アレキサンダー・ストリートにあるバンクーバー日本語学校(以下、「VJLS」)。1906年に開校と、カナダの日本語学校では最も古い歴史を誇る。そのVJLSの校長、藤井清子さんに話を聞いた。2回に分けて紹介する。教育目標やプログラム、行事などについての前編に続き、後編では学校を支えるボランティアスタッフや抱負などについて。
また、4万冊以上の日本語の蔵書がある図書館の活動の拡大や、コミュニティに対しても朗読を広めていきたいという。
100人以上のボランティアが活動
– ボランティアの方がたくさんいらっしゃるそうですね?
はい。ボランティアのみなさんが献身的に学校をサポートしてくださっています。現在、100人以上の方が活動しています。授業のサポートや図書館のボランティア、キッチンでランチを作ってくださっている方たちもいて、キッチンママと呼ばれています。
うどんやカレーなど、土曜日に学校に来た生徒や保護者の方に食べていただけるようになっています。このランチはファンドレイジングを兼ねていますが、ボランティアに来てくださった方には、無料で提供しています。ボランティアはいつも募集しています。理事の方々もボランティア活動をしてくださっています。
中・高校生の生徒会メンバーもボランティアに入っています。土曜日の午前中は小学校低学年クラスの教室アシスタントボランティアをしてくれます。お昼はキッチンママが用意してくれたランチを友だちと一緒に食べて、午後から自分のクラスで勉強し、その後課外活動に参加しています。土曜日は1日中、学校で過ごしています。
– 学校でランチも食べることができると、子どもたち、さらに親同士も横のつながりができそうですね。
そうですね。土曜日は友だちとおいしい日本のランチを食べることができるので、学校に来るのが楽しいとも聞きます。
VJLSの建物の中には、2歳から4歳までの「こどものくに」があります。最長のケースでは、トドラークラスに入る2歳から高校を卒業する18歳までの16年間VJLSに通うことで、コミュニティとも深く関わりを持つことができます。VJLSで日本語を学ぶだけでなく、ボランティア活動を行いながら成長することで、卒業してからも日系コミュニティで活躍する生徒もいます。学校の理事になる方もいます。
町田友成現理事長もそんな一人です。町田理事長はVJLS の卒業生で、昔は生徒会長だったそうです。
4万冊以上の日本語の蔵書がある図書館の活動の拡大や、読み聞かせを強化
– 言語を習得してもらうだけでなく、コミュニティを支える次世代を育成するという試みが、実を結んでいるということも、コミュニティの一員として心強く感じました。最後に抱負、目標について教えてください。
抱負はたくさんあるのですが、これまでの約1年間、目の前の事務的な仕事に追われていました。(新型)コロナの規制も相まって、イベントも縮小され、保護者やコミュニティとのつながりを積極的に持つことができませんでした。来年度の課題です。
今後、図書館の活動を拡大していくことを考えています。4万冊以上の日本語の蔵書がある図書館をみなさまにご活用いただけるように、システムと、図書館のレイアウトなどを改善していくよう準備を進めています。
今は、アナログ式で貸出票を手書きしているのですが、近い将来にはデジタル化してバーコード方式にする予定です。
また、個人的な話ではありますが、日本朗読協会からカナダで初めて朗読講師の認定を受けたことで、私の校長としての方向性が見えてきました。これから学校の本を活用した朗読会や読み聞かせを強化していきたいと考えています。
私が読み聞かせをするだけでなく、先生方やボランティアの方にも読み聞かせ活動をしていただく機会を提供したいです。まずは今年のサマーキャンプで子どもたちに、コロナが収束していたら秋の新学期から大人にご紹介できたらと思っています。
声を出すことは認知症予防にも効果があると聞いています。コミュニティの高齢者の方々と一緒に朗読会をするのもいいのではないかと考えています。
– 動画などで見たことがあるのですが、日本の朗読はすばらしいですよね。
朗読は読めば読むほど滑舌もよくなり、上達が実感できるので、やっていて自分が楽しくなります。最初はとても疲れます。1ページ読むだけで疲れ果ててしまうのですが、そこを乗り越えると慣れてきますよ。また、ほかの人の朗読を聞くことも、とても勉強になります。
カナダで最も古い日本語学校、バンクーバー日本語学校の藤井校長に聞く(前編)
(取材 西川桂子)
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