 外灯など電気がついていない家は、お菓子を配っていないので近づかない
    • パンプキンのジャックオーランタンに火がついていない場合は、お菓子を配っていない。逆に子どもたちに来てもらいたくないという場合は、外灯を消し、ジャックオーランタンにも火をつけないようにしよう
  • 今年は遠出をしないで近所で
    • フィジカルディスタンスの確保が難しいことがあるので、混雑する場所やショッピングモールのような屋内でのトリック・オア・トリートを避ける。屋内で行う場合はマスクやフェイスカバリングを着用のこと
  • トリック・オア・トリートは6人までの少人数で
    • 階段や歩道では他の人と十分な距離を取る
    • 前のグループが出てくるまで待ってから、訪れるようにする
  • 出かける前とお菓子を食べる前には手を洗う
    • 歩きながらお菓子を食べる場合はハンドサニタイザーを持参
      (*CDCではさらに
      ・ドアベルなどを触った後はハンドサニタイザーを使用する
      ・アルコール分60%以上のハンドサニタイザ―を使う
      ・子どもがハンドサニタイザーを使うときには注意してみておく
      としている)
    • お菓子をひとつずつ消毒して渡す必要はないが、子どもたちに渡す前に手を洗う。トリック・オア・トリートの間は、自分の顔に触らないよう気を付ける
ジョンズホプキンス大学のハロウィンの注意のページより www.hopkinsmedicine.org
ジョンズホプキンス大学のハロウィンの注意のページより www.hopkinsmedicine.org

お菓子を渡すときもクリエイティブに

 BCCDCはお菓子を渡す時の注意事項もまとめている。

  • クリエイティブに!   
    • トングを使うなどして、フィジカルディスタンスを確保*
    • ボウルなどに入れて子どもに選ばせると、たくさんの子どもが触ることになるので避ける。**一つずつ渡す
    • 渡すのは個別包装されたお菓子のみ***
  • お菓子を渡すときは、マスクをつけて口と鼻をカバー  
    • できるだけ室内より屋外にいる  
    • 子どもがドアやドアベルに触らずにすむよう、できれば外で待機して、お菓子を渡す 
  • 外でお菓子を渡すことができない場合は、トリック・オア・トリートの間はドアベル、ドアノブ、手すりなどの人が触る場所の消毒を行う
  • 飾りつけはスモークマシンやフォグマシンのように咳を引き起こすようなものの使用を避ける  

*BCCDCはトングを例に出していたが、おたまを勧めている記事もある
*アルバータ州の保険局は机やテーブルを利用して、子どもたちと距離を確保するようとアドバイスをしている
*ドアベルを触らないようにと張り紙などをしておくのも一案
*CBCほか複数メディアが報じているトロントの配管工のアイデア。パイプでキャンディスライドを作って販売しているという

**ボウルなどを使う場合はハンドサニタイザーも用意して、キャンディを選ぶ前に子どもたちに使ってもらうのも一案
*** 紙の袋やカップに入れたお菓子を用意しても

インスタグラムの投稿から。こちらもチューブを使用している。

今年はハロウィンパーティはやめておこう

規模の大小にかかわらず、屋内でのパーティは新型コロナのリスクが高くなるので要注意。

  • 家族やソーシャルグループでビデオを観るなどしてハロウィンを楽しむ
  • 小さなパーティを開いたり、出席する場合は6人までのソーシャルグループで
    • 知っている人たちだけで。新しい仲間は避ける
    • スナックやタバコ、ドラッグなどをまわして楽しむことはしない
    • 室内より屋外で。窓を開けて換気に気を付ける
    • スモークマシンやフォグマシンのように咳を引き起こすようなものの使用を避ける  
    • ハンドサニタイザーは引火しやすいので注意!

