サンふじ、シナノゴールド、はるか
コロナ禍で物資の流通がむずかしい今日。そんな中、日本からカナダへの岩手産リンゴ貿易が再開した。昨年12月16日には関係者から羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事にリンゴが贈呈され、総領事公邸にて、公邸料理人の竹内えみシェフによる岩手産リンゴを使った料理の試食が行われた。
化学肥料や農薬を抑えて
世界各国で愛されているフルーツ、リンゴ。カナダで岩手産リンゴの輸入が始まったのは2019年。バンクーバー、トロント近郊で販売されたが、コロナ禍の景気後退などで2021年の輸入はストップしていた。今回輸入再開のきっかけとなったのは、岩手県主導による県産物の海外輸出事業拡充にある。
岩手産リンゴのプロモーションを担当しているバリアブルリンク北米支社長の鈴木美和チャオさんによると、岩手県で取り組んでいるのが「資源循環型農業」である。
「これは使用可能な資源を循環させるもので、有機肥料(たい肥等)の使用率を高めることにより健全な土壌再生のサイクルが生まれ、化学肥料の使用を抑えることが可能になります。農薬使用も削減するため、自然な駆除方法などの取り組みを主に行っております」と、食の安全性と生産者の思いを伝える。
ジャパニーズ・シュガーRingo
今回輸入されるのは、カナダ食品検査庁の厳しい検査をクリアした「JAいわて中央」管内で生産されるサンふじ、シナノゴールド、はるか。
「サンふじは歯ざわりがよく蜜も豊富で甘みがあり、シナノゴールドは甘みと、ほどよい酸味の濃厚な味、はるかは甘さと酸味を兼ね備えたリンゴです」
とはいえ、輸入リンゴはカナダのローカル産に比べて価格が高くなってしまうのも事実。鈴木さんが取り組んでいるのは価格に沿ったブランディング、現地対応化で、富士山と金継ぎをモチーフに高級感のあるデザインで化粧箱を制作。特上リンゴをアピールするために「Japanese Sugar Ringo」のネーミングで販売する。
リンゴを使った料理を紹介
リンゴ貿易再開にあたり全面的な協力をしているのが、日本・カナダ商工会議所である。同会長のサミー高橋さんと副会長の疋田拓也さんがこの度、羽鳥隆総領事に岩手産リンゴを贈呈。公邸料理人の竹内えみシェフに、リンゴを使った料理の考案を依頼したのだった。
これを受けて竹内シェフが作ったのは前菜、メイン、デザートなど7品。
「通常のレセプション料理とは異なる趣向の新しい挑戦で、楽しくお料理できました」と話す竹内シェフ。リンゴを調理する際のポイントについて聞くと「棒寿司はリンゴをサイコロ状に切った後、リンゴ酢に20分ほど漬け込みました。クリームブリュレはリンゴを仕上がりより3倍くらいの大きさに切ったら砂糖をまぶし、バターできつね色になるまでソテーし、仕上げにレモン汁をまぶしました」とのこと。そのほかの料理に関してはリンゴを水にさらさず、スライスして調理したという。
試食後、羽鳥総領事は「海鮮の湯葉巻揚げはレセプションでもお出しするメニューですが、今回リンゴが加わったことでシャキシャキ感が楽しめました」と感想を述べ、リンゴの食感、甘みやほどよい酸味が加わった料理に舌鼓を打った。
オンラインで限定販売
今シーズンはコロナの影響もあり、オンラインでの限定先着販売となる。注文はTSUKIJI FISH MARKET Inc.の以下リンクより。 販売予定価格は、6個入(サンふじ、はるか、シナノゴールドが各2個ずつ)の化粧箱が66.99ドル、単品では1個12.99ドル(税込み)。
またテスト的な店頭販売も計画中とのこと。問い合わせはバリアブルリンク社の鈴木さんまで。
TSUKIJI FISH MARKET Inc. (リンゴ販売ページへ): https://tsukiji-fish-market.com/
バリアブルリンク/鈴木さん(メールアドレス): m_suzuki@valuablelink.ca
(取材 ルイーズ阿久沢)
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