シニアへのプログラム提供やボランティアの育成、日本文化の共有により様々な世代を結ぶ隣組。その隣組の新しい事務局長に就任した船橋敬子さんに話を聞いた。
3回シリーズの2回目は現在再開しているサービスについてだ。ユニークな電話プログラムも開始したという。
現在再開している隣組のサービス
現在、再開している隣組でのサービスについて教えてください。
一つは日系シニアや新移民、短期滞在の日本人向けの各種専門機関の紹介や情報提供などのコミュニティサービスです。自粛になってからも電話で行っていましたが、今は予約制でオフィスでもサポートしています。
もう一つが会員の方向けのタブレットのマンツーマンでのレッスンです。来館していただいて、対面でレッスンを受ける人、Zoomの2種類があります。今はZoomの使い方の個人講座をリクエストする方もいらっしゃいます。プログラム利用は隣組会員の方、優先です。
そして図書室の利用です。蔵書数7000冊の図書館室を完全予約制で利用いただいています。
ネットで行っているのがZoomラウンジです。金曜日にみんなで集まって運動や脳トレをしています。
9月からプログラム担当として、フルタイムスタッフ、ブッチ理絵さん入ったので、さらにプログラムに力を入れていきます。それから、Zoomを使うことができるシニアの方は限られているので、電話のプログラムも始めました。これからも色々展開する予定です。
Zoomを使えないシニアを電話でつなぐ
電話プログラムですか?
はい。電話プログラムは、昨年末まで隣組と提携していた“サレーみんなの集い”で利用していたものです。外出自粛になった時、みんなのつどいは、サレー市の非営利団体のSeniors’ Centre Without Walls(壁がないシニアセンター)というプログラムに参加しました。
これは電話を用いたシステムで、名前と電話番号を入れておくと、時間になると登録者に電話がかかるというものです。サレーでは「電話プログラム」という名称を用いていました。
例えば火曜日の午後1時にプログラムがあるとします。1時になると申し込んでいた人に電話がかかってきます。電話を取ると、「1を押してください」というように指示があるので、指示に従って「1」を押すと、プログラムに参加できます。電話は固定でも携帯でも構いません。
ちょうどコロナの感染がひどいときだったので、当初、みんなの集いでは、新型コロナの最新情報、政府の経済再開計画についてのニュース、サレーのスーパーのスタッフで感染者が出たときはその情報を伝えました。ラジオみたいな感じですね。
プログラムを利用するのはBC州ではサリーが初めてですが、北米各地で行っていて、元々は家から出られない高齢者と障害を持っている方を対象にしていたそうです。コロナでシニアが外に出られなくなっていたので、ちょうど良いタイミングでした。
みんなの集いでは、当初はニュースが終わってから、ひっかけクイズ、シルバー川柳を読みあう、たとえば「毛が三つで何と読むでしょう」といった漢字クイズ、ゲストスピーカーに医師を招いて、コロナに関する質疑応答と、盛りだくさんの内容で行っていました。
そして最後に童謡など馴染みのある歌を参加者で歌っていました。一緒に歌うことで、外に出られなくても、横につながることができました。
日系以外はプログラムを用いて、英会話教室や音声だけで運動、面白いのはビンゴもするそうです。あらかじめ郵送で参加者にビンゴシートを送っておいて、所定の日時に参加します。このプログラムはシニア以外も利用できますよね。
新型コロナでセミナーやプログラムなど、Zoomを用いることが増えていますが、苦手とおっしゃるシニアが多いのが現状です。でも、Seniors’ Centre Without Wallsは電話なので、Zoomやタブレットが苦手な人でも垣根が低くなっています。
隣組では、まずはZoomでつながることができていない方を対象、会員の方優先でプログラムを用意しています。
秋にこのシステムを導入したので、Seniors’ Centre Without Wallsに興味のあるグループがあれば隣組に連絡してきてください。
*隣組の新事務局長、船橋敬子さんに聞く Part 3に続く。
(取材 西川桂子)
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