(取材 西川桂子)

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「かぼちゃのこっくり煮」

~カナダで楽しむ食の世界~

今回は旬のかぼちゃを使ってこっくり煮た「かぼちゃ煮」をご紹介します。

出汁は使わず、水、みりん、しょうゆ、お砂糖だけで煮る簡単かぼちゃ煮ですが、副菜に一品欲しいときにとても便利で、かぼちゃのホクホクさがたまりません。

材料 (作りやすい分量)

  • 西洋かぼちゃ 1/4個 約650グラム
  • 水 150ml
  • 砂糖 大さじ1 1/2
  • みりん 大さじ2
  • 濃口しょうゆ 大さじ2

作り方:  

  1. かぼちゃは種とわたをきれいにとり、大きめの一口大に切る。
  2. 鍋に水、みりん、しょうゆ、砂糖を加え、砂糖が溶けるまで煮たて、1)のかぼちゃを重ならないように皮を下にして並べる
  3. 中火で時々煮汁をかぼちゃにまわしかけながら10分ほど、かぼちゃが柔らかくなるまで煮る。

鈴木 公子(すずき きみこ):和歌山県出身。ノースバンクーバーを拠点に旬の野菜、地元の食材を使った和食を発信。母親から本当の家庭料理を学び、ミシュラン一つ星、京都とり料理瀬戸の女将さんから『おもてなしの心』を学ぶ。 Cook Culture及びWell Fed Studioの和食インストラクター。UBC Farmにて和食のワークショップ開催。
www.kimikoskitchen.wordpress.com

第71回「客足が戻る店と戻らない店の違いとは」

 先日、あるワクワク系(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を、われわれはそう呼んでいる)の和菓子店の社長から、コロナ禍での奮闘のお話をうかがった。そのなかで、実に示唆に富んだ話があったので、分かち合いたい。

 同社は、日本のとある著名観光地一帯に店舗を展開する和菓子店チェーン。同社社長のお話でとりわけ印象深かったのは、4月からの緊急事態宣言下、全店を閉め、その後営業を再開したときのお話だ。一気に客足が戻ってきた店とそうでない店が大きく分かれたというのである。

 その違いを分析してみると、戻ってきた店は繰り返し買いに来てくれる地元の方々が多くいる店。そうでない店は、主にその日限りの観光客がメインの店だった。もちろん、同店が立地しているのは著名な観光地。同社自体が著名な地元ブランドであり、観光客のお土産需要も大きい。「その日限りの観光客がメインの店」が悪いわけではない。しかしコロナである。この4月、5月、彼の言葉を借りれば、「人通りは一気に消えた」。6月以降もその状況は、大きくは変わっていない。そんななかで営業を再開しても、なかなか客足は戻らない。しかし、繰り返し買いに来てくれる地元のお客さんがいる店は戻っているのだが、実はこの違いが今日の商売の明暗を分ける、最も重要な違いだ。

 その違いを私がよく使う言葉で言えば、観光客がメインの店は「フロー型のビジネス」を行っていた店。地元のお客さんがいる店は「ストック型のビジネス」を行っている店だ。彼自身、今回のことがあるまで、この違いに気づかなかった、目を向けていなかったと言うが、ここがカギだ。そして、この違いの重大さに気づいた同社は、地元のお客さんをさらに強固に“顧客化”するために、顧客リスト作りとその整備、顧客へのこまめなアプローチに注力している。

 さてそこでお尋ねするのだが、あなたのお店は今どういう状況だろうか? 幸いなことに客足が戻ってきているとすれば、それは喜ばしいことだ。しかし、安心する前に自問自答してほしい。自分の店や会社は、顧客をストックしているだろうか、と。ここのところ当コラムでも、このコロナ情勢下での様々なお店や会社の奮闘ぶりを取り上げているが、同業者が売上を大きく落としているような業種でも健闘できているお店や会社には共通項がある。それは顧客をストックしていることだ。

 ストック型ビジネスとフロー型ビジネスの違い。その違いを正確に理解し、どちらかに徹底して経営の舵を切ること。それは、今後の社会でお店や会社が生き残れるかどうかを決定づける重要なことだ。まずはあなたにも自問自答していただきたい。

小阪裕司(こさか・ゆうじ)
プロフィール 

 山口大学人文学部卒業。1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。
 
 人の「感性」と「行動」を軸としたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県(一部海外)から約1500社が参加。

 2011年工学院大学大学院博士後期課程修了、博士(情報学)取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独⾃の活動は、多⽅⾯から⾼い評価を得ている。

  「⽇経MJ」(Nikkei Marketing Journal /⽇本経済新聞社発⾏)での540回を超える⼈気コラム『招客招福の法則』をはじめ、連載、執筆多数。著書は、新書・⽂庫化・海外出版含め39冊。

 九州⼤学客員教授、⽇本感性⼯学会理事。

念じ続けて花開いた”逆転人生” Part 1/2

日本語認知症サポート協会による杉本八郎氏のセミナー
日本語認知症サポート協会による杉本八郎氏のセミナー

世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト開発物語」

 日本語認知症サポート協会が、世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」の開発者、杉本八郎氏をゲストに迎えて開催する講演会。3回シリーズで開催される。

