ブリティッシュ・コロンビア州ウィスラーではためくメープルリーフ。File photo by Japan Canada Today
カナダの元首相5人が2月15日には「カナダ国旗メープルリーフを掲げて、カナダのプライドを示そう」と呼び掛ける異例のオープンレターを発表した。
呼び掛けたのは、ジョー・クラーク、キム・キャンベル、ジャン・クレティエン、ポール・マーティン、スティーブン・ハーパー元首相たちだ。保守党、自由党は関係なく、「世界に向けて、私たちが自国の歴史と国を誇りに思っていることを示そう」と国民に呼び掛けた。
2月15日は1965年に現在のメープルリーフが国旗として正式に国会議事堂に掲げられた日「フラッグ・デー」。今年は60周年となる。
元首相5人は、「カナダの誇りと愛国心の高まりを目の当たりにした」、多くの人々が「我が国への愛とカナダの価値観や独立を守る決意を示すために一つになっている」ことに勇気づけられていると記している。
アメリカのトランプ大統領によるカナダに対する関税措置や「カナダをアメリカの51番目の州に」という発言には、カナダ国内ではさまざまな動きが起きている。
まずカナダ製品を購入する動きが加速している。アバカスデータが2月10日に発表した調査によると、42%がアメリカ産、もしくはアメリカ企業の製品をできる限り購入しないと回答したという。さらに調査対象の84%が「ここ数日でカナダ製品をより多く購入することを考えた」と回答し、34%がアメリカへの旅行をキャンセルし、32%がアメリカ企業が所有するストリーミングサービスをキャンセルした、または真剣にキャンセルを検討したという。
ただカナダ製品の積極的購入にはややハードルもあるようだ。アバカスデータによるとカナダ製とアメリカ製の区別がつかない人も多いという。そんな悩みを解消するためか、SKUコードをスキャンするだけでカナダ産かどうかを見分けるアプリ「CanMade」を開発したつわものも出てきた。食料品に対応し、カナダ産だとメープルリーフが表示される仕組み。アップルストアでダウンロード数を伸ばしているという。
アメリカ旅行キャンセルでは、13日にアルバータ州カルガリー市で会見したカナダ第2の航空会社ウエストジェット社CEOアレクシス・フォン・ヘーンスブロック氏によると、トランプ大統領が関税を発表して以来「アメリカ行きの販売は大幅に減少している」という。約25%の減少で、要因には為替レートもあるとしているが「今後の動向を注視する」としている。
カナダからアメリカへの輸入品に関税25%が課されるのは3月4日からの予定で、3月12日にはさらに鉄鋼・アルミニウムへ関税25%が課される予定。カナダ政府は、アメリカがカナダからの輸入品に関税を課した場合、報復措置も辞さない構えを見せている。
アメリカとの関税の応酬はアメリカよりもカナダに大きな損害を与える。それでも、ハーパー元首相はオタワでの講演で、もし自分が首相だったら「国の独立を守るためなら、どんな損害も受け入れるつもりだ」と語ったとトロントスター紙が伝えている。
(記事 編集部)
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