GETA Media Art
見る人もアート作品に参加して、一緒に作品を作り上げる楽しみがあるインタラクティブなアートを発表するGETA Media Art。日本ではこうしたアート作品が多数出てきている一方、バンクーバーではまだそれほど知られていない。このアートの世界を広げていこうとしている、GETA Media ArtのGenki NishidaさんとTatsuya Kosudaさんに話を聞いた。
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- バンクーバーを活動の拠点にした経緯は?
Genkiさん(以下G)「まず日本にいたときにテレビ制作をしていたんですが、映画をやりたくてハリウッドノースともいわれているバンクーバーにしたというのが大きかったです。来てみたらすごく気に入り10年くらい住んでいます。
Open Studios Productionsという映画スタジオに所属し、スタジオを運営しながら映像演出やVJ(ビデオジョッキー)を学び、カナダを拠点にニューヨーク、東京、ヨーロッパ、オーストラリアなど世界各国をツアーし、リモートで映像編集をしながら働いていました」
Tatsuyaさん(以下T)「日本にいたときにテクノロジーをベースとしたアート作品を作っていました。ジャンルはインタラクティブアートで、例えば自分が体を動かしたら、それに映像が追従するように反応してくれるなど、あたかも自分が映像の中に入ったかのような体験ができる作品を作っていました。
ヨーロッパやアメリカでも展示できる機会が多くあり、世界中でアートを通じたコミュニケーションを取れることを実感し、ワールドワイドに自分のスキルを展開していきたいという気持ちがありました。お互いのカルチャーをこえたコミュニケーションというものをアートで実現したいと思って、昨年バンクーバーに来ました。
バンクーバーは世界有数の人種のるつぼで、多文化の地域なので、自分の持っているものを試していけるような環境があるのではと思っています」
- GETA Media Art結成のきっかけは?
G「昨年の秋に受けたプロジェクトでインタラクティブビジュアルが必要となり、できる人を募集したところ、すごい人(Tatsuyaさん)が来てくれて。10月ごろから週1回ミーティングをしていく中で、ふたりで面白いことができることがわかりました」
T「Genkiさんとは、やっている仕事としてはかなり違うんですが、ベースとなっている考え方やエンタメとしての考え方、映像制作で使うツールの共通言語などがあるので、すぐ意気投合できました。ふたりで映像を作ろうとなってから作品になるスピードは早かったです」
G「ふたりともジャンルは異なるけれど経験値が高かったので、作品を人、場所、設備に適正化する段階だと思い、今回発表しました」
- このプロジェクトのアート作品の楽しみ方、鑑賞のポイントは?
T「自分がアートの一部になっているところを体感してほしいというのが、メインポイントです。
自分は楽しみながら作っているんですが、こうした楽しみを他の人にも体感してほしいなと。自分が映像の中に入り込めるような体験、その中で、偶然の瞬間があり、その偶然の瞬間というものは、その人がその時にしか作れなかったことで、そのタイミングを切り取った写真が抜群にかっこいい、といった瞬間を見ることができるのもおもしろいと思います。一期一会の映像体験です」
G「ハッピーアクシデントという言葉がしっくりくるような感じですね。実験的な要素も大きいので、テストの段階でも思いがけない発見があったりと制作も楽しいです」
T「想定しているようなポーズなどはあるんですが、『想定していない』ことを、体験してる人が生み出します。そういう意味ではパブリックに出して始めて作品が完成します」
- 今後の予定、抱負など。
G「チャイナタウンにスタジオがあり、そこで定期的に作品を紹介します。またギャラリーやエキシビション、イベント、フェスティバルなどで紹介していきながら、今年の夏くらいから本格的に発信します。コミュニティに対して貢献したいという気持ちもありますので、日系文化センターやバンクーバー日本語学校、ローカルのイベントを開催したいと思っております」
T「コミュニティを形成していくひとつの橋渡しに、自分たちの作品がなっていけばいいなと思います」
GETA Media Artのアートに触れよう!
参加予定のフェスティバル
Vancouver Mural Festival
2月26日(土)4:00 pm~9:45 pm
バンクーバーアートギャラリー前のスペース。入場料無料。マスク着用が必要となるスペースもあり。
https://www.winterartsfest.com/programming/gy1sxl6d6gt2swynsuky2eyybibdzm
Rafraction Festival
3月~4月
メタバース(仮想共有空間)を使ったオンラインでのフェスティバル。
https://www.refractionfestival.com/
GETA Media Art
Tatsuya KosudaとGenki Nishidaによるインタラクティブアートに特化したチーム。バンクーバーにあるLetter Boxスタジオをベースに映像、写真、ウェブAR、VRやインスタレーションなどを制作している。
イベント情報:https://www.vjgenki.com/getamediaart
Genki Nishida
日本でテレビ制作に携わりディレクターとして活躍。2011年にカナダに移住し、短編映像のディレクター、映画スタジオOpen Studios Productions (http://www.openstudios.ca/) の運営。
ウェブサイト https://www.vjgenki.com/
Tatsuya Kosuda
デジタル技術での空間演出やエンタテイメントなどを手がけるOne to Ten(https://www.1-10.com/)で、テクニカルディレクターを務めた。
(取材 大島多紀子)
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