 第1回は「アリセプト開発物語」。アルツハイマー病の治療薬開発を始めた経緯やアリセプト開発まで、開発にかける思いなどの内容となった。

 講演会はZoomで杉本氏の住む京都と、バンクーバーをつないで10月3日に開催。バンクーバー在住という杉本氏の二人の姉を含め53人が参加した。

 画期的な医薬品の開発者に贈られる、英国ガリアン賞特別賞をはじめ、化学・バイオつくば賞、恩賜発明賞などを受賞している杉本氏。華々しい経歴を持つが、その裏では何度も壁にぶつかり、そのたびに諦めることなく立ち上がってきた。2019年にはNHK総合の『逆転人生』に出演。まさにその番組名を地で行く道のりだった。

 今回の講演「アリセプト開発物語」の内容を2回に分けて紹介する。

エーザイへは高卒で入社

 杉本氏は9人兄弟の8番目として昭和17年に生まれた。大家族で米を一升炊いても足りない、雨が降っても傘がないという生活だったという。父親は「甲斐性がなく」、母は昼も夜も働いていた。

 その母の勧めで入学した工業高校を昭和36年に卒業。当時は研究員数50人ほどの小さな会社だったエーザイに入社する。大学に行くお金はなかった。

エーザイ入社時の杉本八郎氏 Photo courtesy of Hachiro Sugimoto 
エーザイ入社時の杉本八郎氏。赤と青はエーザイのロゴの一部 Photo courtesy of Hachiro Sugimoto 

 昭和40年前後の日本の製薬業界は海外の薬を導入するというスタイル。しかし、社長だった内藤豊次氏はエーザイオリジナルの薬を開発することを夢に掲げていた。そんな内藤氏に人生で夢を持つことの大切さを学ぶ。

 大学を卒業していなかった杉本氏は”研究補助員”で、周りからも研究者として認めてもらえなかった。「悔しくてよく上司とぶつかりました」と振り返る。

 しかし、大学を出たいと考えて、研究所に近かった中央大学理工学部の夜間部に入学する。仕事を5時に終えた後に大学で勉強するという生活を4年間続けた。

 一方で気持ちのはけ口に組合活動にのめり込み、趣味でもある剣道にも熱中した。そんな杉本氏に転機が訪れる。ファイザー社のブラゾシンの構造が面白かったので真似てみたところ、ブナゾシン(商品名デタントール)という降血圧剤の開発に成功したのだ。このことで自信がついた。最初の逆転だ。

開発の原点となった母親の「あんたさん誰でしたかね」

 当時エーザイは循環器の製薬を中心としていた。しかし、杉本氏は中枢系疾患の認知症の薬を次に創りたいと考えた。

 その根底には母親の脳血管性の認知症があった。戦後9人の子どもたちを苦労して育てた母が認知症になり、杉本氏に「あんたさん誰でしたかね」と聞いた。息子のことを忘れてしまった母を見てショックを受ける。それが、世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」誕生の原点だった。

 当時、認知症の薬はなかった。「せっかく製薬会社に勤めているのだから私がやろう」と決心する。

日光での母と息子 Photo courtesy of Hachiro Sugimoto 
日光での母と息子 Photo courtesy of Hachiro Sugimoto 

8年の歳月と8億円をかけた脳血管型認知症薬開発がとん挫

 まず脳血管性認知症の薬に取り組む。エーザイが合成を行い、埼玉医大が猿の脳血流を調査した薬は、脳血流を増やしたことから、臨床試験に移る。しかし、第一相試験でとん挫する。

 副作用を調べたところ、肝機能障害を起こす恐れがあることがわかった。このプロジェクトには、開発開始から研究集結まで8年の年月と8億円という長い月日と莫大な費用がかかった。「八郎が8年、8億円かけて成功しなかった」と自虐ネタを披露した。しかし、この事態をアリセプトの成功で巻き返す。

Part 2に続く。
(取材 西川桂子)

杉本氏の講演第二回『あなたが認知症にならないために』の詳細はこちら

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ハンドサニタイザーに関する注意喚起

Canada News by Vancouver Shinpo; Designed by ©Vancouver Shinpo
偽造とされたハンドサニタイザー © Health Canada
偽造とされたハンドサニタイザー © Health Canada

