カナダde着物
第13話 季節*雨水
「雨水」とは雪が雨へと変わり、氷が溶けて水になるという意味だそうです。今の時期、冬を越したバンクーバーに春の足音を感じるような言葉ですね。当地の豊かな水は寒冬の雪や雨からの贈り物なのでしょう。有り難く思いながら、毎日、一服のお抹茶を味わっております。
昔、「水に流す」という意味から厄除けとして「ひな人形」を川へ流し、子どもの健やかな成長を願ったことから「ひな祭り」が始まったといわれております。今ほど医療や衛生管理が行き届いていない時代に、すがる思いで我が子を守ろうとする親たちの気持ちが「ひな人形」に託されているように思えます。
「いつの時代も可愛らしい子どもの着物」
子どもたちの着物といえば、七五三の晴着を思い出しますが、年中行事でも着せてあげたいものです。ひな祭りでは、早春らしい明るい色や花柄が合いますね。
行事用の着物としましては、3歳ぐらいまでは帯はせず、被布(*1)というベストを着ます。7歳で女の子は「帯解きの儀」という儀式があり、正式に帯を着用するようになります。
男の子は3歳ぐらいから着物と袴ですが、今は赤ちゃん用のロンパース袴も販売されています。子どもたちの着物は肩あげや腰あげをし着丈に縫い上げ、着崩れしないようにします。普段着では兵児帯(*2)が金魚のようで可愛く着用が楽です。
関西ではよく知られています「十三参り」(*3)は、数えで13歳の男女がお参りをするもので、年々全国的に広がっているそうです。女の子は中振袖や小紋着物で肩上げがされているほうが子どもらしさが残ります。男の子は紋付袴姿で、七五三の次にお祝いできるということで、和の学校でも人気のお参りイベントです。
「お寺でひな祭り茶会」
数年前から東漸寺で子どもたちによる「ひな祭り茶会」を開いております。もちろん、お子さま方は着物姿です。お着物をお持ちでなくても和の学校でレンタルしてまいりました。
以前にも「着物を着ると人が変わる?着物マジック」について述べましたが、お寺のお堂を走り回っていた子どもたちが着物でお茶室に入りますと、不思議と凛とした佇まいになるのです。
口から出る言葉まで変わります。お茶室では大人も子どもも同じです。
今年はひな祭り茶会は行うことが出来ませんが、お互いに尊敬しあい、人と人との温かさを感じあう、そのようなお茶会を続けられたら幸いです。
被布 ひふ(*1)広辞苑によると被布は江戸時代末期に登場した羽織物。現代では、七五三の子供が着ていることが一般的です。特に3歳の女の子が着ますととても可愛らしいです。
兵児帯 へこおび(*2)柔らかく簡単に結べる普段用の帯です。元々は男性と子供が使う帯でした。現代では、女性も利用するようになりました。
十三参り じゅうさんまいり(*3)数え年13歳の男女が、厄落としや開運、知恵授けのために旧暦三月十三日(新暦4月13日)に、母親とともに虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)のお寺にお参りする行事。
***引用***
暮らしの歳時記 http://www.i-nekko.jp/
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。通常でしたらお寺で学ぶ和の学校ですが、今年はオンラインで初めて試みることにしました。お家から是非ご参加下さい。
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持に為に使われている。
カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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