非営利慈善団体として、シニアへのプログラム提供やボランティアの育成、日本文化の共有により様々な世代を結ぶ隣組。40年以上にわたり、バンクーバー周辺の日系人コミュニティを支えてきた。その隣組の新しい事務局長に就任した船橋敬子さんに話を聞いた。
3回シリーズの1回目は船橋さんについて、そして外出自粛となったときに隣組が行ったシニア支援についてだ。
新事務局長、船橋敬子さん
この度は事務局長就任、おめでとうございます。まずは簡単に自己紹介をお願いします。
私は両親が日本から移住してきてこちらで生まれた日系2世です。小さいときに日本に引っ越し小学校4年生まで香川県で暮らしていて、その後バンクーバーに移ってきました。隣組には15年ほど前からボランティアとして携わっていて、その他に日系シニアズ・ヘルスケア&住宅協会の理事を7年ほど務めていました。
隣組の事務局長というと失礼ながらデイビッド岩浅さんのイメージが強いのですが、ウェブサイトで確認したところデイビッドさんは今は理事長ということですね?
はい、デイビッドは2010~2015年まで事務局長、今は理事長です。2015年にデイビッドが隣組を退職してから、数人の事務局長を経て、2018~2020年まで2年半ほど有馬正子さんと柿沼久美さんの二人で事務局長の職務を兼任。正子さんがコミュニティサービス、久美さんが総務を担当していました。
今回、家庭の事情により久美さんが退職することになり、以前のように一人、事務局長を置こうということで、私が応募して、就任しました。
デイビッドは隣組を退職後、2016年に理事になり、2018年に理事長に就任しました。理事はすべてボランティアなので、退職後もボランティアで残ってくれたということです。
外出自粛で安否が分からなかったシニアが300人
隣組は外出自粛になった春に、コミュニティの高齢者の安否確認をしたそうですね。
はい。高齢者の利用が多い隣組では安全を考慮して、3月初旬に休館にしました。
その時、外出自粛になって、言葉の問題などで情報が入らないと、お一人では危険だと思うシニアの方たちがいたので、隣組を利用してくださっている皆さんの安否確認を行うことにしました。
隣組ではプログラムを利用されている方やメンバーの方に、一人で暮らしているのか、家族は近くに住んでいるのか、家族構成はどうなのかといったことは聞いてはいませんでした。普段、ご利用いただく際の会話の中で、家族と同居しているとわかっている人もいましたが、状況がわからない人が大勢いました。
まず、安否がわからない人をリストアップしたら、3月の時点で300人ほどになりました。
次に一人ひとりに電話をして、お一人で暮らしていたり、高齢者施設で他に日本人、日系人の入居者がいない方、あるいは日本人の入居者がいても数が少ないために孤立してしまう可能性のある方のリストを作りました。そしていつもお手伝いしていただいているボランティアさんに、定期的に安否確認も兼ねて、電話をお願いしました。
*隣組の新事務局長、船橋敬子さんに聞く Part 2に続く。
(取材 西川桂子)
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