 カナダ保健省が10月18日、オンタリオ州サンダーベイのDollarama(ダララマ)で販売されていたハンドサニタイザーが、偽造品だったとして注意喚起を行った。製品はサンダーベイだけでなく、カナダ全土で販売されている可能性があるという。

 偽造品と分かったのは、DollaramaがBio Life Sciences Corpのハンドサニタイザーとして販売していた製品で、Daily Shield Hand Sanitizer (NPN 80098979); Lot 6942; 有効期限 2023年5月となっている。

 これらはBioLife Sciencesの製品ではなく、使用すると有害の恐れもある。カナダ保健省では、製品は許可を受けておらず、また処方も不明であるため、バクテリアやウイルスを殺す効果はなく、さらに健康に深刻なリスクをもたらすかもしれないという。

 ハンドサニタイザーへの使用が許可されていないメタノールや、その他、カナダ人が予測しないような成分が含まれている疑いもある。メタノールは摂取すると重篤な副作用を引き起こしたり、死に至ることもある。

 Dollaramaは、カナダ全土の同社店舗でデイリーシールドハンドサニタイザーの販売を停止することに合意した。カナダ保健省はこの事態の調査を続けている。

 カナダ保健省では、この製品を持っている場合は、
・使用をやめる
・製品を使って、健康に懸念がある場合は、医療関係者に相談する
・ハンドサニタイザーは全て子どもの手が届かないところに保管
・誤ってハンドサニタイザーを飲んだ場合は、直ちにDrug and Poison Information Centre (ブリティッシュ・コロンビア州。ほかの地域はCanadian Association of Poison Control Centres )に連絡するか、医師の助けを求める
ようにと呼び掛けている。

偽造とされたハンドサニタイザー。Lot番号などをチェック © Health Canada

 関連サイト(英語)

カナダ食品検査庁(Canadian Food Inspection Agency:CFIA)リコール発表:https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2020/74137a-eng.php

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マスク反対派によりBCフェリー遅延

BC Ferry to Victoria, British Columbia; Photo by © Japan Canada Today
バンクーバーからビクトリアへ向かうBCフェリー。 Photo by © Japan Canada Today

 BCフェリーで10月17日、マスク反対派とみられる十数人がマスクをつけている乗客らと騒ぎを起こし、フェリーの運航に遅れがでた。

 同社のスポークスパーソン、デボラ・マーシャルさんによると事件が起こったのは、バンクーバー島ナナイモのデパーチャーベイターミナルを午前8:30に出発する予定だったフェリー。約50人の乗客がマスクを着用せずに乗船していた。

 BCフェリーの利用時は、車内以外ではマスク着用が義務化していることから、一部乗客が注意をしたところ、マスクを付けていなかった十数人が”不適切な行動”に出たという。

 BCフェリーではウエストバンクーバー警察に通報。ホースシューベイターミナルに到着したときに、乗客の下船を止めて警察が乗り込むことになり、結果、45分の遅延がでた。警察が乗船したときには騒ぎは収まっていたこともあり、逮捕者は出ていない。

 マスクを着用しておらず、騒動を起こした12人については、BCフェリーでは17日当日の再度の利用を禁じた。

 マスクを着用していなかった乗客らは、17日と18日にバンクーバーのダウンタウンで行われた、マスク着用の義務化、渡航制限、フィジカルディスタンスなどの規制に反対する人たちのイベント “B.C. Freedom Mega Rally” に参加したとみられている。

 同様にマスク着用が義務化しているトランスリンクでは、9月26日、マスクをしないでバスに乗っている人に注意をした男性が、マスクをしていなかった男性に殴られてケガをするという事件も起きている。

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トロントからのハイカー、無事救助

ノースショアのHanes Valley Photo © the Vancouver Shinpo
ノースショアのヘイネスバレー。霧が出て視界が悪いことも多い  (写真は6月中旬)Photo © the Vancouver Shinpo

 ノースショアレスキューは10月18日午後1時ごろ、17日から行方不明になっていたトロントからのハイカー二人を救助した。

 行方不明となっていたのは、Anthony Lamさん(26歳)とRoya Rasoulianさん(年齢不明)の二人で、17日午後12時30分頃にリンバレーのライスレイクから出発したという。日帰りハイキングに出かけた二人が戻らないことを心配した友人が、ノースバンクーガーRCMPに通報。ノースショアレスキューでは、ヘリコプター2機、20人以上を投じて捜索を行っていた。

