日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会事務局長、日系文化センター・博物館理事長および事務局長などの要職を歴任
在バンクーバー日本国総領事公邸で、3月29日、令和3年度在外公館長表彰を受賞したキャシー・マキハラさんへの授与式が行われた。
マキハラさんは、日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会事務局長、日系文化センター・博物館理事長および事務局長などの要職を歴任。現在は、日系カナダ人生存者健康福祉基金運営委員長を務める。
授与式で、羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事は、マキハラさんが日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会と日系文化センター・博物館の双方で要職を務めたことに触れ、「日加の友好関係強化や日系カナダ人コミュニティの発展のために長年、尽力された」と称賛、表彰状を授与した。
1941年12月の旧日本軍による真珠湾攻撃を受けて、アメリカと同じく連合国側だったカナダは、ブリティッシュ・コロンビア州に約2万2000人いた日系人*を「敵性外国人」とみなして財産を没収。太平洋岸地域から内陸部へ強制移動させた。
(*https://learning.royalbcmuseum.bc.ca/pathways/landscapes-of-injustice/)
そのことが不当であったことを1988年にカナダ政府が認め、個人やコミュニティに補償を行うことを決めた。
さらにブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府が2021年、高齢化が進む強制移動経験者の健康維持と増進のために200万ドルを支援することを決めた。この支援金を生存者に届けることなどを目的に設立されたのが、日系カナダ人生存者健康福祉基金。
強制移動経験者のうち生存しているのは約6,600人。うちBC州外で暮らす3,690人も助成の対象となっている。これまでに十分な行政支援を受けられずにいる生存者1,817人に最高650ドルの助成金を届けたほか、日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会のアウトリーチプログラム、イキイキプログラムも基金の支援を受けている。
マキハラさんはバンクーバー新報の取材に対し、「コミュニティでの仕事に最初に関わったのは、日系カナダ人の(戦後補償)運動でした。続いて1990年初めにかけてパウエル祭協会や隣組で活動しました」と振り返った。
日系プレースに関わるようになったのは、1993年だったという。日系プレースの構想が生まれたばかりのころで、日系プレースの名称はまだ決まっていなかった。プロジェクトグループに初期のころから参加して、2つの高齢者住宅、文化センター・博物館、日系プレース基金の創設に取り組んだ。
これまでの歩みについて、「仕事とボランティア活動を楽しむことができたことをうれしく思っています。コミュニティでの仕事に、人生の半分以上を費やしてきて、計り知れないほどのものを得ることができました。友情を育むこともできました。ともに歩んできたすべての人に謝意を示したいと思います。また日本国総領事館から表彰を受けることができ、幸せに感じているとともに、感謝しています」と語った。
授与式には、日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会、日系文化センター・博物館、日系プレース基金の関係者や、マキハラさんの家族、友人ら、羽鳥総領事、多田雅代首席領事、今村香代領事の合わせて28人が出席した。
(取材 西川桂子)
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