LUV (SIC) HEXALOGY TOUR 2024の一環としてバンクーバーを訪れたShing02(シンゴ・ツー)さんに、ハリウッドシアターでのコンサート直前に話を伺った。
「今回のツアーは、イギリス・マンチェスター出身のバンドOMAと、22年にわたり共に活動してきたDJのSPIN MASTER A-1と共に、北米23か所を巡っています。バンクーバーでちょうどツアーの1/3が終わるところですが、手応えは非常に良いですね。スケジュールはタイトですが、どの町に行くのも本当に楽しみで、会場や観客のエネルギーに触れることはもちろん、街並みを歩いたり、気になるお店に立ち寄ったりするのも楽しみのひとつです」
各地で異なるプログラムやゲストを招き、多彩なステージを展開している。たとえば、アリゾナ州フェニックスでの初回公演では、ネイティブアメリカンによるブレッシングが行われ、音楽に合わせたループダンスとの特別なコラボレーションが実現した。
「6月には中国ツアーを行い、すべての公演がソールドアウトという大成功を収めました。深圳での公演は、北京からの飛行機トラブルでキャンセルになってしまいましたが、それでもファンからは『払い戻しは不要なので、振替公演をしてほしい』という熱いリクエストがあり、10月には中国の伝統楽器を使うミュージシャンとのコラボレーション公演を予定しています。」
今回のツアーは、2010年に他界したNujabes(ヌジャベス)の楽曲をメインに構成されており、その音楽は絶えず進化を続けている。このツアーでのOMAとの共演、中国での伝統楽器奏者とのコラボ、そして日本でのDJ Spinmaster A-1とのツアーなど、Nujabesの楽曲は異なるミュージシャンたちの手でさまざまな新しい表情を見せている。天国のNujabesも、2024年のShing02の新たな冒険をきっと喜んでくれているだろう。
Shing02がステージでよく伝えるメッセージは、「自分をDOPE(カッコいい、素晴らしい)と思い、よりDOPEな人間になっていこう」というものだ。「善悪の基準は人それぞれで、世間の意見に流されることも多く、それが時に分断を生むこともあります。でも、自分が何をすべきかを見失わないことが大切です。リアクションではなくアクションを起こすこと。それが自分をよりハッピーにし、周りの人たちもハッピーにする鍵だと思います。何が自分にとって本当に面白いかを追求すること、それこそが人生のテーマだと、この歳になってようやく気づきました」
バンクーバーでのコンサートは超満員のソールドアウト。DJのSPIN MASTER A-1のソロ演奏からすでに会場は熱気に包まれ、彼も「これは素晴らしいコンサートになる」と確信していた。その予感は見事に的中し、ステージは大いに盛り上がり、最高の夜を創り上げた。カナダでの公演はモントリオールとトロント、そして西部ではバンクーバーのみ。隣のアルバータ州からも多くのファンが駆けつけた。公演の後半には、「LUV(SIC)」の6部作を続けて演奏し、観客は歌詞を一緒に口ずさみながら、熱狂の一体感に包まれた。
LUV(SIC)が次にどこで新しい形に進化した姿を見せてくれるのか、その日が待ち遠しい。Shing02とSPIN MASTER A-1のパフォーマンスからは、日本人としての誇りを持って活動する姿勢が強く伝わってきた。また、故Nujabesという日本人プロデューサーの音楽も、Shing02と多様なミュージシャンたちによって新たな息吹が吹き込まれ、今もなお世界中で愛され続けている。その姿を目の当たりにし、自分も異国の地で挑戦を続ける勇気をもらった。
(寄稿 斉藤光一)
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