 二人は予定を誰にも伝えていなかったために、ノースショアレスキューではFacebookで写真を公開して、目撃者情報を求めていた。

 その後、リンバレーからグラウスマウンテンを目指してヘイネスバレーに向かったのではないかとみられたため、トレイル付近を捜索していた。雨の降る中、一晩山中で過ごした二人が見つかったのは、グラウスマウンテンのサンダーバードリッジだった。

 リンバレーからヘイネスバレーを歩いてグラウスマウンテンに抜けるコースは、vancouver trails(www.vancouvertrails.com)では片道の所要時間8.5時間の上級者向けと紹介している。メトロバンクーバーの周辺のトレイルマップでも、”experienced hikers only”、『上級者のみ』との案内がある難関コースという。

 ノースショアレスキューでは、出発前に行き先を調べていたら、日が短くなっている10月のこの時期に、午後から8時間を要するハイキングには出発していなかったとして、二人に強く注意を促した。

 また、ハイカー一般に対しても「まずは、行き先を誰かに伝えること。しっかりとした旅行計画を立て、調査して、準備をしてから出かけてください。道に迷った場合は、動かないで」と呼びかけた。

 二人が出発したとみられるリンヘッドウォーター・リージョナルパークの入口には、ハイカーが行き先を残すRegistrationボックスもある。

ヘリコプターで捜索を行うノースショアレスキュー  © North Shore Rescue
ヘリコプターで捜索を行うノースショアレスキュー © North Shore Rescue

救急救命士のインタビューと救急車内の動画を公開

BC州で救急救命士として活躍する、兵頭渡さんによるオンライン講演会 Photo ©日本語認知症サポート協会
BC州で救急救命士として活躍する、兵頭渡さんによるオンライン講演会 Photo ©日本語認知症サポート協会

日本語認知症サポート協会

日本語認知症サポート協会が、9月に開催したオンライン講演会で使用したビデオを公開しました。

 9/19に開催した「オンライン講演会・Calling 911」〜一刻も早く「救急救命士」が知りたい患者情報〜の為に、当協会が制作した講師・兵頭渡救急救命士のインタビューと、滅多に見られない救急車の車内搭載設備の動画をYoutubeに一般公開しました。

 Youtubeには、救急救命士が真っ先に知りたい「患者情報」:https://youtu.be/Cv1UwIGxNnoとして、Upされています。

お知らせ

 日本語認知症サポート協会では、緊急用リスト作成キットを15ドルで販売しています。キットには、自宅用リスト、携帯用リスト、記入方法の説明、医療用語の英単語や略語一覧が含まれます。また、日本語で記入したリストを英語にする作業も請け負っています。Eメールでの受け渡しの場合、12ドル、郵送を希望する場合は15ドルです。

救急救命士要請のポイント『Calling 911』もご覧ください。

保健局がインフル、予防接種呼びかけ

Vancouver Coastal Healthも予防接種呼びかけ

 ブリティッシュ・コロンビア州では9月に入ってからは、新型コロナウイルスの新規感染者が1日あたり100人を超える日が続いている。10月16日は過去24時間で新規感染者 155人、累計感染者は11,189人を記録した。

 そのような状況で季節性インフルエンザの時期を迎えることになり、バンクーバーコースタルヘルス、フレイザーヘルス、アイランドヘルスなどの保健局が、インフルエンザワクチンの予防接種を呼びかけている。

 今年は新型コロナの問題があることから、予防接種を受けて、できるだけ健康を保つことが例年以上に重要だという。

 「インフルエンザ予防接種は安全かつ効果的で、生後6カ月以降の人に接種を勧める」とフレイザーヘルスはプレスリリースで述べている。また、ブリティッシュ・コロンビア州では6カ月から4歳まで、65歳以上、妊婦、先住民、慢性病や免疫系の疾患を持つ人は、無料で予防接種を受けることができる。また、高齢者など、インフルエンザに対するリスクの高い人と同居している、あるいは仕事で関わりのある人、ヘルスケア施設を訪れることがある人は、費用も無料となっている。

 予防接種はクリニック、薬局などで受けることができる。各保健局ではできれば予約することを勧めている。

 Immunize BCのBC Flu Clinic Locatorのページ https://immunizebc.ca/clinics/flu#8/49.246/-123.116

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